百年の孤独 の商品レビュー
何世代にも繋がった物語の中で、人の誕生から死までが何度となく繰り返されていく。何人もの人生が折り重なって紡がれた物語はユニークで重厚。 それでいて、ラストシーンはそれまでの物語に負けない強い印象を持っており、余韻に浸ってしまった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
物語の中でマコンドは蜃気楼のように人々の記憶から消え去ったが、メタ的には全世界の読者の記憶に残り続け、有名な歴史書の類に勝るほど、孤独から遠く離れた場所にある…と思えば、少し笑えて、慰められる気がする。
Posted by
良いことも悪いことも、次々起きてはいつのまにか過ぎ去ってしまう、人生とはこういうものですね。 一行も無駄のない小説だと思いました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
太陽の熱と砂にまみれたマコンド村のブエンディア一族は、その頭首のホセ・アルカディオがジプシーのメルキアデスに傾倒したことで、奇妙な系譜を紡ぐことになる。アウレリャノ・ブエンディア大佐は戦争の英雄となり、小町娘のレメディオスは妖精となって窓辺から消えて、叔母と甥の近親姦で生まれた豚のしっぽのアウレリャノは餓死の末に蟻に運ばれる… 無茶苦茶な文脈で、非現実的な世界観なのだけど、一族の人々がやけに魅力的で一気に読めてしまう。特に、100歳超えて目が見えなくなっても一家を仕切るパワフルなウルスラおばあちゃんが好き。アマランタのツンデレとはもはや言えない天邪鬼っぷりにあきれたり、一族の子を何度も生むピラル・テルネラの放埓な優しさに驚いたりするうちに百年がたって、最後は嵐の中で一族の形跡がすべて消えてしまう。 アウレリャノ・ブエンディア大佐やアウレリャノ・バビロニア(ひきこもり)が一生懸命解読しようとしてたのが自分の一族の顛末記というのが、ちょっと笑っちゃうオチ。 人間の営みが最後に跡形もなくなって消えてしまうのは、諸行無常やもののあわれに通じるところがある。また超常的な町の出来事は、人と自然の境目が曖昧なアニミズムっぽく、すこし日本の文化に似てて共感。 物語の終わりにマコンドの村は消え去るけど、読者には、眠れなくなる奇病、金の魚細工、自動演奏のオルガン、レメディオスの肖像……等々、ブエンディア一族の姿が強烈に残る。彼らはみんな変人で、主観的には孤独だったかもしれないけど実はお互いに愛し愛されていたと思うし、同じ名前の繰り返しに何度も家系図を見返しながらそれにつきあった読者も、まあ彼らを愛さずにはいられない。だから、百年の「孤独」というには騒がしく、どうにも愛に溢れた小説に感じた。とはいえ、愛と孤独は表裏一体だから、結局同じことかも。
Posted by
ブエンディア一族の百年に及ぶ一大サーガ。 なぜゆえこの一族の血はこうも破滅的なのか?ただ一族の血という呪縛からは逃れられないという宿命をただ目撃するだけである。 ひとりひとりのエピソードが壮絶で悲惨なのだけど、あまり扇情的には描かれておらず、淡々と事実だけ並べている印象があっ...
ブエンディア一族の百年に及ぶ一大サーガ。 なぜゆえこの一族の血はこうも破滅的なのか?ただ一族の血という呪縛からは逃れられないという宿命をただ目撃するだけである。 ひとりひとりのエピソードが壮絶で悲惨なのだけど、あまり扇情的には描かれておらず、淡々と事実だけ並べている印象があった。まるで一族には叙情性が見ないかのように。 だからこそラストのエピソードが際立って感動的なのだ。 同じ名前ばかり続くので、家系図と睨めっこしながら読んだけど、それでも途中で関係性が分からなくなった。アウレリャノの一件で、生まれ変わりとも思えるけど、読者を錯乱させる意図もあるのかな? 巻末の解説で分かりやすくまとめられていて後でよく理解できました。 長い物語だけど思ったより読みやすかった。 翻訳が新しいのかと思ったら1972年の初版時の鼓直氏の改訳版のようです。
Posted by
fuzkueをはじめとして、あちこち訪れるお店に置いてあるガルシア・マルケスのこの本を見て、いずれ読みたいなと思って読んでみた。 読みなれない文体に、同じような名前がたくさん出てくるので、個人的にはとても難解な本だった。自分の知っている「孤独」とはまた違った意味の孤独だったように...
fuzkueをはじめとして、あちこち訪れるお店に置いてあるガルシア・マルケスのこの本を見て、いずれ読みたいなと思って読んでみた。 読みなれない文体に、同じような名前がたくさん出てくるので、個人的にはとても難解な本だった。自分の知っている「孤独」とはまた違った意味の孤独だったように思える。
Posted by
ある一族のはじまりとおわり。一度通読しただけではこの物語のすべてはわからないのだと思う。10年以上先にまた読みたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ホセ・アルカディオ・ブエンディアは、妻のウルスラ・イグアランと共に、他の男達と女子どもを引き連れて、海を探しに旅に出たものの、見つからず、山の向こうにマコンドという村を立てた。マコンドの村と、ブエンディア家が滅びるまでのおよそ100年間の出来事が淡々と語られる。 一つ一つの出来事は、極めて現実離れしていて、とても面白い。似た名前で人物が把握できなくなると、物語を追えなくなってくる……。
Posted by
昇天する場面、考えられないほど歳をとったはずの人物が普通の存在として登場する場面、どこをとっても普通の感覚ではない想像の極みのような世界観。それでいて破綻ない物語。 文庫化して欲しい本の筆頭。
Posted by
ノーベル文学賞受賞、20世紀最大の小説として君臨し、いつまでたっても新潮文庫に入らない名作であり、近くの図書館でもつねに貸出中の本書がたまたま、それも新本で棚にあったので、もちろんすぐに借り出した。 そして、なんとその翌週に脳卒中を発症。救急車で病院に運ばれ2か月間の入院生活を余...
ノーベル文学賞受賞、20世紀最大の小説として君臨し、いつまでたっても新潮文庫に入らない名作であり、近くの図書館でもつねに貸出中の本書がたまたま、それも新本で棚にあったので、もちろんすぐに借り出した。 そして、なんとその翌週に脳卒中を発症。救急車で病院に運ばれ2か月間の入院生活を余儀なくされた。 家族に言ってその本を病室まで持ってきてもらい、つらい入院生活の中で読み進めた。この長い小説をまとめて読むことができる時間を病気のおかげで得ることができたわけだ。頭痛や脳卒中後遺症のため、なかなか集中できなかったが1週間ほどで読み終わった。登場人物のなまえはほとんど覚えられず、字ずらでストーリーを追う読み方だった。しかし、その読了感は残念なものでこの小説がなぜこんなに評判がいいのか全く分からなかった。 南米の暑苦しさの描写と時系列のあいまいさが残った。ただ、入院生活のなかで『百年の孤独』を読み切ったことは強い記憶としてある。
Posted by