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アレクサンドリア四重奏(3) の商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2025/09/30

第3巻。ネッシムとナルーズの母、レイラの恋人のマウントオリーブの物語。レイラとの離別。長い時間を経て大使としてエジプトに帰還する。パースウォーデンの上司。 込み入った謀略が語られ、ネッシムとジュスティーヌとの結婚、1巻の主人公ダーリーとジュスティーヌとの恋愛の裏にあったもの。そし...

第3巻。ネッシムとナルーズの母、レイラの恋人のマウントオリーブの物語。レイラとの離別。長い時間を経て大使としてエジプトに帰還する。パースウォーデンの上司。 込み入った謀略が語られ、ネッシムとジュスティーヌとの結婚、1巻の主人公ダーリーとジュスティーヌとの恋愛の裏にあったもの。そしてパースウォーデンの自死とダーリーとメリッサに大金を残した意味も明らかになる。 物語はすっかり様相を変えてしまった。 レイラとの再会後のマウントオリーブのアレキサンドリアの夜は、やはり彼がヨーロッパの人間として表面的なアレキサンドリアしか知らなかったことの幻滅なんだろう。 陰謀は露わになり、登場人物の死で物語は終わる。 大使拝命前に、マウントオリーブがケニルワースと顔を合わせるのを面倒との記述があり、あとでその会合が語られる。こういうチラッと見せておいてという語り口が度々あり、少しイラっとさせられる。 第1巻のカモ猟での事件と第2巻の謝肉祭での事件の時間配列が不明だったが、まあ判ったかな。それにしても変に不親切な小説だと思う。

Posted byブクログ

2018/11/05

前2巻とはすこし趣が変わって国際謀略小説風味になる。新たな事実が明かされ、プロットはますますこみいってくる。 特にイギリス外務省を描いた部分が他よりもリアルで散文調だと思ったら、ダレルは実際に外交官をやっていた時期があった。まさにパースウォーデンだ。 パースウォーデンがメリッ...

前2巻とはすこし趣が変わって国際謀略小説風味になる。新たな事実が明かされ、プロットはますますこみいってくる。 特にイギリス外務省を描いた部分が他よりもリアルで散文調だと思ったら、ダレルは実際に外交官をやっていた時期があった。まさにパースウォーデンだ。 パースウォーデンがメリッサから秘密を聞かされるところが印象深い。それまで神秘的ですらあったメリッサが急に下卑て見えてくる。夢から醒めたような感じが出ている。街灯に照らされて現れては隠れる二人の影にマスキリンを見出す。次の章に入ると、もうマウントオリーヴがパースウォーデンの死を知らされるシーン。鮮やかな場面転換。

Posted byブクログ

2016/09/26

前の巻において、これまでに出会ったことのない構成に驚かされたのだが、まさか本巻で更にこのような展開になるとか思いもしなかった。事実には様々な見方がある、ということをフィクションの世界で再現しているかのようだ。最終巻でもまた驚かされることになるのだろうか。

Posted byブクログ

2013/03/07

四重奏も、いよいよ第Ⅲ部。文体や視点の移動は第Ⅱ部からそのまま引き継いでいる。ただし、時代は逆上り、狂言回し役を務める英国人外交官マウントオリーブがアラビア語に磨きをかける目的で、アレクサンドリア近郊にあるホスナニ家の領地を訪れるところから始まる。 ホスナニ家には、病人の当主と...

四重奏も、いよいよ第Ⅲ部。文体や視点の移動は第Ⅱ部からそのまま引き継いでいる。ただし、時代は逆上り、狂言回し役を務める英国人外交官マウントオリーブがアラビア語に磨きをかける目的で、アレクサンドリア近郊にあるホスナニ家の領地を訪れるところから始まる。 ホスナニ家には、病人の当主と年の離れた妻レイラ、それにオックスフォード在学中のネッシムとその弟ナルーズの兄弟が暮らしていた。若い頃その美貌からアレクサンドリア社交界で「黒い燕」と呼ばれたレイラは、カイロで勉学を積み、ヨーロッパで医者になる希望を持っていたが、当時のエジプト人社会の慣行に従い、親の決めた結婚を受け容れざるを得なかった。 かつて憧れたヨーロッパからの来訪者は、レイラの心に火をつけ、二人は道ならぬ恋に墜ちる。短い滞在期間が過ぎ、別れた後も二人は長い手紙を交換する仲となる。若い外交官は、レイラからの手紙でヨーロッパの芸術や知性に目を開かれ、教育される。エジプトを離れられないレイラは、外交官の目を通してヨーロッパ事情に精通するという理想的な関係が結ばれたのだ。 第Ⅲ部は、外交官マウントオリーブを核として描かれるため、その舞台もアレクサンドリアを遠く離れ、ロシア、ベルリン、ロンドンと転々とする。物語も必然的に政治的な色彩が濃くなる。第Ⅰ部では、作家として登場したパースウォーデンさえ、ここでは有能な外交官として、国際的な陰謀を調査する役目を負わされている。あれほど錯綜した恋愛関係の縺れを解きほぐそうとしていた『アレクサンドリア四重奏』が、ここにきてがらっとその印象を変えてみせる。男女間の恋愛感情は物語の背景に追いやられ、表舞台には国際的な緊張関係を孕んだ政治的陰謀が登場してくるのだ。 パースウォーデンがマウントオリーブに送った手紙で、自殺の真相がついに明らかになるが、驚いたことに第Ⅱ部で、ジュスティーヌが本当に愛していたのはパースウォーデンで、ダーリー(「ぼく」の名前がここではじめて明かされる)は、ネッシムの嫉妬の目から彼を守るための囮だったというバルタザールの「行間解説」もまた、一つの解釈でしかなかったことを読者は知らされる。それどころか、ネッシムとジュスティーヌの夫婦は、ここでは二人の間に何の秘密もない共犯者として絶妙のコンビネーションを見せて動き回るのである。 男女間の恋愛も、男同士の友情も、親子兄弟間の愛情もすべてを呑み込んでしまうのが、政治的信条というものなのだろうか。かつての統治国イギリスと被統治国エジプトの持つ微妙な力関係、イスラム化したエジプトの中にあって、キリスト教世界との繋がりを持つコプト人社会の複雑な位置、それにパレスチナ問題までが絡んできて事態は複雑な様相を呈する。 時間は人を変える。ナイトの称号を授かり、エジプト大使して颯爽と着任したマウントオリーブだったが、新興実業家ネッシムの精力的な動きが陰謀の疑惑を生み、ともに友人であるパースウォーデンとマウントオリーブは、窮地に陥る。最後までレイラの力を頼みにするマウントオリーブだが、かつての恋人は天然痘による面貌の崩壊以上に人格面において変貌を遂げていた。トルコ帽と黒眼鏡で変装し、アレクサンドリアのアラブ人街を蹣跚と歩く失意のマウントオリーブの姿は哀切極まりない。 自殺するパースウォーデンはもとより、最愛の弟を死なせてしまうネッシム、あれほど愛したエジプトとともにレイラの思い出も喪ってしまうマウントオリーブと、人間の愛情など一顧だにしようとしない非情な国際政治に翻弄される男たちの姿を描いた第Ⅲ部は挫折と徒労の色が濃く、読後を遅う喪失感は救いようがない。第Ⅳ部においてダレルは、どんな結末を用意しているのだろうか。

Posted byブクログ