真鶴 の商品レビュー
全体的にもやがかかったような、霧に包まれたような世界観を感じた。川上氏独自のゆるりと流れるような文章で、湖の水面下で激情がほとばしるような光景が頭の中で広がって、主人公の苦しみがじんじんと伝ってくる。しずかで、それでいて情熱的で、すごく、女性が書く文章だなぁと思った。
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夫を失踪によって失い、母と同居しながら娘を育てている女性が主人公。こんな、誰にでも起こることでもないような特別な設定でも「本当」と感じさせる筆力のすごさに圧倒された。 見えないものがついてくるのもおなじみだ。 読点の打ち方が特徴的。 すごく引き込まれた。 作成...
夫を失踪によって失い、母と同居しながら娘を育てている女性が主人公。こんな、誰にでも起こることでもないような特別な設定でも「本当」と感じさせる筆力のすごさに圧倒された。 見えないものがついてくるのもおなじみだ。 読点の打ち方が特徴的。 すごく引き込まれた。 作成日時 2007年08月08日 21:19
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★…3.5くらい。『古道具〜』の中にあった「好きをつきつめると からっぽの世界にいってしまう」っていうのが、この作品の中にも見られたような気がした。
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ふ、、、不思議だった・・・途中から何となく理解は出来たんだけれど、結局は、なんだったんだろう、、という思いでいっぱいでした。。チャンチャン。
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失踪した夫の「不在」の物語。川上さんの小説は、いつも境界が曖昧だ。森羅万象、人と人の肉体の境界線、種と種の境界線、時間、場所、あらゆるものが溶け出していく。川上弘美の新境地を開いた、ターニングポイントとなる作品。
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『私』は夫が失踪し、現在は高校生になる娘と自分の母親での3人暮らし。 真鶴という地名を夫の手帳から見つけ、真鶴へ何度も足を運ぶ。 そこで、なにか『ついてくるもの』がある。『女』の形を取った何かがついてきて、『私』と道行きを共にし、語りかける・・・。 夢と現実の合間を行った...
『私』は夫が失踪し、現在は高校生になる娘と自分の母親での3人暮らし。 真鶴という地名を夫の手帳から見つけ、真鶴へ何度も足を運ぶ。 そこで、なにか『ついてくるもの』がある。『女』の形を取った何かがついてきて、『私』と道行きを共にし、語りかける・・・。 夢と現実の合間を行ったりきたりするような感覚で物語が進んでいく。 最初はその調子で『あぁ、川上弘美っぽい』という少し冷めた視線になっていたのだが、そのうち夫の失踪にいたるまでのやり取りや、夫と娘と3人の幸せ(に見えた)日々の情景などが色濃くなってきて、『私』が一人取り残されていく感覚に心が締め付けられるようになる。 結果、真鶴に行ったことで『私』は次のステップに進んだかのように思える。 一度死んだ『私』が再生するような話だと思った。
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川上弘美の本は不思議だ。現実感がない様で、吐露する言葉や感情にいいようもないリアルを感じる。なぜ真鶴。なぜこの文体。なぜこの主人公は立ちすくむ。そして中年を過ぎた女の悲しさや業やなにやらが行間の隙間を縫いながら、読む者に襲いかかって来る。
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なんとも表現が難しいお話です。というか、川上弘美さんの作品は本当になんとも言えない。 でも珍しい、と思ったのは、現実の世界観を色濃く残したまま、その中に見えるものと見えないものが混在している感覚。これは今までの川上作品とちょっと違うなと。今までは、不思議な世界が、当然としてそこに...
なんとも表現が難しいお話です。というか、川上弘美さんの作品は本当になんとも言えない。 でも珍しい、と思ったのは、現実の世界観を色濃く残したまま、その中に見えるものと見えないものが混在している感覚。これは今までの川上作品とちょっと違うなと。今までは、不思議な世界が、当然としてそこにあるような感じだったから。今回は、世界観そのものよりも、主人公の内面世界が濃くあって、そこで完結しているようなところがある。 いつもよりは引きずられずにすんだかもしれない。 キーワードをあらわすならば、母と子。ついてくるもの。もういないのにいるもの。そして真鶴。 相変わらず文章が綺麗です。表現がとても好きです。調子も良い。 単調なようで、どこか古色が漂う和菓子のような風景。
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温度を感じる本。短いセンテンスが、まるで台風の前の湿った重い空気のように体にまとわりついてくる。13年前に3歳の娘を残して失踪してしまった夫。その夫を思い求め続けながらも妻子ある男との関係も続ける京。祖母、母、娘。女ばかりの家庭。そして「ついてくる」ものたち。何かを求めて、何かに...
温度を感じる本。短いセンテンスが、まるで台風の前の湿った重い空気のように体にまとわりついてくる。13年前に3歳の娘を残して失踪してしまった夫。その夫を思い求め続けながらも妻子ある男との関係も続ける京。祖母、母、娘。女ばかりの家庭。そして「ついてくる」ものたち。何かを求めて、何かに導かれて真鶴へと、向かう。何かを求めることは何かを捨てることなのか。夢現のさかいがあいまいで、何が現実で何が幻か、霞の中をたゆたう。まなづる 読みながら 何度も声に出してみる。まなづる そこに行けば何かが分かるのかも。あるのに ない ないのに ある不思議な浮遊感のある 小説。
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【メモ】京と失踪した夫の礼、恋人の青茲、娘の百々、母、そして女・ついてくるもの・独特の文体、表現・深く意味を考えず読むと、うっとりする・夜に読みたい・内容的には☆4つ
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