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ガウディの伝言 の商品レビュー

4.3

73件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/11/06

サグラダ・ファミリアの主任建築家が日本人だということを最近知り、本書を読んでみました。ガウディ愛に溢れた一冊です。 サグラダ・ファミリア聖堂に関しては、学生のころからその神秘的で不思議な建築構造に惹かれており、いつか行ってみたい建築物の一つです。 そんなサグラダ・ファミリアで...

サグラダ・ファミリアの主任建築家が日本人だということを最近知り、本書を読んでみました。ガウディ愛に溢れた一冊です。 サグラダ・ファミリア聖堂に関しては、学生のころからその神秘的で不思議な建築構造に惹かれており、いつか行ってみたい建築物の一つです。 そんなサグラダ・ファミリアですが、2025年に聖母被昇天の礼拝堂が完成し、ガウディの没後100年にあたる2026年には、メインタワー「イエス・キリストの塔」が完成するそう。 その後、3つのファサードのうち最後となる「栄光のファサード」などの建設にとりかかり、全体が完成するのは10年後の2034年ごろだそうです。 「なーんだ、完成するのか」なんてちょっと残念な気もします。サグラダ・ファミリアは「完成しないもの」の象徴みたいなものでしたから。 いつ完成するのか?という問いに対しては、ガウディは「神はお急ぎになりません」と答えていたと本書で書かれています。   サグラダ・ファミリアのミステリーは、未完成建築だということに加えてもう一つ、「図面がない」ということが挙げられます。これに関してはガウディは「模型」を使って職人達に伝達をしていたそうです。これは図面ではどうしても発想が二次元的になってしまうため、立体での発想によるダイナミズムを担保するためとのこと。しかもその模型はどんどん修正されていくのがガウディの特徴でした。 しかしながら、出来上がった建造物の一部は内戦により破壊され、それを修復するというミッションを著者である外尾氏が担当したことが書いてあります。みたことがないものを修復再現するという、超難易度技を彼は「言の葉」という日本人的感覚で解釈しやり遂げます。そしてガウディを見るのではなく、ガウディの視線の先にあったものを見ようと考えたいう。感服します。 この本で一番印象的だったのは、やはり「逆さ吊り実験」です。 「天国に吸い寄せられているように見える」あの特徴的なアーチは、天井に両端を固定してぶら下げた糸の先端に錘をのせた状態をひっくり返したもの。石を積み重ねた時にこの構造が一番無理がないといいます。 サグラダ・ファミリアの謎がガウディとその建築を愛する日本の建築家によって語られ、胸熱になりつつ理解が深まりました。完成するまえに現地に行ってみたい!

Posted byブクログ

2024/01/07

バルセロナに住むことになったので、サグラダファミリアの彫刻を担当したという外尾さんのこの本を読んだ。 サグラダファミリアだけでなく、数々のガウディ建築に触れながらガウディがいかにしてこうしたデザインを生み出し、作り上げてきたかがよく分かる。 自然、特に植物から造形を学び、機能...

バルセロナに住むことになったので、サグラダファミリアの彫刻を担当したという外尾さんのこの本を読んだ。 サグラダファミリアだけでなく、数々のガウディ建築に触れながらガウディがいかにしてこうしたデザインを生み出し、作り上げてきたかがよく分かる。 自然、特に植物から造形を学び、機能とデザインと象徴を一つの問題として解決してきたガウディ。 7.5、17.5という基準数値、サグラダファミリアを巨大な楽器とする構想。 ガウディ亡き後、ガウディならどういうものを作ったか、想像しながら創造していく営み。 サグラダファミリアをただ美しいと眺めるのも良いけれど、こうした背景を知った上で楽しむのもまた良い。

Posted byブクログ

2023/11/04
  • ネタバレ

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面白かった点 (アントニオ・ガウディ) ガウディとはどのような人物か ガウディが生きた当時のスペインの様子、雰囲気 ガウディのキーパーソン サグラダ・ファミリアがどのような思いで築き上げられてきたのか (外尾悦郎さん) サグラダ・ファミリアにて日本人である外尾さんが石を彫ることになった経緯 パリではなく、スペインに惹き寄せられた理由 出会いは自分から掴む 苦悩の中のひらめき 愛とは、幸せとはなにか 時間という無限の中に生きる自分を見る 読んでいて頷いてしまうくらい、共感することが多く、読んでよかった。 ガウディとサグラダ・ファミリアについて理解を深めることができ、満足感のある一冊。 早くスペインに行って、サグラダ・ファミリアを肌で感じたい。

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2023/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ガウディ=サグラダファミリアの設計士」以外の知識がない状態で、日本人がその建設の重要な役割を担っていることを知って興味を持ち本書を取った。 ガウディ生前の記録が限られる中で著者が読み解くサグラダファミリア、ガウディの想いが明快な日本語で綴られ、天才建築家の天才たる所以に理解が深まる。(禅における空の概念を用いて石を掘ることを解釈するなど、本書が日本人的感性で書かれていることは理解の助けとなっている。) 以下2点、印象深い内容を自分の言葉で抽出する。 ・サグラダファミリアは、芸術ではなく道具である。使われることに徹底的にこだわった機能美は、それ全体で一つの楽器となる構造をすらを持つ。象徴・構造・機能の問題を一つの答えで解決してしまう。 ・ガウディが残した最後の言葉「諸君、明日はもっと良いものを作ろう」- 自分はその完成を見ることができないことがわかっていた。それでも恐らくガウディは幸せだった。なぜなら、サグラダファミリアへの愛があったから。愛とは、しばしば愛し愛され合うというものではなく一方的なもの、つまり自分のことを二の次にしても他のためになりたい、ひいてはそれが自分の幸せになる、という非対称なものである。自分のことしか考えない人に愛はなく、愛がない人には未来への希望がない。幸せとは、現時点で全て充足している状態ではなく、未来に希望を持った状態のこと。今が満たされている億万長者でも、それが明日なくなるかもしれない不安にあれば幸せではない。その意味でガウディは幸せだっただろう。

Posted byブクログ

2023/06/22

サクラダファミリアを見る前に読んでおいた方がいいよー!とおすすめされた本。結果、本当に読んでよかった ガウディが残していった考えや想いが戦争などの変革を経て現在まで紡いでいかれていったのは奇跡としかいえないような バルセロナを訪れる予定がある人には特に読んでほしいなあ、ガウディの...

サクラダファミリアを見る前に読んでおいた方がいいよー!とおすすめされた本。結果、本当に読んでよかった ガウディが残していった考えや想いが戦争などの変革を経て現在まで紡いでいかれていったのは奇跡としかいえないような バルセロナを訪れる予定がある人には特に読んでほしいなあ、ガウディの建築についてもっと知りたくなった

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2023/05/09

935 実際にサクラダファミリアの彫刻に携わった日本人彫刻家のガウディ本。サクラダファミリアが重力を表現してるのは知ってたけど、「天国に引っ張られてる聖堂」っていう表現が好きだった。デザインは徹底的に自然模倣したり、植物の形状とかを参考にしてるらしい。自然を尊敬してるからちっぽ...

935 実際にサクラダファミリアの彫刻に携わった日本人彫刻家のガウディ本。サクラダファミリアが重力を表現してるのは知ってたけど、「天国に引っ張られてる聖堂」っていう表現が好きだった。デザインは徹底的に自然模倣したり、植物の形状とかを参考にしてるらしい。自然を尊敬してるからちっぽけな1人の人間でもあんな偉大な建築が出来るんだなと思った。ガウディブルーとかも生で見たいと思った。

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2023/03/19

サグラダファミリアを見に行く前に読んだ。 芸術的な外観で、細かな装飾もすごい。ガウディの思いも汲みとって、大勢の人の熱意と技術で作られているのだと伝わる。 見た目がすごくインパクトがあるからそこに目が行きがちだけど、もちろん内部もサグラダファミリアにしかない空間ができていて、緻密...

サグラダファミリアを見に行く前に読んだ。 芸術的な外観で、細かな装飾もすごい。ガウディの思いも汲みとって、大勢の人の熱意と技術で作られているのだと伝わる。 見た目がすごくインパクトがあるからそこに目が行きがちだけど、もちろん内部もサグラダファミリアにしかない空間ができていて、緻密に考えられて作られているからこそ成り立っている建物だということが分かる。 用強美という言葉を思い出す建物の1つ。

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2022/12/24

10年振りの再読。 ガウディと彼の作品(サクラダ・ファミリア等)を専任彫刻家である著者が毎日コツコツと手を動かして読み解いた発見を、一般の読者に解り易く解説してくれている。全体として解りやすいが、テーマ自体がとても深いので、読めば読むほどその果実を得ることができそうな著作。一度目...

10年振りの再読。 ガウディと彼の作品(サクラダ・ファミリア等)を専任彫刻家である著者が毎日コツコツと手を動かして読み解いた発見を、一般の読者に解り易く解説してくれている。全体として解りやすいが、テーマ自体がとても深いので、読めば読むほどその果実を得ることができそうな著作。一度目よりも二度目、三度目といった具合に。 第二章と第三章では「機能と構造(デザイン)と象徴を常に一つの問題として同時に解決している(61ページ)」具体的な事例を余すことなく紹介している。自然から取り入れた幾何学的構造を使い、直線から曲面や曲線を、シンプル且つ合理的な作りでありながら、その複雑さも兼ね備えた構造的、象徴的な建築となっているのが理解できる。 私事であるが、大学生時代にバックパック旅をしている際に読み始め、ガウディ建築へも足を伸ばす予定だったが実際まだ行けておらず、今回再読してみて、今後10年内で行けたらと切望する気持ちにさせてくれた一冊となった。

Posted byブクログ

2022/11/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 サグラダ・ファミリアの建築が100年以上続けられているということは建築に疎い自分でも知っていることでしたが、この建築がどのような背景で造られ始めたのか、どのような建築家がかかわっているのかといったことはほとんど知りませんでした。この本は自らもその建築に携わっている日本人である外尾悦郎さんによって書かれたものです。  まずサグラダ・ファミリアはスペイン、バルセロナ地方で建築が進められているものであり、今となっては多くの観光客が訪れる名所となっていますが、そのように海外にも有名になったのは比較的最近のことであるとされています。パリのような芸術的に完成されたと思われているような都市における建築物ではないのです。バルセロナという地名から日本人を含めた海外の人が思い浮かべるのは、1992年に開催された夏季オリンピックの記憶ではないでしょうか。自分も中学生の頃に開催された大会で平泳ぎの岩崎恭子さんが中学生で金メダルを取られたことが記憶に残っています。  サグラダ・ファミリアは聖堂であり、主にアントニオ・ガウディによって設計されたものです。ガウディは第2代の建築士だそうです。ガウディはこのサグラダ・ファミリアに楽器としての機能を持たせたり、完成した暁には建物から街を照らす照明効果をもたせようとしていたり、あるいは設計されているそのサイズは整然としており、あらゆるところに7.5メートルの倍数が適用されています。例えば聖堂の柱と柱の間は7.5メートル、低い柱の高さは15メートル、大窓までの高さが22.5メートル、生誕の門、受難の門から入って主祭壇に至るまでの側廊の長さが30メートル、その側廊部の屋根の長さが37.5メートル、大窓のある側壁の高さが45メートル、それより一段高い身廊部の屋根の高さは52.5メートル、芽の彫刻がおかれている階段室の高さは60メートル、聖体のシンボルがおかれているところまでの高さも60メートル、イエスの塔の高さは175メートル、といった具合で細かく見ていくと様々な特徴があります。その建築は石を材料としており(建築に関わる人や予算が潤沢になった近年はコンクリートも使用とのこと)建物に建物としての機能や聖体のみならず自然の生き物(虫)や果物なども装飾として用いられ、直線的ではない有機的な生命観を感じさせる聖堂となっています。これはその建築が逆さづり実験と呼ばれる手法によって得られる逆アーチの曲線を逆さにして下から石を積み上げることによって建築を安定させる、不安定なように見えて計算しつくされた手法が大きく影響しているようです。その建築が天に伸びているような強い印象を人に与える効果も持っています。  この本の中にはサグラダ・ファミリア以外にもいくつかの建築に関する挿絵があり、多くの建築は丸みを帯びているという特徴を持っているように感じました。それによって建築が生きているような感覚を与えているようです。日本のお城でいうと、石を積み上げた城壁の部分には曲線が浮かび上がっており、古い人間らしさと温かみのようなものを感じることがありますが、同じように建築全体にそれらが包摂されているような感覚を受けます。特に代表的な作品とされる、グエル公園、カサ・バトリョ、カサ・ミラなどがわかりやすいです。  長い年月をかけて建築に取り組むことにどのような意義を見出していたのかは気になるところですし、自らが生きている間に完成しない建築に時間をつぎ込みなくなっていたガウディはどのようなことを思って亡くなっていったのかも知りたいところです。それは実際のところ文章として残されてはいないわけですが、外尾悦郎さんは人への愛がなければ成し遂げられない営みであっただろうと自らの思いと照らして伝えてくれています。自分の子どもを無条件に愛するように、サグラダ・ファミリアという建築物とそれが意味するものを愛した建築家や職人が何人もいて、完成を夢見てまたそれを後世に託していった、そこに時間の制約はなく、命のたすきのようなものが受け継がれていたのだろうと思います。

Posted byブクログ

2022/10/07

外尾さんのガウディに対する理解、愛情、そしてサグラダファミリアを完成に導く決意と思いが詰まった心に迫る一冊。 外尾さんが自ら語らずともその苦労や苦悩が必然的に伝わって来て目頭が何度も熱くなります。 だからこそガウディの事、サグラダファミリア建設に関わる人たちの思い、人として生きて...

外尾さんのガウディに対する理解、愛情、そしてサグラダファミリアを完成に導く決意と思いが詰まった心に迫る一冊。 外尾さんが自ら語らずともその苦労や苦悩が必然的に伝わって来て目頭が何度も熱くなります。 だからこそガウディの事、サグラダファミリア建設に関わる人たちの思い、人として生きていく上での幸せや苦しみを体得し、その溢れる思いが表現されている。 素晴らしかった!感動した!

Posted byブクログ