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出口のない海 の商品レビュー

4

300件のお客様レビュー

  1. 5つ

    85

  2. 4つ

    136

  3. 3つ

    54

  4. 2つ

    12

  5. 1つ

    1

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2023/05/14

戦争のお話。 特攻隊と聞くと飛行機の方を思い浮かべる方が多いと思いますが、どちらかと言うと海に潜り特攻を仕掛ける人間魚雷のお話です。 人間魚雷「回天」は、すなわち人が魚雷の中に乗り込み捨て身で敵の輸送船や戦艦に体当たりするという本当にあった戦時中日本の作戦です。 戦争を体験した...

戦争のお話。 特攻隊と聞くと飛行機の方を思い浮かべる方が多いと思いますが、どちらかと言うと海に潜り特攻を仕掛ける人間魚雷のお話です。 人間魚雷「回天」は、すなわち人が魚雷の中に乗り込み捨て身で敵の輸送船や戦艦に体当たりするという本当にあった戦時中日本の作戦です。 戦争を体験したことない私ですら読んでいて恐ろしさがよく染み渡りました。 特に回天隊の人たちは「早くお国の為に死にたい(敵の機体に当てて見事に戦果を上げたい)。」と口々に言っていますが、もうここまで来ると人間じゃないような気がして…もう相当当時の人たちは頭がある意味洗脳されていたのだなと思います。 それと同時に、上官から「回天」に乗り込めと命令が下ったのならそれは自ら死にに行くことが決定したようなもので…なので、こうでも思わないと自分の身も精神もなにもかも持たない状態だと思いました。 主人公の並木は最後まで人間らしさが残っていました。 行方不明となった時はまだどこかで生き残ってるのではないかと私自身希望を持っていましたが、現実はそう甘くなく泣きました。 今後もこの物語が後世に残りますように…

Posted byブクログ

2023/05/04

なぜこんなものが存在するんだろう。 2015年のパリ同時多発テロの時、現地の報道で自爆テロをkamikazeと表現しました。これに日本の元特攻隊員が憤慨の声を上げます。 一緒にするな、と。 アメリカ軍は無人と信じて疑わなかったそうです。 一度出撃すれば脱出できず、当たれば爆発...

なぜこんなものが存在するんだろう。 2015年のパリ同時多発テロの時、現地の報道で自爆テロをkamikazeと表現しました。これに日本の元特攻隊員が憤慨の声を上げます。 一緒にするな、と。 アメリカ軍は無人と信じて疑わなかったそうです。 一度出撃すれば脱出できず、当たれば爆発、外れれば窒息、狭い空間でひとり、これ以上なく絶対に約束された、死。 なぜこんなものが作られたんだろう。 なぜこんなものに搭乗したんだろう。 両親、妻子、恋人、大切な人が殺されないように。 人の尊厳のため、その尊厳を無視したこんなもの —回天。 頭では理解はできます。 でも心ではできません。 どうしても。 ありえない。 もう二度と。

Posted byブクログ

2023/04/29

フィクションなのだが、きっと似た体験をした人が70年前の日本にいるという事実に心打たれた。 今の私と同世代の海に飛び込む覚悟を決めた人々の生と死の間に揺れる葛藤は、平和を生きる私に「生きる意味」を与えてくれた。戦争で亡くなった方々の分まで、私は生きなくてはならない。そして伝え続け...

フィクションなのだが、きっと似た体験をした人が70年前の日本にいるという事実に心打たれた。 今の私と同世代の海に飛び込む覚悟を決めた人々の生と死の間に揺れる葛藤は、平和を生きる私に「生きる意味」を与えてくれた。戦争で亡くなった方々の分まで、私は生きなくてはならない。そして伝え続けなくてはならない。 ちなみに電車とバイト先と部屋で大号泣したので、なるべく家で読むことを勧める。こんなに何度も心苦しくなる小説は初めてだ。

Posted byブクログ

2023/04/24

読みやすく、横山秀夫の小説はやっぱり面白い。 戦争ものは久々に読んだけど色々考えさせられる。 死を美学にして、戦い続けることの意味。 当時はそれが全てだったのに、何年もすれば日本人がメジャーリーグでプレーをしていたり、時間が過ぎれば様々なことが変わる。 いつも目の前のことばかり考...

読みやすく、横山秀夫の小説はやっぱり面白い。 戦争ものは久々に読んだけど色々考えさせられる。 死を美学にして、戦い続けることの意味。 当時はそれが全てだったのに、何年もすれば日本人がメジャーリーグでプレーをしていたり、時間が過ぎれば様々なことが変わる。 いつも目の前のことばかり考えず、先を見据えたり、未来には希望があることを理解して生きていくべきかな。

Posted byブクログ

2023/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

出口のない海、読みました。名作でした。外で読んで、ぼろぼろ泣いてしまったので、外出先で読むのはあまりお勧めしないです。 わたしは学がないです。国語は、まあそこそこ得意なほうではあったけど、歴史とかてんでダメだったし、というか今もダメ。頭が悪すぎるので。だから戦争の用語とか、本当になんもわかんない。 でも、それでも読みにくさを感じたりとか一切せず、ぐいぐい読めちゃいました。やっぱ文章力がすごい。 最初は並木があまりにもまっすぐな男で、主人公としてはすごく魅力的なんだけど感情移入できるかと言われたらどうかなぁと思いながら、ちょっと離れた視点で読んでいたんだけど、本人の特攻に対する葛藤とか弱さ(わたしは弱いと思わないけど、人間らしさとでも言えばいいのかな)が垣間見えたところ、まるで自分がその場に立たされているように手に汗握ってしまったし、並木のことが大好きになってしまった。心理が丁寧に描かれているからこそなんだろうな、離れた視点で読めなかった。 わたしはその場にいる人間ではないし、やっぱりなんだかんだ一歩引いた冷静な立ち位置にいるので、人につられてだろうが特攻志願しちゃだめだよとか思ってしまうんだけれど、でもあの空気感・戦争真っただ中・お国へ尽くすことこそが男なりって環境下だと志願してしまうのも理解はできるというか。理解できるからこそ、やっぱり、そういう世の中はよくないと思いました。平和ボケだろうが何だろうが、戦争で命を乱雑に消費するのはやっぱり悲しいことだと思う。 結末なんて最初からわかっているのに、それでも、死なないでほしいと強く願いながらページをめくりました。 おわりはあっけなかった。想像していたのは戦争で散る姿だったけど、でも本当はそうじゃなくて。あまりにもあっさりと、華々しい終わり方もせず死んでしまった。いや、自爆で敵軍をやっつけるのが華々しいとは思わないけど、戦果を挙げるというか。 でも、並木らしかった。 敵軍にも小畑のようないいやつがいるのかもしれないと思ったり、自分の家族の今後を本当に案じていたり、そういう優しい並木らしかった。 台風の後、並木の回天が発見されたところから本当に涙が止まらなくなってしまって、沖田への手紙も美奈子への手紙も全部が全部、並木の人に対するまっすぐな姿勢を感じて、なんでこんなことが起きてしまったんだろうって思ったり。 わたしは愛が人間の感情の中で最も尊ぶべきものだと思っていて、まあその「愛」は恋愛じゃなくて友愛でも家族愛でも愛国心でも何でもいいんだけど。 だから、とりわけ並木と美奈子のやりとりは心に響いてしまった。 美奈子への手紙の後、トンボが美奈子が自害するのを阻害してくれた描写で大号泣してしまって、まだ戦争なんてそんなものに巻き込まれなかった、軍人ではない並木との思い出がここで出てくるのかって。 船に乗った北と並木のやり取りもすごく印象的でした。 北の肩がふくらんでいるのが、なんかもうしんどくて、北のそういうところを並木がちゃんと見ていて、回天に搭乗するときにちゃんと「おふくろさんに会ってこい」って言ってくれたのが、もう…… 北と並木の関係性、すごくよかったです。 一番記憶に深く残ったのは弟君の「立派に死んできてください!」なんですけど。 あのシーンと、並木と沖田が学校でふたりで話すシーン、衝撃がでかすぎたし、悲しかったな。 若者……というか、誰もかれもが、国とか情勢とかそういうでっかいものに巻き込まれて、ひん曲がった教育を受けざるを得ないとか、そういう社会はやっぱり怖いし、いやだ。まだ幼い子が、国のために命を投げ出すのを当たり前だと思い込んでしまうのは、やっぱりいやだ。わたしはそういうの嫌だし、戦争には断固反対です。 人が死ぬのはぬくぬくしたお布団の中でだけでいいし、つらい思いをしないでほしい。みんながみんな、誰かのために命を使わないでほしい。 そうずっと思って読んでたし、これからもずっとそう思って生きていく。 わたしは読書は勉強や成長のために必要なものではなくて、娯楽物だと思っているし、別に「勉強になった」とかにならんでいいとおもうんですよ。「楽しかった」「面白かった」だけですませて問題ないというか。 でも、わたしとしてはすごく「勉強になった本」です。恐怖で目を背けずに読めてよかった。

Posted byブクログ

2023/01/08

大学の野球部で魔球を開発して復活を目指す並木に、学生の徴兵猶予が解かれ海軍に入る。そして、「回天」という人間魚雷の部隊に配属になる。海の特攻隊だ。家族のこと、恋人美奈子のこと、野球部の仲間や魔球のことを思いながら日々死を覚悟し、国家とか軍隊とかの見えざる巨大な意思に同調し引きずら...

大学の野球部で魔球を開発して復活を目指す並木に、学生の徴兵猶予が解かれ海軍に入る。そして、「回天」という人間魚雷の部隊に配属になる。海の特攻隊だ。家族のこと、恋人美奈子のこと、野球部の仲間や魔球のことを思いながら日々死を覚悟し、国家とか軍隊とかの見えざる巨大な意思に同調し引きずられ流され、己の戦争と対峙する。出撃をしても回天の故障で戻って来る者は罵倒され屈辱する。死をどのように納得させたのか、並木は回天に乗艇したとき「己の戦争は終わる」と。生と死の葛藤から逃れるということか?切なく悲しい話だった。

Posted byブクログ

2023/01/04

神風特攻隊はよく知られているが、『回天』はどれくらい知られているんだろう。 海の特攻隊、人間魚雷『回天』。 靖国神社の遊就館で実物を初めて見た時、強い衝撃を受けたことを思い出します。 その回天に乗り、国の為、家族の為に散華された若者たちの生と死の間で揺れ動く心の葛藤、「出口のない...

神風特攻隊はよく知られているが、『回天』はどれくらい知られているんだろう。 海の特攻隊、人間魚雷『回天』。 靖国神社の遊就館で実物を初めて見た時、強い衝撃を受けたことを思い出します。 その回天に乗り、国の為、家族の為に散華された若者たちの生と死の間で揺れ動く心の葛藤、「出口のない海」の狭い密室の中で発射の命令を待つ胸中を思うと、涙なしでは読めませんでした。 こう言った英霊たちのおかげで、今の日本があるという事に感謝しなくてはいけませんね。

Posted byブクログ

2022/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

⁡ 人間魚雷 回天  発射と共に死を約束される極秘作戦 ⁡ 神風特攻隊の事は知っていましたが、 回天の事は他の方のこちらの本のレビューで知りました ⁡ 絶対にあっていけない兵器です ⁡ 甲子園優秀投手の並木くん 大学で肘の故障で投げる事に悩み、 そこに声をかけていく野球部の仲間 集っている喫茶店 恋や夢や、将来を話すキラキラした青春時代が彼等にはあったのです ⁡ ⁡ 回天に乗るまでの葛藤、苦しみ、心情 読んでいて本当に辛かったです ⁡ それでも、決して忘れてはいけない ⁡ この国に戦争が起き、 若者がどうしてこんなふうに 死に行く兵器に乗らなくてはならなかったのか ⁡ お国の為に死んでくるという忠義 自分の本心さえ言えない戦争 恐ろしいです ⁡ 軍事訓練所で、上官から殴られる場面、暴力場面が苦手なので苦しかったなぁ 前半は青春の眩しさが感じるだけに、後半は辛かったです。 ⁡ 読んで良かったです ⁡ ⁡ ⁡ ⁡

Posted byブクログ

2022/08/25

「横山秀夫」の戦争小説『出口のない海』を読みました。 『戦史の証言者たち』、『大本営が震えた日』に続き太平洋戦争関連の作品です。 -----story------------- 最終兵器「回天」が意味すること。 戦争とは、青春とは――。 人間魚雷「回天」。 発射と同時に死を...

「横山秀夫」の戦争小説『出口のない海』を読みました。 『戦史の証言者たち』、『大本営が震えた日』に続き太平洋戦争関連の作品です。 -----story------------- 最終兵器「回天」が意味すること。 戦争とは、青春とは――。 人間魚雷「回天」。 発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第2次世界大戦の終戦前に展開されていた。 ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手「並木浩二」は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。 命の重みとは、青春の哀しみとは――。 ベストセラー作家が描く戦争青春小説。 ----------------------- 太平洋戦争時、回天特別攻撃隊で出撃した若者の姿を描いた作品ですが、、、 戦闘場面はほとんど無く、死へ向かう特攻隊員の心理や成長を中心に描かれた作品です。 主人公「並木浩二」の葛藤や心の揺れ等の心理描写を通して、戦争の理不尽さや戦時中の軍隊における異常さが訴えかけられる展開、、、 気付かないうちに感情移入してしまい、一緒に悩んでいた感じですね。 死を約束された立場で、理不尽なリンチを受け、死への恐怖と闘いながら、家族や恋人、国のことを想う気持ち… やり切れないですよね。 そんな状況の中でも夢を追い続けた「並木」の生き様に共感しました。 伝えて行かなといけないことだと思います。

Posted byブクログ

2022/08/25

回天特別攻撃隊の物語。命をかけて日本を守ろうとした勇敢な若者たちがいたことを我々は決して忘れてはいけない。

Posted byブクログ