イングランド・イングランド の商品レビュー
いかにもイングランド的なsarcasticてんこ盛りな一冊。1990年代の頃にイングランドの有り様に対する痛烈な皮肉を感じた。何度も危機を迎えながら昔の遺産で生き延びているような姿はイングランド人には受けるだろう。でもanglophileな自分でもここまでディープだとちょっと物語...
いかにもイングランド的なsarcasticてんこ盛りな一冊。1990年代の頃にイングランドの有り様に対する痛烈な皮肉を感じた。何度も危機を迎えながら昔の遺産で生き延びているような姿はイングランド人には受けるだろう。でもanglophileな自分でもここまでディープだとちょっと物語に入り込めず、またイングランド・イングランドの如何にも人工的な雰囲気にも馴染めず、読み飛ばすようにさらっと読んでの読了になった。それでも第III部でマーサの境遇には哀しさを覚えた。英国(イングランド)が立て直せなかったら本当にアングリアになってしまうだろう。エルガーの威風堂々やビートルズが第III部になって出てきたのにも苦笑。89ページのリスト、マーマレードが入っていてマーマイトが入ってないのが不思議。 入り込めなかったのは訳が自分に合わなかったのもあるかなとも思う。『終わりの感覚』も読んでみるつもり。
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四十手前にして再就職先を探していたマーサは、労働者階級出身の野心家サー・ジャック・ピットマンに雇われ、彼の思いつきからはじまった〈イングランド・イングランド〉計画に参加することに。それは、イングランドの南に浮かぶワイト島を買い取り、島全体にイングランドの歴史的建造物や観光名所のレプリカを建て、「もうひとつのイングランド」として高級観光地にするという、途方もなくバカげたプロジェクトだった。 英国らしい強烈な皮肉が効いたコミックノベル。だが、ひとつの島にイングランドをコピーするという設定のナンセンスさを味わえるのは後半になってから。前半はサー・ジャック・ピットマンという強烈なキャラクターがぜんぶを掻っ攫っていく(イギリスの権力者、特殊プレイ風俗に通いがち) 。それゆえ、彼の権威が失墜してからは物語の勢いが落ちたような印象を受けるが、王室に対する容赦ない滑稽描写に、サミュエル・ジョンソンを演じるうち完全に同化して鬱になってしまった役者やら、本当に密輸をはじめる密輸業者役者、本当に反乱を起こすロビンフッド役者などが出てきてしっちゃかめっちゃかになっていく様は十分に楽しい。 だが、マーサの虚偽の記憶の話ではじまった本書は、虚偽の歴史が作り出されていくのを静観して終わる。その語り口は苦く、「レプリカとオリジナルを分けるものは何か」「記憶も歴史もそれを語る瞬間に作り出されるものであって、真実というものは追求に値しないのではないか」という問いを突きつけてくる。 マーサが求めていたこととは何だったんだろう。冒頭に出てくる豆のエピソードのように、自分だけの完璧なオリジナルを生み出すことだったのかなぁ…。
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ジュリアン・バーンズの魅力を知った1冊。 『10と1/2章でかかれた世界の歴史』もおもしろかったが こちらの方が、エンタメとして楽しめるかも。 イギリスという国の思い込みとイメージを体現したテーマパーク。 それをあれこれ想像するだけで楽しめる。 が、そこはさすがジュリアンバーン...
ジュリアン・バーンズの魅力を知った1冊。 『10と1/2章でかかれた世界の歴史』もおもしろかったが こちらの方が、エンタメとして楽しめるかも。 イギリスという国の思い込みとイメージを体現したテーマパーク。 それをあれこれ想像するだけで楽しめる。 が、そこはさすがジュリアンバーンズ。 本物を求めれば求めるほど、造りモノになってゆく、 そのパラドックス。 ストーリーを見るとドタバタになってもおかしくないのに どこかしっとりとした語り口。 お気に入り著者ってことで星1つおまけで(笑)
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イングランドのすべてが揃う、大規模テーマパーク・オブ・イングランド(=イングランド・イングランド)を小さな島に作るプロジェクトが進行していた。独裁者的な大富豪で起業家のサー・ジャック、賢く辛辣なコンサルタントのマーサなど個性的な面々がプロジェクトをめぐって喧々諤々。いよいよイング...
イングランドのすべてが揃う、大規模テーマパーク・オブ・イングランド(=イングランド・イングランド)を小さな島に作るプロジェクトが進行していた。独裁者的な大富豪で起業家のサー・ジャック、賢く辛辣なコンサルタントのマーサなど個性的な面々がプロジェクトをめぐって喧々諤々。いよいよイングランド・イングランドはオープン!ところが…。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】王室にバッキンガム宮殿、ハロッズ、クリームティー、シェイクスピア、ダブルデッカー(二階建てバス)に黒塗りタクシー、ロンドン塔、MU、ロビン・フッドまでイングランド的なものならなんでも集めたテーマパークというところに惹かれて読み始めた。うーん、魅力的。ホントにあったら絶対に行きたい!!!って思ったらアメリカ人や日本人がメインターゲットのように書いてあって苦笑。ストーリーがまた面白い。第1部は主人公のマーサが少女時代から大人になるまでを追った短い物語。農産物品評会の豆に憧れ、ジグゾーパズルが好きで、父親の浮気に傷ついた少女時代。マーサはもともと皮肉屋の素質はあったけど、育った環境の影響も大きいなぁと感じられた。そして中心となるのがプロジェクト立ち上げからオープン、繁栄を描いたのが第2部で、こちらの第2の主人公サー・ジャックの強烈な濃厚キャラが際立っている。もっともこれくらい傲慢な人物でないとこんなとんでもないことは実現できそうにないなぁと思わせる。精力的に活動する彼にはある忌まわしい秘密があり、これをネタに足元をすくわれることに…。一方、繁栄するイングランド・イングランドの影で、すっかり衰退してしまった本国(オールド・イングランド)の様子、偽物を本物より本物らしくという論理、ロビン・フッドと仲間たちがそれを追求しすぎたために起こった反乱など、内容が多岐にわたっていてどれも辛辣で辛口。第3部のアングリアでは、マーサが島を追われた後、放浪の果てに昔に戻ったような本物のイングランドでの静かな暮らしを描いている。本物とは何か?幸福とは何か?繰り返しとり上げられるこれらのテーマの結論はでておらず、読者へ投げかけられた形で終わっている。つい解り易いオチを求めて結論を急いでしまう読書傾向の自分にとって、ちょっと新鮮だった。盛りだくさんの内容なので、ストーリーを素直に楽しむもよし、哲学的な問いかけを熟考するものよし、読み手によっていろんな楽しみ方ができる本だ。
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ジュリアン・バーンズ久々の翻訳!ということで、書評で見つけて即買いに行きました。 バーンズ、相変わらず面白いです。 概略についてはいろんなところでいろんな人が紹介されているので省かせてもらいますが、今回のこの作品はこれまで私が読んだ中では、もっとも映像化に向いているのではな...
ジュリアン・バーンズ久々の翻訳!ということで、書評で見つけて即買いに行きました。 バーンズ、相変わらず面白いです。 概略についてはいろんなところでいろんな人が紹介されているので省かせてもらいますが、今回のこの作品はこれまで私が読んだ中では、もっとも映像化に向いているのではないかと思いました。 実際、ロビン・フッドと「愉快な仲間たち」が英国特殊部隊と一戦交えるところなんて、見てみたいじゃありませんか。 2段組だけど、ソフトカヴァーで読みやすいです。 「小説らしい小説」が読んでみたい人におすすめです。(ジュリアン・バーンズはすべて)
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