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響きと怒り(上) の商品レビュー

4.2

14件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2025/03/06

米国南部の旧家を舞台に兄妹弟の愛と葛藤を描く。小説の可能性を追い求む著者が本作で試みたのは登場人物の意識の流れを文章に記すと云う革新的表現方法。現在と過去が小刻みに交錯するゆえ巻末資料参照し注意深く読む必要有り コンプソン家の本質をよく見抜いていたのが知的障害を持つ三男ベンジャ...

米国南部の旧家を舞台に兄妹弟の愛と葛藤を描く。小説の可能性を追い求む著者が本作で試みたのは登場人物の意識の流れを文章に記すと云う革新的表現方法。現在と過去が小刻みに交錯するゆえ巻末資料参照し注意深く読む必要有り コンプソン家の本質をよく見抜いていたのが知的障害を持つ三男ベンジャミンで、屋敷内で最も地に足のついていたのが黒人家政婦ディルシーだったとするならば、それは或る意味皮肉なようにも思える 貧乏白人から広大な敷地を所有する領主へと成り上がった男サトペンの生涯を辿る「アブサロム、アブサロム!」では「響きと怒り」の父ジェイソンと長男クェンティン、彼のルームメイト・シュリーヴが語り部となって登場。従ってこの二作は双生児に近い関係と考えられる

Posted byブクログ

2024/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初見だと登場人物も時系列もわけがわからなすぎるので、 先に解説を読んで、解説サイトも読んでから読み始めた。 この解説がわかりやすかった。 https://note.com/gakio_literature/n/n667093809803 一番好きなのは第一章。 ベンジーかわいい。 長男クェンティンが語り手の第二章は、全部読み終わった今思い返すと詩的な感じだったなぁと思う。 クェンティンは「コンプソン家の名に恥じぬような立派な生き方をせねば」って気持ちが強すぎたのかなと思う。 銀時計壊しちゃうところが病みかわいい。

Posted byブクログ

2024/01/26

かつての若い時期の読書と異なり、詳細に「フォークナーの西暦、職歴、功績と作品群」を調べたうえで読み始めた。 決して読み易いとは言えない。 上下に分かれた1っ冊目は1章 白痴の次男ベンジャミンの妄想、内省、呟きと今でいう知的障害の33歳男性の等身大の姿が浮き上がる。 驚くのはわずか...

かつての若い時期の読書と異なり、詳細に「フォークナーの西暦、職歴、功績と作品群」を調べたうえで読み始めた。 決して読み易いとは言えない。 上下に分かれた1っ冊目は1章 白痴の次男ベンジャミンの妄想、内省、呟きと今でいう知的障害の33歳男性の等身大の姿が浮き上がる。 驚くのはわずか3日の出来事がこれほどに膨大な文章で表現されており、正常の精神でないことを前提としても10数年にわたるコンプソン一家の光と影がきっちり見えてくる事。 2章は長男クェンティンのモノローグ的な語り。 後に自死するとあって読んだ事も重なり、非常に昏く、鬱々とした自己中心の思考法で進んでいる。特に、精神的近親相姦?とでもいえそうなキャディとの兄妹の繋がりは狂気を感じる。 優秀なのだろうが病んでる狂気とでもいうのかハーヴァードと一族の事で自己完結している。 ギネスばりに長いセンテンス一種の詩劇と捉えて読むとちょっと嵌まる。 歴史が与えてくれたフォークナーの遺産を読める恍惚すら覚えた・・下巻へ

Posted byブクログ

2023/05/20

津村のよみなおし世界文学の1冊。文体がそれぞれバラバラである。最初の幼いころは全て会話体であった。次の大学生の時は、一部が太字で一部が詩で句読点がない訳であった。  事件が起きない身近な出来事を描写しているような小説である。

Posted byブクログ

2023/02/23

半分くらいまでは、なんだか理解に苦しんだが、ひたすら読み進めてみた。後半に差し掛かってからは、引き込まれた。スイカズラの香が漂ようかのよう

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2018/07/20

フォークナーの代表作であり、20世紀を代表する小説の一つ。ジョイスの影響を色濃く受けた「意識の流れ」叙述だが、読み難さは「ユリシーズ」ほどではない。 確かに自閉症のベンジャミンが一人称ナレーターをつとめる第一章は一読目では理解し難い個所が多いが、ジェイソンが語る第三章、三人称ナ...

フォークナーの代表作であり、20世紀を代表する小説の一つ。ジョイスの影響を色濃く受けた「意識の流れ」叙述だが、読み難さは「ユリシーズ」ほどではない。 確かに自閉症のベンジャミンが一人称ナレーターをつとめる第一章は一読目では理解し難い個所が多いが、ジェイソンが語る第三章、三人称ナレーションの第四章は普通の小説で、バックグランドを理解した上で第一章を読み返せば、さほど難しいところもない。そういう意味では自殺直前のクエンティンが語る第二章が一番難解だが、いずれの章も個々の描写が活き活きとしているため、読み進むのに苦はない。 岩波文庫では、丁寧な訳注に加えて屋敷の間取り図、主要出来事年表、場面転換表まで掲載されていて、ありがたいと言えばありがたいのだが、これはさすがにやり過ぎ。研究書として別冊にするならともかく。

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2015/12/24

何の予備知識もなく読むと最初は戸惑うかもしれない。 思考の流れを文字に表わそうとするとこのようになるのかと驚嘆した。 ある風景を見ている時に頭の中では記憶がフラッシュバックするということはよくあることである。 一度全体を読み、必要であれば解説に目を通し、再読するのがよいかもしれな...

何の予備知識もなく読むと最初は戸惑うかもしれない。 思考の流れを文字に表わそうとするとこのようになるのかと驚嘆した。 ある風景を見ている時に頭の中では記憶がフラッシュバックするということはよくあることである。 一度全体を読み、必要であれば解説に目を通し、再読するのがよいかもしれない。

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2019/05/22

(上下巻まとめての感想です) アメリカ南部ヨクナパートファ州ジェファソンのコンプソン家は、かつては領地を持ち将軍と知事とを出した家柄だが、南北戦争を経て今では家族の屋敷と黒人使用人のみを所有していた。 最後のコンプソン一族となった兄弟たちの意識の流れが記される。 第1章はベンジ...

(上下巻まとめての感想です) アメリカ南部ヨクナパートファ州ジェファソンのコンプソン家は、かつては領地を持ち将軍と知事とを出した家柄だが、南北戦争を経て今では家族の屋敷と黒人使用人のみを所有していた。 最後のコンプソン一族となった兄弟たちの意識の流れが記される。 第1章はベンジーの章。 物語はベンジーが昔は屋敷の一部だった土地がゴルフ場になったのを眺めている場面から始まる。  ”くるくる巻いた花たちのすきまから、柵の向こうでその人たちが打っているのをボクは見えることができた。” どこか不安定な語り口。 読み続けるうちにどうやら彼は知的障害だと分かる。30歳の大柄な男だが、涎を垂らして叫ぶことしかできないらしい。 そのため第1章に流れているのは、ベンジーの考えたことをのものではなく、意識を言葉に記したものと言うことか。 ベンジーの意識はコロコロ変わる。現在の川をみて、子供の頃の川遊びを思いだすという感じ。 ベンジーが好きなものは、今ではゴルフ場になった土地と、姉のキャディ。キャディだけは心からベンジーを可愛がり面倒を見ていた。 匂いに敏感で、頭ではわからなくても匂いの変化で家の状況を感じ取る。 しかし第1章が説明もなしでいきなり知的障害者の意識を綴るとは、フォークナーは読者を待ってはくれない(笑) 私は解説を読みながら進んだので時系列など把握できたのですが、これは初めて状況を理解するのは無理。ベンベンジーの長兄と姪(キャディの娘)が同じ名前の”クエンティン”だなんて分からんでしょう。 余談なのですが、クエンティンって名前は女性にも使えるの??タランティーノしか知らないけど男性名かと思ってた。 第2章はコンプソン家長兄のクエンティンの意識を追う。 クエンティンは知的で繊細と思われるが、彼の意識もあちらこちらへと飛び、過去と今の時を行きつ戻りつ、想像と現実が入り混じる。 どうやらクエンティンは、妹キャディが複数の男たちと付き合い、妊娠し、それを隠して人格のよくない男と結婚することになったことを止めたがったが、なにも変えられないことに絶望し、学費期限の終わる学年で自殺を考えてきたらしい。 この章は自殺の日を迎えたクエンティンの錯乱しつつも的確に死の準備を行う精神を追っている。 妄想の中でクエンティンは父にキャディとの近親相姦を告白するが、あっさりといなされる。 私は「アブサロムアブサロム」でクエンティンが入水自殺してしまうことを知っていたのですが、でもこの2章を初めて読んだら「自殺当日の錯乱した精神状態」なんて読み取れないだろう。 クエンティンは「アブサロムアブサロム」でもオールドミスの話を聞き、考え、そしてどうにも変えられないという役回りでしたが、思慮深く神経が細やかな人格の持ち主のようですね。 他にもクエンティンの出てくる小説はあるようなので、他の彼を追ってみたいと思わせる人物像でした。 以上が上巻で、以下下巻。 第3章は次男のジェイソンの語り。彼は一家の中では一番現実的で、周りの人間に容赦ない。 まあ父はアル中、母は病床に就き人生をウジウジ嘆き過去をグダグダ振り返り現状にはグチグチ文句を言うだけ、学費を出してもらった兄は自殺、結婚式費用を出してもらった姉は淫行で家庭から縁を切られ、姉の不貞の結果である姪(キャディの兄と同じ名前の”クエンティン”なので第1章はややこしい)を引き取り、弟は重度の精神障害者…となったら現実的にならざるを得ないか。 ジェイソンの章はかなり分かり易い。彼が誰を嫌いか、誰の金をどのようにちょろまかしているか、かなり直接的に語られる。 第4章は俯瞰目線。ジェイソンの語りから2日後に起きた事件を通して、コンプソン家の決定的な終焉を仄めかして終わる。 巻末にはかなり丁寧な解説と、フォークナーが15年後に書いたコンプソン家の始まりから終わりまでが書かれている。 この小説はどう読むべきだったか。 私は事前に粗筋を呼んでいたり、巻末の解説を読みながらだったので、最初からベンジーは知的障害者だとかクエンティン自殺当日の記とか分かって読んだのですが、 全く先入観がなくそういうものを読み取って行き、そして分かった上で再読するのが本来の愉しみ方なのか。 語り手たちの意識は脈絡もなく飛び続けるが、小説の文体としてはかなり読みやすいのでそれはそれで驚く。時系列は飛び、同じ名前の人物たちが説明なく出てくる、妄想と現実とが入り乱れるのに入り込み易いなんて文体が存在するとは。

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2015/06/02

「アブサロム、アブサロム!」のクウェンティン君に惹かれ手に取ったものの……わーお…… にしてもフォークナーやっぱすげぇ。アブサロムで体験した高い壁、不動の巨岩をこの作品でもびんびん感じた。五感フル稼働してやっと上下読了。シャンディ然り、灯台へ然り、この種の「読みにくさ」とはイ...

「アブサロム、アブサロム!」のクウェンティン君に惹かれ手に取ったものの……わーお…… にしてもフォークナーやっぱすげぇ。アブサロムで体験した高い壁、不動の巨岩をこの作品でもびんびん感じた。五感フル稼働してやっと上下読了。シャンディ然り、灯台へ然り、この種の「読みにくさ」とはイコール「『心理的肉薄』に対して抱く軽い目眩」なのではないだろうか?

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2014/02/02

 これは大学の講義で勧められ。  まだ上巻しか読んでないが、本の描写のされ方故  全然意味がわかっていない。  現在下巻を読んでいる。物語に深みが出てくることを願う。  ただ、そうだな。上巻の、クエンティンの過ごした日々の描写は、好きだな。  色んな小さな描写が、「読み終...

 これは大学の講義で勧められ。  まだ上巻しか読んでないが、本の描写のされ方故  全然意味がわかっていない。  現在下巻を読んでいる。物語に深みが出てくることを願う。  ただ、そうだな。上巻の、クエンティンの過ごした日々の描写は、好きだな。  色んな小さな描写が、「読み終わること」によって徐々に浮き彫りになってくる感じが、面白い。 1月30日。 下巻読了なり。下巻は読みやすかった。 家に暗い影を落とし、少しずつ一家の歯車を狂わせていったそもそもの原因など、求めるべきではないのかもしれない。 うちには、老いの進んだ祖父がいる。 孫娘の私のことを、既に嫁いだ娘だと思い込み、 「何でお前は母さんの夕飯の支度を手伝わないんだ」 「何で結婚もせずに家にいるんだ」 (残業で遅くなると)「女がそんな時間まで働くことあるか。どこほっつき歩いてたんだ」 と、しばしば戦前的価値観で頭ごなしに怒られることがある。 うまくいなせるときは、我慢できる。 でも、どうしようもなく耐えられなくなることが、たまにある。 そんなとき、一人部屋にこもり、やり場のない怒りを(なんせ向こうは分かっていない)、声にならないうめきをあげ泣く自分の無様な姿は 「響きと怒り」に似たものが、あるのかも知れない、と思う。 やり場のない鬱屈を抱え、人は生きていく。 自分とは違う鬱屈を抱えているがゆえに、見ようによってはまるで屈託のないように見える他人を羨みながら。 不幸自慢なんて、キリがない。そう、分かっていながらも 出口の見えない自分の環境に、時々息切れしそうになる。 お前はいいよな、くらい言いたくなる気持ちが、 私には痛いほど分かる。 分かりたくなんてないんだよ。ほんとは。 自分ばっかりなんて、そんなことあるわけないって、分かってるんだもん。 自分の矮小さと残酷さと、行き場のない閉塞感を、 思い知らされるこの現実。 私には、この困難の先に何が残る? 響きと怒りをひた隠し、私は今日も生きる。

Posted byブクログ