構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌 の商品レビュー
小泉総理が唯一、一内閣一大臣を貫いた大臣、それが竹中平蔵であった。 その彼が大臣時代について綴ったのが本書 不良債権処理問題や道路公団民営化など日本の諸問題を解決した辣腕ぶりには感嘆する。 しかしその彼が、やはり体調管理には気をつけて必ず決まった時間には帰っていたというような...
小泉総理が唯一、一内閣一大臣を貫いた大臣、それが竹中平蔵であった。 その彼が大臣時代について綴ったのが本書 不良債権処理問題や道路公団民営化など日本の諸問題を解決した辣腕ぶりには感嘆する。 しかしその彼が、やはり体調管理には気をつけて必ず決まった時間には帰っていたというようなエピソードがまた興味深い。このあたりに改革とはいえ、人の手でやっているんだなと感じさせてくれる。
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いまや不況の現況とすらいわれている小泉構造改革の旗手の一人、竹中氏の回顧録。しかし、当時彼らがやったことは全て間違いだったかというと、決してそういうわけではないと思う。それなのに、何となくのイメージで悪人扱いされるのは、やりきれないだろう。 まずは何があったのかを正しく知ること。そしてそれが妥当だったかをひとつひとつ検証することが正しい姿勢なのではないかと思うのだが…。 日本の政策決定プロセスの詳細に踏み込んだ貴重な資料だと思う。同時に、表舞台で事を成し遂げるには、どれだけの人が裏方で泥をかぶらなければいけないのかも実感させられた。著者がどれだけ苦労して、どんな手法で改革を断行したかはじっくり読んで頂くとして、ここでは、政治を報道するマスコミのあり方という視点から見ていきたい。 ボクはマスコミの人間ではないから本当のところは知らないが、想像で言えば、政治部記者のニュースソースというのは、特に親交のある、政治家、官僚、評論家などだろう。現在進行中の政治に対して、本音で話してくれるような人間は、記者個人と相当の信頼関係が築かれていると考えるべきだ。そんな関係を、多方面、多思想にわたって構築するのはとても困難だろうと思うので、信頼できるニュースソースは、ごく少数の、ある程度思想の似通った人たちなのではないかと思う。 事実の報道は、特定の思想に偏るべきではない。一つの政治問題を報道するためには、様々な立場・理論の見地から検討し、ソースの政治的利害関係を考慮に入れた上で、情報を公正に評価する必要があると思う。しかし、報道番組を見ている限り、特定の局に出演する評論家は大抵いつも同じであり、とても様々な立場から評価しているとは思えない。 本書では、マスコミの見解の朝令暮改ぶりが冷静に指摘されている。このような問題は、ソースが特定の政治的立場に偏っているから、政治的理由によって起こるに違いない。国民に正しい政策内容が報道されるには、本書で提言されているように、政治的影響を受けない、第三者による政策評価機関の設立が求められると思う。
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小泉改革の中心にいた竹中平蔵が著した構造改革ドキュメンタリー。もともと著者の日誌の寄せ集めをもとにしているため、政策・政治論が体系的に書かれているものではなく、ドキュメンタリーの域を出ないのだが、それだけに現場の熱さ(+本人の思いの熱さ)がすごくよく伝わってくる。 「不良債権処理」「郵政民営化」「経済財政諮問会議」が3大テーマ。前2つがドキュメンタリー要素が強く、最後の1つが政策論的要素が強い。 「官僚の無謬性」「民主党・マスコミの幼稚さ・無能さ」などが際立つ。 小泉時代が懐かしくなる一冊。
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小泉内閣時代、大臣として政策の現場にいた経験を振り返っている。政治家ではなく、民間から入った学者であるから書くことができた貴重な記録。
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僕は竹中平蔵という人も、この人が絶賛する小泉純一郎という人もあまり評価しないけれど、この本を読むとこのコンビが反対勢力に勝ってしまうのもむべなるかなと思う。 僕は、状況を変えるためにはそれなりのシミュレーションはもちろん必要で、そのシミュレーション内容は容易に批判されて再反駁で...
僕は竹中平蔵という人も、この人が絶賛する小泉純一郎という人もあまり評価しないけれど、この本を読むとこのコンビが反対勢力に勝ってしまうのもむべなるかなと思う。 僕は、状況を変えるためにはそれなりのシミュレーションはもちろん必要で、そのシミュレーション内容は容易に批判されて再反駁できないレベルではダメだとは思うが、そのレベルをクリアしているのならあとは実行あるのみ、と思う。そしてまずい点があったら軌道修正すればいい。 しかしこの本に何度も出てくる「官僚の無謬性」。いくら頭が良くたって神さまじゃないんだから間違うこともある。また、その時にはベストな選択であっても、時代や時勢が変わることによって適合しなくなることだってある。だから間違ってたっていいんだ。 日本という国はあまりにもきまじめだ。きまじめはきまじめで、それで一貫していればいいけれど、その一方でいい加減なエスタブリッシュメント(鳩山のような)や陰の勢力というものがあって、一体どっちやねん、と思う。 この本を読むと、小泉・竹中の反対勢力が如何に知的レベルが低く、且つ戦略もなく、且つ日本をよくしようという熱い想いもないことがよくわかる。これでは闘う前から負けている。 日本の政治にはあきれかえり絶望するしかない。 でも逆を言えば、小泉・竹中レベルであれば今のどうしようもない政治家たちを突破できるということでもある。誰か、突破者に出て来て欲しいと思った。
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当時何が行われていたかよりも、 マスコミなどの報道から見えにくいところで 政治としてどのようなことが行われているのかを知る意味で勉強になる。 難解で長いので読むのは大変だが、 政治のことを知りたかったら読んでおきたい1冊だと思う。
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読みました。 政治家の根回しやらなんやらは本当に大変なんだなあと思った。 P227からの竹中氏の批判に対する考察が面白い。 「とにかく反対の立場でモノを言う」 「永遠の真理をかざして批判する」 「批判する相手にレッテルかラベルを貼る」 以上の、3パターンに分類出...
読みました。 政治家の根回しやらなんやらは本当に大変なんだなあと思った。 P227からの竹中氏の批判に対する考察が面白い。 「とにかく反対の立場でモノを言う」 「永遠の真理をかざして批判する」 「批判する相手にレッテルかラベルを貼る」 以上の、3パターンに分類出来るらしい。 批判を受けている間にこのような考察をするのがいかにも竹中氏らしい。 ぜひ竹中氏にはまた政治の表舞台に出てきてもらいたいなあ。。 --気になった言葉-- 私はこのとき、日本政治の歪みの部分をまざまざと見せ付けられた思いがした。選挙で国民の代表として選べれたことを振りかざし、横暴の限りを尽くす歪んだ政治家の姿がそこにあった 郵政民営化はアメリカがどうこう言い出す遥か前から、小泉首相が主張していた持論だった(P220) 極端な金庫番的発想で財政健全化を急げば、経済全体を失速させることになる。その対極にある公共事業拡大派の考えと同じように、危険で無責任な発想だった。(P266) これに関し一部には、人がいやがる消費税引き上げを積極的に主張する立場をまるで英雄視するような論調が見られるようになっている。(P331) 「知識人は政治家を軽蔑し、政治家は知識人を軽蔑する」(P341)
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小泉政権での構造改革を、竹中氏の視点で総括する本。 構造改革の中身である『郵政民営化』、『経済諮問会議』、『不良債権の処理』が なぜ必要だったのかがわかった。 また、実際に政策を実行する中での、多方面からの抵抗にどのように戦っていたのか 詳細な記述があった。竹中氏の『戦略は細部に...
小泉政権での構造改革を、竹中氏の視点で総括する本。 構造改革の中身である『郵政民営化』、『経済諮問会議』、『不良債権の処理』が なぜ必要だったのかがわかった。 また、実際に政策を実行する中での、多方面からの抵抗にどのように戦っていたのか 詳細な記述があった。竹中氏の『戦略は細部に宿る』の考えのもと、準備・実行・ 対策・計画などのプロセスが徹底して行われていたことで改革が実行できたことがわかった。 竹中氏の文章は本当にわかりやすい。 『不良債権の処理』・・・日本の主要銀行が不良債権を抱えていたことで、 (1)民間に貸出しがしづらく、貸し渋り・借り剥がしが行われていた。 (2)不良債権をどのくらい持っているのかが不透明で、銀行の信用が低下していた。 これを解消すべく、銀行が所持している不良債権の測定・公開を行い、自己資本比率が 低下している銀行(りそな銀行・足利銀行)には公的資金の投入を行った。 『郵政民営化』 郵政という巨大事業を民営化させる目的は大きく分けて下記の3点。 (1)郵便貯金の資金を国債購入・財政投融資にあてることを阻止し、民間に資金が 流れることで、市場を活性化する。 (2)補助金・免税を撤廃することで、財政再建に役立てる。 (3)民間企業と同じ条件に置いて競争させ、事業の効率化を促し、経営を改善させる。 ●構造改革のメリットは理解できたが、正しく評価するには、批判的立場からの本も読む必要がある。 ☆きっかけは金融日記と、自分なりに小泉政権を評価したいと思ったため。 読了日:2010/03/23
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竹中平蔵の小泉政権下での出来事と考えを時系列で紹介。小泉元首相を心から尊敬しているさまが伝わる。書いてある事は妥当で、論理的で、この通りになればよいのにと思う事がほとんど。改めて政治家や官僚には失望する。利権ががんじがらめになって、日本のためになるような判断はできないのだろうから...
竹中平蔵の小泉政権下での出来事と考えを時系列で紹介。小泉元首相を心から尊敬しているさまが伝わる。書いてある事は妥当で、論理的で、この通りになればよいのにと思う事がほとんど。改めて政治家や官僚には失望する。利権ががんじがらめになって、日本のためになるような判断はできないのだろうから、政府は必要最小限でいい。小さな政府をやはり自分は求めている。 冒頭の『民主主義社会において、すべての経済政策は民主主義の「政治プロセス」において決定される』という言葉が深かった。
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「日誌」というタイトルになっていますが、竹中氏が付けていたという日々のメモを元にして大臣時代の舞台裏を再構成した著作になっています。 あらためて、竹中氏は確かな伝える技術を持っていると感じさせます。郵政総選挙のときには、世の中郵政民営化だけが問題ではなかろうに、という感想を持...
「日誌」というタイトルになっていますが、竹中氏が付けていたという日々のメモを元にして大臣時代の舞台裏を再構成した著作になっています。 あらためて、竹中氏は確かな伝える技術を持っていると感じさせます。郵政総選挙のときには、世の中郵政民営化だけが問題ではなかろうに、という感想を持って眺めていたのですが、読んでいると民営化に入れるしかないよな、と思わされてしまします。 大手マスコミの不見識に対する批判も辛辣で(ずいぶんとたたかれましたしね)、大物政治家の利益誘導型の行動には軽蔑の色を隠していません。ただ、名指しの批判をしていないのは、竹中さん自身の矜持なのか弁護士のアドバイスなのか。一方、官僚に対しては、無謬性の問題を強く批判するものの、その能力と役割には期待している感がありますね。 小泉政権の5年間という面白い素材を、当事者がうまく料理して見せてくれたという感じがします。全て竹中さんの言うことが正しいのか判断することはできないのですが、その実行力と強い志は全く尊敬に値するところです、というのが感想です。
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