1,800円以上の注文で送料無料

そして殺人者は野に放たれる の商品レビュー

3.9

46件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2009/11/25

精神障害者が起こした犯罪や加害者被害者のその後などを、憲法第39条の是非などを絡めて書いたもの。著者自身が犯罪被害者の遺族であり、精神障害者を家族に持つことがあるためか、やや感情的に書かれる部分が目立つ。そこが気になってしまうが、精神鑑定のあり方や法制度などの問題点について考えさ...

精神障害者が起こした犯罪や加害者被害者のその後などを、憲法第39条の是非などを絡めて書いたもの。著者自身が犯罪被害者の遺族であり、精神障害者を家族に持つことがあるためか、やや感情的に書かれる部分が目立つ。そこが気になってしまうが、精神鑑定のあり方や法制度などの問題点について考えさせられるところは多い。加害者事情、被害者事情のそれぞれの立場からこの問題について考えるために、佐藤幹夫氏、山本譲司氏の本と併せて読みたいと思った。

Posted byブクログ

2009/10/27

心神喪失者および心神耗弱者の責任能力について規定された刑法第39条。よく精神障害者は罪を問われないとかって聞くけど、これほどまでとは。。。 この本は、精神障害犯罪者が罪を問われず、すぐにシャバに解放され、そして犯罪を繰り返す、という日本法曹界の闇の部分を明白にした筆者の執念のリ...

心神喪失者および心神耗弱者の責任能力について規定された刑法第39条。よく精神障害者は罪を問われないとかって聞くけど、これほどまでとは。。。 この本は、精神障害犯罪者が罪を問われず、すぐにシャバに解放され、そして犯罪を繰り返す、という日本法曹界の闇の部分を明白にした筆者の執念のリポートだ。 正直なところ、精神障害犯罪者は病院で服役するみといった間違った知識を自分は持っていた。場所が精神病院というだけで、あくまでも服役しているのだと。ところが、この本を読んで分かったのは、入院は純粋に治療のためであり、服役でも何でもない。だから数ヶ月もすれば退院(釈放でない)して、普通に社会に戻ってくる。そもそも無罪なので刑に服す必要もないし、もっとすごいのは犯罪事態がなかったも同然に扱われることすらあるという。これには本当に驚いた。 加害者側が手厚く扱われる一方で、被害者側が全く救われていない理不尽さは、『心にナイフをしのばせて』とかぶるものがある。こちらは加害者が精神障害者ではなく未成年者という違いはあるが理不尽さは類似する。

Posted byブクログ

2009/10/07

若かろうと年を取っていようと、いかなる状況であろうと、よその人を殺したら死刑というルールがどうして確立されないのだろう。 こんなに分かりやすいことはないのに。なにがことを分かりにくくしているのだろう。 司法は心神喪失による犯罪者に対して「自分で自分のケツは拭かなくていいよ」とし...

若かろうと年を取っていようと、いかなる状況であろうと、よその人を殺したら死刑というルールがどうして確立されないのだろう。 こんなに分かりやすいことはないのに。なにがことを分かりにくくしているのだろう。 司法は心神喪失による犯罪者に対して「自分で自分のケツは拭かなくていいよ」として無罪を与える。 自分のケツも拭けない犯罪者が野に放たれる。 そして同じことを繰り返す。 市井の人は巻き込まれないよう、自衛するのみ。

Posted byブクログ

2011/08/06

【第3回新潮ドキュメント賞受賞】刑法39条についてはなんとなく知っていたつもりでいたけれど「心身喪失」の場合、ここまでお咎めなしとは思っていなかった。著者の表現には少し過激だなあと思うところもあるけれど、知らなかったことをたくさん教えてくれた本ではあった。既に削除されているとはい...

【第3回新潮ドキュメント賞受賞】刑法39条についてはなんとなく知っていたつもりでいたけれど「心身喪失」の場合、ここまでお咎めなしとは思っていなかった。著者の表現には少し過激だなあと思うところもあるけれど、知らなかったことをたくさん教えてくれた本ではあった。既に削除されているとはいえ刑法40条にはおどろいた。

Posted byブクログ

2009/10/07

昨今、尋常ではない殺人事件や犯罪の加害者が心神喪失や責任能力の皆無、などと言った精神鑑定の名できちんと法に罰せられず社会に復帰してしまう、と言う問題が色々な場で問題提起されていることは良く知ってはおりました。ただ、こんな現状なのか。びっくりしたし、背筋が寒くなる思いでした。 ...

昨今、尋常ではない殺人事件や犯罪の加害者が心神喪失や責任能力の皆無、などと言った精神鑑定の名できちんと法に罰せられず社会に復帰してしまう、と言う問題が色々な場で問題提起されていることは良く知ってはおりました。ただ、こんな現状なのか。びっくりしたし、背筋が寒くなる思いでした。 誰でも知っているハムラビ法典の『目には目を、歯には歯を』と言う一文があります。これを教わったとき、目には目をだから目の被害者は加害者に対して目を攻撃できる。けれども目以外の例えば歯を攻撃することはしてはいけない。そういう法律なのだと教えていただきそうだよなあ〜と感心した思い出があります。人を殺した人は自分も法によって殺される、とそう言う報復があるのだと言う事を覚悟したほうがよいのではないかな、と思うのです。重たい問題です。こんな一文ではとても言い切れない問題ですが自分はそう、思うのです。だって人を殺したのだから。自分も殺されたって仕方が無いのではないかな、と。ただ加害者の側に立った場合そんなに簡単に言い切れるのか。薬や諸事情で犯行に及んだのではないか。そう思うだろうなあ。難しい問題です。 ただ精神鑑定と言う鑑定にそんなにお金がかかっているとは思いませんでした。これも税金ですよね… 鑑定ってもう少し科学的なものかと思ってました。各個人で鑑定結果に開きが出てしまうのは精神と言う難しい問題だから仕方が無いのかもしれませんがもう少しきちんとした指針等は無いのでしょうか。 著者も提案している通り、心神喪失の犯罪者にはその犯罪者を受け止める司法施設が必要なのだと思います。そして責任能力が認められたら改めてその罪を償う。そういう形にしたほうがよいのではないか、と言う案に賛同します。自分が知らないうちに犯罪を行ってしまった犯罪者が居るとして、その犯行を本人が自覚しなくては又同じことを繰り返してしまう恐れがあるのですから。きちんとした治療もせず病院に閉じ込めてしまうのも問題ですし、罪の自覚がないまま世間に戻ってしまうのも問題があると思うのです。 この頃の状況は変わってきたのでしょうか。そう願いたいです。死刑執行が大臣が変わると執行されたりされなかったりするという状況もおかしいですよね。死刑が執行されることに対しておかしい、と言うのであれば死刑制度撤廃の運動を行うべきだと思うのです。死刑判決はそのまま報道して、いざ執行されると通例より早いとか執行された人数が多いなどと言う報道もどうなのかなあと思います。 陰惨な事件はあまり覚えておきたくないし忘れてしまいたいのが本音ですが事件が起こった時だけではなく、報道を受け取る側もきちんと判決まで事件を追いかけなくてはいけないのだな、と思うのです。 読み終わって暗くなりましたが読んでよかったと思います。色々と考えさせられました。

Posted byブクログ

2009/10/07

今まで新潮文庫で読んできた書籍にここまで何か週刊誌のレポートのような調子で書かれているものを読んだことがなかったので、その違和感もこうした感覚の原因になったかもしれません。その意味で、冷静な議論を期待したのがそもそも的外れだったのかもしれません。しかしながら、裁判員制度(http...

今まで新潮文庫で読んできた書籍にここまで何か週刊誌のレポートのような調子で書かれているものを読んだことがなかったので、その違和感もこうした感覚の原因になったかもしれません。その意味で、冷静な議論を期待したのがそもそも的外れだったのかもしれません。しかしながら、裁判員制度(http://www.saibanin.courts.go.jp/)の導入にともない、強盗致傷や殺人がその主要な対象となる公判に我々一般の市民が関わることになるため、こうした世界を知っておくには良いのかもしれません。 あと、日本の裁判における「心神耗弱」と「心神喪失」を鑑定で一応は客観的に判断されてきたことが、本当に正しいのかどうか、普段さまざまな事件の判決を取り上げるニュースに接していると、そんなことに対して懐疑的な気持ちになることがありますが、自分がそのように思うことと、裁判での判断を比較してみると知らないことも多く気づかされるところは多かったです。加害者が護られていると感じることもあります、被害者がさらし者にされていると感じることもあります、だからこそその理不尽さをどこから解決していくべきなのかも筆者には詳しく冷静に語ってほしかったと思うのです。 デリケートな問題だからと、自分から遠ざけることができなくなるので、心構えの意味もこめて読む価値はあると思います。世の中にはいろんな事件がありますが、裁判員制度はそうした自分とは違う人の出来事と私達の距離が否応なく縮める役割を果たすのですし、それが人が本来持つべき社会性を保持する手段ともいえるのかもしれません。

Posted byブクログ

2012/09/26

重大な罪を犯しても、犯人に精神病の疑いがあるととたんに報道がやんでしまうとか、受け皿がないまま「無罪放免」にされてしまうとか、現場検証で汚された自宅の修復費すら被害者が負担しなきゃいけないとか、理不尽なことがいっぱいあって、それらは本当に語られなくちゃいけないことだ。 だけどこ...

重大な罪を犯しても、犯人に精神病の疑いがあるととたんに報道がやんでしまうとか、受け皿がないまま「無罪放免」にされてしまうとか、現場検証で汚された自宅の修復費すら被害者が負担しなきゃいけないとか、理不尽なことがいっぱいあって、それらは本当に語られなくちゃいけないことだ。 だけどこの人の書き方は怖い。 斉藤環も書いているけど善悪に偏りすぎている。 もちろん著者自身は正義の側に立ったつもりでいる。 法の理不尽と加害者への憎悪を履き違えていないか。 自分を正義だと信じ込む人は自分の暴走に気づけない。 罰を「報復」と考えるか「矯正」と考えるかによって受け止め方が変わるかもしれない。

Posted byブクログ

2011/07/16

冒頭から作者の怒りを感じる。精神障害者の心神喪失による犯罪が無罪や量刑の軽減になることへのどうしようもない怒りを感じる。ネタバレしそうなので読んでない方はここまでで。特にこの本と思って選んだわけではない。図書館でこの前の「累犯障害者」と並んでいたので2冊とも借りただけなのだが、こ...

冒頭から作者の怒りを感じる。精神障害者の心神喪失による犯罪が無罪や量刑の軽減になることへのどうしようもない怒りを感じる。ネタバレしそうなので読んでない方はここまでで。特にこの本と思って選んだわけではない。図書館でこの前の「累犯障害者」と並んでいたので2冊とも借りただけなのだが、この2冊を読んで前の本に感じた漠然とした疑問も解けたような気がする。ただしこちらは後半になると法律の条文や判決文や精神医学の定義とかが書かれていて半分も意味がわからない感じなのだが。刑法39条によって「心神喪失」と判断されたものは責任能力がなかったとして人を何人殺しても罪に問われることはない。精神障害者として措置入院され、犯行時は心神喪失でも措置入院後正常であると判断されると1年もたたないうちに社会に復帰する。同様にどんなに凶悪な殺人者も「心神耗弱状態」であったと精神鑑定されれば量刑は軽減される。犯罪者の中にはこの刑法39条を悪用し何度も同じような犯罪を犯すものもいる。また罪を逃れるために心神喪失を演出するものもいる。この精神鑑定は果たして意味のあることなのかという作者の思い。人が殺されたという事には変りはないのだ。私が「累犯障害者」を読みすっきりしないものを感じたのは、知的障害者であれ聾者であれ殺人は殺人に変わりなく被害者の命は失われ、被害者には家族も友人もいるし、その怒りや悲しみの矛先をどこにもって行けばいいのかという思いだ。福祉が充実していないから善悪の判断基準が曖昧な、また独特な障害者は犯罪を犯してしまう。優秀な弁護士と彼らに少しでも理解できる裁判が行われていれば量刑は他の健常者の犯罪者と同じように公正なものとなるのではないか。刑を終えても受け皿のない彼らはまた同じような犯罪やもっと重大な犯罪を犯し刑務所に戻ってくる。彼らを救済する福祉が充実していれば犯行は起きないのではないか。罪を理解することのできない彼らに更正や矯正は無理なのだから福祉を充実させて彼らを収容する場所を作らなければならない。これが山本譲司氏の言いたいことだったように思う。何か「福祉」という錦の御旗で体よく隔離してしまえとも取れる気がする。この本のなかで様々な事件が「心神喪失」「心神耗弱」という理由で無罪になったり量刑が軽減された事例が出てくるが、私も覚えている事件も何件かあった。仕事に忠実で優秀な弁護士ならば被告人を無罪や量刑が軽くなるよう被告人の利益になるように努力しなければならない。そうなれば精神鑑定で刑法39条を適用されるように努力するのは当然のことだろう。たとえ個人的にはどのように被告に対して思っていてもだ。覚醒剤の使用者も飲みすぎの酔っ払いも性的変質者も被害妄想も神経過敏者も、ただ演技しているものも同じ判断基準で同じような判決で病院か刑務所に行く。今精神病院は一番利益が上がらないらしいのか、どんどん病床数を減らしたり閉鎖になっている。面倒な患者は早く退院させたいのではないかと思う。通院になったら無罪放免じゃないか。刑務所で同じ更正プログラムを組んでそれで良いのか。作者の怒りが良くわかる。作者は一貫して重大な罪を犯しながら軽微な罪にしか問われないことに不条理だといっている。それも国民の税金で手厚く保護された刑に意味があるのかと。過激ともいえる。この国の刑法はおかしい。抑制力の乏しい精神障害者が再犯する可能性は高いだろうと思うのは精神鑑定した人も言っているのにそれでも刑法39条は罪を軽減してしまう。作者は自分も犯罪被害者の家族であり、また家族には精神分裂症患者もいるのだからいえるのだといっているが、そこはなんとなく嫌な感じ。まとまりがなくなってきたが、レッサーパンダ帽の男に殺されたのが私の娘なら、どんなに彼の置かれた境遇が不幸なものだったとしても死刑を望むだろうし、幼女に性的反抗をした男が心神喪失から立ち直ってもその隣に娘を座らせることなんて出来ないし、隔離してほしいと望むだろう。戦争で人を殺すとき、それは個人だけではなくその国民全員が心神耗弱状態になっているのだろうな。2007・3・9

Posted byブクログ

2009/10/04

うーん、感想だけなら、恐ろしい事実がここに書いてあるっていうだけでしょうか。 いやはや、隣人がもしかしたらすると、殺人者かもしれません! という日本の裁判の実情を生々しく書かれています。 出来ればちょっとでも認識が広がれば、何らかの運動が拡大するかもしれませんねー。

Posted byブクログ

2009/10/04

 憲法第39条、精神障害、精神鑑定、人権問題等を題材にしている。  人を殺すとすぐ精神鑑定というが、正常な状態で人を殺す人間なんかいないわけだから、必要ないと思うんだけどなー、なんて。

Posted byブクログ