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八月の砲声(上) の商品レビュー

3.5

14件のお客様レビュー

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2023/08/19

第一次世界大戦の詳細な推移については、ほとんど知るところがなかったのだが、この著作によって、まるでドキュメンタリー映画を見るかのようにその経過を辿ることができる。

Posted byブクログ

2022/05/22

トレーダージョーズ創業者のJoe Coulombeが自伝の中でthe best book on management -and, especially, mismanagement- I've ever readと述べていた。前から気になっていた本でもあるので読んでみ...

トレーダージョーズ創業者のJoe Coulombeが自伝の中でthe best book on management -and, especially, mismanagement- I've ever readと述べていた。前から気になっていた本でもあるので読んでみた。Coulombeが本書から引き出した教訓は、If you adopt a reasonable strategy, as opposed to waiting for an optimum strategy, and stick with it, you'll probably succeed. Tenacity is as important as brilliance.だそうである。読む人により得るものも違うものだ。reasonable strategyとoptimum strategyの対比はどのあたりを指しているかもよくわからなかった。Tenacity、粘り強さの欠如はドイツ側については当てはまるだろう。シュリーフェンが描いたプランは右翼からのフランス軍包囲が肝だったが、カンネー的大勝利を夢見て左翼にも中途半端に兵力を回したりしてしまった(あ、もしかしてカンネー的大勝利がoptimumなのか?)。東部戦線に2個軍団を回してしまったことも然りかもしれない。しかし連合国側はなにが執着すべきstrategyであったかさえはっきりしない。 ケネディ兄弟がキューバ危機に際して読んでいたとの伝説(?)も耳にしていたので、いかにして戦争が始まってしまったかの本なのかとも思っていた。上巻の前半部くらいはまさにその通りの内容なのだが、各国首脳とも互いを武力でぶっ潰すことしか考えていないようなところがあり、戦争になったのは半ば必然とも感じられた。時事ネタで言えば、プーチンをこの時代のどこかの国の首脳に据えてやればまったく違和感がない。 個人的にはWWⅠといえば塹壕戦で膠着状態くらいの予備知識しかなかったので、最初の30日はこんなにダイナミックであったことは初めて知った。 あと翻訳はもうちょっと何とかならなかったのであろうか。原文にあたってみたくなる箇所が多かった。古い本だし、と思ってネットを探すも見つからず断念。

Posted byブクログ

2021/03/03

第一次世界大戦がどう始まったのか。どんな戦争だったのかを知りたくて、何を読めば分かりやすいだろうと調べていたらこの本に出くわした。どうもこれが決定版というのは無いような気もする。多分色んな本があるんだろうけど、どれも決定的にこれと言うのが無いのかな。知らんけど。第二次世界大戦の本...

第一次世界大戦がどう始まったのか。どんな戦争だったのかを知りたくて、何を読めば分かりやすいだろうと調べていたらこの本に出くわした。どうもこれが決定版というのは無いような気もする。多分色んな本があるんだろうけど、どれも決定的にこれと言うのが無いのかな。知らんけど。第二次世界大戦の本を読んで、第一次世界大戦を知らないとどう繋がるのか分からないなと思った。先ずは各国王家の話から入るが姻戚関係が複雑に絡み合っているこの時代の背景を理解しないといけないんだなと思った。第二次世界大戦のように共産党の影はまだ無い。ただ昔の戦争から近代戦への移行期でこの戦争は難しかったんだろうと思った。また結構日本の事が書かれており、日露戦争での日本の勝利における欧州へのインパクトが結構あったんだなと感じた。前半はまだ戦争の端緒くらいで後半により凄惨な戦いの記述が出てくるのだろう。しかし、ドイツやベルギー、フランスは陸続きでもあり、毎回の戦争での遺恨が凄そう。実際今の国民感情ってどうなんだろうとも思う。

Posted byブクログ

2020/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 すでに4,5回読んでいますが、友人に上下巻とも借りパクされたので再購入し、再読。  ・・・たくさん書き込みしていたのに・・・(´;ω;`)。  『八月の砲声』は言わずと知れたバーバラ・タックマンの代表作。タックマンは本書でピュリッツァー賞を受賞しました。  その上巻である本書は、英国王エドワード七世の大葬から物語が始まります。  それから話は、このエドワード七世が主導したドイツ包囲外交を皮切りに、独仏英露の軍事計画とその準備の詳細に及びます。  そして運命のサラエボ事件を発端にとうとう大戦が勃発、ドイツ軍がベルギーのブリュッセルを陥落させるところで完結します(それ以降の戦局推移は下巻で展開されます)。  本書の特徴を端的に表すと、詳細かつ膨大な情報量と、それを最高に面白く表現した筆致でしょうか。  とにかく情報量がすごい。参考文献や出典は(それだけで同程度の紙面を割くことになる理由から)本書での掲載は見送られたほどです。文献からの引用部分は「」付きで表現されていますが、これが本当に至る所に出てきます。国家の公式広報から一兵士の日記まで、すべてをあさったのでしょう。かなり調べ上げられています。  単に情報が豊富なだけならただの文献集ですが、本書はこれら情報を駆使して絶妙な筆致で物語を表現しています(そういった意味で司馬遼太郎を連想させます)  ロシアやドイツの閣僚人事や人間関係の内幕が滑稽に描かれている一方で、開戦前夜の各国のやりとりは緊迫感を持って、また劇的な表現で描写されています。  ドイツから最後通牒を突き付けられた小国ベルギーの国王アルベールは臣下たちとの徹夜の激論の末に中立を守り通して抗戦することを決意しますが、その国王が(ドイツへの)回答文を手に白みかけた暁の空を眺めるシーンに、私はグッときました。こういった硬軟の使い分けも絶妙です。  第一次世界大戦に詳しくない方が読んだとしても、十分に物語を楽しめること請け合いです。  本書は1962年に出版され、ベストセラーとなりました。その理由は大方想像できます。一つは上記の通り、物語そのものが純粋に面白いから。そしてもう一つは、恐らく本書の構成が「極悪ドイツに対する勧善懲悪」で描かれているからでしょう。  第二次大戦のナチスの記憶がまだ残る1960年代に、ユダヤ人作家が描くドイツ像がそのように表現されるのはやむを得ないことだと思います。  しかしこれが「歴史と真摯に向き合う」姿勢かと言われると、疑問です。  タックマンは本書前半のいたるところで、フィヒテやヘーゲル、ニーチェのドイツ優越主義的な発言を引用し「そのようなドイツ人の思い上がりが戦争を招いた」と暗にほのめかします。ただ、本当にそのような「思い上がり」が戦争を引き起こしたのでしょうか?  ドイツ皇帝ヴィルヘルムは途中で何度も総動員を取りやめるよう行動し、そのたびに参謀総長の小モルトケと衝突します。そして最後まで戦争回避のためにロシアのニコライにコンタクトを取り続けます。  その小モルトケですらも(狭量ではあったが)自己の職務遂行というの官僚的発想から総動員を推し進めたにすぎません。  首相のベートマンや外相のヤゴウは急激に悪化する事態に翻弄されます。  これらドイツの主要人物たちに共通して見られたのは「思い上がり」ではなく、人間本来の「弱さ」でした。  恣意性をもって情報を引用している個所もちらほら見られます。そのため、歴史考証という点ではある程度割り引いて読む必要があると思います。

Posted byブクログ

2017/03/30

科学兵器に加え、化学兵器、重機が戦場に現れ始め、複雑化した国際情勢から始まり、その複雑さから当初の目論見の数倍の年月をかけて集結した第一次世界大戦を、欧米列強の視点から描いた 上下巻合わせて1000ページ近い大作。 イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、(ベルギー)らの視点から...

科学兵器に加え、化学兵器、重機が戦場に現れ始め、複雑化した国際情勢から始まり、その複雑さから当初の目論見の数倍の年月をかけて集結した第一次世界大戦を、欧米列強の視点から描いた 上下巻合わせて1000ページ近い大作。 イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、(ベルギー)らの視点から綴られるため、発端となったサラエヴォ事件にはほぼ触れられていないが、大戦の全貌を記すには更に倍以上のページが必要だと思う。 条約が条約の足枷となり、参戦せざるを得なくなった国々と、やる気満々のドイツの対比が目立ち、終わるに終わらせられない戦争だったということが良く分かった。 ただし、自分の読みたかった塹壕戦の苛烈さや、心身に異常をきたす程に戦い続ける兵隊の描写、残酷の極みとも言えるドイツ兵の悪行は上巻ではほぼ無し。 サクサク進む歴史的な読み物を期待すると、ペースの遅い本に思えるかもしれない。

Posted byブクログ

2015/02/28

「かつて歴史のページを汚した罪悪のなかでももっとも邪悪な罪悪を、わが国は漫然と傍観し、しかも共犯者となっていいものであろうか?」 第一次世界大戦が始まる時、各国は何を思い、どう行動したのか。イギリスは戦争に関わりたくない。フランスはイギリスの協力を仰ぎたい。ドイツはベルギーを通...

「かつて歴史のページを汚した罪悪のなかでももっとも邪悪な罪悪を、わが国は漫然と傍観し、しかも共犯者となっていいものであろうか?」 第一次世界大戦が始まる時、各国は何を思い、どう行動したのか。イギリスは戦争に関わりたくない。フランスはイギリスの協力を仰ぎたい。ドイツはベルギーを通過し、フランスに攻撃したい。ロシアは内部の革命対応で手一杯。 オーストリアがセルビアに宣戦布告。それに便乗し、ドイツがロシアとフランスに戦争を仕掛けようとする。各国の思惑が蠢き、戦争が大きく育っていく。 国際舞台においてドイツが再び輝けるよう、カイゼルは奮闘した。できれば戦争はしたくなかった。しかし、ドイツの偉大さを示すための行動が、戦争に帰結した。 モルトケは、自身の考えた戦略を試してみたかった。ところが、直前で一度中止にさせられた。それ以降、自信を失う。 誰も各人の価値観で行動した。戦争を避けたい者、戦争をしたい者。それぞれが複雑に交差する上巻。

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2014/03/13

世界の指導者の多数がこの戦争が数か月で終わると思っていた。これは何を意味するのだろうか。 ひとつは、彼らが今大戦が長期にわたる消耗戦の様相を呈するとは思っていなかったということだ。もうひとつは短期間で終わりにしたいという願望を持っていたということだ。 また、ドイツ皇帝が二正面作戦...

世界の指導者の多数がこの戦争が数か月で終わると思っていた。これは何を意味するのだろうか。 ひとつは、彼らが今大戦が長期にわたる消耗戦の様相を呈するとは思っていなかったということだ。もうひとつは短期間で終わりにしたいという願望を持っていたということだ。 また、ドイツ皇帝が二正面作戦を恐れ、イギリスが参戦を躊躇したのはなぜだろうか。それは一たび開戦となれば、兵員の動員がシステマチックに行われて時の為政者のコントロールの及ばない程に展開が広域化していくことを意味するのではないだろうか。少なくともその予感のうちにあったことだろう。 キューバ危機でケネディー大統領が恐れていたことは以上のことを踏まえてのことであり、第一次大戦の政治的、軍事的な展開が時代の近代性(官僚制や鉄道網や最新兵器)を介すことで指導者たちの手から離れていたことを感じる。そして最後にそれを象徴したのは反乱や革命だった。

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2013/06/24

ケネディ大統領がキューバ危機の時に読んでいたという本。 上巻はブリュッセル陥落まで。「サラエボの一発」に関する説明はなくて、ドイツ、フランス、イギリス、ロシアの大国の中枢部を中心として話が進んでいく。 「また、歴史書によくある「彼は・・・にちがいない」式の独断的な分析は避けた。...

ケネディ大統領がキューバ危機の時に読んでいたという本。 上巻はブリュッセル陥落まで。「サラエボの一発」に関する説明はなくて、ドイツ、フランス、イギリス、ロシアの大国の中枢部を中心として話が進んでいく。 「また、歴史書によくある「彼は・・・にちがいない」式の独断的な分析は避けた。たとえば「フランスの海岸線が視界から消え行く時、ナポレオンは過ぎし昔を偲んだに違いない」といった表現だ。天候の状態、思念、感情、公的、私的な立場での精神状態の描写については、全部資料の裏付けがある。出所を知りたければ、ノートを参照して確かめていただきたい。」(p23 まえがき) これはすごいことだと思う。歴史は各記述されるべきという見本例みたいなものだ。それでいて、文章が読みやすい。史料の羅列ではなくて、ぐいぐいと引き込まれる。モルトケに、ジョフルに、いちいち息を呑む。 ハードボイルドに歴史を書いたらこうなるのだろう。 下巻が楽しみ。いいものを読んでいる。

Posted byブクログ

2013/03/11

第一次大戦が始まり、膠着状態に至るまでのほぼ一ヶ月間を描く。 開戦のきっかけはバルカン半島の危機だったが、その詳細にはほとんど踏み込まない。 主役である大国、ドイツ、イギリス、フランス、ロシア、そして地政的要所にあったベルギーが、どのような経緯を経て開戦にいたる決断をしたのか、そ...

第一次大戦が始まり、膠着状態に至るまでのほぼ一ヶ月間を描く。 開戦のきっかけはバルカン半島の危機だったが、その詳細にはほとんど踏み込まない。 主役である大国、ドイツ、イギリス、フランス、ロシア、そして地政的要所にあったベルギーが、どのような経緯を経て開戦にいたる決断をしたのか、そして初戦をどのように戦ったのかを克明に追う。 開戦後、戦線が膠着して第一次世界大戦を象徴する塹壕戦にいたるまでの時期を対象とする。 上巻は開戦前の各国の政治的・軍事的動向と同盟関係、開戦に至るまでの経緯、初戦からブリュッセル陥落まで。 ドイツ軍の作戦上その国土を踏みにじられた、ベルギーの立場と決断には同情と敬意を禁じ得ない。

Posted byブクログ

2013/02/24

数年前に上下巻ともに買って上巻は読んだのに下巻は未読。いつか再開しようと思い続けて数年、ようやく時間が出来たので上巻を復習するところから始めた。 第一次世界大戦の開戦から終結までを第一次資料を元にまとめあげた本で、書かれている人物の行動や言葉は全て「ソース」の存在するものだとい...

数年前に上下巻ともに買って上巻は読んだのに下巻は未読。いつか再開しようと思い続けて数年、ようやく時間が出来たので上巻を復習するところから始めた。 第一次世界大戦の開戦から終結までを第一次資料を元にまとめあげた本で、書かれている人物の行動や言葉は全て「ソース」の存在するものだという。ちくま文庫のオビには、キューバ危機の際にケネディが参考にしたと紹介文がある。 第一次世界大戦の開戦は1914年。セルビアの皇太子がオーストリアで暗殺される、という、二国間では重大かもしれないが、世界史的には比較的「どうでもいい」類の事件を口火に、ヨーロッパ諸国が相互に結んでいた条約や協商、あるいは各国の軍備配置作戦の都合によって、半ば自動的に戦争が拡大していく。「決定されたことは遂行されなければならない」という言葉が「人が物事に対して屈服した際に吐かれる定言」として書かれているのだけど、まさしく開戦に至った時点で、当事者は既に物事に負けた状態であり、以降負けたもの同士が泥沼に戦い続ける。 1970年代のケネディは火薬で行われた50年前の戦争を参考に、核の戦争を回避したという。さらに50年後に生きる我々が直面する戦争は、恐らく通貨で行われている。そう考えれば、100年前の戦争がいかにして起こり、いかにして続き、いかにして終わったか、という事実を知ることは、生々しい教訓になるだろう。まあ、教訓になったところで、僕やあなたは粉々に吹き飛ぶ側の人間だけどね。

Posted byブクログ