暗号解読(下) の商品レビュー
公開鍵と個人鍵の話は自分の中では衝撃だった。コペルニクス的発想の転換とはこういうことかって思った。 ネットで買い物をするときなど何気なく暗号を使用しているだけに、どうやって暗号化しているのか、それを解くのがいかに難しいか、この辺の話は非常に興味深かった。
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暗号の歴史と技術の発展をわかりやすく楽しく学べた。 読み物としても楽しく、歴史上暗号が果たした役割や暗号解読が歴史を変えたエピソードなどが面白かった。 極秘裏に暗号の解読を行う組織があったことも初めて知った
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暗号とは、メッセージの外見を変えることにより、正当な受信者にしか読めないようにする方法である。暗号の方法には頭皮に刺青を施し髪で隠すといったメッセージの存在を隠すステガノグラフィーと呼ばれる方法と、情報を何かの規則に従って変換しメッセージの内容を隠すクリプトグラフィーと呼ばれる...
暗号とは、メッセージの外見を変えることにより、正当な受信者にしか読めないようにする方法である。暗号の方法には頭皮に刺青を施し髪で隠すといったメッセージの存在を隠すステガノグラフィーと呼ばれる方法と、情報を何かの規則に従って変換しメッセージの内容を隠すクリプトグラフィーと呼ばれる方法の二種類がある。 暗号は月日とともに進化していく。紀元前五世紀のスパルタで用いられたスキュタレーからスコットランド女王メアリーの用いたノーメンクラター、ナチスドイツのエニグマ、そして今日の公開鍵暗号、そして将来生み出されるであろう量子暗号である。これらは暗号解読者(クリプトアナリスト)と暗号作成者の生存競争により進化が促進されてきた。暗号は暗号解読者によって解読されるたびに解読不能と思われるような暗号へと進化していき、今日でもそれは続いている。 暗号は意図せず生まれることもある。考古学における古代文字の解読は暗号解読者はいても暗号作成者はいないからだ。また、失われた、もしくは使用者が極端に少ない言語は戦時下において暗号として使われたこともあり、暗号は利用者の意図により意義を変容させる。 今日の暗号を取り巻く事情において、プライバシーと治安の問題がある。暗号はすべての人にプライバシーの保護という目的で認められてはいるが、それがテロリストに利用されたとき暗号が解読できなければ治安を維持することは難しくなるだろう。しかし治安の維持のために暗号の解読を為政者に認めてしまえば、それを悪用する者も出る。このジレンマに妥協点として鍵預託という第三の道が提案されている。これは信頼のおける第三者に暗号の個人鍵のコピーを預け、市民が犯罪に関わっているという証明が行われたときのみ個人鍵を警察に引渡し暗号を解読するというものだ。この提案は挫折を繰り返しながらも今なお提案され続けているが、信頼のおける第三者は未だ現れていない。 現在では暗号が政府などが保持する高性能のコンピュータでのみ解読できる解読できる難易度に制限されている。しかしこれも大衆が恐れるのが犯罪者なのか、それとも政府なのかに答えを見出せないままに終わっている。 暗号において最も重要なことは、すべての人に暗号を使う権利を与えた際、治安の維持に限界が生じるリスクを受け入れられるかである。暗号技術の進化と同様に、暗号を使うこと自体も考えていく必要がある。
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2011/1/9読了。 書店でこの本を見かけた際、高校時代に読んだ「フェルマーの最終定理」を思い出して即購入。数学関連のテーマの伝記として、人々のドラマもあり、個々の発見や暗号も分かりやすく文句なしの出来。
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前作の「フェルマーの最終定理」に比べると、テーマに関する技術的な説明が多いのと、その説明が少し難しい部分があるが、それでも何とかついて行けるレベル。前作に続き、一気読みの面白さだった。暗号に関する面白いエピソードが沢山書かれているけれども、その中の1つに、シャーロックホームズの「...
前作の「フェルマーの最終定理」に比べると、テーマに関する技術的な説明が多いのと、その説明が少し難しい部分があるが、それでも何とかついて行けるレベル。前作に続き、一気読みの面白さだった。暗号に関する面白いエピソードが沢山書かれているけれども、その中の1つに、シャーロックホームズの「踊る人形」の暗号文が取り上げられていた。色々な形で踊る人形が文字になっているという暗号なのだけれども、踊る形によって、それがアルファベットの何かを指しているというものだ。「ワトソン君、英語で最も頻度が高く用いられるアルファベットはeなのだよ。だから、この最も頻度高く現われる形の人形はeを示すのだよ。」といったようなやり取りがあったと思うのだけれども、実際の暗号解読でも、こういったアルファベットを他の何かの文字に単純に変換したものは、このシャーロックホームズの推理のように、頻度分析を用いて解読されたという事実があるようで、さすがホームズだね、と思った次第である。他にも暗号に関する面白いエピソードが盛りだくさん。
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暗号にまつわる歴史がこんなに面白いなんて、思いもよりませんでした。 また、第2次大戦以降のコンピュータ技術がとうとう解けない暗号にまで発展するとは……。 サイモン・シンの著作であと未読は『フェルマーの定理』だ。
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戦争に使われるなど、きなくさくなってきました暗号。 最後の量子力学の話で、やっと量子コンピュータの薄皮の一部がわかってきたような感じ…さすがサイモン・シンだな!
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上巻からずっと読んでくると、「公開鍵方式」がどんなにすごいことかわかってくる。そしてそのすごいことが、原理的には「コロンブスの卵」的な発想の転換から生じていて、少なくとも原理的には、すっと理解できるものであることに驚きを感じる。 もっとも、今までいろんなところで「公開鍵方式...
上巻からずっと読んでくると、「公開鍵方式」がどんなにすごいことかわかってくる。そしてそのすごいことが、原理的には「コロンブスの卵」的な発想の転換から生じていて、少なくとも原理的には、すっと理解できるものであることに驚きを感じる。 もっとも、今までいろんなところで「公開鍵方式」のことを読んだけど、こんなに「すっと」理解できてしまったのは初めてなので、作者の筆力のすごさにも感動するべきなのだろう。 実際、「量子コンピューター」の原理について、こんなにすっと理解させてもらえたのも初めてである。(光子暗号はちょっと難しかった) エキサイティングな一冊。次作も楽しみである(もう日本語訳が出版されているけど)。 2007/7/23
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難しいっ……けど、なんだかわかったような気にさせてくれるのがよい。 暗号に関しての説明だけじゃなくて、人物に対する考察が深いことが特徴。無機的になりそうなこの類の書き物にしては、妙に血が通っている印象を受けた。
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内容的には暗号作成者と暗号解読者の戦いを軸に、各年代の暗号を説明しながら進んでいきます。 暗号がテーマだけあって難しい部分もありました。 特にエニグマとボンブのところはかなり難解でした。 現代のコンピュータへ移行する前の最後の部分なので理解するのに時間がかかりました。 その分コ...
内容的には暗号作成者と暗号解読者の戦いを軸に、各年代の暗号を説明しながら進んでいきます。 暗号がテーマだけあって難しい部分もありました。 特にエニグマとボンブのところはかなり難解でした。 現代のコンピュータへ移行する前の最後の部分なので理解するのに時間がかかりました。 その分コンピュータが普及した後の素因数分解を用いた手法のシンプルさが目立ちますね。 自分も研究用のネットワークにはRSAを用いているのでお世話になっているんですが、コンピュータの力勝負ですね。 上巻は正直後半がかなり難解で冗長に感じます。 下巻の方が好みでした。 後、補足が下巻にしかついてないっていうのは問題だと思います。 もともと一冊だったからしょうがないと言えばしょうがないんでしょうけど。
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