1,800円以上の注文で送料無料

燃えよ剣(下) の商品レビュー

4.4

553件のお客様レビュー

  1. 5つ

    297

  2. 4つ

    147

  3. 3つ

    66

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/04/19

土方歳三の死に様というべきものがありありと書かれており、虚しくもあり、心躍るとこもあり、非常に吸い込まれる一冊。

Posted byブクログ

2022/04/10

幕威衰え天下の勢力が薩長寄りになり、鳥羽伏見の戦いに敗れる時、将軍慶喜は大阪城から撤退した。労いも言われず主君に逃げられたことを恨むこともなく、歳三は時流に抵抗し続け、新官軍との戦いを止めなかった。甲府、会津、宮古と戦っては退き、最後に辿り着いた函館が官軍に陥落されても、新政府に...

幕威衰え天下の勢力が薩長寄りになり、鳥羽伏見の戦いに敗れる時、将軍慶喜は大阪城から撤退した。労いも言われず主君に逃げられたことを恨むこともなく、歳三は時流に抵抗し続け、新官軍との戦いを止めなかった。甲府、会津、宮古と戦っては退き、最後に辿り着いた函館が官軍に陥落されても、新政府にひとり斬り込みに行って散った。こうも歳三を突き動かしたものは戦いに対する本能とプライド以外にないと思われる。最期まで喧嘩師であり、それ以上ではなかった。 斯様に戦いをテーマとする当作において、お雪との恋が瑞々しく存在感を光らせている。大阪の西昭庵と函館での逢瀬の場面は他のどんな恋愛小説でも見られない美しさと切なさに満ちており、著者の感性底知れずと驚かされるばかりである。

Posted byブクログ

2022/03/27

後半、土方歳三の晩年、死の場面まで描かれる。 お雪との出会いや、組織が大きくなる、または組織が変わるさま、また、近代の技術との対峙や時勢の流れのなかで、さらに彼がどんな人物だったかが描かれる。 どんなときも変わらず戦の中で生きたこと。真っ直ぐに人を想い、多くは語らないが親しい人...

後半、土方歳三の晩年、死の場面まで描かれる。 お雪との出会いや、組織が大きくなる、または組織が変わるさま、また、近代の技術との対峙や時勢の流れのなかで、さらに彼がどんな人物だったかが描かれる。 どんなときも変わらず戦の中で生きたこと。真っ直ぐに人を想い、多くは語らないが親しい人の先を想いぶれずに行動にうつすこと。そんな彼だったから、後世にその生き様が語りつがれているんだろう。 最後もひとり戦場で死す。悟りながら、あがらうことをせず、真っ当する。剣ひとつで生きる、とは今を生きる私にはとうてい想像もつかないことで、でも今も戦場で生死が1秒で変わる場に生きる人もいるわけで。 想像に限界がある。そこから行動へと進むには遠すぎる物語だけれど。この本を読めてよかった。 歴史の上に人は立ち、今この日々が歴史となる。 私の今の毎日に、一体この本のなにが生きるのだろう。HOWTO本なんかではない。そこからいつか何かが繋がるかもしれないし、グラデーションで何かが変化するのかもしれない。 答えが書いてある本じゃない本を読む大切さを改めて感じる。わかるはずがないことへ安堵すら感じる。 本を読むことができるありがたさを感じる。 費やした数時間?が私のどこかの一部になり歴史が繋がりますように。 それにしても、あぁ、面白かった!! そして想像の中の土方歳三と写真のイメージがだいぶ違った!

Posted byブクログ

2022/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

さて、下巻です。 (しつこい性格の)七里研之助と、歳三との決闘の場面から。 『燃えよ剣(下)』 司馬遼太郎 (新潮文庫) 七里と歳三、お互い田舎者どうしの真正面からの喧嘩かと思いきや、実は、相手方の黒幕が伊東甲子太郎であることが分かる。 思えば、伊東を新選組に迎えたあたりから、確実に何かが揺らぎ始めていたのだ。 時勢の流れに乗り、新選組は幕臣となるも、程なく大政奉還、王政復古。 徳川慶喜は、自分のために戦っている新選組を見捨てて逃げた。 そして戊辰戦争が始まるのだが、もうここら辺りから、彼らが可哀想で見ていられなくなる。 鳥羽伏見の戦いで敗北。 その後の甲州行きなんて、新選組の最も華であった時を知っている者には、酷い戦に思えたはずだ。 それからは、坂を転がるように落ちていく。 新選組は解散、近藤勇が死に、沖田総司が死に、歳三は榎本武揚らとともに函館へ行くが、理解者もなくたった一人で頑張る歳三に、もういいからゆっくり休みなさいよと思わず言いたくなってしまう。 最後の戦いの前夜、歳三は新選組隊士の亡霊を見る。 みな京都の頃の衣裳をつけていた。 京都といえば、新選組の最もいい時だ。 「歳、あす、函館の町が陥ちるよ」 近藤の亡霊が言う。 歳三が自分の死をはっきり予感したのは、この時ではなかったか。 榎本らが降伏した後も、歳三はたった一人の最後の幕士として出陣し、官軍に討たれて死ぬ。 “喧嘩師”だったけれども、よく考えると、常に政治的な駆け引きに翻弄され、まともな喧嘩をさせてもらえなかったようにも思えるし、自分の意志を通したとはいえ、やっぱり歳三の最期は寂しすぎた。 国家意識が芽生え、統一国家を作ろうとする動きがある中で、歳三は時代遅れの異端児だった。 幕府が瓦解し、近藤や沖田がいなくなってしまった後は、ただ死に場所を探しているような孤独な人生だった。 “引き際”ということをいえば、見苦しいぐらいに悪い。 なのにこんなにかっこよく見えるのはなんでだろう。 沖田との会話は優しさに満ちていたし、西昭庵でのお雪との二日間は、まるでままごとのようにぎこちなく、初々しく可愛らしかった。 生きていてほしい人を、自分が死ぬ前に故郷に帰したりもしているし、不器用だけれども、実は内に深い情を持った人だったのではないだろうか。 ところで、沖田くんは結局この下巻ではずっと病床にいて、一度も戦えなかった。 思えば、歳三が七里研之助の一味に苦戦していたとき、馬で駆け付けたのが最後だった。 死の直前、庭に来た猫を斬ろうとして斬れずに死んだのだという。 看取られる人もなく、菊一文字の佩刀を抱いたまま、縁側に這い出て死んでいた。 もしかして、土方歳三という人間を一番理解していたかもしれないこの青年もまた、寂しい最期だったのだ。 人を斬りまくった殺人集団を手放しで褒めるわけにはいかないけれども、隊士一人一人の思いや哀しさが凝縮された新選組という組織での彼らの生き様は、現代に生きる私たちの胸を打つ。 司馬さんは、本作と並行して「竜馬がゆく」も執筆していた。 逆の立場から見た二作である。 それはやっぱり、両方の立場の人間がいたからこそ成った新時代だということと、優劣や善悪をつけられない人間ドラマがあったからこそなんだと思う。 歴史ってすごい。

Posted byブクログ

2022/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

土方歳三の最期を描く下巻。 名作とは、読み終わった後に読んだのが惜しくなってまたすぐに戻って来たくなる作品だろう。 土方歳三の最期の突撃、新撰組隊士との夢現での邂逅、近藤勇との別れなど、何度も振り返りたくなる場面がいくつもあった。 またそのうち函館に行きたい。今度は函館の風景も違って見えるだろう。

Posted byブクログ

2022/08/01

新撰組とは結局のところただの殺人集団でしかないと思う。 思想もなく正義もなく善悪もなく、あるのはただ己の美学のみ。 しかしどこまでもその美学に従い、仲間と別れ、ただ一人最後の将になってもなお戦いの中に身を投じていく男の生き様には確かに感動を呼ぶものがある。 桜の散り際の美しさにも...

新撰組とは結局のところただの殺人集団でしかないと思う。 思想もなく正義もなく善悪もなく、あるのはただ己の美学のみ。 しかしどこまでもその美学に従い、仲間と別れ、ただ一人最後の将になってもなお戦いの中に身を投じていく男の生き様には確かに感動を呼ぶものがある。 桜の散り際の美しさにも似て、日本古来の美を感じさせる作品でもあると思う。 とはいえ、“ふるい時代の孤児”として死んでいく土方や近藤の姿には一種のペーソスが漂っており、途中無性に龍馬の底抜けの明るさが恋しくなったりする。 創作とはいえ、お雪との時間がなければここまでの感動はなかったかもしれない。

Posted byブクログ

2022/02/27

新撰組の副隊長、土方歳三の生涯を描く。 土方は、新撰組時代から戊辰戦争にいたるまで、ただ喧嘩のために戦うことを続けていることが分かる。 格好良くも見えるかもしれないけど、ただの気性が荒く、喧嘩好きな学のない人と取れなくもなく、個人的にはあまり好きになれなかった。 また、司馬遼...

新撰組の副隊長、土方歳三の生涯を描く。 土方は、新撰組時代から戊辰戦争にいたるまで、ただ喧嘩のために戦うことを続けていることが分かる。 格好良くも見えるかもしれないけど、ただの気性が荒く、喧嘩好きな学のない人と取れなくもなく、個人的にはあまり好きになれなかった。 また、司馬遼太郎氏の小説を久しぶりに読んだが、場面がコロコロ展開する上に登場人物が多くて、予備知識が無いと話についていけないところがある。 この点、同じ近代歴史小説を書いている吉村昭氏の小説は非常に整理されていて、好みの問題ではあるが、とても読みやすく思う。

Posted byブクログ

2022/02/24

壮絶な鳥羽伏見の戦いの後、朝敵となり、江戸へ逃げる歳三ら。そこから、北上し、会津若松、函館へと。終焉が、近づく。 武士道に真摯に生き、戦争そのものが目標であった歳三。喧嘩“あるていすと”として、最期を迎える。 幕末期の知識が、至って曖昧なので、「日本史A」を読んでみた。新選組...

壮絶な鳥羽伏見の戦いの後、朝敵となり、江戸へ逃げる歳三ら。そこから、北上し、会津若松、函館へと。終焉が、近づく。 武士道に真摯に生き、戦争そのものが目標であった歳三。喧嘩“あるていすと”として、最期を迎える。 幕末期の知識が、至って曖昧なので、「日本史A」を読んでみた。新選組は、教科書の本文にはでてこない。池田屋事件の備考欄に、記載あるのみ。 歴史の狭間に、多くの若者が、命を落とした。 この辺の歴史を、授業でもっとやろうよって、思うんだけど。

Posted byブクログ

2022/02/23

司馬遼太郎さんの小説に共通だと思ういますが、語り口に独特なリズムと軽妙さがあり、自然と読み進まさってしまいます。 総じて短文。登場人物同士の短いセリフのやりとりに込められたお互いの深い心境。史実に忠実な人物解説。驚くくらいにあっさりと記述される歴史的事件と、それがゆえに焦点が合い...

司馬遼太郎さんの小説に共通だと思ういますが、語り口に独特なリズムと軽妙さがあり、自然と読み進まさってしまいます。 総じて短文。登場人物同士の短いセリフのやりとりに込められたお互いの深い心境。史実に忠実な人物解説。驚くくらいにあっさりと記述される歴史的事件と、それがゆえに焦点が合い続ける新選組の変遷。 歳三との様々なやりとりが描かれてきた主要人物の死亡が唐突に一文で語られる点も、盟友の死に足を緩めることができない歳三の闘いの日々の表現でもあるのかもしれないと思いました。 登場人物に対する歳三の人物評も一言で断定的に描かれており、そのたびに歳三のぶれない軸を感じました。こうありたいと、気持ちだけは思うのです(笑)。 元来歴史に詳しいわけではないので、史実と創作の境目がわからないところもあるんですが、お雪の存在は、歳三を生身の人間としてより身近に感じさせる役割だったんだと思います。 史実に基づく小説として、歳三とともに幕末・維新の時代を駆け抜ける臨場感を味わえる、抜群の作品だと思いました。 著者曰く、かえって図式的になって真実感がなくなるが、としつつ、こぞって官軍になり徳川討伐に参加した諸藩ははじめて国家意識を持ち「日本」に参加したが、それは「日本」ではなく薩長にすぎぬという一群がこれに抵抗し「侠気」をあらわそうとした、というくだりが心に残りました。

Posted byブクログ

2022/02/21

何度読んでも面白い、烈丈夫・土方歳三の物語。鳥羽伏見の戦い以降は読み進めるのが切ないけど、最前線で戦い抜いた壮絶な人生は必読。 日本史、幕末史、新撰組どれも詳しくないけど、司馬遼太郎作品はどんどん読み進めれる。同時期に執筆された「竜馬がゆく」も再読したい。

Posted byブクログ