心にナイフをしのばせて の商品レビュー
あれ…被害者の妹さんの生い立ち、人生を知りたい訳じゃなかったんやけど…? 2013.05/24 読了。
Posted by
評価できないけれど… 読後感が非常に悪かった。 ある死刑囚が獄中で書いた作品が注目を浴びた時、 ある作家が知人を題材に小説を書いて問題になった時、 罪を犯した人の独白で進む小説を読んだ時、 すべてに共通する不快で嫌な感じがした。 この本を読んでしまった自分はいったい何な...
評価できないけれど… 読後感が非常に悪かった。 ある死刑囚が獄中で書いた作品が注目を浴びた時、 ある作家が知人を題材に小説を書いて問題になった時、 罪を犯した人の独白で進む小説を読んだ時、 すべてに共通する不快で嫌な感じがした。 この本を読んでしまった自分はいったい何なのか、 興味本位だったのか、真実と言われるものを知りたかったのか、 嫌悪感を感じてしまう。
Posted by
40年前にも酒鬼薔薇事件はあった。 少年法に守られた犯人と 家族を奪われた上に全てをめちゃくちゃにされた被害者家族。 法とは一体誰を守るものなのか、 被害者家族は一体いつになったら事件の傷が癒えるのか。 少年の更生とは何をもって計るのか。 いろんなことを たくさんたくさん考え...
40年前にも酒鬼薔薇事件はあった。 少年法に守られた犯人と 家族を奪われた上に全てをめちゃくちゃにされた被害者家族。 法とは一体誰を守るものなのか、 被害者家族は一体いつになったら事件の傷が癒えるのか。 少年の更生とは何をもって計るのか。 いろんなことを たくさんたくさん考えさせられた本。
Posted by
神戸連続児童殺傷事件を論じる際に度々引き合いに出される、高校生首切り殺人事件の後に、被害者が受けた心の傷に焦点を当てて執筆された本。 インタビューの大半に答えて下さった妹さんは本当に辛い思いをしてこられたと思う。揺れ動く気持ちを汲みとってくれる大人が周りにもう少しいてくれた...
神戸連続児童殺傷事件を論じる際に度々引き合いに出される、高校生首切り殺人事件の後に、被害者が受けた心の傷に焦点を当てて執筆された本。 インタビューの大半に答えて下さった妹さんは本当に辛い思いをしてこられたと思う。揺れ動く気持ちを汲みとってくれる大人が周りにもう少しいてくれたら、素行不良(といっても今の時代の視点から見ればそれほど悪いとも思えないが)になったりはしないだろう。 他の方のレビューにもあるように、亡くなった息子と兄を失ったことで同じように傷ついている妹を比較したり、喫茶店の営業に夫と娘を半ば強引に付きあわせたり、息子の命日には友人が来てくれるのは当然だと暗に伝えてくる母親には少し苛立ちを覚えたが、これも加害者が被害者家族に遺した傷である事を考慮すれば仕方がなかったのではと思う。 ところで、この事件を引き起こした少年Aは出所した後に弁護士になり地元の名士として活躍していたそうだが、この事件の事が明るみになってからはいろいろあって弁護士を廃業し連絡も取れなくなっているそうである(私はハードカバー版を読んだので、その後の事は分からなかった)。 「少年Aの行方」の下りで「金さえ払えばいいんだろ」、という感情が伝わってきて大変憤りを覚えた自分は、不適切な言葉である事を理解しているが、少しばかり胸がスッとした。 上で「金さえ払えばいいんだろ」と書いたが、その支払いすら満足に行わない彼は本当の意味で更生出来たのだろうか(「自らつけた黒いシミを少年院で漂白されたAは、遺族には脇目もふらず、新たな人生の第一歩を踏み出した」という筆者の文章にはAへのすさまじい毒が込められている。この一文を本書にいれてくれた事は被害者家族・読者にとっても救われるのではないだろうか)。 「被害者たちの意見ばかりがこの本には綴られている。加害者にも言い分・人権があるはずだ」という意見もあるが、それには触れない。というか、殺人を犯しておいて言い訳を平然としてのけ、反省の意が見られない犯人の感情など誰が知りたいだろうか。 「残酷な犯罪を犯しながら、犯人が十四歳の少年という理由だけで、お犯した罪に見合う罰をうけることもなく、医療少年院にしばらくの間いた後、前科がつくこともなく、また一般社会に平然と戻ってくるのです」ー神戸連続児童殺傷事件の被害者の父 「加賀美の家族はみんな苦しんでいるのに、Aだけが許されちゃって、せっせと金儲けに励んでいるなんておかしいよ。国は莫大なカネをかけて殺人者を更生させ、世に送り出したんだろ。それなら最後まで国が責任をとるべきだよ」ー加賀美洋くんの友人、佐々木さん 実現可能かどうかは別として、この気持ちは皆同じだと思う。 大切な人が突如他人の手によって奪われ、「心にナイフをしのば」ざるを得なくさせられた被害者ばかりが辛い思いをするこの状態が改善されることを願うばかりです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書を読み終えた時、 死んではいけない。殺してはいけない。生きなければいけない。と強く思いました。 昭和44年、高校一年15歳の少年が同級生によって首を切り落とされるという事件がありました。その被害者家族の苦しみが描かれています。 突然、何の理由もなく(加害少年はいじめられていたから殺したと主張していますがそれを証拠とするものはないようです。いじめられてなかったという証拠もしめされていません)家族を殺された生き場のない悲しみ苦しみは想像を絶するものです。被害者家族である父親母親妹は、地獄のような日々の中、崩壊寸前になりながら生きています。一方、加害少年のことは詳しく書かれていませんが、弁護士となり、周りの人間に事件のことを知られることなく、事件とは全く関係のないところで普通に暮らしています。 少年だった男は二度と人を殺す残虐な行為に及ぶ危険はないでしょう。更生は成功したのだと思います。加害少年の将来を奪えばよかったとは思いません。けれどこれでよかったのだろうかと思わずにいられないのは被害者家族だけが苦しみ続けているからです。 歳月は心を癒しません。被害者家族だけが置き去りにされます。 この事件から28年後、神戸で連続児童殺傷事件がありました。 「人を殺してはいけないのはなぜか」の問いが話題になったとき、私は「殺していけないから殺してはいけないのだ」と思いました。「なぜ殺してはいけないのか」と疑問に思うことが不思議でした。 本書を読んだ時、人が殺されたたら、この家族が苦しんだようなことが起こる。そのことが私には想像できたから「殺してはいけないのだ」と思ったのだと感じました。 人を殺すことも、殺されることも、自ら命を絶つことも大きな悲しみを生みます。 死んでいった人の人生が失われただけではなく、その人を愛していた多くの人の人生を狂わせます。 加害者の側に立ち、「何故人を殺してはいけないのか」と考えるのではなく、被害者家族の側に立ち、「殺してはいけない」ということを感じてほしいと思います。 人は誰かのために生きています。 自分も誰かのために生きています。 人を殺してはいけないのです。 多くの人がこの本を読んで、 被害者家族の癒されない心を知ってほしいと思います。
Posted by
40数年前にも「酒鬼薔薇」はいた。1969年、川崎のキリスト教系の高校で生徒が級友を殺害。首を切断するという残虐な事件だったそうだ。酒鬼薔薇と同じように「透明な存在だった」と語った加害者の少年Aは、医療少年院に送致され、その後の生活については少年法の重厚な壁に閉ざされ、長らく誰に...
40数年前にも「酒鬼薔薇」はいた。1969年、川崎のキリスト教系の高校で生徒が級友を殺害。首を切断するという残虐な事件だったそうだ。酒鬼薔薇と同じように「透明な存在だった」と語った加害者の少年Aは、医療少年院に送致され、その後の生活については少年法の重厚な壁に閉ざされ、長らく誰にも知られずにいた。本書では、周到な取材によって、いまも生き続ける少年Aの衝撃的な姿を暴き出すのに成功している。 大半は被害者家族の証言がもとになっているので、視点はもっぱら被害者側に寄っているのは気になる。ただ、よく言われるように加害者側の人権に比べて、被害者側の人権が軽視される傾向があることを考えると、こういう形でまとめるやり方にも意味はあるのかもしれない。最愛の長男を失った事実が遺された家族を苛み、家庭崩壊の危機をまねく様子は無惨というしかない。とくに母親の人格にまで影響し、何かのきっかけで別の人格があらわることがあったというあたりは、その喪失感の大きさがしのばれる。 また、長男の三回忌あたりの時期に小さな女の子を養女にしようとしたらしい。その娘がとんでもない人格の持ち主で、傷ついた家族をさんざんに引っ掻き回す様子は妙に印象に残っている。そんな一向に癒えることのない苦悩をかかえた途方もなく長い年月の末に、年老いた母親が直面した「少年A」の姿――。想像するだに重苦しく、なんともいえない読後感にしばし茫然自失するほかなかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
事件のあらましだけでもゾッとする怖さ。 高校1年生の同級生殺人によって 被害者家族は崩壊状態に陥って元には決して戻らなかった。 だんだん気分が悪くなってきたので途中は飛ばして最後だけ読んだが、 犯人の少年が弁護士になっており、 慰謝料もちゃんと払わないまま お金を貸すという形で解決しようとしてきたエピソードは 後味が悪すぎる。 犯人の心理に迫ることがほとんどなく 被害者からの目線で書かれていることが少し残念。 同級生殺人というとんでもないことを犯した人間が 社会に出て弁護士をしているということが一番怖かった。
Posted by
1969年の所謂「サレジオの首切り」を題材としたルポルタージュ。 被害者一家を何十年にも渡って追い、対話を重ねた点で価値が大きい。 社会復帰後、弁護士となった加害者と貧困に喘ぐ被害者一家とを対比させて刑罰とは何かをひたすらに問うた一冊。
Posted by
評価とかつけられない感じですが、この本を読まなければ本当にこのような事実があることを知りませんでした。 高校生が同級生を殺して、頭部を切断。その後、医療少年院で「更生」し、社会復帰して弁護士になる。その一方で、被害者の家族や周囲の人々は何年も何年も苦しめられる。 弁護士になっ...
評価とかつけられない感じですが、この本を読まなければ本当にこのような事実があることを知りませんでした。 高校生が同級生を殺して、頭部を切断。その後、医療少年院で「更生」し、社会復帰して弁護士になる。その一方で、被害者の家族や周囲の人々は何年も何年も苦しめられる。 弁護士になった犯人は一切の謝罪を行わない。むしろ、被害者家族を疎ましく思っている感じで、当時犯人の父親が約束した700万円という慰謝料も払われないまま。弁護士になった財力では払えるはずのお金なのに、それも支払わない。 謝罪や反省というのは、お金やうわべの言葉では表せないものだと思うけれど、それでも、それさえもなくて済まされるというのはちょっと考えられない。
Posted by
やり場の無い怒りと、どうしようもない悲しみ。 様々な感情が読み終わった後に襲ってくる。 本当にこの本を読んでよかったのかすら疑問に思う。 評価の星がバラバラなのもうなづけます、問題提起が多すぎる。 読む際は覚悟が必要なのかもしれません。
Posted by