新美南吉童話集 の商品レビュー
2020.4 温かくて悲しくて清いお話。新美南吉さんの心そのものが出ているんだろうな。読んだ後はなにか静かだけど強いものが広がるような。幼年童話はシンプルな短いお話ながらかわいらしくてほのぼのしてて。春みたい。
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往来堂書店「D坂文庫2014冬」から。 惹句では「子どもから大人まで愉しめる全20話」となっているが、国語の教科書に採用された『ごん狐』など主に前半が子ども向け、後半が大人向けという印象だ。主人公に据えられているのは動物、少年、大人と様々だが、少年の成長を取り上げた『久助君の話』...
往来堂書店「D坂文庫2014冬」から。 惹句では「子どもから大人まで愉しめる全20話」となっているが、国語の教科書に採用された『ごん狐』など主に前半が子ども向け、後半が大人向けという印象だ。主人公に据えられているのは動物、少年、大人と様々だが、少年の成長を取り上げた『久助君の話』や『疣』がワタシにはもっとも響いた。成長の過程の中でちょっぴり苦い思いをしながらもじゅわっと胸にしみるようなお話は、ワタシ達大人の少年に対する眼差しをあたたかくやわらかいものにする。そして、この童話集を読み終えたとき、ワタシ達大人の気持ちもあたたかくやわらかくなっていることに気づく。
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「ごん狐」のようにラストがもの悲しいお話、「手袋を買いに」のような心がほっこりするようなお話と、なんとなく2パターンに分けられる感じの1冊だったな・・・。 「幼年童話」の短編たちもそんな感じ・・・これは小さいときに読みたかったなあ。
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目次:ごん狐、手袋を買いに、狐、和太郎さんと牛、牛をつないだ椿の木、幼年童話、小さい太郎の悲しみ、久助君の話、疣、花をうめる、おじいさんのランプ、解説 悲しみに耐える力……谷悦子、エッセイ 思い邪無し……谷川俊太郎
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「手袋を買いに」は、可愛い子ぎつねの、初めてのおつかいの話。 母ぎつねは、友達がこうむった災難から、人間を恐れている。 「ごん狐」は、悲しい感違いとすれ違い。 私は小学生のとき、感想画を書いた。 「おじいさんのランプ」は、新しいものにケチを付けたがる年寄りへの反発から共感し、やが...
「手袋を買いに」は、可愛い子ぎつねの、初めてのおつかいの話。 母ぎつねは、友達がこうむった災難から、人間を恐れている。 「ごん狐」は、悲しい感違いとすれ違い。 私は小学生のとき、感想画を書いた。 「おじいさんのランプ」は、新しいものにケチを付けたがる年寄りへの反発から共感し、やがて取り残されていく者の哀しみを知るが、刻々と変わっていく時代をしなやかに生き抜くたくましさで明るく読み終える、大好きな話だった。 他は、初めて読む作品だったが、大人が主人公のものも含め、説教くささは無いにもかかわらず、何か人生の深いところを語っている気がした。 「こぞうさんのおきょう」は、かわいくて微笑ましい。 この話に出てくる大人は『人間はいいもの』と思えるのである。 だから、こぞうさんも、うさぎにおまんじゅうをわけてあげるのをわすれないのだ。
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いわゆる童話なんですが、大人がふつうに読めてしまうのは、まずその、著者の感性の清いところにあります。子ども時分の、まだ大人のように理性の厚い鎧で身が守られていない瑞々しい、感じやすいこころので感じられる、ここのうちの変容や生成されるウソじゃない感情は、簡単な言葉で表現されています...
いわゆる童話なんですが、大人がふつうに読めてしまうのは、まずその、著者の感性の清いところにあります。子ども時分の、まだ大人のように理性の厚い鎧で身が守られていない瑞々しい、感じやすいこころので感じられる、ここのうちの変容や生成されるウソじゃない感情は、簡単な言葉で表現されていますが、ほとんどそういったこころのあり様とブレがないように感じられました。 そして、次に、作品の根底にある新美南吉の思想が深かったことにあります。悲しみといったものをとくによく表現しています、それも、物悲しいというか、うら寂しいというか、そういったものまでを含む、幾種類もの悲しみをいろいろな作品で一つずつ(二つ以上ある作品もあったかも)扱っている。人は、孤独を通してそこから自己犠牲と報いを求めない愛の築設につとめなければならない、というような南吉の思想があって、そこには確信があったでしょう、だからこそ、しかりと子どものこころを導くような、そして大人の心にも修正を欲する気持ちをおこさせうような効果があるのだと思います。
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昔は「狐」みたいな作品は嫌いだったんだけど(「だから何なんだ!」とか思って。)、今年取って読むと、ぐっとくる。 「小さい太郎の悲しみ」「疣」「久助くんの話」なども、そういえば子どもの頃、こういうことってあったな、と切なさがよみがえる。 一番感慨深かったのは「和太郎さんと牛」。和太...
昔は「狐」みたいな作品は嫌いだったんだけど(「だから何なんだ!」とか思って。)、今年取って読むと、ぐっとくる。 「小さい太郎の悲しみ」「疣」「久助くんの話」なども、そういえば子どもの頃、こういうことってあったな、と切なさがよみがえる。 一番感慨深かったのは「和太郎さんと牛」。和太郎さんが離婚に至る経緯を、若いころは「心の冷たい嫁だな」としか思わなかった。しかし、今読むと、お嫁さんが和太郎さんのお母さんの傷ついた目を見て気持ち悪く思うのはどうしようもなく、和太郎さんにもその「どうしようもなさ」が分かる。 お嫁さんも悪い人じゃない。和太郎さんもお母さんもいい人だ。それでも一緒にいられないということは、ある。 和太郎さんは子どもが欲しかったが、たとえ優しい人でも、やはり母の眼を気味悪く思うかもと考えると、再婚することができない。 そんな和太郎さんの心を慰めるのが牛であり、酒であることが、大人になると痛いほどよくわかって、ただただ涙。 「おじいさんのランプ」にしても、今まで自分が信じて、糧ともしていたものが否定され、失われる寂しさ、悔しさは大人こそよくわかる。 南吉は今どきの子どもには難しいかも。 ぜひ、大人が読むべき。
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覚悟していたより、読みやすかった。文体が古いと言うこともなく、残酷な描写が多いと言うこともなく。 出て来たのは、互助精神を忘れない素朴な大人たち、もうすぐ"特別"ではなくなる子供たち。 全体的に、最後は前を向いているお話ばかり。そこが良かった。貧しさとか寂しさ...
覚悟していたより、読みやすかった。文体が古いと言うこともなく、残酷な描写が多いと言うこともなく。 出て来たのは、互助精神を忘れない素朴な大人たち、もうすぐ"特別"ではなくなる子供たち。 全体的に、最後は前を向いているお話ばかり。そこが良かった。貧しさとか寂しさとか、そう言うものを受け入れて、それでも自分から前に進まなくちゃいけない。そう言うお話がたくさんでした。
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王道すぎる児童文学! 哀愁漂う成長物語から、心の優しさがにじむ童話まで守備範囲が広いし。巻末の解説読んだら、哀→愛への変化を書きたかった作家だと知り、感激中。
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童話集です。小学校の頃読みましたね。よく比較されるけど、ワタシは宮沢賢治よりはこっちの方が断然好きです。『ごんぎつね』を初めて読んだ時の衝撃は今でも覚えています。もう戻らない、とか。取り返しのつかない、とか。作中の兵十と同じように、しばらく茫然としていました。また、他の作を読むこ...
童話集です。小学校の頃読みましたね。よく比較されるけど、ワタシは宮沢賢治よりはこっちの方が断然好きです。『ごんぎつね』を初めて読んだ時の衝撃は今でも覚えています。もう戻らない、とか。取り返しのつかない、とか。作中の兵十と同じように、しばらく茫然としていました。また、他の作を読むことも出来て大変良かったです。
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