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妊娠小説 の商品レビュー

3.8

42件のお客様レビュー

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2017/01/21
  • ネタバレ

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1997(底本1994)年刊。◆妊娠という事態に至る文芸作品のレビュー本である。◇著者らしい、あるいはフェニミズム的目線の意地の悪い書きぶりだが、切り口はなかなか興味深いし、ニヤニヤしながら読める著作だ。特に「愛と幻想の選択」は秀逸。◆しかし、妊娠しつつ結婚という"ハッピーエンド"を迎えるハーレクィーンロマンス系は埒外(まあ面白い小説とはいえないが)。◇さらに、草食系男子(絶食系男子とでは妊娠しないし…)や育メンのように、女子が見限るまでもない男子を主人公とするものはどう考えたらよいのだろうか。実際、本書でメッタ切りするのも大半が90年までの作。ゼロ年代以降のそれにつき、本書の切り口では些か物足りない。

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2016/03/31

「紅一点論」がキツかったので敬遠してましたが、なんでもっと早く読まなかったのかと笑いながら反省。生命の神秘が物語の舞台装置として使われる様を、これでもかというほど浮き彫りにしてきます。食いもん屋直行のくだりはさすがに笑った。

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2015/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

<わかったこと> ・小説における妊娠は話を盛り上げるためのイベントの一つ ・小説における妊娠は女の武器 ・作者は登場人物を妊娠させるために苦労する ・小説における妊娠はドラマチックで生と死とか愛ゆえの離別とかのお題目に結びつけやすいしその割に手軽なので作者にとっては重宝する ・妊娠小説のパターンは少ない  →なぜか? 妊娠という現象自体に結果や期間の制限があるから <思ったこと> ・やっぱ舞姫はうまく出来てる ・妊娠小説はパターンが少ないので妊娠ばかりを中心に添える小説は陳腐化する傾向にある ・妊娠は味付け程度に使う小説のほうが面白いかもしれない

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2015/02/15
  • ネタバレ

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妊娠小説の各イベントの行数から、構造を野球のイニングとして解釈する。小説をバカまじめにCriticalに見ており、小気味良く、楽しかった。

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2014/05/10

斎藤美奈子女史のデビュー作。私はデビュー作こそ作家の本質云々という矜持を掲げている人なので、気に入った作家のデビュー作は必ず読むようにしている。 そしてこの作品だが、んー、琴線には触れなかった、と言わざるを得ない。ひとつの論とせんがために理屈屋に堕している節がある。彼女の軽快な語...

斎藤美奈子女史のデビュー作。私はデビュー作こそ作家の本質云々という矜持を掲げている人なので、気に入った作家のデビュー作は必ず読むようにしている。 そしてこの作品だが、んー、琴線には触れなかった、と言わざるを得ない。ひとつの論とせんがために理屈屋に堕している節がある。彼女の軽快な語りも、それがために鳴りを潜めているようだ。しかし、これが彼女が文壇へ切り込むためにとった次善策だとするのならば納得である。

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2013/06/11

「妊娠小説」というジャンルを提唱して、そのテーマに沿いながら、明治文学から80年代の青春文学までの文学史を俯瞰。あざとく「われわれ」と言いつのるところとか語り口が鼻につくが、この著者にかぎっては毎度のこと。小川洋子の『妊娠カレンダー』(「妊娠小説」の集大成でおそらく最高峰)は、出...

「妊娠小説」というジャンルを提唱して、そのテーマに沿いながら、明治文学から80年代の青春文学までの文学史を俯瞰。あざとく「われわれ」と言いつのるところとか語り口が鼻につくが、この著者にかぎっては毎度のこと。小川洋子の『妊娠カレンダー』(「妊娠小説」の集大成でおそらく最高峰)は、出版時期が前後したのか、言及されていない。

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2012/08/12

 望まれない妊娠を扱う小説を『妊娠小説』と名付け、ポスモダ評論や社会学論文風に自由自在なテクニックで料理した本。  この状態に対する登場人物たちの反応を類型化して分析する。小説というもののパターンをこういう思いもつかない題材で料理するのはさすがだ。  著者のデビュー作だという。非...

 望まれない妊娠を扱う小説を『妊娠小説』と名付け、ポスモダ評論や社会学論文風に自由自在なテクニックで料理した本。  この状態に対する登場人物たちの反応を類型化して分析する。小説というもののパターンをこういう思いもつかない題材で料理するのはさすがだ。  著者のデビュー作だという。非常に意地悪な視点は後の作品にも出てくる。   読んでいて疲れると思ったところがあるが論文形式にこだわっているせいと切れ味のするどすぎるせいかと感じた。 後の本ででてくる余裕はまだ無いようだ。

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2012/07/18

これは面白い。実際もっとたくさんの妊娠小説があるはずだ。 作者の斜に構えた物言いもいい。何を及び腰になってんのよ、こんなものこうやってつまめばいいのよ、簡単でしょ!? と言わんばかりに禁忌を易々と犯す感じが爽快だ。 誰もが口に出すことをタブーとしてきたからこそ小説として面白い妊娠...

これは面白い。実際もっとたくさんの妊娠小説があるはずだ。 作者の斜に構えた物言いもいい。何を及び腰になってんのよ、こんなものこうやってつまめばいいのよ、簡単でしょ!? と言わんばかりに禁忌を易々と犯す感じが爽快だ。 誰もが口に出すことをタブーとしてきたからこそ小説として面白い妊娠、そして中絶(流産)。それをカテゴリーとして前面に押し出した発想も素晴らしい。現代でもいろいろと変容してきたはずの妊娠小説。ぜひ続編も書いてもらいたい。

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2012/06/27

斎藤美奈子のデビュー作。小説の中でヒロインが妊娠をする小説を「妊娠小説」と定義づけ、より正確には「望まない妊娠」である。原点は森鴎外の「舞姫」だとしています。「太陽の季節」「死者の奢り」「青春の蹉跌」「北都物語」がメンズ系なら、「もう頬づえはつかない」「海を感じる時」はレディス系...

斎藤美奈子のデビュー作。小説の中でヒロインが妊娠をする小説を「妊娠小説」と定義づけ、より正確には「望まない妊娠」である。原点は森鴎外の「舞姫」だとしています。「太陽の季節」「死者の奢り」「青春の蹉跌」「北都物語」がメンズ系なら、「もう頬づえはつかない」「海を感じる時」はレディス系。メンズ系は女に裏切られる話。ヒーローの年齢により、若い男が恋人の妊娠で打撃を受ける話、中年妻子持ちの男が愛人の妊娠で疲れる話などに類型。レディス系は自身の妊娠を機に男を見限る話、などに類型。 この本を出した時、文芸誌の元編集者から「小説はそんな風に読むんじゃない」と叱られたといいます。がこの「妊娠」をキーワードにすると、それまでうっとりと甘美だった物語世界が、男と女の価値観の違いを鮮明にあぶりだす気がします。 

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2012/01/27
  • ネタバレ

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この本が出た当時、話題になっていたのはわかっていたが、タイトルから伊藤比呂美のような世界観の小説かと誤解して敬遠していた。 その後、内容を知って読んでみた。 確かに野球のイニングや料理評などあの手この手で妊娠小説を解剖するさまは画期的だし圧巻だ。 それでもやはり男社会、男目線にもの申す結論ありきのように感じてしまう。 わたしは、ベストセラーだろうがなんだろうがどうでもいい作家のどうでもいい作品なんぞどうでもいいと思う方だ。 むしろ、セオリーを崩すことに成功した小説があれば、例外としてでもぜひとりあげたいと思う。 つまるところ、マスに対する興味もコンプレックスもなく、マクロの多様性に目がいってしまう自分とこの本の著者との違いだろう。

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