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日本人の死に時 の商品レビュー

4.1

31件のお客様レビュー

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2012/12/31

日本が平均寿命で男女共トップを争うようになった中、どれだけ多くの人が、今の終末期医療の歪みに気づいているのだろうか? 膨張し続ける医療費の中で終末期医療への割合は想像よりも高いようだ。 ちなみに厚生労働省の統計によると、平成22年度現在、医療費総額は年間37兆円、そのうち75歳以...

日本が平均寿命で男女共トップを争うようになった中、どれだけ多くの人が、今の終末期医療の歪みに気づいているのだろうか? 膨張し続ける医療費の中で終末期医療への割合は想像よりも高いようだ。 ちなみに厚生労働省の統計によると、平成22年度現在、医療費総額は年間37兆円、そのうち75歳以上に対しては約12億円と30%以上を占める。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/10/index.html 終末期医療が死を間近にした高齢者に対して安らかな死を保証するものならいい。でも実際にはどれだけ多くの人が、胃ろうを始めとした管につながれて、果たして自覚的にその上でも命を永らえたいと感じているのだろうか? 著者は、ややグロい医療小説で有名だが、本書では、自身の小説でも基底となって流れているテーマ、終末期医療の現実を取り扱っている。 この長命の時代に、「長寿の危険に備えているのか?」と疑問提起することは貴重である。 ものが口から食べられ無くなってまでも生きたいのか?と真剣に考えたい人は本書を読むべきである。 人は自らの死に時を自分で選ぶ権利があるはず(と信じたい)のだが、実際には、どこかの時点で自らが治療を選ぶ権利を消失するポイント・オブ・ノーリターンが存在する。がん治療で他臓器に転移した状態とか、脳卒中で病院に運ばれた時、そして認知症治療を受けながら身体合併症を持った時など、患者サイドからすれば自らの選択の余地が殆ど無い状態で、医師から説明を受けたり、家族の意向に従わせられたりするものなのだ。 延命を選択した(された)その結果が、安らかな死に繋がっていないことを著者はこれでもかと例示する。一方で、末期がんと告げられて、治療をしないと決心した人に安らかな死があったことも例示されている。 そう、治すための治療を、治らない病気にすることは、本来は矛盾しており、それにすがることによる生活の質の低下に関して、我々はもっと自覚的であるべきなのだと思う。 私はこう望んでいます。願わくば、従容と死を受け入れたい、そんな素朴な希望が自分や自分の愛する人が叶えられますように…。

Posted byブクログ

2012/12/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

昔から引退後の生活を見据えていまを犠牲にするという考え方に違和感があり、いつしんでもいいやと思ってテキトーに生きてきたが、それでも「上手く、しに時にしぬ」ことがいかに難しいか知らされるだけで果たしてラクな臨終を迎えることができるのか不安になる。もっともな主張とそれを裏付ける豊富な臨床例、構成もまとまっていて非常に読みやすかったです。ひさびさに新書でアタリだった気が、、、

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2012/12/27

日本人の平均寿命が世界第一位であることは有名ですが、平均で男性は六年、女性は七年、最後は要介護状態になるという数字が出ているそうです。私の父方の祖母もパーキンソン病を何年も患い、胃ろうでした。最後の数年は精神的にも不安定だったことが母の日記から読み取れます。死ぬ時期や死ぬ要因は自...

日本人の平均寿命が世界第一位であることは有名ですが、平均で男性は六年、女性は七年、最後は要介護状態になるという数字が出ているそうです。私の父方の祖母もパーキンソン病を何年も患い、胃ろうでした。最後の数年は精神的にも不安定だったことが母の日記から読み取れます。死ぬ時期や死ぬ要因は自分で選べないことがほとんどだと思いますが、延命治療は残される人たちの思いのために施されるべきではない、という一文を憶えておこうと思いました。

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2012/09/04

「人がなぜ生まれ、どう生きるのか」という本質の問題がお座成りになっているので隔靴掻痒のきらいがあり。

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2012/09/13

中年の中にはPPK(ピンピンコロリ:昨日まで元気に過ごして、コロリと最期を迎える)が理想の人生像になっているらしいです。誰しも寝たきりになったり、長い闘病で苦しみたくはないものです。では、元気で長生きすることが幸せなのかと言うとそうでもないようです。適当な時期に死ねるということは...

中年の中にはPPK(ピンピンコロリ:昨日まで元気に過ごして、コロリと最期を迎える)が理想の人生像になっているらしいです。誰しも寝たきりになったり、長い闘病で苦しみたくはないものです。では、元気で長生きすることが幸せなのかと言うとそうでもないようです。適当な時期に死ねるということは、ある種の幸であるということがよく分かりました。現役の医師で、数々の患者のケースを具体的にあげているので、作者の言いたいことをイメージしやすい。

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2012/08/14

私も安楽死を認めることに賛成。治癒する可能性の低い病気に罹って、耐えがたい激痛や不快感に苛まれた場合は、行使する権利が欲しい。どうしても死に関する事柄はタブー扱いされてしまうけど、これから更なる高齢化社会を迎えるのだから安らかに死をむかえる為の研究や法整備が益々必要になってくるは...

私も安楽死を認めることに賛成。治癒する可能性の低い病気に罹って、耐えがたい激痛や不快感に苛まれた場合は、行使する権利が欲しい。どうしても死に関する事柄はタブー扱いされてしまうけど、これから更なる高齢化社会を迎えるのだから安らかに死をむかえる為の研究や法整備が益々必要になってくるはず。世の中誰もが健康な老人で人生を楽しんでいる訳ではないのだから、PPだけじゃなくKのケアが重要だよね。

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2012/04/21

メメント・モリ。後延ばししない。治らない治療はしない。 廃用身に通ずる考え方。現実的だし、私は支持するけれど。日本のマスコミ的にはNGみたいね。

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2011/06/19
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『友達に薦められた本。 医師であり、作家としての一面も持つ著者がユーモアと自身の在宅診療の体験を交えつつ「死」について正面から考察している。 正直、あんまり買いたくなるようなタイトルでも出版社でもないけど、それにだまされてはいけない。 軽快な文章を、ときにニヤニヤ笑いながら、ときにハッとさせられてシリアスな気分で読み進めていくうちに自分の抱いていた「死」へのイメージがいかに浅薄であったかに気付かされる。 特に筆者の、欲望を抑え、足るを知る生活を取り戻すべきとの主張には強い共感を覚えた。 最近評価がインフレしてきている気もするが、文句なしに満足の一冊だったのでやはり星5つ。 ものすごく読みやすいです。 』

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2011/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 やはり、衰弱して老死。が、一番幸福なようだと改めて思った。  私の家族で、病院で死んだ人がいないため、実は病院で死ぬとはどんなことなのかを知らなかった。無理やり生かされる、というのがどんなにつらいものなのか。よくわかった。  私の曽祖父・祖父ともに、自宅で看取った。二人とも幸せな最期を過ごせてよかったのだな、と今になって思える。  ただ、自宅で看取ってもらいたい人は、「家族」を大切にしなければならない。愛してもいないものを、たかが「家族」という繋がりだけで面倒を見ることができるわけがない。  病院で死にたくないと思う人が増え、家族を大切にする人が増えてくれればいいと思う。  

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2011/06/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 何歳まで生きれば“ほどほどに”生きたことになるのか? 長寿をもてはやし抗加齢に踊る一方で、日本人は平均で男6.1年、女7.6年間の寝たきり生活を送る。 多くの人にとって長生きは苦しい。 人の寿命は不公平である。 だが「寿命を大切に生きる」ことは単なる長寿とはちがうはずだ。 どうすれば満足な死を得られるか。 元気なうちにさがしておく「死ぬのにうってつけの時」とは何か。 数々の老人の死を看取ってきた現役医師による“死に時”のすすめ。 [ 目次 ] 第1章 長生きは苦しいらしい 第2章 現代の「不老不死」考 第3章 長寿の危険に備えていますか 第4章 老後に安住の地はあるのか 第5章 敬老精神の復活は可能か 第6章 健康な老人にも必要な安楽死 第7章 死をサポートする医療へ 第8章 死に時のすすめ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ