東京湾景 の商品レビュー
亮介も美緒も、臆病だからこそ、表面だけで付き合って、偽名であることを隠したり、それに気づいてても気づかないふりをしたりしていた。 すごく不自然だけど、その感覚は、分かる。傷付けないためではなく、傷つかないために、知らないふりをする。 でも結果的に、それが自分も相手も傷つけることに...
亮介も美緒も、臆病だからこそ、表面だけで付き合って、偽名であることを隠したり、それに気づいてても気づかないふりをしたりしていた。 すごく不自然だけど、その感覚は、分かる。傷付けないためではなく、傷つかないために、知らないふりをする。 でも結果的に、それが自分も相手も傷つけることになるのに。 分かっているけど、どうしようもないこともある。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。 品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。 嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。 東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。 結構今の自分にはタイムリーな物語だったように思う。 人の出会いと同様に物語の出会いもこういった面白さがある様に思う。 決して始まりもその間も終わりも美しくないし、綺麗な話ではないと思う。 だけども人ってこういうもんなんだと思う。 それらに強く惹かれる物がある。 亮介ほど大きな出来事を経ているわけでないけど、忘れられない人は誰だって持っているし、 美緒の愛や恋だのに翻弄される周りを冷めた目線で見てしまう所や恋愛ドラマがやけに陳腐に見えてしまうところなんかもきっと持ってる。 大杉とゆうこみたいに長く続いてる二人もなんとなく自分の環境下の中で居たりもしたり、 真理の様に追いかける愛に惹かれてしまう事もある。 物語の中の登場人物は現実の人間ほど奥行きが見えない。 だけど遠いようだけど近くにいる様な不思議な既視感を訴えてくるように思う。 沢山の時間を費やしてもお互いに探り探り、真っ暗な中で手探りで相手を知っていくようなところはなんとももどかしい。 確かめるほどではないけれど、刹那に起こる齟齬は物語でありながらリアルな感覚に陥る。 人を愛する形に型は無い。 はじまりがどうあれ、終わりがどうあれ。 人は人を求めて生きていかなければならない。 それが人間の遺伝子には強く書き込まれている。 ただ環境が、人間関係がそれを疎ましく、うっとおしくさせるのも嘘じゃない。 豊かで満ち足りている世界だからそこ相手が見えなくなる恋もある。 ただ目の前に居るのに、見ているのは心のつながりでは無い時もある。 それでも人は誰でもないたった一人の相手を求めている様に思う。 なんだか揺さぶられました。
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後半からはシンプルに亮介と美緒に焦点があてられてて読みやすかった。でも無理やりハッピーエンドにした感じがする。
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今まで読んだことの無い雰囲気の本だったが、とても楽しみながら読む事が出来た。掴みどころなくフワフワしてると感じたけど、こういう恋愛もしてみたいと思う。
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学生時代に読んでいたら、間違いなく憧れた世界だと思います。今もこういう恋愛も素敵だとは思うけれどタイミングが少し遅かったかな。彼女の住んでいるであろう街が、私の最寄りの隣ということもあり、勝手に感情移入。吉田修一さんは「悪人」の印象が強かったので、こんなにロマンティックな小説も書...
学生時代に読んでいたら、間違いなく憧れた世界だと思います。今もこういう恋愛も素敵だとは思うけれどタイミングが少し遅かったかな。彼女の住んでいるであろう街が、私の最寄りの隣ということもあり、勝手に感情移入。吉田修一さんは「悪人」の印象が強かったので、こんなにロマンティックな小説も書けるんだと、こちらの方が古い作品なのに、私にとっては新鮮でした。幅広い作家さんで、これからも読み続けたい一人です。
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平等院鳳凰堂(国宝)の中で一気に読んだ ある意味思い出の一冊。 話しの流れや、テーマは良い。 純愛をよく捉えていると思う。 が、人物のセリフ描写が絶望的に下手!! よって登場人物の誰にも感情移入できず。 文章の精度が物語を 左右してしまう事実をあらためて確...
平等院鳳凰堂(国宝)の中で一気に読んだ ある意味思い出の一冊。 話しの流れや、テーマは良い。 純愛をよく捉えていると思う。 が、人物のセリフ描写が絶望的に下手!! よって登場人物の誰にも感情移入できず。 文章の精度が物語を 左右してしまう事実をあらためて確認。 自分も精進せねば…
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ドラマの東京湾景ってこれが原作?こういうお話だったっけ⁇ 面白いって思ったわけじゃないけど、スラスラ読めたのは面白かったってことかな。
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出会い系で知り合った男女が 何度も身体を重ねて それでも心までは重ねられなくて 近づいたと思ったらすれ違ったり そんな繰り返し。 なにが素敵って 東京湾ってロケーション。 東京湾を挟んで働くふたり。 対岸にいる相手をふと探してみる。 素敵だなぁ…。 亮...
出会い系で知り合った男女が 何度も身体を重ねて それでも心までは重ねられなくて 近づいたと思ったらすれ違ったり そんな繰り返し。 なにが素敵って 東京湾ってロケーション。 東京湾を挟んで働くふたり。 対岸にいる相手をふと探してみる。 素敵だなぁ…。 亮介の胸の火傷痕のエピソードもそうだけど よっしゅうさんの描く男性って どうしてこうもピュアで不器用なんだろう。 以前、お台場で行われていたライブのために 名古屋から上京し、テレポート駅で降りた瞬間 もしかしたら美緒と擦れ違えるんじゃないかなと 思わずキョロキョロしてしまいました(笑) ラストの亮介の「東京湾を泳いで渡って…」のくだり。 私が美緒なら、きっとすぐに浮き輪を買いに行って ちょっとでも彼との距離が縮まるように プカプカ浮きながら彼を待つと思う。 どんなに流されても きっと亮介は見つけてくれる。 そういう人なんだと、思う。
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H24.6.30 ハッピーエンドでほっとした。亮介は楽々東京湾を泳いで横断したに決まってる、と私も思うから。自分も学生の頃つまらなそうな顔をしている、と言われた事があるからかな?何だか激しい恋がしたいなぁ、と思わせる話だった。
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ドラマでやってた東京湾景ってこんな話だったっけ!? 在日の話だと思って吉田修一の作品なのに避けてたんだけど、普通の恋愛小説だった。 私が大好きな湾岸が舞台で、景色の描写もリアルで素敵。 ストーリーもバッドエンドを想像してたから、ちょっと嬉しかった。 陳腐と言ってしまえばそれまでだ...
ドラマでやってた東京湾景ってこんな話だったっけ!? 在日の話だと思って吉田修一の作品なのに避けてたんだけど、普通の恋愛小説だった。 私が大好きな湾岸が舞台で、景色の描写もリアルで素敵。 ストーリーもバッドエンドを想像してたから、ちょっと嬉しかった。 陳腐と言ってしまえばそれまでだけど、個人的には好感の持てるエンディングだったな。 恋愛はいつか終わるって分かってるけど、大事なのは終わるまでの過程なのかも。
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