トリップ の商品レビュー
トリップという題名がピッタリな短編集。それぞれがそれぞれの生活を抱えながら、どこかささいなトリップをしながら、トリップに憧れながら生活を送る。 日常の中のちょっとした異質。異常であり、当たり前でもある。 角田光代は、こうゆう話がホントにうまいなぁ
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カフェとか、駅で人を待ってる時とかに、前を通り過ぎる人たちを見ながら、この人はどんな生活をしてて、今は何しにどこに向かってるんだろうと、ぼんやり想像してみたりするけど、その想像が小説になっている感じだった。 同じ街を舞台にそこに住む人達の話がいくつか入っているけど、それぞれの登場...
カフェとか、駅で人を待ってる時とかに、前を通り過ぎる人たちを見ながら、この人はどんな生活をしてて、今は何しにどこに向かってるんだろうと、ぼんやり想像してみたりするけど、その想像が小説になっている感じだった。 同じ街を舞台にそこに住む人達の話がいくつか入っているけど、それぞれの登場人物が事情を抱えながら、それぞれに考えながら、一見普通に暮らしている。短い話だけどひとつひとつ読み終わった後に一息ついて、思いを馳せたくなる。 ちらっと前に出てきた人が横切ったりして、それも他の話の続きを垣間見れたようで面白かった。 1番好きな話は、「秋のひまわり」
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日常に潜む地獄をギザギザハサミで切りました、みたいな… いやなんでこんなに平穏に日常の闇を書けるのか…うーん角田節だ…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
連作のおもしろさが多分に詰まっていた。 自分のダメなところがえぐられるような、突かれたくないところをずっとほじられているような、苦しい感覚。私はすごくだめ人間なので、理解できてしまうところが結構あって、救いがあるようでないのが作り物感なくて、でも物語として結構好きだった。読みやすかった。
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“小さな不幸”と、紹介文には書いてありましたが、読んでみたらとんでもない。今後の人生に大きな爪痕を残しそうな凄惨な経験をした人も何人かいました。笑 が、みんなそれぞれ最後は少しだけ右肩上がりな気持ちで終わっていてなんだかホッとしまきた。
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淡々と綴られていく様々な日常。 自分もこの物語のどこかに存在する感覚になり、登場人物たちと同じ時間軸を過ごすかのようなテンポで読み進めた。 同じ時間に起きて、会社に行き、仕事をして、帰ってくる…そんな生活の中にいると、誰も彼もが道を踏み外すことなどせず、正しく真っ直ぐに生きてい...
淡々と綴られていく様々な日常。 自分もこの物語のどこかに存在する感覚になり、登場人物たちと同じ時間軸を過ごすかのようなテンポで読み進めた。 同じ時間に起きて、会社に行き、仕事をして、帰ってくる…そんな生活の中にいると、誰も彼もが道を踏み外すことなどせず、正しく真っ直ぐに生きている様に見えてくる。 でも、本当はそんなことはなくて、いつも気取っているあの人も、自分の人生が正解と言わんばかりのあの人も、表に見えているのはその人のほんの一部で、実は「トリップ」した時を過ごしていたりして…。なんてリアルに想像してしまった。 つまずいて逃げたり、失敗してどん底に落ちたり、私の人生って、何でこんなにダメなんだろう。って思っていたけれど、案外みんなそんな一面を抱えているのかも…こんな人生だけど、まぁいっか。そんなもんかな。と気持ちが楽になった
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ありふれた町の、ふつうの人々の、すこしズレた日常…一人ひとりが居場所を探している。 平凡な町にもちょっと入り組んだところに、こんな「ズレ」が隠れているのかな…
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東京近郊のとある街を舞台にして 平凡に暮している交錯した人々の暮らしが綴られている短編集。 どれも特にこれといった結果や発展性のある作品ではなく 淡々と人間模様が綴られています。 どこにでもありそうなありふれた生活の 一部分が切り取られていて、殺伐した中にも 心の底で何か熱い物が...
東京近郊のとある街を舞台にして 平凡に暮している交錯した人々の暮らしが綴られている短編集。 どれも特にこれといった結果や発展性のある作品ではなく 淡々と人間模様が綴られています。 どこにでもありそうなありふれた生活の 一部分が切り取られていて、殺伐した中にも 心の底で何か熱い物が感じられるような気がして、 知らないうちに心をぎゅっと引き込まれたように なってしまいました。 印象的だった作品は「秋のひまわりの中」 消沈していた母親に対しての気持ちが、 今までは小学生らしい少年としての心情や行動でしたが、 あることによってそれが 「ぼくは突然、畳にぺたりと 横座りしていた女の人を、思い切り抱きしめてあげたくなる。 抱きしめて、そうゆうことってあるんだよと言ってあげたかった。 似合わないのにそこにいなくちゃいけないことって、あるよ。 ぼくだってそうだよ。」 という心境の変化には驚きと共に、 人は子供とか親とはそうゆう形ではなく、 自然と心が動くことがあるのだと思いこの息子に対して とても微笑ましく逞しく思えてしまいました。 このぼくというのが小さなぼくから大人の僕に 変化したものだとも思えました。 作品を読み進めていくと、 それぞれの作品が何処かで繋がっているので、 それを探し読み進めるのも面白かったです。 この作品は角田さんの初期の物ですが、 今ではこれよりも遥かに描写が細かく 人間観察力、洞察力などがかなり優れているというのは こうゆう作品からも分かり、これから更にステップアップ していったものだと思いました。 どんな生き方をしていても、 その中で精一杯生きている姿には共感を得られました。
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過去にブログで書いた感想文の転記です↓ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ この短編集は、一話一話が野草のような印象をうけた。 見せびらかすような大輪の花はいないけれど、 一話一話、しっかり根を張った野の花。 しかも短編とはいいつつも、この作品、一話前の短編と...
過去にブログで書いた感想文の転記です↓ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ この短編集は、一話一話が野草のような印象をうけた。 見せびらかすような大輪の花はいないけれど、 一話一話、しっかり根を張った野の花。 しかも短編とはいいつつも、この作品、一話前の短編と 少しずつ繋がっている。 (それがまた読みたい気持ちを後押ししてくるのだ) 舞台は、ある商店街。そこに暮らす様々な人々。 年齢や性別・立場など全く違う10人の主人公。 みんな、自分の「日常」に絶望してみたり、幸せを探してみたりしている。 自分がそこにいるのを、違和感に感じていたりする。 何一つ選べずにここにきたのか、必死になってたどり着いたのはここなのか、 疑問に思っても、ここにいる自分。 ここにしかいられない自分。それが自分。 主人公と私とはまったく違う立場のはずなのに、 重なるところがありすぎて。 今現在、そう思っている。 これから、こう思う時がくるのかもしれない。 ただ彼らは自分の「日常」に、そんな思いを抱いても、「日常」を続けていくし 「日常」は続いていく。 しかもそんなに悲観的でもなく。 それがまた自分の日常に重なるので、かなり現実に近い小説なんだと思った。 それにしても10人の様々な主人公を、書き分ける角田さんはすごいなぁ、 と読んでいて本当に感動した。 数珠のような、お話。 みんなの日常。 続いていく日常。 本当に面白い本だった。
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見知らぬ土地の商店街を歩いている時に、たまたますれ違った人の、少し世間からトリップした人達の物語。 駆け落ちに失敗した女子高生、ドラッグに溺れる主婦、日常に退屈している主夫など、世間という枠組みから少し外れた人々の日常や心情が良く表現されている。
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