ALONE TOGETHER の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。 「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。 『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。 この物語凄く好きです。 語り手の僕は、特殊能力みたいなものを持ってて、相手の波長と同調する事が出来る能力があって、同調された相手は今まで身体の内に秘めた澱みたいなものを一気に吐き出してしまうとかなんとか。 大人も子供もみんなそれぞれ闇の部分を持っているし、 そういう色々な出来事や境遇にうまく折り合いをつけて生きている。 人ってそんな様に出来ているし、それをすべて引き剥がすのが良いとも思えない。 だけどそういう事って普段目には見えないから、 割と無頓着になってしまう。きっと自分の中にもそういう澱みたいなものはあるんだと思う。 だけど今意識してみて吐き出せと言われても吐き出せない。 人間って上手くできてますね。 著者の文の書き方は凄く好きです。 どこか綺麗で美しい。だけどまどろんで怠惰してしまう様な文章もたまにある。 個人的にはそういう物がとても魅力的です。 そんでもって熊谷とのくだりがメチャクチャ好き。 あんなのあったら楽しいだろうなぁ。 溝口君は可哀想かもしれないけど。 まぁ大学生でBMW乗ってるぐらいじゃ家は金持ちだろうし、いいでしょう。 言ったら気まずくなるような事をさらっと言えちゃう熊谷さんに好感を持った。 いつも著者が書く主人公は後半から頼もしくなる。 そういう所も好きな理由の一つかもしれない。
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とりあえず読み終えた。 他人の本心に寄り添えるからこそ、ふかく人に立ち入れない主人公の青年に哀しみをみた。心に同調してもらうこと、完璧な理解を求めるけれど、鏡のように自分の心を見てしまうことは誰も耐えられないように思う。 主人公をはじめとして、登場人物は他人を理解してしまうこ...
とりあえず読み終えた。 他人の本心に寄り添えるからこそ、ふかく人に立ち入れない主人公の青年に哀しみをみた。心に同調してもらうこと、完璧な理解を求めるけれど、鏡のように自分の心を見てしまうことは誰も耐えられないように思う。 主人公をはじめとして、登場人物は他人を理解してしまうことで苦しんでいるところがこの小説の面白さだと感じた。わからないことよりも、交われないことよりも、わかり過ぎて苦しい。 タイトルは「alone together」ひとりきりを、一緒に。潔くひとりでいる事を呪いでなく、祈りだと呼んでみせた青年に幸福を願いたい。理解されないことで駄々をこねる若年者にもこんな静かな「祈り」を知ってほしいものだと思う。
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主人公は不登校の小中学生専門塾の講師。 彼は特殊な能力“他人のココロとシンクロすることにより、本心を明かさせる”を持っている。 物語は、複雑な年頃の中学生やその親の本心を暴きながら進んでいきます。 でも“本心”の正体は何なのでしょう? 本能に任せた気持ち・・・? ...
主人公は不登校の小中学生専門塾の講師。 彼は特殊な能力“他人のココロとシンクロすることにより、本心を明かさせる”を持っている。 物語は、複雑な年頃の中学生やその親の本心を暴きながら進んでいきます。 でも“本心”の正体は何なのでしょう? 本能に任せた気持ち・・・? 僕には、自分自身の本心も分かりません。 まして、他人の本心なんて論外です。 とりあえずは、自分の本心も他人の本心も、自分の好きなように解釈して、心安らかに過ごせていれればいいや!
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他人と波長を重ねられる特殊能力を持つ主人公。 同じ力を「呪い」と呼んだ父。 自殺し損ない、植物状態になってしまった女性とその娘サクラ。 生命維持装置を止めた大学教授。 なんというか、すっきりしなかった・・・・ え、え、それで終わってしまうの?という雰囲気。 何かを伝えたいの...
他人と波長を重ねられる特殊能力を持つ主人公。 同じ力を「呪い」と呼んだ父。 自殺し損ない、植物状態になってしまった女性とその娘サクラ。 生命維持装置を止めた大学教授。 なんというか、すっきりしなかった・・・・ え、え、それで終わってしまうの?という雰囲気。 何かを伝えたいのにうまく伝えられないときや、相手の気持ちが分からなくて寂しいとき、心の中が覗けたり、見てもらえれば・・・と空想してしまったりしますが そんな特別な能力、備わっていないからこそ世の中うまくいっているんだろうなぁ。 RADWIMPSも「最大公約数」で「パパとママが 心だけは隠して生んでくれたのにはそれなりの理由があった」と歌っているし。
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登場人物の心理描写がすばらしい作品。文体がとても軽く描かれているが、テーマは重い。 感想を書くのがとても難しい内容です。
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淡々と読める。 内容が超能力とか呪いといったワードがあるので、 若干入り込めない感じもするが、所々の文章や台詞の言い回しが好き。
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他人と「波長を重ねる」ことができる能力を持った主人公。 かつて中退した医大の教授から「自分が殺した女性の娘を守ってほしい」という依頼を受ける。 普通の学校で居場所を見つけられなかった少年少女たちが通う学園での生アルバイト生活。 その中で知り合った生徒・同僚・上司。教授の事件をしつ...
他人と「波長を重ねる」ことができる能力を持った主人公。 かつて中退した医大の教授から「自分が殺した女性の娘を守ってほしい」という依頼を受ける。 普通の学校で居場所を見つけられなかった少年少女たちが通う学園での生アルバイト生活。 その中で知り合った生徒・同僚・上司。教授の事件をしつこく付け回すフリーライター。そして、自分の両親。 それぞれが抱える秘密を少しずつ解きほぐしていったとき、真実の欠片が姿を見せる。 最初に読んだ『MOMENT』で気に入り、同作者の文庫本を読み漁ること7冊。 若干連敗気味な空気だったが、『MOMENT』以来の個人的ヒット。 事件の発端が病院だったり、人の生死感、価値観にダイレクトに踏み込む辺り、同作とよく似た雰囲気がある。
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「ある女性を守って欲しいのです」 三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の悩み。 相手の波長とシンクロして、隠した気持ちを引き出してしまう、呪いの様な能力を持つ主人公・柳瀬と、色んな悩みを持った人々との物語。 ミステリなんやけど、超能力とかもあって不思議...
「ある女性を守って欲しいのです」 三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の悩み。 相手の波長とシンクロして、隠した気持ちを引き出してしまう、呪いの様な能力を持つ主人公・柳瀬と、色んな悩みを持った人々との物語。 ミステリなんやけど、超能力とかもあって不思議な感じ。でもその能力をごり押ししてないから、ファンタジーっぽさはあんまりなくて、さらっと読める。でも何かあっさりしすぎて、なんとなく物足りないかなぁ。本多さんっぽくない感じ。文章とかはそんなことないんやけど。塾の人々とか 、キャラはしっかりしてても、あんまり活かしてないし。 淡々としてて、メインもサブの問題もあんまり盛り上がりなく終わっちゃう。登場人物の誰にも感情移入しにくいしなぁ。柳瀬さんが共鳴した人達の堕落具合には驚いたけど。あんま報われなくて、ちょっと暗い。強いて言うなら、立花サクラや熊谷に能力を使わない所が本多さんっぽくて好き。うーん。難しい。
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ファンタジーのようなミステリのような少し不思議な話でストーリーは説明しづらい。けど文章が好き。情景描写の表現がなんかいいなあと思う。
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「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。 「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。 久々に読み返してみました。 本多さんの作品で読み返すの...
「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。 「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。 久々に読み返してみました。 本多さんの作品で読み返すのは『MOMENT』ばかり。 この作品は著者初の長編だったようで、最初に読んだ当時はかなりのめり込んだ気がするのですが、今読むとあまり感情移入できないのが不思議です。 本多さんはもともと文体が好きで読んでいるのですが、『MOMENT』を読んでしまったからか、そちらの印象の方が強くなってしまって、『MOMENT』で感じた優しい視線が感じられないのが物足りないのかもしれません。 この主人公はかなりドライです。そこを受け入れられるかどうかが、一番の分かれ道かもしれませんね。
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