トリップ の商品レビュー
相変わらず、体温の低い文章だ。シニカルだ。ニヒルですらある。単純に笑ったり怒ったりするだけじゃあ文学にならないとでもいうことなのか知らん。普通の人々の中にある、秘めた暗さ、病みを描く。そして、それぞれ近くにいながらも思いが交わりあうことがないことを、短編同士の重なりと、登場人物同...
相変わらず、体温の低い文章だ。シニカルだ。ニヒルですらある。単純に笑ったり怒ったりするだけじゃあ文学にならないとでもいうことなのか知らん。普通の人々の中にある、秘めた暗さ、病みを描く。そして、それぞれ近くにいながらも思いが交わりあうことがないことを、短編同士の重なりと、登場人物同士の重なりの中で周到に念押しする。基本的に、読んでいてスカッとするタイプの本ではない。だけど、この低体温名文体に慣れてしまえば、その中で時折見られるおちゃめな表現に少し癒される。
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1つの街を舞台に、いろんな人の人生が交差する。 短編というくくりですが、前後に微妙に繋がりがあったりするのが面白い。 出てくる人たちは、みな様々な事情を抱えていてどこか人間臭さを感じる。 東京郊外の少し寂れた街。 そんな場所に住むのも良いかもしれないと思えた。
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ひとつの町を舞台に、登場人物から登場人物へとリレーのように短編が進んでいく。ひとつひとつの話もちょうどいい身近さで書かれていて、通して読んだときにしっくりきた。
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うまいなー。直木賞の作品とか、女性二人を平行して書く作品はあんまイイとは思わないけど、とにかく1名をクローズアップして書いたモノは、どの属性の主人公でもウマ。
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ある平凡な街に住む色んな境遇の人達を主人公にした連作。女子高生、喫茶店の女店長、ストーカー男、主婦、少年、等々。みんな少しずつ不幸を感じ、ささいな幸福を夢見て、でも思い通りにはならずに日常が進んでいく。当たり前の日常の中に潜む、その人だけの、ちょっとした非日常が描かれている。やっ...
ある平凡な街に住む色んな境遇の人達を主人公にした連作。女子高生、喫茶店の女店長、ストーカー男、主婦、少年、等々。みんな少しずつ不幸を感じ、ささいな幸福を夢見て、でも思い通りにはならずに日常が進んでいく。当たり前の日常の中に潜む、その人だけの、ちょっとした非日常が描かれている。やっぱり、角田さんはうまい。
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私の好きな連作集タイプの小説。 ありふれた日常なんだけど、どこか馴染めてないから非日常的で。。。 でも、ひとりひとりの非日常が共感できてしまうからなんだか不思議。
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平凡であるかのように見えて、でも実は非凡だったりする自分以外の人たちの生活。(その逆も然りなんだけど。) ところが、実際のところはわかんない。わかんないけど、いろんな想像を巡らして、それが自分の生活のほんの一部にさえなったりして…。 そうやって、私たちは日々生活しているんだ。...
平凡であるかのように見えて、でも実は非凡だったりする自分以外の人たちの生活。(その逆も然りなんだけど。) ところが、実際のところはわかんない。わかんないけど、いろんな想像を巡らして、それが自分の生活のほんの一部にさえなったりして…。 そうやって、私たちは日々生活しているんだ。うんうん。 すらすら読めちゃうんだけど、でも妙にリアルでどこか頷けて、ちょっとした重みも併せ持つ。 そんな角田さんらしい、ほんの少しずつそれぞれが繋がっている短編集。
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2007/2購入、読了。 後書きにもあったけれど、『空中庭園』と同じ匂いがした。一つの、それも、多くの人が過去に通り過ぎてきたような中途半端な規模の町を軸として、少しずつ舞台を重ね合わせながら10人の主人公を描いた連作集、という感じ。 生きていると感じる違和感をうまいこと描いてい...
2007/2購入、読了。 後書きにもあったけれど、『空中庭園』と同じ匂いがした。一つの、それも、多くの人が過去に通り過ぎてきたような中途半端な規模の町を軸として、少しずつ舞台を重ね合わせながら10人の主人公を描いた連作集、という感じ。 生きていると感じる違和感をうまいこと描いていて、さすがこのあたりは上手い。最後は本当にトリップしてしまってちょっと笑った。 角田光代が好みの人なら、安心して読めると思います。
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