出口のない海 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
戦争文学で、特攻を熱かった小説は少なくありませんが、「回天」を取り上げた作品は数少ないと思います。そもそも搭乗員の死を前提とした特攻自体が戦略としても許されるべきものではない、と思いますが、中でも「桜花」と「回天」はその最たるものでありつつも知名度が低く、歴史としてしっかりと残していく必要があると思っています。 この作品では「回天」という出撃したら必ず死ぬことになる兵器に搭乗することになった(志願せざるを得なかった)主人公の精神的な葛藤や、大学野球という開放的な世界から強制的に軍隊や潜水艦という閉鎖的な空間に送り込まれた哀しみが、鮮やかに描かれています。 主人公の辿る思考回路や、周囲の軍人・上官・家族・恋人などの態度や反応はほかの戦争文学と大きく異なることはなく、「全く新しい感情の揺れ」を体験することはありません。しかし、それでも心を揺さぶられるのは、戦争で亡くなった多くの人の無念さや、戦争という行為の愚かさ、悲惨さを改めて感じさせられるからだと思います。 つきなみですが、戦争文学を読み継いでいく、ということが平和につながる一つの教育だと思い、生徒にも紹介し続けていこうと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校生や大学生最も楽しいはずのときに彼らは国を守るため家族を守るためと疑わず死を捧げていた。 今のわたしたちの世の中をみて彼らはどう感じるのか。豊かになりすぎて、大切な家族といれること好きな人に好きと言えること、友人たちと好きなことをできる事。私たちはそれが、どれだけ大切かもう忘れかけている。それが戦争のあった時代彼らには何よりも欲しいもので、何よりも大切だった。 並木の感情こそ人間誰もがもつものだと思う。 でもその時代で死こそ当たり前、死があってこそ、という洗脳のようなものがあって、人間魚雷さえ生まれてしまった。想像もできない。自ら志願するものがほとんどだった。 彼らがいて今の私たちがいる。 戦争は何があっても起きてはいけない。それを彼らが伝えてくれている。
Posted by
どんな時代背景があって、どれだけの犠牲があって、何を経て、何を失って、「今」という平和があるのか。 私達は戦争を経験していないけれど、過去に触れ、知る事をしなければならないと思った。 二度と繰り返してはならない。 散って良い命なんてない。 散る事が名誉だなんて、あってはならない事...
どんな時代背景があって、どれだけの犠牲があって、何を経て、何を失って、「今」という平和があるのか。 私達は戦争を経験していないけれど、過去に触れ、知る事をしなければならないと思った。 二度と繰り返してはならない。 散って良い命なんてない。 散る事が名誉だなんて、あってはならない事だ。 とても重く、でも読む手を止められない一冊だった。
Posted by
人間魚雷「回天」。 これに乗ってった若者は何を想ったのだろう。 爽やかな青年達が特効兵器に乗り込み、敵の戦艦に突入する。。。同じことは二度と起こしてはいけない。
Posted by
太平洋戦争で日本軍が用いた、回天という名の特攻魚雷。 いつ搭乗員として声がかかるのか分からず、海に出てもいつ出陣するかが分からず、出陣しようとしても故障で発進しないことが多々ある。 回天で死ぬという覚悟。機を逸して生きてしまったという錯乱。
Posted by
人間魚雷という恐ろしい兵器と知りながら、「忠義」を尽くして戦死を望む若者もいるなか、主人公の国のために死ぬことを最大の美徳として戦うことへの疑問や死に向かう恐怖、生きたいとう願い、様々な心の葛藤に悩む姿は、読んでいて胸が痛む。過去の侵略戦争は、未来ある若者に平気で死へ向かうことを...
人間魚雷という恐ろしい兵器と知りながら、「忠義」を尽くして戦死を望む若者もいるなか、主人公の国のために死ぬことを最大の美徳として戦うことへの疑問や死に向かう恐怖、生きたいとう願い、様々な心の葛藤に悩む姿は、読んでいて胸が痛む。過去の侵略戦争は、未来ある若者に平気で死へ向かうことを決断させ、道具としたのだと思うと、とても悔しい。このようなことを知ると、過去の侵略戦争を肯定・美化することはできなくなります。中高生にぜひ読んでもらいたい作品。
Posted by
人間魚雷「回天」。追い込まれた日本が、局面の転換、すなわち、天下を回ずために製造された兵器だ。 カミカゼなどといって、特攻隊ばかりがクローズアップされるが、「回天」という恐ろしい兵器があったことは、戦争の異常さ、悲惨さを後世に伝えるために知っておくべきだろう。
Posted by
人間魚雷、回天。 読み終えて実際の回天に乗った人の遺書を検索してみる。 その一部抜粋 「今日私が戦死したからといってどうか涙だけは耐えてくださいね。でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。お母さん、私はどんな敵だって怖くはありません。私が一番怖いのは、母さんの涙...
人間魚雷、回天。 読み終えて実際の回天に乗った人の遺書を検索してみる。 その一部抜粋 「今日私が戦死したからといってどうか涙だけは耐えてくださいね。でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。お母さん、私はどんな敵だって怖くはありません。私が一番怖いのは、母さんの涙です。」 みんなみんな誰かの子。
Posted by
戦時中の日本は大分狂ってるなと感じた作品。 強い人間というのは主人公の並木みたいな人なのかと感じた。 あと無茶苦茶泣いた。
Posted by
横山秀夫第一弾 社会問題系小説に挑もうの巻File.2 焦点が永遠のゼロでは神風特攻隊で、本作では人間魚雷。 2冊を読み共通して思ったことは ・自分の生には家族や周りの仲間の思いが詰まっているということ ・命ある限り生を全うすることは尊いことであるということ 個人的には、兵役...
横山秀夫第一弾 社会問題系小説に挑もうの巻File.2 焦点が永遠のゼロでは神風特攻隊で、本作では人間魚雷。 2冊を読み共通して思ったことは ・自分の生には家族や周りの仲間の思いが詰まっているということ ・命ある限り生を全うすることは尊いことであるということ 個人的には、兵役前の壮行試合が好き。 健気な小畑の晴れ姿に涙。
Posted by