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マイケル・K の商品レビュー

3.7

16件のお客様レビュー

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2024/04/14

途中から難しかったので正しく理解できたか分からない。 南アフリカで恵まれない境遇に生まれ育ったマイケルが、状況に適合できずにさらに状況を悪くしていく。でも、自分のことは自分ができるところまでは何とかしたい、とはいえどうにもならなくなっても施しやおせっかいは受けたくないという、強さ...

途中から難しかったので正しく理解できたか分からない。 南アフリカで恵まれない境遇に生まれ育ったマイケルが、状況に適合できずにさらに状況を悪くしていく。でも、自分のことは自分ができるところまでは何とかしたい、とはいえどうにもならなくなっても施しやおせっかいは受けたくないという、強さなのかヤケクソなのか希望なのか分からないようなある意味ポジティブな感情を持ち合わせているように感じた。 三章に別れているが、一章が179ページ、二章が60ページ、三章が19ページと、非常にバランスが偏っている。 一章はマイケルがついに限界を迎えるまでの物語で、ここは普通に読める。 物語の舞台が何年頃かは記述がないが、本が出版されたのは1983年で直前にはローデシア紛争が起こっていて、物語内で進行中の戦争はそれではないかと思われる。 二章はマイケルを受け入れたキャンプの医師に視点が変わる。ここでは主に「マイケルの理解できなさ」が中心になっているようだが、急に文章が長くなり、つながりも分かりにくく、一文一文の意味も取りづらくなってくる。 三章は再びマイケルの視点に戻るが、文章はやはり難しい。 何となく自分なりの世界の理解の仕方を見つけて、自分なりの希望を持てたような終わり方ではある。

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2023/12/26

口唇裂をもって生まれ、子ども時代を施設で過ごし庭園で働いていたマイケル・K。彼は貧困と内戦に蝕まれる都市から脱出し、病んだ母親を手製の車いすに乗せて、彼女が幼年期を過ごしたという地方の農場を目指すが… 病院や福祉制度、収容所にとらえられては脱け出すマイケルは、生存の限界へと自らの...

口唇裂をもって生まれ、子ども時代を施設で過ごし庭園で働いていたマイケル・K。彼は貧困と内戦に蝕まれる都市から脱出し、病んだ母親を手製の車いすに乗せて、彼女が幼年期を過ごしたという地方の農場を目指すが… 病院や福祉制度、収容所にとらえられては脱け出すマイケルは、生存の限界へと自らの身体を追い詰めながら、他者からの支配を逃れるという一点を譲らない。文中にはいくどか「恥ずかしさ」という文言が現れるが、もしもガーデナーである彼がこの世界における自分の生のありように恥を覚えずにいられないのだとしたら、なぜこのわたしは、こうもたやすく他者からの支配を受け入れながら、恥を感じずに生きていられるのかという問いにとらわれる。反アパルトヘイト文学という枠をはるかに超えて支配と尊厳を問う。

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2019/01/30

ブッカー賞、訳:くぼたのぞみ、原書名:LIFE&TIMES OF MICHAEL K(Coetzee,J.M.)

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2018/05/20

p200「ただし、都会の鼠だったために土地か生活の糧を得る術を知らず、ひどい飢餓状態に陥った。そこを幸運にも発見され、また船に引き上げられた。だったら何をそんなに憤慨しなければならない?」 ノーベル文学賞受賞者の著作ということで。 獣のような漠然とした力に動かされ、生きて畑を耕...

p200「ただし、都会の鼠だったために土地か生活の糧を得る術を知らず、ひどい飢餓状態に陥った。そこを幸運にも発見され、また船に引き上げられた。だったら何をそんなに憤慨しなければならない?」 ノーベル文学賞受賞者の著作ということで。 獣のような漠然とした力に動かされ、生きて畑を耕し、隠れ、眠る、マイケル・K。戦争や暴力や難民キャンプに巻き込まれた、知恵のない男が、ケープタウンからプリンスアルバートの大地へ。

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2016/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三部構成。 ?と?は主人公視点の三人称で淡々と、 でも畳み掛けるように進む。 雰囲気は「ガープの世界」と「デイヴィッド・カッパーフィールド」を足して2で割った感じ〜。 で、だ。「?」よ。 野垂れ死に寸前の主人公が収容された病院職員が 彼に惹きつけられていく。あっという間に。 強引に。ほとんど恋みたいだ。 ひたむきさが主人公のスタンスと滑稽なくらい対極で、 この人、これからの人生どうなっちゃうんだろ。 作者はまったく構ってやる気がなさそうで、 気の毒〜 生まれつき障害を持ち、家族とは死に別れ、 何も待たない最下層の生活をしながら (平成ニッポンじゃない、南阿でよ) めぐり合う僥倖に目もくれず、 悪意にも構わずやり過ごし、憑かれたように 荒野を突き進む。ただここじゃない場所へ。 この神々しいまでの潔さの眩しいこと。

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2015/10/13

移住に必要な許可は、待てど暮らせど公的機関から発行されない。夜間外出禁止令の禁を破り、徒歩で母親の故郷へ旅立つ男に、数々の困難が立ちはだかる。捕らわれの生活の中で露わになる、管理社会の非人間性。逃れ出て山にこもり野に暮らす生活は、男に安息をもたらすが...。 寓意的な物語という印...

移住に必要な許可は、待てど暮らせど公的機関から発行されない。夜間外出禁止令の禁を破り、徒歩で母親の故郷へ旅立つ男に、数々の困難が立ちはだかる。捕らわれの生活の中で露わになる、管理社会の非人間性。逃れ出て山にこもり野に暮らす生活は、男に安息をもたらすが...。 寓意的な物語という印象を受ける。解説を読んで気づかされたのだが、発表当時、アパルトヘイト政策化にあった南アでは、抑圧側の組織名は当然出せず、思うところは暗に示す形にならざるを得ない事情があったのだ。その背景を知れば、寓意のマントに隠れて、その実、踏み込んだ内容だと思える。 男の行動は、何かに反抗するためのものではなく、己が真に求めることを突き詰めていくと社会の要求から逸れていく、という性質のものだ。言葉を変え視点を変え、終始一貫してその事が語られていく。読んでいて引き付けられる力があり、時間が許せば再読したい箇所が、いくつかあった。

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2014/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 内戦下の南アフリカ。 手押し車に病気の母親を乗せて、騒乱のケープタウンから内陸の農場をめざすマイケル。 道々待ち受けるさまざまなかたちの暴力にマイケルは抵抗し、自由を渇望する―。 全篇を通じ、人間の本質を問いかける緊迫した語りに圧倒される。 2003年にノーベル文学賞を受賞した作家クッツェーが、世界的名声を獲得した記念すべき作品。 1983年ブッカー賞受賞作。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2013/08/14

クッツェーによる移民文学の代表傑作。自由と孤独と虚無の世界に生きるKはこの世界と自分の人生に何の意味も見出さずただそこに生きるともなく生きている。陽炎のようなつかみどころのないKという人間の中に生という営みは結局何なのかという本質的な問題を見る思いがする生々しい作品です。

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2013/01/11

最初、この小説のあらすじを見たとき、 “悲惨な境遇の主人公が過酷な現実と闘いながら人間的に生きる” 的な趣旨の作品かなと思ったんですよ。 まぁ、実際、読み終えて、全く違うとは言わないんですけど、 ことこの本に関しては、そういう小説を読んだ時ににありがちな、 お決まりの感情は芽生...

最初、この小説のあらすじを見たとき、 “悲惨な境遇の主人公が過酷な現実と闘いながら人間的に生きる” 的な趣旨の作品かなと思ったんですよ。 まぁ、実際、読み終えて、全く違うとは言わないんですけど、 ことこの本に関しては、そういう小説を読んだ時ににありがちな、 お決まりの感情は芽生えなかったんですよね。 なんというか、もっと超越的というんでしょうか。 主人公の一貫した意思決定をもってして、 自分の価値観に揺さぶりをかけてくる感じなんですよね。 主人公は(悲惨な境遇とは言え)常識に反した行動をとっている訳ですが、 内観の丁寧な描写を読んでいると妙な納得感があり、 読む前には思ってもみなかった感覚を植え付けられる、そんな感じです。 その土地の文化的背景を反映していながら、普遍的な内容ですし、 そういう意味でも、ノーベル文学賞作家らしい、良い作品です。

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2015/05/13

[2011年] ときどきふいに自分の価値観が変わる本が訪れる。いや、以前からなんとなく思っていたこと、世界における人間のヒエラルキーについて。ある社会における立場の高いものから、その階級に属さないものを見る目。 自分で耕して作った食べ物、それは大地からの贈り物であるという純粋な認...

[2011年] ときどきふいに自分の価値観が変わる本が訪れる。いや、以前からなんとなく思っていたこと、世界における人間のヒエラルキーについて。ある社会における立場の高いものから、その階級に属さないものを見る目。 自分で耕して作った食べ物、それは大地からの贈り物であるという純粋な認識。 今置かれている現実に疑いを持たない人間がいるとしたら、そのひとは一生無垢でいられるだろう。 本を書くことは傲慢じゃなければならないんだな、と読みながら、思った。 [2015年] 再読中

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