ウェン王子とトラ の商品レビュー

チェンジャンホン【作・絵】,平岡敦【訳】

2024/10/25

猟師に子どもを殺された母トラが、憎しみのあまり夜ごとに村を襲うようになった。困り果てた王に、王子をトラに差し出せば国に平穏は訪れると、国の占い師が予言する。
人間を憎みながらも、小さく弱いものを愛する気持ちを忘れなかった母トラと、強く心やさしい少年に育ち、人と獣の世界を結ぶ存在となる王子ウェンの姿を描いた絵本。繊細かつ迫力のある絵で引き込まれる内容だった。中国の殷王朝時代に作られた青銅器を眺めて思いついた物語とのこと。

2024/05/20

　ようやく我が家の書棚に加わりました。

子どもをどのような理由であれ失うことは親にとってはこの上ないほどに苦しく悲しいことだと思います。殺されたのであればなおさら、さらに憎しみや恨みが加わることもわかる。そんな悲しみや憎しみはどうすれば癒えていくのだろうか。母の愛は人も動物も変わらないのだと思わせてくれます。癒す力は子どものまっすぐな眼差しと穢れなき笑顔なのかも知れません。我が子はもちろん他の子へも惜しみなく注がれる母性愛は尊いものだと思います。

　もうすぐ母の日。母への感謝を思う時としたいと思います。

2024/04/01

トラの絵の迫力はもちろんのこと、話も力強く、ぐいっと引っ張られるような、吸い込まれるような、そんな引力の強い絵本でした。
子どもを人間の猟師に殺され、人を憎むも、差し出された人間の王子を見て自分の子どもと重ねてしまうトラの親心。恐れずトラと暮らし、絆を育むウェン王子。

最後に「トラとして学ぶべきこと」と出てきますが、どういうことなのだろうと想像力がかき立てられます。

子どもがこの絵本に出会ったら何を思うだろうか。読み聞かせで読んでみたいです。

2024/03/05

８歳９ヶ月の娘に読み聞かせ

トラの絵の迫力よ
すばらしい
子を失った母の悲しみ
つらいよね

ウェン王子がとってもいいこ

2024/03/03

小2の娘お薦めの絵本。小学校四年生の読み聞かせに使用（10分程度）
迫力のある絵と決して明るいお話ではないので心配していたが、声色や強弱をつけて読むとクラス全員終始静かに最後まで聞き入って見てくれた。我が子を差し出す母親の心境が書かれた箇所は親が読むとぐっとくるものがある。オチのおもしろさが理解できることも考慮して中学年以降がおすすめ。

2024/02/14

物語の中に引き込まれました。
トラの迫力に、息をするのを忘れるほど、引き込まれました。画力も素晴らしい。

2024/06/10

トラに育てられた王子と、トラとの間に生まれた絆が心をゆさぶるスケールの大きいお話。
　中国の水墨画の手法で描かれた力強い絵が印象的です。

2023/09/13

中国らしい世界観。トラはこどもを人間に殺されて、人を憎むようになる。それだけでも悲しいけれど王さまの子をいけにえに差し出すという展開にも驚き。ウェン王子はその運命を受け入れるあまりにも純粋な存在。トラの怒りがすうっと消えていく場面と、人間においつめられたトラをウェン王子がかばう場面は胸にせまる。
悲しみと憎しみの連鎖を止める母と子の関係に最後まで心を動かされる。

2023/02/05

著者が美術品を眺めていて思いついた作品
なんてスケールの作品でしょう。
大河ドラマにでもなりそうな内容の絵本でした。

2022/06/15

子供を人間に殺された母トラが、村々を襲う。
民を救うために、占いに従って、幼い我が子を死地に赴かせる王さま。
占い師によると、王子は死なないようだが、父子だけで母トラの住む森に入って行き、別れる場面はいきなり切ない。
物語はスリリングに展開し、クライマックスも意表を突く。迫力ある絵も、本当に素晴らしい。
そして、母の愛は強く、深かった！
---長男が小学校高学年の時、クラスの読み聞かせに使いましたが、子供たちの食いつきがとても良かったです。
(下読みの段階で自分が泣いてしまうので、本番では泣き崩れないよう訓練しました)