天を映す早瀬 の商品レビュー

S.J.ローザン【著】,直良和美【訳】

2011/09/18

男女の探偵コンビで、一作ごとに語り手を交代するんだけど、今回は女性、中国系のリディアの番。わたしはリディアの回のほうが、アメリカに住む中華系の家族の暮らしぶりとかが楽しくて好き。今回はニューヨークを離れて香港が舞台。香港に行きたくなった。いつも、街のたたずまいとか、季節感とかがすごくよく出ているところがいい。ミステリ部分は、このシリーズ、わたしには複雑すぎるのかいつもわけわからなくなって、いつも最後のほうはどうでもよくなってくる（笑）。もうちょっと、リディアの内面とかに踏み込んでほしいかな。ビルとの仲もあんまり進まないし。

2009/10/07

中国系アメリカ人女性のリディア・チン（中国名チン・リン・ワンジュ）と、白人のアメリカ人男性ビル・スミスが活躍するシリーズ７作目です。ふたりはときどきお互い仕事を手伝ったりしているフリーの探偵で友人同士なのですが、ビルはずっとリディアのことが好きで、リディアもビルのことを信頼しているし大事に思っているんだけれど恋愛感情はもっていない（か、本心は自分でも揺らいでいるけど認めたくない）という、微妙な関係。１作ごとに物語の語り手が交代するので、ビルの視点からと、リディアの視点からと、男性と女性との両方の視点で、事件だけでなくふたりの関係も語られてゆくのが、このシリーズの魅力です。今回はリディアの視点。チャイナタウンの精神的長であるガオおじいさんからの依頼で、ニューヨークを離れて香港へ手紙と遺骨と遺品を届けに行ったところ、誘拐事件が発生、ＮＹのチャイナタウンの文化とはまた違った、本家中国ならではの考えや価値観にとまどいながら、リディアがビルとともに体当たりで謎を解いてゆきます。

それにしても、このシリーズは会話がかっこいいです。