山尾悠子作品集成 の商品レビュー
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多彩な物語を辿るうちに ピントが合った景色が目の前に広がり 鮮烈さに引きずり込まれるような感覚が楽しくて読み終わるのが勿体なくて 2ヶ月ほどかけてゆっくり読んで 読了後もまだ読み返しています 遠近法・補遺の一節がやはり印象的 「誰かが私に言ったのだ 世界は言葉でできていると」
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やっと読み終わったよーーー!!! 長かった......... 一生に一度は読み通したいと思っていた本。 何と言い表せば良いか分からないけれど、例えるなら、精緻なスノードームや夜の美術館の彫像群を眺めているような感じがしました。 硬く、謎と滅びの気配を孕んでどこか静止しているような数々の異世界が描かれています。 そして、古い美術品のように、かつては込められていたかもしれない世界の意味はもう風化してしまって、今はただその美しい造形をため息をもらしながらなぞり眺めるしかないような、そんな感じを受けました。 完璧に造られた人工世界は一方でどこか不気味さを感じさせます。始めの作品群はその不気味さが顕著で、徐々に薄まっていくものの、構築された枠組みが崩れ去って行くような、精巧さが突如として醜悪さに反転するような不穏な気配はその後も通底していました。 緻密に組み立てられた文章の大半が描写に費やされるため、あらすじは説明できる気がしません。ただ「そこに〜〜があった。私はそれを見た」としか言えないです。 読み始めると、遠い国の予言を予知夢として見ているように、非現実の空間の中で視界がくっきりと立ち上がってきます。 世界の内に降り立ったある一点から、目に見えるものを辿って行き、それらの配置や全体構造を 自ずと理解していくうちに、世界がゆっくりと臨界点に達しようとしていることに気付くけれども、もはや止められない。というのが体感です。 描写が多いといっても、世界を構築する数々の物たちが皆、一つ一つ手に取りたくなるくらい嗜好に刺さるため、飽きることなく眺めていられます。 そして良い意味で、読んだ後には何も残らないです。素晴らしい細工の装飾品を見た時のように、至高の音楽を聴いた時のように、何か驚くほど素敵な作品を味わった、という感覚やイメージの断片は鮮烈に残っても、後で考え込むようなメッセージや尾を引くような感情は一切残りません。 そこがすごいところです。 まあこんな稚拙な言葉では何にも伝わりませんね。 完全に体感型の本なのでまず読んでみる方が良いと思います。 自分の脳の容量によって、言葉から受けるイメージの広がりが変わるので、なるべく落ち着いていて眠くない時に読む方が良いです。 というかそういう時でないと読めないと思います。 (文章自体は堅苦しくも華美でも古めかしくもなく、端正で読みやすいです) 「夢の棲む街」「月蝕」「遠近法」「蝕」「黒金」「透明族に関するエスキス」が好きです。
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凄すぎる以外に言葉が出ない。 「夢の棲む街」 「遠近法」 この2作をよんだだけでももうそれでよい。 凄すぎてなんかもうそれで良い。
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夢で織られた分厚いバームクーヘンを食べるようにして愉しんだ。 無人島に持っていく本はこれでもいいかも。
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執拗な情景描写に圧倒されるが、その分物語の筋は希薄に感じる。頭に浮かんだイメージをそのまま描きたかったのだろうと思うが、そのために読ませるための工夫がおざなりとなっている感が否めない。他者が見た夢の話を聞くのは退屈だ。
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「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたら...
「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたらず、いつまでも世界に入って遊んでしまう。
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なんというか、すごいものを読んでしまった。 すべての話が目の前に映像が浮かぶような視覚的な文章で書かれていて、幻惑される。ひとつひとつ文体を変えて書いているとのことだけれど、根底に山尾節といっていいのか、一貫したものが流れていて、作者を知らずに読んでも、これは山尾さんの話だとわか...
なんというか、すごいものを読んでしまった。 すべての話が目の前に映像が浮かぶような視覚的な文章で書かれていて、幻惑される。ひとつひとつ文体を変えて書いているとのことだけれど、根底に山尾節といっていいのか、一貫したものが流れていて、作者を知らずに読んでも、これは山尾さんの話だとわかるような気がする。 作品世界は頽廃的なものが多く、透明でふわふわしたものではなく、鉱物的なごつごつとした肌触り。なめらかな絹や天鵞絨だと思っていたら、乾いた血でごわついている部分を見つけてしまったような不安を感じたりもする。 好きなのは『遠近法』『パラス・アテネ』『ゴーレム』。 他にも好きなのはあるけれど、とても書ききれない。 ホント、すごい話に、すごい作家に出会ってしまったと思います。
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作者の20代のころの短編集。 一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力...
作者の20代のころの短編集。 一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力がいる。好みの話しじゃないときは目が滑って大変だった。絵画や版画などに構想を得ることがあった作者なので、それらの元ネタを知らないで調べたことも。あと、読めない漢字が多く出てきて読むのに辞書、広辞苑は手放せなかった。それでも読んでいる間はその手間が気にならないくらい夢中だった。もともとSFとかファンタジーが好きだったので夢見るような話は嫌いではなかったのもあるかもしれない。 「ムーンゲイト」「月蝕」「童話・支那風小夜曲集」「シメールの領地」「ゴーレム」あたりが好き。
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幻想に到る病と毒林檎の果てに山尾は何を見るのだろうか? いつまでも咲き続けるオーロラと巨人の狭間で何を感じるのか。 それともゴーレムの生成には処女の生贄が必要なのか。 いいや、腸詰宇宙には終わりも始まりも無く太陽すらないのだ。 本格幻想作品は一種のノワールであって博愛主義...
幻想に到る病と毒林檎の果てに山尾は何を見るのだろうか? いつまでも咲き続けるオーロラと巨人の狭間で何を感じるのか。 それともゴーレムの生成には処女の生贄が必要なのか。 いいや、腸詰宇宙には終わりも始まりも無く太陽すらないのだ。 本格幻想作品は一種のノワールであって博愛主義ではない。 いっそのこと――トロンプルイユに溺れて死んでみたいけれど、 流星群の蠢くシークエンスはサイレンとともに点滅する・・・。 呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛祝福呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛。 永久機関が止まった日に純度の高いエリクシールが手に入るんだ。
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幻想文学の極北。伝説の作家の傑作群。佐藤亜紀がとんでもない褒め方をしている「パラス・アテネ」も素晴らしい。その文体の余りの煌びやかさ、リズム、映像的な視点移動など恍惚としてしまう。しかし、なんといっても生涯最高の短編「遠近法」。その創造力に打ちのめされました。その1作の衝撃だけで...
幻想文学の極北。伝説の作家の傑作群。佐藤亜紀がとんでもない褒め方をしている「パラス・アテネ」も素晴らしい。その文体の余りの煌びやかさ、リズム、映像的な視点移動など恍惚としてしまう。しかし、なんといっても生涯最高の短編「遠近法」。その創造力に打ちのめされました。その1作の衝撃だけで、大ファンになり、サイン会のためだけに関西から東京まで赴いてしまったよ。★6
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