スイッチ の商品レビュー
晴海苫子―26歳、フリーター、処女。 この小説の主人公は、一見今どき珍しい設定のように思えるが、意外とその辺に転がっている身近なモチーフで描かれている。 まるでクラスメイトが書いたかのようなフランクな文体までもが苫子の設定に等身大。 全ては受け入れられなくとも、細かい部分で...
晴海苫子―26歳、フリーター、処女。 この小説の主人公は、一見今どき珍しい設定のように思えるが、意外とその辺に転がっている身近なモチーフで描かれている。 まるでクラスメイトが書いたかのようなフランクな文体までもが苫子の設定に等身大。 全ては受け入れられなくとも、細かい部分で頷くことの多くある作品である。
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うだうだとした感じの主人公の多いこの人の作品だけれど、最後にはちょっぴり前向きになれた。 「上に向かっているのか下に向かっているのかわからないときは上に向かっていると思えばいい」 素敵な言葉ね。
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長編小説 さとうさんのデビュー作。 『日本ラブストーリー大賞』審査員絶賛賞受賞だそうです。 ↑これがちょっと恥ずかしいのはあたしだけ?; ・・・と思っていたけれど、いい意味で裏切ってくれました。 ベッタベタなラブストーリーではなく、どこかシュールな物語。 スイーツ(笑)とは程遠...
長編小説 さとうさんのデビュー作。 『日本ラブストーリー大賞』審査員絶賛賞受賞だそうです。 ↑これがちょっと恥ずかしいのはあたしだけ?; ・・・と思っていたけれど、いい意味で裏切ってくれました。 ベッタベタなラブストーリーではなく、どこかシュールな物語。 スイーツ(笑)とは程遠くて、とても好みなものでした。 主人公のクセをなぞらえての「スイッチ」という題名だけれど、 そのクセはそこまで重要なものなのかなぁ、というのも正直あるかも。 その描写がそこまで活かされていない気が・・・。 という点だけが残念。 登場人物や語り口はすこぶるいいかんじ。
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第1回ラブストーリー大賞絶賛賞受賞作。同大賞は、6月末に感想を書いた、原田マハ『カフーを待ちわびて』だが、絶賛賞というだけあって本作の方がインパクトは強い。 胸が痛くなった。少し前までの自分がここにいるから。ここまでネガティブではないけれど、人間関係をうまく築けず、人の言動にイ...
第1回ラブストーリー大賞絶賛賞受賞作。同大賞は、6月末に感想を書いた、原田マハ『カフーを待ちわびて』だが、絶賛賞というだけあって本作の方がインパクトは強い。 胸が痛くなった。少し前までの自分がここにいるから。ここまでネガティブではないけれど、人間関係をうまく築けず、人の言動にイラつく気持ちに共感しまくりだった。 そんな主人公は、晴海苫子26歳、フリーター。処女。あまりに無愛想なので簡単なバイトもすぐクビになる。読書好きから、もともとは編集の仕事を志し就職活動をしていたが、ことごとく採用されないまま歳を取っていた。 苫子は、人の首の後ろに苫子にしか見えないスイッチがあって、それを押すとその人が消えてしまえばいい、と思っている。同じように、自分にも同じスイッチがあって、自分自身も消え去りたい、と。だから苫子の首の後ろには痣ができている。 苫子は、劣等感のかたまりだった。何も悪いことなどしていないのに(たとえ人助けをしたときでも)いつも悪者になるのは苫子だ。社会からバカにされ、つまはじきにされていくうちに身についた、すべてをあきらめている態度が、周りには社会をなめているように見えてしまう。 そんな中でも、ビル清掃のバイトを始めてから出会う人々との交流で、苫子は少しずつ成長していく。掃除婦歴6年の先輩中島さん、短大で同じ専攻だった結衣、喫茶店「ドンマイ」の家具好き店長サル男、前のバイトで一緒だった高津、短大時代コンパで出会った川瀬、ビル清掃のバイトに後から入ってきた21歳の元キャバ嬢瑠夏。中島さんやサル男や瑠夏の言葉に、救われる気持ちがすることもあった。 ところがそれらからも離れることになり、また元の生活に戻る。しかし以前の苫子とは少し違っていることは確かだ。本人が気付いているかいないかは別として。 これはラブストーリーではない。純文学である。人間の観察眼の鋭さと、それを表現する力に、この作家を絶賛した審査委員の気持ちがわかる。 わたしがいたく共感したのは、苫子の人間関係に対する考え方だ。 1.人に「切られる感覚」のせいで人間関係に臆病だったり、 2.人付き合いの経験値が低く、<誘われることもめったになかったが、その断り方も知らな>いため、人の誘いを面倒くさいながらも断れなかったり、 3.誰かとの関係が終わっても<それで良かった。モメるのは嫌でも、表面的なぎこちない笑顔の関係も、苫子には無理だった>り、 4.<誰と別れても、動じない自分でいたかった。人はただ、楽しさや愚痴だけを共有して、苫子の前を通り過ぎて行く。ぶつ切りの人間関係に、いちいち傷つく余裕も>なかったり、 5.<誰かや何かにイラつく原因は、すぐに気持ちの落ちる苫子自身にあることも、苫子は気付いていた>り。 もちろん、上記の中で今の自分には克服できていることがいくつかあるが、これまでの人生を振り返ると、苫子とまったく同じ状態だったことが多々あったのだ。本書を読みながら、昔の苦い思い出がよみがえって仕方なかった。苫子のあまりのネガティブさに辟易することもあったけど。 ただ、ちょっとだけ現実味が薄まっちゃってるのではと思える部分がある。ひとつは、苫子は、劣等感のかたまりではあるが、決してブスではないところ。ブスどころか鼻筋が通った美人で、キャミソールとミリタリージャケットにデニムのスカートなど、そこそこかわいい服を着るのだ。ここがなんとなくこの性格とイメージが合わない気がした。 もうひとつは、無愛想で人に媚びることがなく、友達もいない苫子なのだが、なぜかよくいろんな人から電話やメールが来ること。ここまで人間関係に消極的な人間には、電話もメールも来ないはずだ。自慢じゃないけどわたしなんかほとんど来たことないからね。いつだって連絡取るのはわたしの方からですから。その返事だってろくに来ないし。だからこの点は、上記の1点目よりも説得力に欠けるんじゃないかしら、と思う。 でも、最後の方になると、苫子がかっこいいんである。苫子のような生き方も、ありかな、という気にさせてくれる。その辺が、他から電話やメールが来る所以なのかも、と思ったりもする。 自分と重なる部分が多々ある苫子の、この小説で、少し安心している自分がいる。苫子もわたしも、きっとこれでいいんだ。 読了日:2006年7月19日(水)
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わたくし行きつけの古本屋 BOOK OFF観光港店で105円でゲットしたこの本ですが、 たまたま目に入った運命にほろりです。 主人公はまったくのだめだめさん。 Yes womenなだけで生きてることに全然足ついてないのです。 「社会のおちこぼれ、贅沢、わがまま、自分持ってて...
わたくし行きつけの古本屋 BOOK OFF観光港店で105円でゲットしたこの本ですが、 たまたま目に入った運命にほろりです。 主人公はまったくのだめだめさん。 Yes womenなだけで生きてることに全然足ついてないのです。 「社会のおちこぼれ、贅沢、わがまま、自分持ってて羨ましい」 いろいろ言われるけど、そんなステップまでもともと上がれてない。 あがれなかった 上がらせても、もらえなかった 社会になんか入れてもらえなかった。 首についてるスイッチをカチカチ押して、人間を消して生きる主人公 そんなまったく小説の主人公に向いてない、苫子ちゃん。 地味子なのと違う、追い詰められてる哀れな苫子ちゃん。 涙もないし自殺もしない。そんな愛想じゃたいした同情なんかない とことん消極的で落ちるトコまで落ちてる穴の中の彼女 現実だったらイラつかれる存在を買ってしまうし 自分が苫子なら火あぶりしてしまいそうなイキモノ それでも訪れる波。生きている波。 そんな小さな満ち干がなんだかいい感じ。
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定評通り人物の設定がなかなかリアル 登場人物のだれかしらに共感できるのでは? 苫子がかわいくなってく気がしてよかった
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主人公の人間的な未熟さとか、仕事に対する半端な姿勢とか、何もかもを諦めたようなひねくれた態度とか。無性に自分を消してしまいたくなるほの暗い感情とか・・・。 その全てに激しく共感できてしまうあたり、私も駄目だなぁと思う。だから今時の若者はとか言われちゃうのかしら。 自分の首の付け...
主人公の人間的な未熟さとか、仕事に対する半端な姿勢とか、何もかもを諦めたようなひねくれた態度とか。無性に自分を消してしまいたくなるほの暗い感情とか・・・。 その全てに激しく共感できてしまうあたり、私も駄目だなぁと思う。だから今時の若者はとか言われちゃうのかしら。 自分の首の付け根、私も押したくなる。スイッチオフ。
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青春時代とはおおむね30歳くらいまでのことを指すそうです。よってカテゴリが「青春」。ちょっと違う気もする。 自分のことが嫌いだけれど、周りの人も嫌い。要は自意識過剰ですごく面倒くさい性格の主人公に自分自身が当てはまる、という人は多いのではないかと思う。登場人物のリアルな性格設定が...
青春時代とはおおむね30歳くらいまでのことを指すそうです。よってカテゴリが「青春」。ちょっと違う気もする。 自分のことが嫌いだけれど、周りの人も嫌い。要は自意識過剰ですごく面倒くさい性格の主人公に自分自身が当てはまる、という人は多いのではないかと思う。登場人物のリアルな性格設定が新鮮。
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26歳。フリーター。恋人なし。処女。勉強はできるのに、就職できず、バイトさえもクビになる。男にもなぜか引かれる。そんな苫子はいつも夢想する。人の首の後ろに苫子にだけ見える「スイッチ」があって、それを押すとその人を消せる――。喫茶店のサル男、ギャル清掃員、おしゃべりおばちゃん……不...
26歳。フリーター。恋人なし。処女。勉強はできるのに、就職できず、バイトさえもクビになる。男にもなぜか引かれる。そんな苫子はいつも夢想する。人の首の後ろに苫子にだけ見える「スイッチ」があって、それを押すとその人を消せる――。喫茶店のサル男、ギャル清掃員、おしゃべりおばちゃん……不思議な人々との関わりから、苫子は少しずつ変わっていく・・・ * 不器用で後ろ向きで悩んだり傷ついたりする苫子の姿に、自分が重なってみえたり・・・共感できるところがたくさんあったなぁ。
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『日本ラブストーリー大賞』審査員絶賛賞受賞。 フリーター、ちょっとおしゃれ、恋愛は苦手、苫子26歳(処女)の恋の話。 なんか女女女した文章で読みにくいな。 ちょっと共感できない。 アマゾンのカスタマーレビューがとても高くて気になってたわけだが、どうやらサクラばっかだな。...
『日本ラブストーリー大賞』審査員絶賛賞受賞。 フリーター、ちょっとおしゃれ、恋愛は苦手、苫子26歳(処女)の恋の話。 なんか女女女した文章で読みにくいな。 ちょっと共感できない。 アマゾンのカスタマーレビューがとても高くて気になってたわけだが、どうやらサクラばっかだな。
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