感動をつくれますか? の商品レビュー
一昔前、「癒し系」という音楽が流行ったとき、 ごたぶんいもれず、久石譲の音楽も注目が集まった。 これまでたくさんの人々を感動にさそったジブリや北野作品の映画には 必ずこの人の名前があったからだ。 しかし、そういう言われ方ををする前からそういう音楽を 聴いてきたきた自分にとっては...
一昔前、「癒し系」という音楽が流行ったとき、 ごたぶんいもれず、久石譲の音楽も注目が集まった。 これまでたくさんの人々を感動にさそったジブリや北野作品の映画には 必ずこの人の名前があったからだ。 しかし、そういう言われ方ををする前からそういう音楽を 聴いてきたきた自分にとっては違和感を感じていた。 「癒し系」というのは、音楽自体の良さを讃える言葉でなく、 「聴けば効能がでる」という一種のツールのような言い方に聞こえるからである。 「癒された」というのは、人それぞれが音楽をきいて受け取った結果であって、 大衆全員が同じ目的をもってすることではない。そう思った。 同じく区別用語である「ヴィジュアル系」とニュアンスが近い。 何かのインタビューで久石さんも「癒し系」という言葉は好きではない、 ということを言われていた。 やはり音楽とは本質的なズレを感じるからであると思う。 だから久石氏の音楽論や人生論には元々興味があった。 本を出されていたのは偶然別の本で紹介されたいたからであったので この出会いには感謝したい。 しかも、音楽の内容がメインというより、ものづくりをどう進めていくか、 プロとはなにか、ということを主題に置かれていて、 自分の生活にもマッチしている内容だった。 さて、次は「トンマッコルへようこそ」を観ようかな。 【ココメモポイント】 ・「作曲家として最もプライオリティを置いていること」は「とにかく曲を書きつづけること」 ・過度な負荷をかけることで、翌日の効率が確実に落ちる ・実際には、僕がつくる曲は、僕の過去の経験、知識、今までに出会い聴いてきた音楽、 作曲家としてやってくることで手に入った方法、考えたこと、それらの蓄積などが基になって生まれてくるものだ ・結局いかに多くのものを観て、聴いて、読んでいるかが大切だということだ ・ものをつくる人間に必要なのは、自分の作品に対してのこだわり、独善に陥らないバランス感覚、そしてタフな精神力、この3つ ・譜面を書くことが作曲家の仕事なのではなくて、音楽を作る一プロセスとして譜面があるだけ ・感じる心が希薄であれば、どんな映画も、どんな事実もその人の頭と心を素通りしていくだけだ。それはすなわち無知となる
Posted by
久石譲の音楽家としてのエッセイであり、一種のプロ論でもある。学生などが陥りそうな思考パターンに対し、ハッとさせられる指摘が多くて楽しい。
Posted by
いろいろ、共感したり 納得というか・・・腑に落ちるところがある。 創造力をテーマに 音楽家の視点から書かれているので おもしろい。
Posted by
一流の人間の思考、行動力が見えた気がします。 ちょっと種類は違うけどものづくりをしてる人間として参考にしたい。 オンリーワンじゃなくてナンバーワンがいいに決まってる。 自分もあの歌嫌いです。
Posted by
久石譲と言えば、ジブリの「となりのトトロ」や「もののけ姫」の音楽を手掛けた作曲家である。そう言われれば、顔は思い出せないとしても、彼が生み出したメロディーはすぐに思い出せるのではないだろうか。そこに作曲家としての久石譲の凄さがある。本書は、常にクリエイティブな仕事が要求される作曲...
久石譲と言えば、ジブリの「となりのトトロ」や「もののけ姫」の音楽を手掛けた作曲家である。そう言われれば、顔は思い出せないとしても、彼が生み出したメロディーはすぐに思い出せるのではないだろうか。そこに作曲家としての久石譲の凄さがある。本書は、常にクリエイティブな仕事が要求される作曲家としての仕事論をまとめた一冊である。 まず、著者は「日本人は、漠然としたイメージだけで「感性」という言葉を大事にしすぎている」(p.29)と指摘する。本書の姿勢として、著者が自分なりの“感性”や“直感”をどう考えているのかを明確にした上で、それらを磨くために必要なことを論じている。巷の「漠然としたイメージ」による仕事論ではなく、あくまで「久石譲」の仕事論が語られているところに好感が持てる。 例えば、題名にもなっている「感動」できる音楽をどう作るのか。著者は、作曲には「論理的な思考と感覚的なひらめきを要する」(p.31)という。前者は「自分の中にある知識や体験などの集積」であり、実に「感性の九五パーセント」を占める。しかし、肝心なのは「残りの五パーセント」にあたる「感覚的なひらめき」である。著者は「自分でつくってやろう、こうしてやろうといった作為のようなものが意識から削ぎ落とされたところに到達すると、人を感動させるような力を持った音楽が生まれてくる」(p.32)と結論付ける。 本書の目的語は-久石譲が語る仕事論であるため-全て「音楽」になっている。しかし、これを別の目的語(「商品」とか「研究」など)に置き換えても、十分通用する内容である。もちろん、中には腑に落ちない部分もあるだろう。それでも、クリエイターとして第一線で活躍する者の仕事論として、読むに価する一冊である。
Posted by
私はジブリが大好きなんですが、 その理由として久石さんの手がける素晴らしい音楽も含まれています。 そんな久石さんが書かれている本。 卒論も音楽関係のことをやるのでと購入。 正直言うと、立っている場所が私たちとは違うんだなと。 本当に感性や才能を持っている方だと思いました。 しか...
私はジブリが大好きなんですが、 その理由として久石さんの手がける素晴らしい音楽も含まれています。 そんな久石さんが書かれている本。 卒論も音楽関係のことをやるのでと購入。 正直言うと、立っている場所が私たちとは違うんだなと。 本当に感性や才能を持っている方だと思いました。 しかし「作曲家」という視点から日本の現状を説いた話はとても共感したし、実際そうなのだと考えさせられました。 自分の生き方にプラスになる本でした。
Posted by
その世界で有名な人のお話というのは、人生を考える上で参考になる!とつくづく思う。 音楽の話はあまりよく分からないけど、常に前進する姿勢の話が素敵です。元気が出ました。 好きな言葉は、「質より量で自分を広げる」
Posted by
私がこの本を手に取ったきっかけは、たまたま本屋で、というものでした。 元々ジブリ作品が好きなので、自然と使われている音楽に興味が向いたのも、ひとつの動機かもしれません。 所どころ「これは久石さんだからこそ言えることだ」というような箇所もありましたが、私も日ごろ生活する上で必要な心...
私がこの本を手に取ったきっかけは、たまたま本屋で、というものでした。 元々ジブリ作品が好きなので、自然と使われている音楽に興味が向いたのも、ひとつの動機かもしれません。 所どころ「これは久石さんだからこそ言えることだ」というような箇所もありましたが、私も日ごろ生活する上で必要な心構えを改めて知らされたような気がしました。 オンリーワンになるなら、ナンバーワンにならねばならない、という箇所が非常に印象に残りました。 「個性」では当たり前すぎる、その個性を発揮するためには何らかのフィールドでナンバーワンになる必要がある。 そんなことを感じました。
Posted by
衝撃の一冊。天才の言葉にはひとつひとつに重みがある。彼の性格が出ており挑発的であるが、私自身、限界を越えていきたいと思えた。
Posted by
久石譲著「感動をつくれますか?」角川ONEテーマ21(2006) * イメージの範囲内で無難なものを作ったのでは面白みがない。監督をやろうとしている人は、創造力にあふれている。自分のモデルすべてを投入して映画をとっている。こちらもそれに太刀打ちできるだけのもので応えなければならな...
久石譲著「感動をつくれますか?」角川ONEテーマ21(2006) * イメージの範囲内で無難なものを作ったのでは面白みがない。監督をやろうとしている人は、創造力にあふれている。自分のモデルすべてを投入して映画をとっている。こちらもそれに太刀打ちできるだけのもので応えなければならない。監督は、実は自分の要求したイメージの殻を突き破るような新鮮味のある音楽を求めている。 * 毎回が真剣勝負である。あらゆる感覚を総動員させ、自分を限界まで追い込んでいく。普通に考える範疇をこえるものがそういう中で生まれてくる。最前線の人たちとのコラボレーションは自分を成長させてくれるのだ。 * 一流とはハイレベルの力を毎回発揮できることである。 * 時間軸と空間軸の中で創造されるものは、みな論理的構造を持っている。つまり、音楽も文学も映画も時間の経過のうえで成り立っているものは、論理的構造を持ち合わせている。一方で、絵は作品が表現するものが見た瞬間にわかる。瞬時に世界を表現できる力がある。時間の経過を伴わない分、論理的なものより、直感的に訴える。だから、絵描きは感覚が突出する。 * 自分の曲の最初の聴衆は自分である。だから自分が興奮できないようなものではだめなのである。自分がいいと思って喜べるようでないと聞く人の心を動かすことなど到底出来ない。 * 自分が日本人であること、そしてアジアの一員であるということを非常に意識している。
Posted by