希望格差社会 の商品レビュー
日本の現代の問題を単なる経済格差ではなく、希望格差=努力が報われる社会かどうかで論じた視点は素晴らしい。しかし、取り上げている話題への分析が浅薄で、なにより今後の提言が弱いのが残念。 ・人々が中流とランクづけるのは、格差が量的なものだと思われていること、そして、成長によって追い...
日本の現代の問題を単なる経済格差ではなく、希望格差=努力が報われる社会かどうかで論じた視点は素晴らしい。しかし、取り上げている話題への分析が浅薄で、なにより今後の提言が弱いのが残念。 ・人々が中流とランクづけるのは、格差が量的なものだと思われていること、そして、成長によって追いつくことが可能だと希望がもてたことに依存する。 ・教育は、何より「階層上昇(もしくは維持)の手段」であり、社会にとっては「職業配分の道具」なのである。この二つが危機に瀕していることが、現在の教育問題の根幹にある。しかし、これは主流の教育学者からは嫌われる考え方。 ・苅谷:学力が低い生徒ほど現状肯定感が強い。→過大な期待を持つ以外に現状をやり過ごす手立てがない。 ・ランドルフ・ネッセ:希望という感情は、努力が報われるという見通しがあるときに生じ、絶望は、努力してもしなくても同じとしか思えないときに生じる。 ・中国が社会主義という看板を捨てられないのは、革命によって前近代的宗教を破壊した後に、社会主義を放棄すれば、貧しい人々に救いがなくなってしまうことに指導者たちが気付いているからなのだ。
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(2007/4/19) これは,おもしろい! 希望格差社会ということばは,家族社会学の研究者である筆者の手によるものですが, 筆者は,,現在存在する格差は,所得の格差による直接的なものというよりかは,未来に対する主観的な希望における格差だと主張する. 豊富な統計資料を基に...
(2007/4/19) これは,おもしろい! 希望格差社会ということばは,家族社会学の研究者である筆者の手によるものですが, 筆者は,,現在存在する格差は,所得の格差による直接的なものというよりかは,未来に対する主観的な希望における格差だと主張する. 豊富な統計資料を基に,かといって,データだけしかみていないわけではなく,現代の社会の持つ定性的な構造変化にも言及しつつ読み解いています. ちなみに「パラサイト・シングル」って言葉を作ったのもこの著者 実質ゼロ成長に達した先進国はやはり格差を内部に抱えるしかないんでしょうか? モータリゼーション,ITなどで技術主導な生活変化で居住区の郊外化も進む中,社会のダイナミクスはどのような未来を構成していくのだろうか. K教授(所属ラボのボス) 曰く 「砂漠化がすすんどる.」 一昨日もテレビ付けてたら,「円安の時代で輸出産業が好調だが,長期的には内需を拡大させる方向にシフトしなければいけない」 ということをNHKの論客が仰っていた. 内需を拡大するというのは消費を増やすということだろうか? 無駄遣いをせずエコで格差も生まれず暮らしが成長方向で安定するような社会ってつくれるんですかね?どうなんですかね? 消費を増やす事が環境の消耗に繋がるのでは困ります. マクロ経済やその他諸々絡むので,学の足りない私には分かりません.統合的に理解できる日がいつか来ればいいなと思います.
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[ 内容 ] フリーター、ニート、使い捨ての労働者たち―。 職業・家庭・教育のすべてが不安定化しているリスク社会日本で、勝ち組と負け組の格差は救いようなく拡大し、「努力したところで報われない」と感じた人々から希望が消滅していく。 将来に希望が持てる人と将来に絶望している人が分裂す...
[ 内容 ] フリーター、ニート、使い捨ての労働者たち―。 職業・家庭・教育のすべてが不安定化しているリスク社会日本で、勝ち組と負け組の格差は救いようなく拡大し、「努力したところで報われない」と感じた人々から希望が消滅していく。 将来に希望が持てる人と将来に絶望している人が分裂する「希望格差社会」を克明に描き出し、「格差社会」論の火付け役となった話題書、待望の文庫化。 [ 目次 ] 1 不安定化する社会の中で 2 リスク化する日本社会―現代のリスクの特徴 3 二極化する日本社会―引き裂かれる社会 4 戦後安定社会の構造―安心社会の形成と条件 5 職業の不安定化―ニューエコノミーのもたらすもの 6 家族の不安定化―ライフコースが予測不可能となる 7 教育の不安定化―パイプラインの機能不全 8 希望の喪失―リスクからの逃走 9 いま何ができるのか、すべきなのか [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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この本を読めた高校生とそうでない生徒では人生変わるかもしれない。大学生は(特に学力の低い学生が)出席点を好むものだが、『希望』というキーワードでよく理解できた
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日本社会が、将来の安定を期待することが難しいリスク化の時代を迎え、従来の教育と職業のシステムがさまざまなところで機能不全を起こしていることを明らかにした本です。 フリーターのように将来に希望を持てない人びとや、オーバードクターのようにそれまでの投資を無駄にすることを受け入れられ...
日本社会が、将来の安定を期待することが難しいリスク化の時代を迎え、従来の教育と職業のシステムがさまざまなところで機能不全を起こしていることを明らかにした本です。 フリーターのように将来に希望を持てない人びとや、オーバードクターのようにそれまでの投資を無駄にすることを受け入れられない人びとが、みずからの心理的な安定のために夢にしがみついているという指摘も、非常に鋭いと感じました。 ただ、経済的なセーフティ・ネットだけではなく、心理的なセーフティ・ネットの整備が必要だという主張はまだ抽象的で、「希望格差」という事態にどのように対処していくべきなのかという道筋はそれほど明確にはされていないのではないかという印象も持ちました。
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今まで安全度と思われていた日常生活が、リスクを伴ったものになる傾向)というリスク化と戦後縮小に向かっていた様々な格差が拡大に向かうという二極化がなぜ近代社会において起きたのか述べている。 希望格差という、将来に希望がもてる人、もてない人を克明に書いている。 (ゆうじん)
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少し前に話題になった本である。今さらと言われるかもしれないが、自分自身の中に切実な問題意識が出てきたことを機に手にとった。 読んでいて、暗澹たる気持ちにならなかったといえば嘘になる。実際に自分の身の回りで見聞きする様々なことが、この本に書かれている分析にピタリと当てはまっていく...
少し前に話題になった本である。今さらと言われるかもしれないが、自分自身の中に切実な問題意識が出てきたことを機に手にとった。 読んでいて、暗澹たる気持ちにならなかったといえば嘘になる。実際に自分の身の回りで見聞きする様々なことが、この本に書かれている分析にピタリと当てはまっていく。そういう「当てはまっていく」という感覚は、本来気持ちのいいものであっていいものなのだけど、この本の場合は、むしろ背筋が寒くなるという感じがする。 この本が世に出てから随分経っている。おそらく、ここに描かれていることは現実のほぼ正しい分析であることははっきりしているように思える。では、その警鐘に対して、何らかの対策が取られているだろうか。例えば、というものがなかなか思い浮かんでこない。 僕自身、若者の未来についてある程度関与するべき仕事をしている。この本の分析に従うならば、「パイプラインからの水漏れを防ぐため、全力を尽くす」のが職業人として今できることだろうし、現に全力を尽くしている自負はある。しかし、問題が構造的なものであるとすれば、やはり心のどこかに無力感が忍び込んでくるのを感じざるを得ない。 確実に目の前に存在する「希望を持ち得ない若者」に対して、僕にできることは何なのか。目をそらさず考え続けるしかないのだろう。なによりも、自分自身が希望を持ち続けるためにも、そうやって考え続けなければならない。考え続ける努力は報われると、葉を食いしばって希望を持たなければならないのだと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
データがたくさん載っていて勉強になりました。フリーター増加の要因を教育に求めるのではなく、社会状況の正確な把握が対応の道になるのかなと思いました。リスク化とか二極化は避けられないけれど、未来に対して暗い気持ちになるのではなく、現実を知ってどう捉えるか、自分はどうしたいのかが大切。
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http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480423085/
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2013/08/27読了。「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親、社会学者の山田昌広氏の著作。『下流思考』(内田樹)で引用されていて、興味をもったので読んでみました。 「希望格差」とは、希望を持てる層と持てない層の二極化が進んでいるということ。経済的・量的な差だけでなく、内...
2013/08/27読了。「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親、社会学者の山田昌広氏の著作。『下流思考』(内田樹)で引用されていて、興味をもったので読んでみました。 「希望格差」とは、希望を持てる層と持てない層の二極化が進んでいるということ。経済的・量的な差だけでなく、内面的・質的な格差に着目している点がポイントです。 高度成長期の終身雇用、サラリーマン・主婦型家庭、学校教育パイプライン(この位の学校にいけばこの位の職業につける)の確立という「オールドエコノミー」に対して、「ニューエコノミー」は、雇用、結婚生活、学校教育→就職のすべてが不安定化。一見うまく波に乗れたと思っても、いつ崩壊するか分からない高リスク社会である、という説明は非常にしっくりきました。 2004年の出版(文庫は2007年)ということは、今から10年近く前に書かれているのですが、いまの時代に読むほうがずっと重く受け止められるのではないでしょうか。 「オールドエコノミー」時代の考え方を引きずって、いつか安定した社会がくるんだと思っていてはダメですね。これから正社員や公務員のイスは減るばかり。その少ないイスに座れないと生活が厳しく、希望をもてないよ、という社会では立ち行かないのです。じゃあどうすればいいの、という点に関してはこの本でもふんわりとしか書かれてなく、これから「ニューエコノミー」世代が背負っていく課題ですね。
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