夜想 の商品レビュー
宗教がテーマ、という事であの傑作、『慟哭』のような作品なのだろうか、と思ったがまるで違った。何というか、貫井らしい濃さがなく、物語も平坦で、展開も驚くほどに平凡だった。
Posted by
妻子を事故で失った主人公は、物を通してその人に起きたことなどが分かるという女性に会い、救われます。 もっとたくさんの人がその女性に救われて欲しいと思った主人公は、その女性と共に宗教団体のような団体を作ります。 テーマは、悲しみは無理して消さなくてもいい。悲しみを乗り越えら...
妻子を事故で失った主人公は、物を通してその人に起きたことなどが分かるという女性に会い、救われます。 もっとたくさんの人がその女性に救われて欲しいと思った主人公は、その女性と共に宗教団体のような団体を作ります。 テーマは、悲しみは無理して消さなくてもいい。悲しみを乗り越えられないのならそれでいい。その悲しみを受け入れて生きていけばいい。だと思います。 物語は、男性目線と、娘に家出されて探しまくる女性目線で進んでいきます。 最初は、団体を立ち上げちゃうし、宗教団体じゃないと言ってもそんな感じだし、悲しい終わりが見えているよ。と思いながら読みました。 中盤から後半になると、ページをめくる手が止まりません。
Posted by
妻子を事故で亡くした主人公が 街で偶然出会った不思議な女性に救われる。 彼女は持ち物から相手の過去を読み取れる特殊な能力を持っていた。 彼女に感謝し、尊敬し、やがて崇拝になり そんな人たちが一人増え二人増え… 新興宗教ってこうやってできあがるんだな。 初めの志は高くても 運営し...
妻子を事故で亡くした主人公が 街で偶然出会った不思議な女性に救われる。 彼女は持ち物から相手の過去を読み取れる特殊な能力を持っていた。 彼女に感謝し、尊敬し、やがて崇拝になり そんな人たちが一人増え二人増え… 新興宗教ってこうやってできあがるんだな。 初めの志は高くても 運営していくうちにそうなってくんだな。 終盤で主人公がちょっとおかしくなってくんだけど あれ?もしや最初からおかしかったの? どこから?となった。 超能力的なことはほぼ信じてないので もしかしたら遥も最初からマスターと組んで 騙してたのかなとかまで思ったけど(笑) 人って自分に都合のいい考え方で いくらでも進んでいけちゃうんだな。 宗教にしたくないと思いながらも せざるを得ない主人公は 結局なんなんだ。 そして能力者の遥はなにがしたかったんだ。 もし私が遥なら、能力を信じてもらえなかった過去や 恐怖で絶対目立たないように生きてくと思うけどな。
Posted by
デビュー作『慟哭』以来の、宗教をテーマにした小説。登場人物の機微が丁寧に描かれていることと意外性のある展開で、読みごたえがありました。 「なぜ人は、自分の眼鏡でしか世界を見ようとしないのか」と相手を非難すること。その行為もまた自分の眼鏡でしか世界を見ようとしていないというパラド...
デビュー作『慟哭』以来の、宗教をテーマにした小説。登場人物の機微が丁寧に描かれていることと意外性のある展開で、読みごたえがありました。 「なぜ人は、自分の眼鏡でしか世界を見ようとしないのか」と相手を非難すること。その行為もまた自分の眼鏡でしか世界を見ようとしていないというパラドックス。
Posted by
妻子を事故で亡くした主人公が、特殊な能力を持つ女子大生に出会う。彼女の純粋に人を助けたいという気持ちを活かそうとした主人公の行動は、彼の意思に反して、彼女を教祖とする新興宗教まがいの団体の設立へ発展していく。 新興宗教の話ではなく、悲しみから逃れられない主人公の再生物語。 ラスト...
妻子を事故で亡くした主人公が、特殊な能力を持つ女子大生に出会う。彼女の純粋に人を助けたいという気持ちを活かそうとした主人公の行動は、彼の意思に反して、彼女を教祖とする新興宗教まがいの団体の設立へ発展していく。 新興宗教の話ではなく、悲しみから逃れられない主人公の再生物語。 ラストのほうでは驚かされることがいくつかあり、ミステリー的にも満足。 (図書館)
Posted by
妻子を事故で亡くした雪藤が 特殊な力を持つ遙に出会い、彼女の力を広めようと 新興宗教まがいな団体を作る話。 誰にもどこにも面白味を感じられず 最後の、おそらく言いたかったであろうことにたどり着くまでが ひたすら長かった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
実は一番悲しみから逃れられていなかったのが主人公である雪藤だったんですね。勿論妄想内の妻と会話している 冒頭からそれは分かるんですけど、最後の最後に当人と同じタイミングで事実を目の当たりにした感じです。 妄想妻との会話も臨床心理士北条との治療も、言わば雪藤の願望通りに進んでいってましたもんね。 雪藤は遥に救われたと思っていた。遥は雪藤が立ち直る事で自分も救われたと思っていた。この微妙なバランスを お互い暗黙的に守り切ろうとしていたように見えました。そこを信じる事が悲しみから逃れる術だと自分に言い聞かせるように。 嘉子も同じですよね。母から受けた過剰な教育的暴力を好意的に解釈していたのも、本物の亜由美を殺してしまった後 他人を亜由美と名付け理想の母子を演じようとしていたのも、盲目的に何かに夢中になる事で悲しみを悲しみと捉えないように 自己防衛していた結果なのでしょうし。 信じるものを突き進んだ結果、自分を見つめる事のできた雪藤と狂気の深みにはまっていく嘉子。そこの対比も面白かったです。 (決してお金目当てではない)新興宗教が興っていく様が、繊細に描かれていたと思います。 宗教じゃなくても大勢の人間が集まってくるコミュニティにおいて、それぞれの価値観が噛み合わなくなってくるケースは 避けられない問題と言っても過言ではないです。そこらは凄くリアリティがあって良かったんじゃないかな。 遥の超能力が前提となっている物語だけど、そこ以外は全て説得力のあるストーリーだなって感じでした。
Posted by
新興宗教の話と聞いて、うさんくさい宗教にハマってドロドロ、的なストーリーと思いきや裏切られた。つまらない話ではないのだけれどあまり共感できる話でもなかった。微妙。
Posted by
最初のうちは不幸に見舞われた男の再生物語、途中からは怪しげな男に翻弄される新興宗教といった、よくある構成の作品かとタカをくくっていましたが、ギリギリのところで陳腐さを回避し良い意味で予想を外されることの繰り返しで、結局最後まで引き込まれっぱなしでした。 バランス感覚とテクニックに...
最初のうちは不幸に見舞われた男の再生物語、途中からは怪しげな男に翻弄される新興宗教といった、よくある構成の作品かとタカをくくっていましたが、ギリギリのところで陳腐さを回避し良い意味で予想を外されることの繰り返しで、結局最後まで引き込まれっぱなしでした。 バランス感覚とテクニックに富んだ力作だと思います。
Posted by
ここ5年以内の新刊以外はほとんど読んでいた貫井さんだけど初めてはずれた・・・。 妻と娘を事故で失った主人公が特別な力を持つ遥という若くて美しい女性に出会って、その女性を崇拝して祀り上げてっていう話なんだけど、新興宗教すべてを否定する気はないけど正直この小説に出てくる人全員が私から...
ここ5年以内の新刊以外はほとんど読んでいた貫井さんだけど初めてはずれた・・・。 妻と娘を事故で失った主人公が特別な力を持つ遥という若くて美しい女性に出会って、その女性を崇拝して祀り上げてっていう話なんだけど、新興宗教すべてを否定する気はないけど正直この小説に出てくる人全員が私から見たらただの「イタイ人」。 そういうイタイ上っ面にしがみつかないと生きていけないような悲しみがあるとも読めるけど、なんだかなあっていう感じ。 だいたい「救いたい」とか「救われたい」とかっていう欲求自体がどちらも上から目線の的外れな欲求に感じる私にはただのうすら寒い話にしか思えなかった。 やっぱり貫井さんには謎解き要素がある程度備わっているものを書いてほしいな。
Posted by