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グラン・ヴァカンス の商品レビュー

4.3

74件のお客様レビュー

  1. 5つ

    31

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2026/02/13

残酷描写といえば…で、再読。 初めて読んだ飛浩隆作品がこれでした。 デジタル世界に構築された仮想リゾート。今では当たり前にイメージできる娯楽のありかたが、2002年の刊行時に既に詳細に描き出されている、ばかりか、もう行き着くところまでいってしまっている。 そこでやれることは(悪...

残酷描写といえば…で、再読。 初めて読んだ飛浩隆作品がこれでした。 デジタル世界に構築された仮想リゾート。今では当たり前にイメージできる娯楽のありかたが、2002年の刊行時に既に詳細に描き出されている、ばかりか、もう行き着くところまでいってしまっている。 そこでやれることは(悪い意味で)やりつくし、あげくサービス自体が崩壊。AIたちが呼ぶところの「大断絶」によって現実世界からのゲストが途絶え、放棄されて、すでに一千年が経っている。凡人の想像の2歩先を行く物語のはじまり。 とにかく何もかもが美しい。 見捨てられたリゾートで、自律するAIたちが生きている。清らかさの裏で倫理の壊れたリゾートの風景。響きのきれいなフランス名のAIキャラクターたち、その個性と関係性。ちょっと古くさい台詞回しすら、かれらのロールにあてがわれたプロンプトがそうさせていると思えてくる。 硝視体が見せるあざやかなエフェクト、ピクセル単位までこまやかに描き出される五感。姿も武器も異なる敵たちと、万華鏡のように変化する戦いのバリエーション。全体にまぶされたフェティッシュで猥褻なにおい。 ストーリーが展開するごとに世界の深度が増し、絶望の種類まで変わっていく。違う世界を覗かせながら、すべてが見えそうで見えないもどかしさ。 それを描き出す言葉と文章のなにもかも、残酷描写までもが美しい。 そして、あまりの残酷に心を痛めながらも、これはすべてAIたちの話で現実ではないんだという意識が、つねに、うっすらとある。その逃げ道にすがって読み進めている自分の薄情さを自覚する、その罪悪感まで計算済みで作品に絡め取られている心地がする。 2002年に初版刊行。私が読んだのは、電子書籍版の刊行が2013年だったようなので、少なくともそこ以降です。 2002年の時代感覚の中でこれを読んでみたかったなぁ。9.11とFFXの翌年。まだYouTubeもtwitterもなかった頃に、これ。 どれだけの衝撃だっただろう…

Posted byブクログ

2026/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

穏やかで優しい海辺の田舎町の何気ない一日の風景、心安らぐ平凡な日常のシーンから物語が始まる。 ただ、最初からシミュレーション内の世界であり、登場人物達がAIであることを隠そうとしないためであろうか、のどかだがどこか不思議な雰囲気の導入だとも感じた。 『1000年』という時間が比喩ではなく何度も文中に現れる。 このAIたちに対しては、世界や時間・過去に対する認識や内面が揺れ動く様が人間のようだと感じる一方で、1000年間を(正気のまま)少年であり続けられることやそれだけの長時間を共に過ごしたヒトを失った際の反応など、狂ってしまわない点に「やはり人間とは違うモノだ」と感じる、相反する感想が入れ子になっていた。人間としか思えないような優しく”人間味”のあるキャラクター達に感情移入や思い入れが生じるが、それが間違っていると心の隅で引っかかっているような妙な気分で読み進めていた。 序盤は「正統なSF作品だ」という感想だったが、中盤では巧みな恐怖演出とAI達の恐れが文章から良く感じられ「これはパニックホラーだ!」という印象を抱いた。終盤の世界観が完全に崩壊していく様や通常の動きを越えていくキャラクター達の様子はファンタジーのようでもある。 これは描写が克明で写実的であるためだろうか。 最終盤のジュールがジュリーに追いつくあたりのシーンが特に印象に残っているが、綺麗なシーンは音(無音・静寂)まで感じられそうだと思った。 逆に中盤からの残虐なシーンはAI達の最期があまりにグロい。緻密で鮮やかな描写も相まって著者の暗い性癖を反映しているのではないかと思えるほどだった。思い入れのあったAI達を次々に虐殺された怒り(?)から、「コレを人間で描写することに抵抗があったから作品の世界観を仮想空間とし、キャラクターをヒトのアバターではないAIにしたのではないか」と勘繰ってしまった。 最終章は、今までのエピソードが伏線のように別の側面を持っていたり、グラスアイやドリフトグラスの謎が明かされていく。 外の世界や大途絶の事、天使についてのようなAI達の世界の“外”のことはわからないが、それでも、それはそれとしてスッキリとした終わりかただと感じた。

Posted byブクログ

2024/05/21

会員制仮想リゾート数値海岸の一区画、夏の区会 南欧の不便な港町、そこはゲストが1000年もの間訪れなかった 永遠に続く、平穏な日々をAIたちは送っていたのだが…ある日謎の存在「蜘蛛」の大群が全てを消し始める…というお話 まず何より文章が美しい 主人公、ジュールが夏の朝に海へ向かっ...

会員制仮想リゾート数値海岸の一区画、夏の区会 南欧の不便な港町、そこはゲストが1000年もの間訪れなかった 永遠に続く、平穏な日々をAIたちは送っていたのだが…ある日謎の存在「蜘蛛」の大群が全てを消し始める…というお話 まず何より文章が美しい 主人公、ジュールが夏の朝に海へ向かってかけて行く描写は今や忘れてしまっていた夏休みの日の朝そのもの あの爽やかな空気感、今日は何をしようかという高揚感を素晴らしく表しています 「蜘蛛」との戦闘描写も迫力満点 AI達の奮戦ぶり、そして死に様は残酷なまでに美しい エロ描写、グロ描写は詳細でどこか美しくて、儚げで、残酷で あとがきに「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけたつもりだ」とありましたがまさにその通りでした この本を読んだ時に図書館の奥で眠っていた埃のかかった分厚い古いハードカバーの洋書のような印象を受けました 人の目に触れなくなってしまった物語の登場人物はどうなってしまうのだろう?という問いもこの話はもたらしてくれます 読む前ならば、彼らの前日譚が繰り返されているのか 途中で投げ出したのならば、その瞬間が永遠に続くのか 読み終わっても、物語は続いていくのか 悲劇は僕が読んでしまったから起こったのではないか? そう思いながら作品に触れました グラン•ヴァカンス、廃園の天使シリーズは多くの謎を残して終わりました 続編が刊行済みが一冊、連載中が一作あるそうなので追いかけてみようと思います!

Posted byブクログ

2024/02/25

理系ではない頭では設定に理解がついていかない部分はあるけれど、それにしても面白かった。 登場人物はAIであり、グロテスクで救いのない場面が続くけれど、無機質ではない。むしろ、情や執着や羞恥心のような人間味と、生きていることの切なさのようなものがある。もっと雑にいえば、なんだかよく...

理系ではない頭では設定に理解がついていかない部分はあるけれど、それにしても面白かった。 登場人物はAIであり、グロテスクで救いのない場面が続くけれど、無機質ではない。むしろ、情や執着や羞恥心のような人間味と、生きていることの切なさのようなものがある。もっと雑にいえば、なんだかよくわからないけれど、切ない。 なんだかよくわからないというのは、設定やストーリーではなく、読み終わった後の感情がうまく形容できないという意味である。その、「なんだかよくわからない」を受け入れられる人にはこの本をお勧めしたい。

Posted byブクログ

2024/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み終わりたくなかった…読み終わってしまった…。 「零號琴」が面白かったのでこちらも、と手を伸ばしたのだけれど凄まじかった。2章のアンヌの登場あたりから面白さがどんどん加速していく。徹底した、容赦のない残酷さ。無慈悲さ。全編とおして、それこそ「天使」みたいな無機質さと美しさを感じる文章。 美しい永遠の夏の区界。表向きのコンセプトは「古めかしく不便な街で過ごす夏のバカンス」だけど、それは「踏みにじられる為のイノセンス、無垢」という意味合いも内包していて、その成り立ちからしてもう、この区界そのものが残忍さと美しさの集積で出来ている。  「零號琴」のときもそうだったけど、本作も一見美しく豊かな世界観の裏には幾重もの秘密と時間のレイヤーが埋まっていて、読み進めることはそれらを暴く作業になる。つらいんだけど、物語が進むのが面白くてやめられない。個人的にアンヌが好きなのでアンヌのところが辛かったな。ジョゼも可哀想だった。貧しい農夫と刺繍妻の話は本当に怖かったし。 とにかく続きが楽しみ。 ⚫︎あらすじ 仮想リゾート〈数値海岸〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。だが、それは突如として終焉のときを迎える。謎の存在〈蜘蛛〉の大群が、街のすべてを無化しはじめたのだ。わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦が幕を開ける――仮想と現実の闘争を描く〈廃園の天使〉シリーズ第1作。 (ハヤカワオンラインより引用)

Posted byブクログ

2023/11/03

これほどまでに文章だけで人を惹きつけることができるのか、と思った。どこまでも残酷で、救いがない。「作られた」存在であるAI。だがそこに確かに感情は存在している、心はある。例えそれすらも最初から規定されていたものだとしても。読めば読むほど苦しくなるのに読むのをやめられない。かけ離れ...

これほどまでに文章だけで人を惹きつけることができるのか、と思った。どこまでも残酷で、救いがない。「作られた」存在であるAI。だがそこに確かに感情は存在している、心はある。例えそれすらも最初から規定されていたものだとしても。読めば読むほど苦しくなるのに読むのをやめられない。かけ離れているように思える残酷さと美しさが共存していた。そのアンバランスで脆く壊れそうな、高度の低い宝石のような美しさが好きだった。

Posted byブクログ

2023/07/21

私は何を読んだんだろう。 何度も読むのやめようかと思いながら読み進めて、半分を過ぎてからは一気に駆け抜けた。 めちゃくちゃにグロくて、気持ち悪いけど、けどなんだろう。 よくわからない。

Posted byブクログ

2023/06/08

全体の辻褄の合い方が心地よかった。 グロさ、官能、残酷さ、優しさ、諸々の要素が絡み合った、AIながら人間味あふれる描写が魅力的だった。 描写が丁寧なためか、感情移入して辛い場面が多かった。酷く痛々しく、醜い。 ありふれた設定かもしれない。それでも引き込まれる強さがあった。 ど好...

全体の辻褄の合い方が心地よかった。 グロさ、官能、残酷さ、優しさ、諸々の要素が絡み合った、AIながら人間味あふれる描写が魅力的だった。 描写が丁寧なためか、感情移入して辛い場面が多かった。酷く痛々しく、醜い。 ありふれた設定かもしれない。それでも引き込まれる強さがあった。 ど好みではない。 続きは読みたいと思う。

Posted byブクログ

2023/01/04

人の訪れることのなくなったリゾート地での一夜の攻防戦。設定はむずかしいものではなく読みやすい、けど耽美でありエログロでありすごくそそられる世界でした。

Posted byブクログ

2022/03/13

情景描写を想像するのが難しく、こういうことかな?と随時思いながら読み進めていった。だが、ストーリーを淡々と読み進めていっただけで、私の感受性が乏しいだけかもしれないが、残酷な場面であっても事実として受け止めただけで、感情が生まれることはなかった。 ラギッド・ガールは今作に比べ好...

情景描写を想像するのが難しく、こういうことかな?と随時思いながら読み進めていった。だが、ストーリーを淡々と読み進めていっただけで、私の感受性が乏しいだけかもしれないが、残酷な場面であっても事実として受け止めただけで、感情が生まれることはなかった。 ラギッド・ガールは今作に比べ好評なので、そっちに期待する。

Posted byブクログ