天を映す早瀬 の商品レビュー
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ビル&リディアシリーズ第7巻。 1作毎に主人公が変わるシリーズのリディアの回。 これまで、ニューヨークのそこかしこを舞台にしてきたこのシリーズだったが、今回は州どころか一気に国境を越え香港へ。 リディアの回でひときわ存在感を示すチャイナタウンの重鎮、ガオおじいさんからの依頼で、亡くなった友人ウェイの甥ハリーへ、形見となる翡翠を届ける役目を仰せつかる。 届けようとした矢先からハリーの誘拐事件が発生。 家屋は荒らされた形跡があるし、その後、身代金要求が別々に2度も。 何が起きている!? ビルからリディアへの一方通行の恋慕をベースにした際どいジョークの応酬が魅力のシリーズだが、幼い男児の身の安全が脅かされる今回は過去の辛い記憶とも相まって、ビルのテンションだだ下がりなところがいまいち盛り上がらない。 それでも、ガオおじいさんが発する遠まわしな格言(?)が二人を困惑させる感じがいい味を出し、物語をリードする。 「木の葉はいつかは落ちる」 「見かけは似ても似つかぬ水牛と小鳥だが、それぞれ別々では仕事は成し遂げられない」 「鏡のごとくなめらかな水面がときには尖った岩を隠していることを考慮せざるを得ないね」 「蹄の形が同じ動物は行動を共にする。ジャカルも数を頼めば虎を仕留める」 「木の枝は川の流れに乗って流れる」 毎回思うこのシリーズの難点、事件の裏引く糸の複雑性。 誰目線かで見えている事実が全く異なるので、色んな場面であれそれって今更論点になることだったっけとなるし、真相が見えてもいまいちすっきりしない。 ただ今回は誘拐事件が一旦の解決を見せた後からのもうひと捻りの一幕が面白かった。 ビルの軽口が復活したこともそうだし、最後の最後、旅先でのストレスから解放されたリディアが取ろうとした行為を諭す「いい考えではないと思う」から続くビルの実直な思いが何とも言えない余韻を残す。 このシリーズも疲れてきたなと思いがちだった今作だが、また次作も読みたくなった。 次は『冬、そして夜』。
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ガオおじいさんの旧友が亡くなり、遺族に届け物をして欲しいという依頼を受けてリディアはビルとともに初めて香港にやってきた。 ビルがなんだか物思いにふけっている感じがするのは、マークの存在のせいかとも思ったが、まあそれもあるのかもしれないが、解説で、坂木司さんが書いているように、「...
ガオおじいさんの旧友が亡くなり、遺族に届け物をして欲しいという依頼を受けてリディアはビルとともに初めて香港にやってきた。 ビルがなんだか物思いにふけっている感じがするのは、マークの存在のせいかとも思ったが、まあそれもあるのかもしれないが、解説で、坂木司さんが書いているように、「異境の地で客死した父。二つの国にそれぞれ家族を持った父。幼い息子を誘拐された父。」「父を失い父の立場を失った男」の物語であることが影響しているのかもしれない。
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盗聴の恐ろしさ 親戚兄弟を敬う家族は身内の悪い癖(密輸)を何とか世間にバレる前に終息させようとするが逆に秘密結社に利用される。少年を誘拐した部屋、泥棒に入られたと思った部屋には盗聴器が仕掛けられ情報が筒抜けに。私立探偵リディアと相棒のビルとの「諺・名言・暗号台詞」謎解き捜査で解決...
盗聴の恐ろしさ 親戚兄弟を敬う家族は身内の悪い癖(密輸)を何とか世間にバレる前に終息させようとするが逆に秘密結社に利用される。少年を誘拐した部屋、泥棒に入られたと思った部屋には盗聴器が仕掛けられ情報が筒抜けに。私立探偵リディアと相棒のビルとの「諺・名言・暗号台詞」謎解き捜査で解決していく。現代、要注意は窃盗、盗賊で単なるコソ泥だと安易に考えないで、部屋内に「盗聴器・盗撮機・電波増幅発進器など」の仕掛けがないかどうか、第2第3の災難に遭わないようにする為再点検が必要だ。
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しまった、読む順番を間違えたらしい。 またリディアが主人公だ。 香港まで出かけて謎を解くリディアが、 探偵として成長している感があって楽しかった。 お母さんからの呪縛からも逃れて、 ちょっと頑張ってみたんだけどねー。 仲は進まず。
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リディアとビルのシリーズ7作目。 リディアの事件です。 今回はガオおじいさんの依頼でアメリカを飛び出し香港へ。 初めての海外、更には家族のルーツに近い地とあって、 リディアのテンションが高めです。 知り合いも伝手も無い地での戸惑いや焦燥感が良く出ています。 お蔭というのか、 ビル...
リディアとビルのシリーズ7作目。 リディアの事件です。 今回はガオおじいさんの依頼でアメリカを飛び出し香港へ。 初めての海外、更には家族のルーツに近い地とあって、 リディアのテンションが高めです。 知り合いも伝手も無い地での戸惑いや焦燥感が良く出ています。 お蔭というのか、 ビルとの関係についてもいろいろ考える機会となって、 微妙な感じになってきました。 何処へ行くんでしょうね、この2人の関係は。 事件は7歳の少年の誘拐です。 ガオおじいさんに頼まれたのは旧友の亡骸とその形見を届けること。 ところが香港に着いてみると、 届け先の少年は誘拐され、 2組の犯人グループから電話があり形見の翡翠も偽物らしい。 何がどうなっているのかひっちゃかめっちゃかの上、 勝手の違う香港のスピード感やエネルギーに、 更には湿度の高い暑さにもあてられてリディアの思考は停滞気味です。 かたやビルはというと。 タガログ語やスペイン語となかなかの博識ぶりを発揮して、 いつもどおりのようにも見えますが、 ビルにとって『災難に遭った子供』は地雷のようで、 苛立ちを隠しきれていません。 またまた縛られて殴られています。
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ずっと読んでいるシリーズもの。 ディテクティヴものだけれど、薄っぺらくなくて いつも面白い。 しっかり中国文化を研究し、 人間を研究し、書かれている。 今回はかつて数月暮らした香港が舞台とあって より入り込む。 繊細さと大胆さがぎゅっと詰め込まれたような本で、 ...
ずっと読んでいるシリーズもの。 ディテクティヴものだけれど、薄っぺらくなくて いつも面白い。 しっかり中国文化を研究し、 人間を研究し、書かれている。 今回はかつて数月暮らした香港が舞台とあって より入り込む。 繊細さと大胆さがぎゅっと詰め込まれたような本で、 知らず知らずに自分と向き合ってしまうような要素も 盛りだくさん。
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⑦ やっぱりいいなあ、このシリーズ。今回は香港にまで出張して、ビルはボコボコにされるわ、リディアは弱気になるわ、香港マフィアは活躍するわ。 香港警察のはみ出し者、アメリカ育ちの刑事がぴかいち。あれ?でも、名前なんだっけ?マイケル・チャン?ユァン?記憶がはっきりしない・・・...
⑦ やっぱりいいなあ、このシリーズ。今回は香港にまで出張して、ビルはボコボコにされるわ、リディアは弱気になるわ、香港マフィアは活躍するわ。 香港警察のはみ出し者、アメリカ育ちの刑事がぴかいち。あれ?でも、名前なんだっけ?マイケル・チャン?ユァン?記憶がはっきりしない・・・ やはり香港は魔窟だ。
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シリーズ7作目。 リディア・チン(中国名リン・ワンジュ)はニューヨークの私立探偵。 中国人街の長老格ガオに依頼され、アメリカでなくなった老人ウェイの形見の品と遺骨を届けに、香港へ。 生まれて初めて中国人ばかりがいて当たり前の地に降り立つ。 行った先ではスティーヴン・ウェイの息子の...
シリーズ7作目。 リディア・チン(中国名リン・ワンジュ)はニューヨークの私立探偵。 中国人街の長老格ガオに依頼され、アメリカでなくなった老人ウェイの形見の品と遺骨を届けに、香港へ。 生まれて初めて中国人ばかりがいて当たり前の地に降り立つ。 行った先ではスティーヴン・ウェイの息子の誘拐事件が発生していた! 形見の翡翠がすり替えられていたという謎もあり、不審の目を向けられる二人。 弁護士の依頼で行方不明の子守マリアを探し、香港警察の巡査部長マーク・チュワンと協力しつつ、結社につながる骨董商リーとも接近する。 相棒のビルは香港でやたらに目立つが、二人の仲には微妙な進展も。 香港を縦横に駆けめぐり、観光案内にもなっているかも。 2001年の作品。2006年翻訳発行。
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私立探偵ビル&リディアシリーズ7作目。今回の語り手はリディア。ピアノを弾きこなし(嗜むなどどいう域ではなく)いろいろと過去を背負ったビルが相変わらず、素敵。ラストの対応も、いかにも思慮深い大人の男という感じ。
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いつもながらリディアが元気いっぱい、今回は香港を駆け回る。 このシリーズはハードボイルドが入るビルのシリーズよりリディアのシリーズの方が生き生きとしててお気に入り。 台詞も気が利いていて、こんな文章が書けたら、、、っていうかこんな会話を誰かと小気味よく交わしたい。
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