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生きることの意味 の商品レビュー

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35件のお客様レビュー

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2018/04/15

鶴見俊輔の「教育再定義の試み」という本の中で、当時小学校4年生だった息子がこの本(生きることの意味)を読んで、「なぜ人は自殺してはいけないのか」と父親である鶴見に問うたという逸話を読んで興味を持った。 在日朝鮮人二世として戦前から終戦までを山口県で過ごした少年時代の貧困、差別、...

鶴見俊輔の「教育再定義の試み」という本の中で、当時小学校4年生だった息子がこの本(生きることの意味)を読んで、「なぜ人は自殺してはいけないのか」と父親である鶴見に問うたという逸話を読んで興味を持った。 在日朝鮮人二世として戦前から終戦までを山口県で過ごした少年時代の貧困、差別、父親や教師との確執などの著者自身の過酷な体験の中から紡ぎ出された生きることの意味。どうしようもない淋しさや哀しみを乗り越えた先にある生きることへの肯定感。

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2017/09/12

今の世の中だからこそ、この本が広く読まれて欲しいと心から思う。 また、当時の生活が鮮やかに刻まれている描写も同時代の例えば大江などの小説に現れる登場人物を読むときのガイドにもなりそうだと思ったし、敗戦時の絶望感、この世界の〜でも描かれた怒りなど、あれってリアルな心情だったんだ!と...

今の世の中だからこそ、この本が広く読まれて欲しいと心から思う。 また、当時の生活が鮮やかに刻まれている描写も同時代の例えば大江などの小説に現れる登場人物を読むときのガイドにもなりそうだと思ったし、敗戦時の絶望感、この世界の〜でも描かれた怒りなど、あれってリアルな心情だったんだ!という味わいも。必読。

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2017/06/27

 高名な方が推薦されていたので読んでみた。後講釈と自己弁護の本。作者やその父親の身勝手な行動が「生きるための意味」を見つけるための過程であったと解釈しているようだが、同じ境遇で育った作者の兄がそのような行動も取らずに立派な考え方を持ち、立派に生きていることをどのように解釈するのだ...

 高名な方が推薦されていたので読んでみた。後講釈と自己弁護の本。作者やその父親の身勝手な行動が「生きるための意味」を見つけるための過程であったと解釈しているようだが、同じ境遇で育った作者の兄がそのような行動も取らずに立派な考え方を持ち、立派に生きていることをどのように解釈するのだろうか?単に作者の甘えゆえの行動だったとしか思えない。もちろん私はあのようなつらい境遇に陥ったことはないので、作者の感じている本当のつらさというのは理解できないのだが、少なくとも作者の兄を含めて同じような境遇の方々がみな他人に迷惑をかけてまで自分の「生きることの意味」を探すような道に入っていない以上、やはり弁解の余地はないと思う。「生きることの意味」を見つけられないと生きられない人の気持ちが、哲学を人間の思考実験としか思っていない私のような愚鈍な人間にはわからないという事だと思う。人生に絶望し始めている方には良書かもしれないが、私には残念ながら訴えるものはなかった。

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2016/10/03

著書は、在日朝鮮人である筆者が、様々な出来事にぶつかりながら歩んできた人生の道のりの記録である。主に著者が在日朝鮮人として過ごしてきた幼少期や学生時代のことが、事細かく丁寧に書かれている。その中で人はなぜ生きていくのかという疑問を訴えかけるとともに、その1つの答えを伝えている。 ...

著書は、在日朝鮮人である筆者が、様々な出来事にぶつかりながら歩んできた人生の道のりの記録である。主に著者が在日朝鮮人として過ごしてきた幼少期や学生時代のことが、事細かく丁寧に書かれている。その中で人はなぜ生きていくのかという疑問を訴えかけるとともに、その1つの答えを伝えている。 エピソードの中には、思わず読むのをやめてしまおうと思うほどの場面も何度かあった。しかし、それと同時にこれと同じようなことがいまでも起こっているのだということを思わざるをえませんでした。いまを生きる私にとっても、いろいろなことを考えさせるきっかけが多くあった。 辛く悲しい過去も多い一方で、人の強さ、優しさを感じさせる部分も多くあった。著者の父の朝鮮人としての誇り、著者を助けようとする人々の優しさ。よく、「必要な場面で必要な人との出会いがある」「自分に乗り越えられない壁は現れない」などと言ったりしますが、この本を読んでいると自分の人生をしっかり生きている人にはそれが起こるのかなと思った。 そしてこの著者を通して、私たちは1人で生きているのではないということをより一層強く感じた。「かけがえのない人の人生は、同じようにかけがえのない人生を生きている人々とさまざまな関係を持っているからこそ、その本人にとってかけがえのないものになる」この言葉がとても印象に残っている。また、著書がこのような考えに達するまでにはどれだけの時間がかかったのかと思うと、よりこの言葉の深さを感じる。

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2016/08/22

13歳で日本の敗戦を体験することになった在日コリアン2世の著者が、みずからの少年時代を振り返った本です。 朝鮮人としてのアイデンティティを守り続けた父や、進学を希望しながら果たさなかった兄の苦しみを間近で見てきた著者の思いが語られるとともに、いわれのない差別を受ける著者に手を差...

13歳で日本の敗戦を体験することになった在日コリアン2世の著者が、みずからの少年時代を振り返った本です。 朝鮮人としてのアイデンティティを守り続けた父や、進学を希望しながら果たさなかった兄の苦しみを間近で見てきた著者の思いが語られるとともに、いわれのない差別を受ける著者に手を差しのべた人たちの優しさに、胸を打たれます。

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2016/01/15

1932年に在日朝鮮人二世として生まれた作家・高史明が1974年に発表した作品で、日本児童文学者協会賞、産経児童出版文化賞の受賞作。 著者は、「この本は、在日朝鮮人の一人であるわたしが、さまざまな出来事にぶつかりながら、なんとかして生きぬいていこうとした歩みの記録です。わたしは、...

1932年に在日朝鮮人二世として生まれた作家・高史明が1974年に発表した作品で、日本児童文学者協会賞、産経児童出版文化賞の受賞作。 著者は、「この本は、在日朝鮮人の一人であるわたしが、さまざまな出来事にぶつかりながら、なんとかして生きぬいていこうとした歩みの記録です。わたしは、朝鮮人と日本人のより深い心の触れ合いと、より強い心のやさしさを求める気持ちにおされて、ペンを取りました」といい、著者が、満州事変(1931年)直後から太平洋戦争敗戦までの社会の中で、どのような幼少期~少年期を送ったのかを振り返っている。 著者は3歳にして母と死別した後、継母が来たものの、異母弟が生後間もなく死んだために継母は家を去り、その後は三歳上の兄とともに、石炭仲仕であった父に厳しくも守られて育てられた。しかし、小学校に入って初めて接した外の世界では、在日朝鮮人としてあからさまな差別を受け、次第に暴力的になるとともに、父親にも反抗するようになっていく。そして、小学校高学年で出会った先生から朝鮮人として生きることの大切さを教えてもらったものの、直後にその先生が突然亡くなってしまう。その後、高等小学校に進み、学徒動員で働きながら、特攻隊員になって「りっぱに死んでみせる」と志した矢先に、突然の終戦を迎える。。。 長年日本に住みつつも、日本語を上手く話すこともできずに差別に耐え続けた在日一世の父と、差別に苦しみながらも、朝鮮人としての誇りを失うまいとする一方で、敗戦のときには他の日本人の子供たちと同じように行き所のない思いをした在日二世の著者。公然と取り上げられることはないが、日本現代史の中にはこうした人生を送った人々が間違いなくいるのである。 そして著者は、「わたしたちのかけがえのない人生とは、同じようにかけがえのない人生を生きている他の無数の人々の人生と、さまざまな形でしっかりと結びつけられているからこそ、自分だけの人生になりうるのだといえるのです」、「生きることの意味とは、それぞれの人が、それぞれ自分自身から出発して、世界と自分自身をより深く理解していきながら、自分自身で発見していくものだといってもいいでしょう」と、自ら達した境地を示している。 (本書発表の翌年、著者は一人息子を12歳にして自死で失う。。。彼の残した詩は、『ぼくは12歳』という作品集で出版されている) (2005年11月了)

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2016/05/07

在日二世として山口に生まれ、3歳で母を亡くし、貧しい中、父と兄と暮す。小学校、中学校、いじめ、暴力、名前、先生たち、学徒動員、戦中から戦後を迎えるまで。 成長してから、あらためて意味を捉え直しながら、冷静に書かれていますが、この生い立ちでそうなれるというのは、同じような境遇の人...

在日二世として山口に生まれ、3歳で母を亡くし、貧しい中、父と兄と暮す。小学校、中学校、いじめ、暴力、名前、先生たち、学徒動員、戦中から戦後を迎えるまで。 成長してから、あらためて意味を捉え直しながら、冷静に書かれていますが、この生い立ちでそうなれるというのは、同じような境遇の人たちにとっての救いかもと思いました。

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2023/07/21

2015.8.22市立図書館 「ちくま文庫解説傑作集(非売品)」に入っていた鶴見俊輔さんの解説文を読んで、今読むべき本ではないかと感じて借りてみた。 戦中日本に渡来してきた在日朝鮮人の父母のもとに生まれた著者の生い立ちを軸に、ひとが生きるということについて考える。 朝鮮と日本のか...

2015.8.22市立図書館 「ちくま文庫解説傑作集(非売品)」に入っていた鶴見俊輔さんの解説文を読んで、今読むべき本ではないかと感じて借りてみた。 戦中日本に渡来してきた在日朝鮮人の父母のもとに生まれた著者の生い立ちを軸に、ひとが生きるということについて考える。 朝鮮と日本のかかわりあいから語り起こして、言葉にしようのないさびしさやかなしみを抱えた父親の背中を見て育ったこと、朝鮮人という自意識のめざめ、ほんとうのやさしさを教えてくれたかけがえのない師との出会い、暴力の泥沼にとらわれる恐ろしさと孤独、一世の親と二世の子の間の言葉や帰属意識の断絶、戦争しかしらずそれに囚われた人生からの解放、全編を通じていろいろ考えさせられるが、戦中もぶれることなく黙々と働く無名の一朝鮮人であり続けた筆者の父親の、戦後のエピソードに感銘を受けた。 40年も前に出た本だけれど、内容はいもまったく古びないどころか、鶴見俊輔の解説文から感じとった通り、いまこそこの文章を読んで生き延びねばならないひとが、あるいは生き方や考え方を振り返らねばならないひとが大勢いると思う。 追記:購入(2015年9月18日)

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2014/11/05

新聞に、高校生に読んでほしい本として二人の人が紹介していた。たまたま古本屋で見つけたので、買ってきて読んだ。すごいの一言。戦前・戦中とこういう生活が残っていた。貧しさの中、あるいは差別の中で、子どもが家族がどんな思いで生活をしていたのか。その心の移り変わりが見事に描かれている。兄...

新聞に、高校生に読んでほしい本として二人の人が紹介していた。たまたま古本屋で見つけたので、買ってきて読んだ。すごいの一言。戦前・戦中とこういう生活が残っていた。貧しさの中、あるいは差別の中で、子どもが家族がどんな思いで生活をしていたのか。その心の移り変わりが見事に描かれている。兄が上の学校に行きたいのを、父親は「朝鮮人が勉強しても意味がない」とあきらめさせようとする。それでも、学校の先生の説得もあり、何とか通うことになる。真新しい教科書をもらってきて、喜んで弟とながめている。そこにもどってきた父親、やはり気に入らない様子。兄と父とのバトル。あげくのはてに、兄は教科書を破りすてる。そして家を出て行く。私も、中学生でも高校生でもいいから本当に読んでみてほしいと思う。

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2014/08/12

生まれたときから戦争中で、生まれた時から差別を受けていた子どもが、これが差別だと気づき、どう向き合えばいいのか、朝鮮人でありながら朝鮮の言葉がわからない、朝鮮の国旗も知らない、でも勿論日本人ではない。そんな中途半端な境遇をどのようにとらえ、もがき苦しんだのかが良くわかる内容でした...

生まれたときから戦争中で、生まれた時から差別を受けていた子どもが、これが差別だと気づき、どう向き合えばいいのか、朝鮮人でありながら朝鮮の言葉がわからない、朝鮮の国旗も知らない、でも勿論日本人ではない。そんな中途半端な境遇をどのようにとらえ、もがき苦しんだのかが良くわかる内容でした。 どんなに希望のない真っ暗やみの世界でも、死んではいけない、生きなくてはいけないんだ、という強いメッセージで締めくくられている本書のリリース後、一年足らずで著者の愛息が自死したことを思うといたたまれない。

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