闇の底 の商品レビュー

薬丸岳【著】

2011/08/28

被害者遺族と警察、加害者の更正と司法の裁き、私刑と自衛の是非、をテーマにした警察小説。
法のうえの正義は明確であるがゆえに、慎重に視点を変えて書く姿勢には好感を持てるが、ラストは意見が分かれるところ。
個人的には残念な印象。

2011/09/28

性犯罪で少女たちが殺される。少女たちが殺される度に前歴者達が殺される。後味が悪い。ザラザラとしていて、ざわつく。これは当事者でないと分からない事ですね。でも、自分の中にサンソンがいないとは言い切れないのだろうなと。ただ、犯人の動機は弱いかな。毎回、色々な物を突き付けられるのですが、今の所「天使のナイフ」が一番印象深い。

2011/05/25

幼女の性犯罪事件が起こるたび、過去同様の罪を犯した者が殺される。この話は、登場人物の中の数人と、読者しか犯人はわからない結末となる。ま、ロリコンて大変だねーな話。

2011/02/01

警察の描写は、横山秀夫の方がネチネチ暗くてそれっぽいです。
過去、妹を性犯罪者に殺された刑事、長瀬をそのまま長瀬智也がやって映画化出来そうな感じ。
サンソンの心境の変化が今一つ弱い気がするなど、ツッコミどころが多いですが一気に読めました。ラスト、拒否反応を示す人は多いだろうなあ

2011/01/18

簡単に言えばロリコン犯罪者の加害者、被害者遺族の話です。
これはちょっと、展開に無理がありすぎたかなーと思いました。
現在出ている薬丸さんの本で順位を付けるなら、私の中では最下位です。（冊数少ないけど）

2010/12/15

図書館で借りた作品。子供への性犯罪という重いテーマながら、文体のおかげか読みやすいです。ラストの主人公の葛藤は読んでいたこっちもぞくぞくするものがありました。
ただ内容のわりにページ数が少し少なめだったのが、少し残念に思いました。

2010/10/01

小学生のころに妹を幼児性愛者によって殺された刑事・長瀬。
５才の娘を持つ刑事・村上。
二人の管轄内で、少女が犠牲になる事件が起きるたびに以前同様の罪を犯した前科者たちが殺されるという事件が起きる。
犯人の名はサンソン。殺人で殺人を抑止しようというのだ。
そして前科者たちを警護する刑事たちの鼻先でまた犠牲者が。。。
一体サンソンとは何者なのか？

薬丸さんの２作目です。
『天使のナイフ』ほどのひねりはありませんでしたが、しっかりひっかかりました。

前作でも描かれていましたが、理不尽にも家族を奪われた遺族の悲しみが胸に迫ります。
法治国家では許されぬ私刑。
それを行うサンソンを支持する世論や遺族たちと、サンソンを追わねばならぬ刑事たち。
このあたりで『さまよう刃』を思い出しました。
でもその刑事の書き分けがイマイチで、こちらのほうが内容的にも薄く、短い印象でした。

ラストは、こうなってしまったかぁ、という感じ。
これで本当に彼は救われたのでしょうか。心から望んでいたことなのでしょうか。

それにしても、幼女が被害者になる事件はもういいかげんにしてほしいです。
今後もこういった重いテーマで書かれるのでしょうか。
とりあえず、次の作品も読んでみようと思います。

2010/08/29

幼い少女が犠牲になる度に、かつて同じ罪を犯したものが首なし死体で発見される。
「サンソン」と自ら名乗る犯人から警察やマスコミに送られる、
予告状と犯行を記したビデオテープ。
性犯罪者の殺人ということで、
世間では殺人を擁護するような風潮さえ流れる。
そして、かつて妹を同じように殺された刑事は
この捜査に加わることになってしまった。

なかなか読み応えがあった。
内容が内容だけに、おもしろい、というわけにはいかないけど。
性犯罪者と性犯罪の被害者や遺族のことが描かれているし、
警察の捜査とサンソンの心理が交互に書かれるのが、緊迫感がある。

殺人という身勝手な行動ではあるんだけど、
再犯率が異常に高い性犯罪なのに、
何もできなくて手をこまねいているだけ、という今の日本の状況に
恐ろしく感じることもあるし・・・。
ちょっと考えさせられる本だった。

2010/08/02

最後まで読んで振り返ってみると、非常にデリケートな問題を、驚くような視点で切り込んだ意欲作のはず。
それなのに、なんとも平板な印象しか残らないのは、ひとえに作者の力量不足のような気がするのだが……

要素だけをばらまき、小説として「読ませる」組み立てがまるでできていないと思った。
だからもっと胸に食い込むような内容であるはずなのに、サラサラサラ～としか読めない。

サンソンの正体は途中で分かるが、よもや「時間がない」の意味が、そういうことだったとは……！！と、この点はビックラこいた。
これはすごいなあ、と唸った。というか、怖過ぎる。

長瀬の上司たちはことごとく同じキャラに見える。
とくに藤川は最後まで全然掴めないキャラだった。このヒト、なんだったのだろう……

サンソンと長瀬のとった行動のねじれに、現代の歪みが表わされているとは思うが……
やはりこの作品は小説としては物足りない。もったいない。

2017/09/20

幼い女の子が犠牲になる性犯罪、こういうテーマのものを読むと
いつもやり切れない気持ちでいっぱいになります。

この犯人の意図は極端だけど、自分の家族が犠牲者になったら
この犯人のような考えを持ってしまうかもしれない。

被害者遺族で刑事になった長瀬は世論を味方に付けた犯人を
追わされます。自分と同じような被害者遺族に会ったり
かつての加害者に会うことで、被害者遺族に付けられた傷の深さを
痛感します。
犯人が言った「絶対に捕まらない」という言葉の意味に闇の底を
感じます。

最後まで犯人が誰だかわからず、トラップもあってまんまと
騙されました。