武器よさらば の商品レビュー
不条理な生に敗れる人間の悲劇 戦争に不調和な〈愛〉や〈女性〉という概念は以外と兵士の心理の根幹にある。 作者の生々しい実体験が主人公の溌剌な行動力に息吹を与えている。 戦争に関わった者すべては、いつまで罪を背負うべきなのか?作者が問い続けた。
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外国人として第一次世界大戦時にイタリア軍に志願して、イギリス人女性と恋に落ちた主人公が「家」と呼べる居場所を求めて得られなかった(結末「ホテルに帰った」)ということについてレポートにまとめた。
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戦争のシーンが長いなあ、それに対して仲間さ急にあっさり死んじゃうなあなどと思いながら読んでいた。でもよく考えたら嫌なことは長く感じるし、戦争中なら突然命は奪われてしまうよなと感じた。 ラストシーンは、落ち着いたような冷めたような主人公が、最愛の人の死が脳裏によぎってしまったい、頭から離れなくなって、じわじわと悪い展開が迫ってくるというものだった。初めは自分の赤ん坊にあまり愛着が湧いていなかったけれど、亡くなったことを知り、生命は理不尽に奪われるようになっているという考えを持ち、続け様に最愛の人を亡くすという本当に救いのない展開だった。 主人公が最後に神に祈りを捧げ、救われないという展開は、戦争により神の権威が失墜したモダニズム時代が分かりやすく見てとれた。 長いのでサラサラと読んでしまったのは反省。一度ではラストシーンの主人公の心情を味わえなかった。読み返してみると、悲痛な主人公の気持ちが伝わってきた。ヘミングウェイの簡潔な文体ゆえか、もっと暗い気持ちにさせられる本もあるなと感じたが、大仰ではなく素朴に心に響くようなこの感じがよいのかもしれない。なんにせよ、読んでよかったと思った。
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毎日、1.2章ずつ読み進めてみたけど、章ごとにできごとがまとまってて読みやすかった。 最近、女性に対する発言に敏感な日本社会だけど、この本の終盤に書かれてあった主人公の心理描写は少し救い。 男と女で楽しい夜を過ごした代償に、女には悪阻の苦しみ、出産の苦しみが伴うのよね。 時には...
毎日、1.2章ずつ読み進めてみたけど、章ごとにできごとがまとまってて読みやすかった。 最近、女性に対する発言に敏感な日本社会だけど、この本の終盤に書かれてあった主人公の心理描写は少し救い。 男と女で楽しい夜を過ごした代償に、女には悪阻の苦しみ、出産の苦しみが伴うのよね。 時にはキャサリンのような結末もあるのよね。
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長さで敬遠していたが、読み始めると一気に読めた。 男女の恋愛の話として語られることが多いが、第一次世界大戦下のイタリアが舞台であり、戦場の描写(特に退却時の横暴な野戦憲兵)が生々しい。 だが、もっとも予想外だったのは、終盤に壮絶な悲劇で終わったこと。 戦に破れ、自軍から虐げられ...
長さで敬遠していたが、読み始めると一気に読めた。 男女の恋愛の話として語られることが多いが、第一次世界大戦下のイタリアが舞台であり、戦場の描写(特に退却時の横暴な野戦憲兵)が生々しい。 だが、もっとも予想外だったのは、終盤に壮絶な悲劇で終わったこと。 戦に破れ、自軍から虐げられ、子は死産、愛する人を亡くす 戦時下の愛と社会と人間を描くためには、これほどの悲劇が必要なのか。
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武器よさらば (和書)2009年03月31日 23:30 1955 新潮社 ヘミングウェイ, 大久保 康雄 戦争というものから離れていくその感覚が面白く思えました。ただ戦争とは何なのかというものを鋭く突こうという感じではないし、お金があって裕福な逃亡生活をしていくところがなん...
武器よさらば (和書)2009年03月31日 23:30 1955 新潮社 ヘミングウェイ, 大久保 康雄 戦争というものから離れていくその感覚が面白く思えました。ただ戦争とは何なのかというものを鋭く突こうという感じではないし、お金があって裕福な逃亡生活をしていくところがなんだか戦争批判でもなく経済的に裕福ならできる恋愛作品であり、戦争作品とはあまり感じません。 フォクナーを最近は好きになっていてヘミングウェイの方は自分的には評価が下かなって思っています。宗教の批判(マルクス)における諸関係を見いだすことが文学だと最近は考えているので、へミングウェイにそこがあるかどうかを他の作品を読んで確認していきたいと思います。最後にくるものは無条件的命令(マルクス)だと思う。
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世界の名作を読んでおこう方針で図書館の全集を借りた。昔ヘミングウェイを読んでなんとなくマッチョ思想?、男が望む男女関係の女性像という感じが嫌いだった。何を読んだのか覚えていないがもしかしたらこれだったかも。この点については同じ感想だが、今回とても良いと感じたところもあった。主人公...
世界の名作を読んでおこう方針で図書館の全集を借りた。昔ヘミングウェイを読んでなんとなくマッチョ思想?、男が望む男女関係の女性像という感じが嫌いだった。何を読んだのか覚えていないがもしかしたらこれだったかも。この点については同じ感想だが、今回とても良いと感じたところもあった。主人公が退却をする場面、たとえば味方の部隊に敵と間違われて狙撃されるとか、任務放棄とみなされる将校が次々と処刑されるところから川に飛び込んで逃げる、とか。混乱する戦争の現場がどういうものか、戦場にいた筆者ならではのリアル感がある。それと他の戦争小説よりは主人公の行動とか周囲とのやりとりに余裕が感じられるのは、医療班の担当かつ中尉のポジションがあり、常に所持金がたくさんある階級の人だから。サービス業の人とのやり取りに常にそれが感じられる。余裕ある振る舞いが精神の余裕につながると学んだ。 小説としては面白く展開していくが、最後の終わり方に必然性があったのか疑問。武器よさらば、ということと関係がないので。
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2.5 戦争で重傷を負ったフレドリックが看護師のキャサリンと出会い、二人で脱走してスイスに亡命するもお産時に母子ともに亡くなり一人病院を後にする。戦争の描写や悲しく切ないことは分かり、2人の仲睦まじい感じも良いが、名作感が今一つよく分からない。自身の経験や願望、失意をなぞってるだけな感も。 戦争を起こしたがる人がいる。戦争を起こしたがらない人もいる。最初のグループの連中が彼らに戦争を押しつける。
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第一次世界大戦下のイタリア戦線、激化する戦場での葛藤と若き青年将校フレデリックと看護師キャサリンとの恋愛を描く。言わずと知れたヘミングウェイ氏の超傑作だが、個人的にそんな楽しめなかったかな。記者時代に身につけた形容詞を排した筋骨隆々な文体とか、戦線離脱してからの高揚と無情の描写は...
第一次世界大戦下のイタリア戦線、激化する戦場での葛藤と若き青年将校フレデリックと看護師キャサリンとの恋愛を描く。言わずと知れたヘミングウェイ氏の超傑作だが、個人的にそんな楽しめなかったかな。記者時代に身につけた形容詞を排した筋骨隆々な文体とか、戦線離脱してからの高揚と無情の描写は好きだが。
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最後の展開が衝撃的過ぎて武器よさらば、的な読了感がないです。 戦争の悲惨さはオーストリア、ドイツによるイタリア進行での甚大な被害と比べてかなり控えめなイメージで、後半の敗走と脱走のシーンあたりに読み応えを感じる。戦争の合間ののどかなシーンが戦争描写と相まってより和やかに感じられる...
最後の展開が衝撃的過ぎて武器よさらば、的な読了感がないです。 戦争の悲惨さはオーストリア、ドイツによるイタリア進行での甚大な被害と比べてかなり控えめなイメージで、後半の敗走と脱走のシーンあたりに読み応えを感じる。戦争の合間ののどかなシーンが戦争描写と相まってより和やかに感じられる。キャサリンとの延々と続く恋愛シーンは少々しつこい感じで、キャサリンは美人でゴリ押しな人なイメージで、人となりを表現するシーンが少なく主人公が好きになる要素が美人なこと以外は伝わらかなかった。 戦闘時も含めて全編にわたりお酒を飲み続けるシーン満載なのも印象的です。 ラストでのとても緊迫した主人公の心理描写に惹きつけられる。ラストシーンはとても残念ですが心に残ります。
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