音楽を「考える」 の商品レビュー
音楽を創造するとはどのような営みなのか、頭の中で音楽が鳴るのはどのような脳の状態なのか、という話から、現代音楽について、日本でクラシックが根付かない理由、音楽教育の問題点、といった話題について、作曲家と脳科学者の2人が対談するという本。 これの感想を長々と書いたものが、久しぶ...
音楽を創造するとはどのような営みなのか、頭の中で音楽が鳴るのはどのような脳の状態なのか、という話から、現代音楽について、日本でクラシックが根付かない理由、音楽教育の問題点、といった話題について、作曲家と脳科学者の2人が対談するという本。 これの感想を長々と書いたものが、久しぶりにおれの不注意で全部消えてしまったので、もう同じ分量では書けないのだけど、とりあえず音楽を創造する、ということが内なる音に耳を傾ける、ということだと分かった。ただそれがなぜ自分を切り刻むような苦しい行為なのかということは分からず、やっぱりおれは凡人なんだなあ、と思った。サウンドスケープについて勉強してみたい。(24/02/08)
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教養人の対話というのは凄い。どんな文脈においても限りない知識の海から最適な話題を引っ張り出してくる。 現代人は音に対する意識が疎かになっている。音楽を消費し過ぎるあまり、聴くことの尊さを見失っているのではないか?僕もその1人。 本書の中で、「聴覚は、最も人間らしい脳の働き」と...
教養人の対話というのは凄い。どんな文脈においても限りない知識の海から最適な話題を引っ張り出してくる。 現代人は音に対する意識が疎かになっている。音楽を消費し過ぎるあまり、聴くことの尊さを見失っているのではないか?僕もその1人。 本書の中で、「聴覚は、最も人間らしい脳の働き」とある。聴くことが人間を人間たらしめる要素であり、それを失うことは人間であることを捨てるとも言える。 AIの進歩とともに人間の存在意義が問われているが、「聴くこと」を改めて見直すことが、その問いに対する一つの回答だと言えるのかな。 【メモ】 ・聴くことは自分の中の形になってないものを形にすること。ピエール・バイヤールの「内なる図書館」を呼び覚ますことと通じる部分はあるのではないか? ・「古代ギリシャ人にとっては、専門という概念は意味がなかった。」 ・のだめカンタービレを観て本格的にクラシックに没頭する人なんて一握り。
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脳科学者であり音楽にも造詣の深い茂木健一郎と、工学部出身の作曲家である江村哲二の対談が収録されています。 茂木の音楽・芸術に対する幅広い教養にはいつもながら感心させられるのですが、本書における彼のスタンスは、どうにも収まりが悪いように感じてしまいました。音楽がテーマなので江村の...
脳科学者であり音楽にも造詣の深い茂木健一郎と、工学部出身の作曲家である江村哲二の対談が収録されています。 茂木の音楽・芸術に対する幅広い教養にはいつもながら感心させられるのですが、本書における彼のスタンスは、どうにも収まりが悪いように感じてしまいました。音楽がテーマなので江村の話を引き出す聞き手にまわるか、あるいはクオリアと脳の問題について積極的に発言する異色の脳科学者としての立場から音楽という世界に踏み込んでいくというしかたで対談に臨むこともできたのではないかと思うのですが、本書における茂木の発言は、一人の趣味人としてのものにとどまっているように感じられます。しだいにテーマが拡散していって、近年の茂木の発言にしばしば見られる日本の文化的風土に対する不満に落ち着いてしまっているのも残念でした。 どこまで本気でいっているのかわからないのですが、茂木の「大学生同士が「お前、ベルクソン、いままでに何冊読んだ?」「『物質と記憶』、『創造的進化』とか読んだよ」「まさか日本語で読んでいるわけじゃないよね?」といった会話を日常的にする」ことを流行らせたいという発言は、「教養」の歴史的条件についての理解を欠いており、あまりにも大時代的だといわざるをえません。
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著者の茂木健一郎も知識の幅も素晴らしいけど、 江村哲二の作曲に対する考え方の方が面白く読める本。引用したい所がたくさんあります。 (現物の本が行方不明…)
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現代音楽の作曲家と脳科学者の対話は実に興味深いものです。音楽と数学の関係の深さは私自身が昔、この2つの科目が好きだった理由にも通じるだけに非常に共感できます。ピタゴラス音律・・・、数学と音楽の共通点は整然とした体系の美しさにあるように思います。二人が共通してクラシックは西洋という...
現代音楽の作曲家と脳科学者の対話は実に興味深いものです。音楽と数学の関係の深さは私自身が昔、この2つの科目が好きだった理由にも通じるだけに非常に共感できます。ピタゴラス音律・・・、数学と音楽の共通点は整然とした体系の美しさにあるように思います。二人が共通してクラシックは西洋というローカルの地域・時代の民族音楽であるとしながら、それが普遍性があるようになっているのは楽譜に書き残すということを獲得したためだということも、当たり前のことかも知れませんが、思わされます。ミュージカルとオペラの違いで、「アリアドネ」の素晴らしさを2人が強調しているのも納得。納得づくしで、非常に気分良くなりました。大野和士氏がブルックナー第9の最後の音は指揮棒を振らずに終わる、その最後の瞬間は時空を超えたノリだというのは正に言いえて妙です!一度そのような意識で聞いてみたいです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 私たちはなぜ音楽を「聴く」のか? オーケストラが奏でる圧倒的な美しさの背景には「生きる」という通奏低音が響いていた。 脳科学者と作曲家が出会い、語り尽くす。 [ 目次 ] 第1楽章 音楽を「聴く」(世界には掛け値なしの芸術作品が存在している;モーツァルトが抱えていた「闇」は創造の本質を物語る ほか) 第2楽章 音楽を「知る」(西洋音楽を考える基本要素―楽譜中心主義;日本人としてのオリジナリティ ほか) 第3楽章 音楽に「出会う」(芸術とポピュリズムの狭間で;現代音楽入門―無調・12音技法はなぜ生まれたか? ほか) 第4楽章 音楽を「考える」(クラシックは日本に浸透するか?「一%」の高い壁;「お子様向けクラシック」を排除しよう! ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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この本は,NHKの「プロフェッショナル:仕事の流儀」の司会をしている脳生理学者茂木健一郎と作曲家江村哲二の異色の対談である。茂木健一郎がクラシック音楽についても幅広い見識を持っていることに驚かされる。この人の脳はいったいどうなっているのか覗いてみたい。それはさておき,この本の中...
この本は,NHKの「プロフェッショナル:仕事の流儀」の司会をしている脳生理学者茂木健一郎と作曲家江村哲二の異色の対談である。茂木健一郎がクラシック音楽についても幅広い見識を持っていることに驚かされる。この人の脳はいったいどうなっているのか覗いてみたい。それはさておき,この本の中で繰り返し話題になることは「内なる音を聴く」ということ。「『聴く』ということは,自分の内面にあるいまだ形になっていないものを表現しようとすること」であり,聴衆も自分の音楽を探そう,つくろうとしているという意味では作曲家と同じ立場にあると,江村は述べる。さらに作曲するとは,「経験の積み重ねによって培われた資源が,何らかの外部刺激によって想起され,組み合わされる」ことだとも述べている。これは「学ぶ」ということにも当てはまるのではないか。例えば本を読むことには,もちろん新しい情報を蓄えていく作業の側面もある。しかしある瞬間,著者の言っていることと自分の中にある何かが反応して,「ああこういうことだ」と思う瞬間がある。それは著者の言っていることが理解できたというよりも,自分の中に形を持たずに漂っていたものに,外部の光が当たることで,突然輪郭が与えられてはっきりとわかるという感じに近い。だから音楽を聴くことも(もちろん作曲したり演奏したりすることも),学問に励むことも,自分の内なる世界を探求し,そこに自分なりの地図を作り上げていくことといえるかもしれない。私たちの脳内にあるニューロンとその組み合わせの数は,宇宙の星の数よりも多いといわれる。私たちの脳内には,自分でも気づかない豊かな世界が眠っているかもしれない。(菅)
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自分の内なる音を聞くことが大切、というところには共感しました。 でも話が進むにつれ、どんどん説教臭くなっていきます。 何かで読んだのですが、音楽などの芸術を「すごかった」とか「よかった」とかそういう言葉でしか表せないとき、それは右脳で芸術を理解しているんだそうです。それこそが芸...
自分の内なる音を聞くことが大切、というところには共感しました。 でも話が進むにつれ、どんどん説教臭くなっていきます。 何かで読んだのですが、音楽などの芸術を「すごかった」とか「よかった」とかそういう言葉でしか表せないとき、それは右脳で芸術を理解しているんだそうです。それこそが芸術に触れたということで、逆に具体的に論理的に説明できるときには左脳を使って理解しているんだって。つまり「芸術」じゃなくて「知識」としてってことらしい。自分はわりと右脳型なのでこれはよくわかります。 この本を読んでいて感じた違和感はそこら辺にあるような気がします。「考える」ことで芸術からは離れていってしまうような感じ。テーマとしてはおもしろいところもあるのに、物凄く視野の狭い話をしていて残念。
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カテゴリがわからなかった。 音楽の見方、考え方が少し変わった。 それにしても茂木氏の見識って幅広い。
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作曲家と建築家の意外な類似性が面白い。 「創造することは,自分自身を切り刻むということ」というのは,妙に納得。 『脳と創造性』を読んでみたい。
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