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コレラの時代の愛 の商品レビュー

4.3

66件のお客様レビュー

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2026/05/05

現実とは果たしてなんなのか。 この物語の縦糸として配置されている永い時間を超えて持続する愛は、完全に常軌を逸していて、一見幻想のような気がする。 時代設定も現代を生きる僕らには馴染みがなくてその印象を強める。 だけど、物語はファンタジーにふられるどころかどこまでも人間が生きた真...

現実とは果たしてなんなのか。 この物語の縦糸として配置されている永い時間を超えて持続する愛は、完全に常軌を逸していて、一見幻想のような気がする。 時代設定も現代を生きる僕らには馴染みがなくてその印象を強める。 だけど、物語はファンタジーにふられるどころかどこまでも人間が生きた真実だった。 それが矛盾しなかったのは、ガルシアマルケスの世界を描く力だろう。物語を描写するというより、世界を創造すると言った方がしっくりくる。 その才能に感服する。 じゃあガルシアマルケスはその才能を用いて何を達成しようとしたんだろう。 解説であった「本当らしさの限界の追求」は何の意味があったんだろう。 きっと物語で感慨を生まれるのは、現実で知らないことを現実の地続きで得た時なんだと思う。 本当らしくて現実にはない持続する愛は、まさしくそんなものだった。 溺死した女の亡霊は、見たことなさの輪郭をはっきりさせるため、持続の対比として静止を置いたのだし、 最後の船長の「限界がないのは死よりもむしろ生命ではないだろうか」という心情も、持続の有機性を示す描写だと思った。 そのように、澱のように積もり積もった出来事や感情がすべて一つの主題に繋がっているのかもしれない。

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2025/05/31

あとがきにて、『本当らしさの限界というのは、われわれが考えているよりも広がりのあるものなんだ。ただ、そうゆう限界があることはわきまえておかないといけない。』と記載されている。 19世紀の時代背景を正確に描写しつつ、その中で50年1人の女性を愛し続けるという設定を中心として展開され...

あとがきにて、『本当らしさの限界というのは、われわれが考えているよりも広がりのあるものなんだ。ただ、そうゆう限界があることはわきまえておかないといけない。』と記載されている。 19世紀の時代背景を正確に描写しつつ、その中で50年1人の女性を愛し続けるという設定を中心として展開されるお話で、『本当らしさの限界』が絶妙になじんでいる。 20代の方が読むのと青年の恋愛や夫婦を経験した中高年が読むのでは、印象が異なるかもしれないが、後者の私は大変楽しく読めました。 自分が80歳になったら再度読んでみたいと思った作品。

Posted byブクログ

2025/05/14

初めましてガルシアマルケス。 好きな人に借りた本として、これ以上ロマンティックな小説はないのではないだろうか。

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2025/04/30

ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの恋愛小説です。51年と9カ月と4日、一人の女性を愛した男の軌跡は本書を読んでいた2010年ごろ、20代後半の自分を慰め、奮い立たせるものでありました。 本書は2007年にアメリカで製作、映画化もされた『百年の孤独』でノーベ...

ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの恋愛小説です。51年と9カ月と4日、一人の女性を愛した男の軌跡は本書を読んでいた2010年ごろ、20代後半の自分を慰め、奮い立たせるものでありました。 本書は2007年にアメリカで製作、映画化もされた『百年の孤独』でノーベル文学賞を受賞したコロンビアの作家、ジャーナリストのガブリエル・ガルシア=マルケスによる恋愛小説です。 本書を読んでいた2010年前後は本書に書かれているような岡惚れをしていたもので、自分の置かれていた境遇を重ねながら読んでいました。 『百年の孤独』同様、マルケスの代表作と言えるような有名な小説でので、あえて僕がここで内容を云々することはありませんが、ざっくり要約してしまうと51年と9ヶ月と4日、1人の女性を思い続けた男の話です。 その思いの一途さにも驚きを隠せませんが、主人公の郵便局員フロレンティーノは配達先の配達先の令嬢フェルミーナと恋に落ちるわけですが、身分の違いを理由に引き裂かれてしまい、彼女は医師のウルビーノ博士と結婚してしまうのです。 彼女につりあう男になるためにフレロンティーノは叔父の会社で仕事をして、最終的には総支配人になるところまで上り詰めていく、というくだりにはすごく勇気付けられたことを覚えています。 こういう愛の形もあるのだなと思いつつ、ラストシーンの 『「川を上り下りするとしても、いったいいつまで続けられるとお思いですか?」フレロンティーノ・アリーサは五十三年七ヵ月十一日前から、ちゃんと答を用意していた。「命の続く限りだ」と彼は言った。』 と言うくだりは現在でも僕の心をとらえて離しません。 この小説を心の糧として、僕もこれからの生を生きていかなければなりません。

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2025/04/26

「街とその不確かな壁」にも出現した小説。50年越しの愛という非現実が、19世紀末の内戦とコレラが蔓延したコロンビアという非常にリアルな舞台設定の中で進んでいく。「自然に老いていけばいいのに、どうしても意味もなく昔のことに頑なにこだわるのですか?」思慮に富んだ言葉で哀しみを癒すこと...

「街とその不確かな壁」にも出現した小説。50年越しの愛という非現実が、19世紀末の内戦とコレラが蔓延したコロンビアという非常にリアルな舞台設定の中で進んでいく。「自然に老いていけばいいのに、どうしても意味もなく昔のことに頑なにこだわるのですか?」思慮に富んだ言葉で哀しみを癒すことができるのに、自分のことになると、いつになっても子供っぽいメランコリックな思い出に引っ張られてしまう主人公。「命の続く限り」老い衰えながらも誰かを愛して生きていく壮大な物語。

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2025/03/02

こんなに純粋で不純、そして格調高く気持ちの悪い恋愛小説は滅多にないだろう。 名士の非嫡出子であるフロレンティーノ・アリーサと、若干怪しい商売に手を付けながらも財をなしたロレンサ・ダーサの娘、フェルミーナ・ダーサ。 ごく若かりし頃に出会い、距離が少しずつ縮まり、もう少しで結ばれる...

こんなに純粋で不純、そして格調高く気持ちの悪い恋愛小説は滅多にないだろう。 名士の非嫡出子であるフロレンティーノ・アリーサと、若干怪しい商売に手を付けながらも財をなしたロレンサ・ダーサの娘、フェルミーナ・ダーサ。 ごく若かりし頃に出会い、距離が少しずつ縮まり、もう少しで結ばれるというところで突然冷めて突き放すフェルミーナ・ダーサ。 失意のどん底に落ちるも彼女に対する想いを捨てきれず、彼女への愛を持ち続けることを誓い、そしてこの愛がいつの日か必ず実る日が来ることを信じて生きていくフロレンティーノ・アリーサの愛の物語を中心に小説は成り立っている。そして、周囲の人々も皆それぞれの愛を持っており、めいめいの愛が群像劇のように語られていく。 さながら愛の事典である。そして強烈であり、もうはっきり言って気持ち悪い。フロレンティーノ・アリーサ。 気持ち悪いけど、目が離せない。 彼は一途だ。一途ではないけれども、一途だ(この意味は本編で納得してほしい)。 一途な愛は一般的に美徳とされる。でも、彼は気持ち悪い。 何故か。わからない。わからないけど気持ち悪い。 じゃあ真実の愛とは何か。 そんな問いかけが頭の中で500ページ続く。 そしてこの物語を、どうしようもなく気持ちの悪い愛の物語を、ほぼ完璧とも言える完成度たらしめているのは、間違いなくマルケスの技術による。 マルケスの、マジックリアリズムは本作では影を潜めているが(ないわけではない)、高度な技術がそこかしこに見られる。 群像劇のように見える展開も、すべての人物が区切られて、セパレートに描かれているのではない。 フロレンティーノの物語を読んでいるうちに、いつの間にか別の人物の人生が滔々と語られている。 別の人物の人生が、別の時系列で語られたりするので少し戸惑うが、これが入ることで本書の「愛」にどんどん厚みが増していく。 また、他の作品にも共通するが、マルケスの一貫した平叙文が独特のリズムと世界観を生み出す。 書き手は一切、エモーショナルにならない。体言止めや呼びかけなどはおそらく一文もない。 情景を美しく記述しようなどという表現も一切ない。必要最小限。 延々と続く平叙文にもかかわらず、下をのぞくと愛が、感情がのたうち回っている。そんな感じ。 そしてコレラが流行していた時代を舞台とする設定を活かしきっていることも素晴らしい。 深刻な話が展開する中で、肩透かしのようなユーモアをいれてくるマルケスのバランス感覚も相変わらず。 どこをとっても、文学としては最高レベル。 本書は500ページある。そして、400ページまで、本当にフロレンティーノ・アリーサが気持ち悪い。 ただ、ただね。そこからラスト100ページ。びっくりする。 「え?あれ?え?愛って何?これ正解?え?」 ってなる。 400ページの気持ち悪さに耐えて、ここに到達して欲しい。 これだから私は、マルケスが大好きだ。

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2024/12/27

1人の女性とそれを取り合う2人の男性の話。幼少期から老年にかけての恋愛を壮大に描いていくのだが、よくよく考えると老年の人生における楽しみや幸福、ましてや恋愛への向き合い方を綴った小説はあまり読んだことなかったなーと気づく。 この本も構成に工夫は見られるが、読むのにかなり骨が折れた...

1人の女性とそれを取り合う2人の男性の話。幼少期から老年にかけての恋愛を壮大に描いていくのだが、よくよく考えると老年の人生における楽しみや幸福、ましてや恋愛への向き合い方を綴った小説はあまり読んだことなかったなーと気づく。 この本も構成に工夫は見られるが、読むのにかなり骨が折れた。読み終わると目が死んだ。ヒューズ飛んだ。

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2024/08/25

公的活動が好きな名医、庶民出で美人なその妻、河川運輸会社で出世する詩人。 3人の遍歴を中心に、いろいろなシーンが語られる。 全体の話も、個々の場面も、とてもよい物語。

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2025/09/21

17歳の時の初恋を成就するために、51年もの長い年月、女の夫が死ぬのを待ち、そのためだけに生きた孤独で愚かな男の人生。「コレラ感染者乗船」の旗を掲げた船の中だけで成立する愛は、死出の旅でしかありません。

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2024/07/25

素晴らしい小説だった。 人を愛するとはなんと滑稽で、狂おしくて、切なくて、壮大なことなんだろうと思った。 3人の男女を軸に描かれる、様々な人物の様々な愛。 51年と9ヶ月と4日貫き通し続ける愛、欲望に貫かれた激しいセックスを通しての愛、夫婦という形式の中で憎んだり生活に疲れたり...

素晴らしい小説だった。 人を愛するとはなんと滑稽で、狂おしくて、切なくて、壮大なことなんだろうと思った。 3人の男女を軸に描かれる、様々な人物の様々な愛。 51年と9ヶ月と4日貫き通し続ける愛、欲望に貫かれた激しいセックスを通しての愛、夫婦という形式の中で憎んだり生活に疲れたりしながらも続いていく愛、様相は違えど当人たちは真剣だった。 そんな姿がユーモアを交えて描かれている。 いろんな男女が出てくるけど、登場人物らはみんな刹那的な関係でも相手をちゃんと慈しんでいる。 例え永遠には続かない恋や愛でも、その時その人を愛している気持ちが本物であることは確かなのだと思える小説だった。 いろんな愛を肯定してくれてありがとう。 読んでいたら、自分の愛している男の人のことを想ってなぜかわからないけど涙が出てきた。 愛し合っている人とする、あなたのことが好きで好きでたまらないという気持ちが全身から溢れ出ているようなセックスが、この世で一番の幸せな快楽なのではないかと思う。 さすがガルシアマルケスで、描写が恐ろしく細かいのに全く飽きさせない。 屋敷の中の調度品とか、船の展望台から見える風景とか、普通なら読み飛ばしてしまうような描写もじっくり読みたくなる。 話の筋には関係がない脇役の登場人物の描写やエピソードが抜群に面白くて、それもじっくり読んでしまう。 南米の気だるい空気や少しずつ近代化しつつある時代感、内戦が繰り返される政治的緊張、この時代にこの場所に生きる人たちの暮らしの様子が生き生きと伝わってくる。 こんなに分厚いのに読んでいてずっと楽しくて、やはりガルシアマルケスは本物のストーリーテラー。

Posted byブクログ