進化しすぎた脳 の商品レビュー
脳科学の一般書で最も有名といっても過言ではない本にも関わらず、なかなか読めていなかったので読んでみました。全体的に色々なジャンルで脳の面白さを研究の紹介も交えて伝えられており、とても楽しめました。 脳が身体の制約を受けて、能力をフル活用できていないというのは興味深かったです。その...
脳科学の一般書で最も有名といっても過言ではない本にも関わらず、なかなか読めていなかったので読んでみました。全体的に色々なジャンルで脳の面白さを研究の紹介も交えて伝えられており、とても楽しめました。 脳が身体の制約を受けて、能力をフル活用できていないというのは興味深かったです。その点でコンピュータに意識が芽生えた場合にも身体の違いから同じような意識ではないという推測も納得感がありました。 環境に適応できない個体が子孫を残せないのが本来の進化の原理なら、現在の医療技術は環境を変化させることで個体を生存させている"逆進化"とも言えるかも知れないというのも考えたことのない発想で面白かったです。 また、視覚情報処理の初期段階での網膜→視床(外側膝状体)→1次視覚野の流れの中で、網膜から上がってくる情報は単純計算で3%ほどしかないというのは、脳での再帰的な活動が占める割合の大きさを示す面白い例えだなと思いました。 終盤の意識や心を科学的に解明できるのかといった内容では話がとっちらかっている印象がありましたが、結論のない話なので仕方がないかなとも思いました。脳は自発発火による活動の影響が大きく、再現性がないため再現性を重視する現代の科学と根本的に合わないのでは?という視点は興味深かったです。ただ、意識や心の話は哲学書の方が定義をきちんとしてから議論をしてくれる気がします。
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第1章まではワクワクしながら。 それ以降は難しかったので、もう少し簡単な本を読んでみてから、読み返そうかな。 池谷さんのテンポ感など含めて、とても良い本。
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池谷裕二先生はコメンテーターのイメージが強いが、物凄く頭が良くて物凄く誠実な方ということが伝わってくる。脳の仕組みを非常に分かり易く解説している。高校生に対して端折ったり誤魔化したりするのではなく、抽象的かつ専門的な話を具体例に落とし込みながら分解し論点整理しながら必要な要素を漏...
池谷裕二先生はコメンテーターのイメージが強いが、物凄く頭が良くて物凄く誠実な方ということが伝わってくる。脳の仕組みを非常に分かり易く解説している。高校生に対して端折ったり誤魔化したりするのではなく、抽象的かつ専門的な話を具体例に落とし込みながら分解し論点整理しながら必要な要素を漏れなく端的に講義している。また講義に対する高校生の理解度や質疑応答が凄い。第3回の講義のときには、確実に私の知識レベルは高校生たちに負けている自信がある。その反応を見ながら池谷先生が説明を変えたり新たな気づきを得たりする様子がわかる。まさに脳内神経の仕組みのような講義。読みやすく、科学的探究心と知識刺激を満たしてくれる一冊だ。
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講義形式で進む内容は、著者の思考にも触れることができ、論理的な展開は痛快だった。題名の「進化しすぎた脳」と表現されている意図は汲み取れず、本の内容と一致しきれていないように感じる。
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仕事の関係で池谷先生の講演を聴いた際に、あぁこんなに楽しく聴いていられたのは初めてだな、本もきっとおもしろいんだろうと思い、手に取った。 この本自体も中高生向けの4回の講義+出版後の大学院生向けの1回の講義をまとめているものであり、まるで出席しているかのような臨場感があった。 化...
仕事の関係で池谷先生の講演を聴いた際に、あぁこんなに楽しく聴いていられたのは初めてだな、本もきっとおもしろいんだろうと思い、手に取った。 この本自体も中高生向けの4回の講義+出版後の大学院生向けの1回の講義をまとめているものであり、まるで出席しているかのような臨場感があった。 化学に弱いのでイオンの話はきつかったのはさておき、脳という壮大な営みのテーマを楽しく学ぶことができたと思う。
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意識も脳という物理的モジュールが生み出す現象に過ぎないと思ったので、私の悲しみや苦しみもいずれ解体して単純な反応の関数と化することに希望が持てた
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テンポのよさ、潔さ、自信と勢いをもとに脳科学講義を行った本。 記憶が曖昧だから別々の記憶がポンと繋がったりする。 【関連書籍】 シンプルで合理的な人生設計、科学は人格を変えられるか、失敗の科学
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中高生との対談でわかりやすくはなってるものの それでも難解でした。 脳をうまく働かすためにはどうすればいいか などの改善策やメソッド等は残念ながら記載ありませんでした。
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著者30代での中高生への講義の書籍化で、内容も若々しく溌剌としている。 ブルーバックス初版2007年、2023/3は40刷。帯には朝日、毎日、日経新聞の書評があり、朝日書評は「何度も感嘆の声を上げた。これほど専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい」と絶賛。20万部突破。 ...
著者30代での中高生への講義の書籍化で、内容も若々しく溌剌としている。 ブルーバックス初版2007年、2023/3は40刷。帯には朝日、毎日、日経新聞の書評があり、朝日書評は「何度も感嘆の声を上げた。これほど専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい」と絶賛。20万部突破。 内容は盛り沢山。科学的な神経細胞やシナプスの話から、・意識や感情とは、・「見る」と脳の解釈、・言葉と抽象思考、・記憶のあいまいさの理由、等々、話はどんどん広がり、理解はしきれないが大脳生理学の先端とその広がりに触れた気がする。 読み終えて、人間の脳って、意識って、とても不思議と改めて感じた。
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講談社 ブルーバックス 池谷裕二 進化しすぎた脳 中高生に行った大脳生理学について講義録。脳と体、脳と心、意識の条件など 大脳生理学の立場から説明 脳と体の関係性は意外。環境に適応する以上に進化してしまった脳と 脳をコントロールする体という意外な関係性 驚いたのは...
講談社 ブルーバックス 池谷裕二 進化しすぎた脳 中高生に行った大脳生理学について講義録。脳と体、脳と心、意識の条件など 大脳生理学の立場から説明 脳と体の関係性は意外。環境に適応する以上に進化してしまった脳と 脳をコントロールする体という意外な関係性 驚いたのは、人差し指と唇が異常に大きく描かれた 人間のホムンクルス(大脳との関係性から感覚器として重要なものを大きく示す図)。人差し指と唇の重要性を意識したことがなかった 科学者の倫理観を超えた脳解明の野心に執念を感じる。戦争により脳を欠損した兵士の症状研究やネズミにラジコンを埋め込んで自由自在に操る実験から 脳科学を進歩させている 大脳生理学の立場から、意識の条件(表現の選択、短期記憶、可塑性)を提示し、動物の行動や植物人間の反応から 意識の有無を検証している 心とは *脳が作った精神作用 *人に心がある理由は言葉があるため *人に心がある目的は汎化(共通のルールを見つけ出す、一般化する)するため 人は 心を活用して、抽象的な思考をして〜共通ルールを抽出して〜環境に適応していく 「世界があって、それを見るために目を発達させたのではなく、目ができたから世界が世界として初めて意味を持った」
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