真鶴 の商品レビュー
男と女、この世とあの世、自分と影の女などの淡いがくつくつと描かれている。女は影と一緒に、失踪してしまった夫をじっと捜し求めている。夫はもういないと身体も心もわかってから、「遠いいつか、あなたとも、会えるのね。」で締めくくられている。
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失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、 「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ 向かう京。夫は「真鶴」にいるのか?
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http://patrashe.jp/anbai/archives/2007/01/post_394.html
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川上弘美さんの小説はこれで4冊目。「これってなに?どういうこと?」って思いで最後まで読みました。読み終わっても、なんだかすっきりしない、夢の中を漂っているような感じ。とても短い文章が多いけれど、でも想像をかきたてられる表現が心に残りました。(H19.3.27)
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自分がお勧めするまでもなく。 しかし「どんな作品でも川上弘美の作品は著者が川上弘美であることだけでもう素晴らしい」病の自分にとってさえ、この「真鶴」は最近の「恋愛小説の名手」(え"っ何言っちゃってるのアンタ達!)的キャッチを無理矢理張られそうになっているような作品群が...
自分がお勧めするまでもなく。 しかし「どんな作品でも川上弘美の作品は著者が川上弘美であることだけでもう素晴らしい」病の自分にとってさえ、この「真鶴」は最近の「恋愛小説の名手」(え"っ何言っちゃってるのアンタ達!)的キャッチを無理矢理張られそうになっているような作品群が多かった川上さんの中で、「これぞ川上ワールドだ!文句あるなら言ってみろ!」と大声を出したくなるような作品。 それにしても2006年は川上ファンにとっては悲鳴の出るような歳だったね。 そして最後は2006年度の芸術選奨文部科学大臣賞と来たもんだ。
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義姉が真鶴の出身なので読んだ。それがきっかけ。たんたんとした筆致ながら、それら乾いた短い文章を貼り絵のように重ねあわせていくと、人間の心の模様をうまく表現できるのかもしれない。そして、なぜ真鶴なのか。湯河原でも、小田原でも、熱海でも、いいのかあ、なんて思わないほうがいいんでしょう...
義姉が真鶴の出身なので読んだ。それがきっかけ。たんたんとした筆致ながら、それら乾いた短い文章を貼り絵のように重ねあわせていくと、人間の心の模様をうまく表現できるのかもしれない。そして、なぜ真鶴なのか。湯河原でも、小田原でも、熱海でも、いいのかあ、なんて思わないほうがいいんでしょうね。
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距離を感じさせる文章と、やわらかい日本語があわあわとした感じでした。 誰にもぶつけることのない感情が、ぼんやりと漂っていてとても官能的です。
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みだれてる。京のこころの混乱をうつしだすように。真鶴でみたものは幻覚だったのか、「ついてくるもの」はなぜ彼女をそこへ導きあれをみせたのか。わかんない。ちょっとこわくてしとっり官能的で幻想的。なのにことばに魅せられる。
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ねえあなた、小さかったわたしたちの赤ちゃんは、大きくそだちましたよ。もうわたしを離れて、一人でどこかへ行こうとしてますよ。むこうみずな顔をして、あなたに似た顔をして、じきに激しくにくんだり愛したりするようになるのでしょうよ。(p.225)
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怖い。生臭くて、清涼で、確かに生きるというのはこんなことなんだろうなと読みながら思った。こんな重い人生を送ってきた訳ではないけれど。 登場する生き物の選び方に実感があって怖い。ナナフシを折るなんて本当に怖い。あの姿で生き物だというのがすでに怖いのに、それを折ってしまうのは怖い。つ...
怖い。生臭くて、清涼で、確かに生きるというのはこんなことなんだろうなと読みながら思った。こんな重い人生を送ってきた訳ではないけれど。 登場する生き物の選び方に実感があって怖い。ナナフシを折るなんて本当に怖い。あの姿で生き物だというのがすでに怖いのに、それを折ってしまうのは怖い。ついてくる女より怖い。 鷺の姿もきちんとしている。あれは小鷺だ。正確に描かれている。きっと観察することが好きなんだろう。方々に観察した証拠のように正確な表現がある。椿の花のぽとりと落ちる姿も判る。正確だ。 だからこの物語は絵空事に見えないんだろう。女が憑いて来たり、死者の目を持ってみたりするのもそのままに受け入れられる。そして生臭かったり、清涼だったりするのだ。
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