MOMENT の商品レビュー
十年ほど前とは言え再読なのにまったく覚えていなかった。ほんとうに読みやすいし、ほんとうに物語の終わり方がいちいちうまいなあと思う。無理のないオチみたいなものを用意してるところがやっぱり本多孝好の魅力に感じる。有馬さんのお話は主人公のエゴかなあと思う反面、間違っているとも思えなかっ...
十年ほど前とは言え再読なのにまったく覚えていなかった。ほんとうに読みやすいし、ほんとうに物語の終わり方がいちいちうまいなあと思う。無理のないオチみたいなものを用意してるところがやっぱり本多孝好の魅力に感じる。有馬さんのお話は主人公のエゴかなあと思う反面、間違っているとも思えなかった。わかってもらったりわかってあげたりするために自分の意見を無理やりにでも押し通すときがあるのは、相手がもうすぐ死にそうな人でも元気に生きてる人でも結局同じだと思う。淡々としているふうな主人公だったけど、とてもやさしかった。
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「死ぬ時、なにを考えるだろう。」 印象としては、タバコの匂いや無機質な音を感じながら、静かに浸れる本でした。一気に読んでしまいました。 死を目前にした人々からは、色々な願いが出てきます。 自分は、何を考えるだろう。 死ぬことに関してはよく考えますが、この本を読み、考えが深まりました。とても現実的な死生観が描かれているのです。 死ぬということには抗えないし、 死を目前にする頃には実は自由に体を動かせない。 自分の人生におそらく意味はなく、死に意味もない。 だから、死を前にした人間が望むものもシンプル。 「死」 私がこの小説から感じたことでした。 本当にその立場になれば、この小説に描かれた気持ちがわかってくるのでしょう。 ただ、個人的な考えではありますが私はこの現実主義的な考えに逆らって 「それもまた、一つの世の中の見方にすぎません」と 言えるような生き方がしてみたいと感じました。 【印象に残った言葉】 人生なんて、そうなるべくしてそうなるんだ。葬儀屋が性に合ってるって言ったのはそういう意味さ。
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ストーリーとはあまり関連のないように思えるが、 死ぬ間際に思うこと、物語の序盤に主人公が何気なく語った言葉に私は救われた。それを思うだけでなんだか生きやすく感じる。 何度も戻ってくる大好きな作品。
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順番が違っていて、最後に読むべきMEMORYを最初に読んでしまったことに気づいた。 改めて読み返すことに決め、本作を。 個人的に、本多孝好氏の作品が好きだ。 ひねくれているかのような主人公に、不真面目な生き方をしているように感じる方もいると思う。 でも、本作も「本音」が描かれている作品だと思う。生きていくために取り繕うではなく、分からないから分からないと素直に言うみたいな。 淡々としつつ、死生観や、自らの生き方、世の中の理不尽さ、それらに気づき考えさせられる。 人が死を目前にしたときに望むもの。 死ぬ前にひとつだけ願いが叶えられるとしたら? 死を目前にする人たちは素直ではなく、騙したり、擬似的な恋を望んできたりするわけだけれど、頼まれれば、粛々と、でも優しく、できる範囲で望みを叶える手助けをする神田。 それが本作の主軸かと思いきや、実は……という。 森野と神田の微妙な関係が気になる。
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病院と病院以外の場所では、いのちの重さが違うかのように扱われることが多いのではないか。それが赤の他人ならなおさらで、僕たちには最期を控える人たちの気持ちなんて全くわからない。では、病院で働く人ならどう感じているのだろう?こんなふうに、最期にひとつ、物語が生まれたりしたらいいのに。
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何かとすっきりしない本だった。 全体的に思ったことは人って死ぬ前にそんなに他人に恨みを持って復讐したいとか思う余裕あるかな?って思った。もっと綺麗なことだけ考えて死にたくないかな? ACT.3 FIREFLYが1番読みやすかった。
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あらすじやタイトルの雰囲気からハートフルな内容を想像しがちだが、思いのほか人間の業について触れられたシニカルな物語となっている。 死に際に人が願う事は、必ずしも美しい物ではないというリアルさを描いた作品。
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死ぬ時に何を考えるかは、確かに死ぬ時になってみれば嫌でも解かる。第 1 幕の恨み、第 2 幕の怒りと恐怖、第 3 幕の寂しさ、思い残したことを残酷なまでに見せ付けられてしまった気がする。
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「文体が村上春樹に近い」と言っている方がいたので、じゃあきっと好きだなと思って読んでみた。 確かに文体は近い。でもハルキの方がクセあるかな。そんなことより内容が面白い。ミステリーチックで引き込まれる。 しかしact2の中学生とキスしたところでいよいよハルキじゃんと思った。主人公の男性がモテるってやつ。相手の女の子が不思議ちゃんかメンヘラちゃん。 act3の上田さんは、身につまされて辛かった。 しかしデート中の神田がキザでちょっとイラッとした(笑)ハルキ読んでる時と同じ感覚のイラつき。 ミステリーチックと言っても結局生と死をテーマにしているから、結局やっぱりハルキっぽいなと思ってしまった。 でも面白かったことは確か。夢中になって読んだ。 これ、初期の作品だと思うから、最近のこの人の本を読んでみようと思う。もっとオリジナリティが出てることを期待して。
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伊坂幸太郎に似てるとどこかで紹介されていたのがきっかけで初めてよんだ著者の作品だった。 結論、伊坂幸太郎にはあまり似ているような気はしなかったけど、面白かった。 まだ自分は死を身近に感じたことはないけど、自分は死ぬ時最後にひとつだけ願いが叶えられるとしたら何を願うんだろうと思う。黒衣の必殺仕事人ではなく、掃除夫に何を頼むんだろう。
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