エトロフ発緊急電 の商品レビュー
プロローグ 時は、1941年冬 鈍色の空が低く垂れ込み、海は重たい鉄板のようにうねっている 流氷の破片が軋む音が島全体のうめき声のように響く 遠く、霧の向こうでカモメが嘶く その鳴き声は、希望ではなく恐らく警告か!? コントラストの強い影と光が交錯しこの島は今日も 黙ってそこ...
プロローグ 時は、1941年冬 鈍色の空が低く垂れ込み、海は重たい鉄板のようにうねっている 流氷の破片が軋む音が島全体のうめき声のように響く 遠く、霧の向こうでカモメが嘶く その鳴き声は、希望ではなく恐らく警告か!? コントラストの強い影と光が交錯しこの島は今日も 黙ってそこにいる そう、その島とは択捉島に他ならない!!! 今、不穏な物語が始まろうとしている、、、 本書 『エトロフ発緊急電』1989年刊行圧巻の★5 おびさんの本棚から おびさんのレビューでビビビッときた!!! 最初の頁を捲る はしがき〜プロローグで物語は始まるがその時点で ノックアウトだ 740頁にも及ぶ濃密且つ総重量も相当だが どの章も面白過ぎて箸休めや息継ぎが出来ない 良い意味でアップアップしながら物語は終結へと 一気に向かっていく 本作は、真珠湾攻撃が主ではない そこに至るまでの過程や駆け引きが主だ また、日本が犯した数々の罪も赤裸々に描いている そして、各国の思惑や思想は前提にあるものの 最終的にそこにあるものは、個だ! 人間が決してあがらう事が出来ない、血や本能、 そして愛という感情の前には誰もが平伏すのである 作中に何度も登場する“アメイジング・グレイス”に なぞらえた、魂の歌、人間讃歌に他ならない 日本冒険小説協会大賞 日本推理作家協会賞 そして山本周五郎賞の納得の3冠である!!! エピローグ 荒れた岬の先、朽ちかけた監視塔が一本、空に向かって突き刺さる 錆びた鉄骨は赤黒く、過去の緊張と血の気配を今も孕んでいるかのようだ 足元の苔は濃く、湿った土と混じり合い、踏みしめるたびに鈍い音を立てる ここでは一歩一歩が、生きている証明であり、同時に島への挑戦でもある ただ、冷たい風と荒波、そして重苦しい静寂で、訪れる者の覚悟を試す この島で邂逅した登場人物たちは、何を思い 何を護って生きてきたのか そして、何を糧に生きていくのか その答えは、我々読者に委ねられているのかもしれない 完
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1990年第8回 日本冒険小説協会大賞 1990年第43回 日本推理作家協会賞(長編部門)1990年第3回 山本周五郎賞 『ベルリン飛行指令』 『ストックホルムの密使』 と共に佐々木譲の戦争三部作の1作 そして、今日は真珠湾攻撃のその日。 本書冒頭の「はしがき」にも 〈194...
1990年第8回 日本冒険小説協会大賞 1990年第43回 日本推理作家協会賞(長編部門)1990年第3回 山本周五郎賞 『ベルリン飛行指令』 『ストックホルムの密使』 と共に佐々木譲の戦争三部作の1作 そして、今日は真珠湾攻撃のその日。 本書冒頭の「はしがき」にも 〈1941年12月7日、オアフ島真珠湾の米国海軍太平洋艦隊基地が奇襲された〉 と始まり、歴史上の重大な瞬間へと読者を引き込んでいきます。 ストーリーの基軸は、真珠湾攻撃の情報がアメリカ側の日系人スパイによって事前に察知されていたのか、そして第二次世界大戦中の諜報活動とはどのように行われていたのか、という点にあります。 読み進めるうちに、私は自分が「北方」を何も知らなかったことに驚きます。千島列島には、クリル人と呼ばれたアイヌ民族が生活しており、隣国ロシアとの混血も存在していた。酷寒の自然と厳しい環境の中で営まれる暮らしがあったのです。 そして当時の日本は、他国との開戦以前から、この地に対し厳しい支配と侵略を強いていたのだと、改めて思い知ります。 第二次世界大戦下のインテリジェンス小説として読めるのでは、と期待していました。けれど実際に描かれていたのは、訓練されたスパイの鮮やかな諜報戦というより、日本を恨み、複雑な出生を背負った男の力ずくの潜入劇。エトロフを目指すその道のりには、荒々しさと生々しい人間味が濃く漂っています。 私の中にあるスパイ像の柳広司『ジョーカー・ゲーム』のような知略に満ちた冷静さ――とはかなり異なったアプローチでした。 真珠湾へ向かう艦隊が、単冠湾にひそかに集結していた――その情報を送る緊急電。この場面は歴史のリアリティを感じさせるものの、カバーに描かれた繊細な空母の姿とは裏腹に、「この物語の軸はどこにあるのか?」と、後半になるほど揺らぎが生じてしまい、大作でありながら掴みきれない印象が残ります。 とはいえ、開戦前の日本の緊張感や 北方の地元民の様子等、読みどころは この長編の中に幾つもあります。 私がもっとインテリジェンスの奥行きを読むつもりだったんですね、きっと。
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最初読んだのいつだったっけ。全く憶えていない。 結局今年読んだ本の中でこれが一番面白かった。 P608、海霧の中から連合艦隊が現れるところは印象的。 実際見たかった。
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太平洋戦争目前のスパイ戦と択捉島単冠湾が 舞台。歴史的事実に、もしこんな物語があったら というドキドキしながら入り込める作品。
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「エトロフ発緊急電」(佐々木譲) 太平洋戦争の時の日米開戦の真珠湾攻撃前夜の話しでした。今の北方四島の択捉島に帝国海軍が秘密裡に集結してから奇襲攻撃を仕掛けた事は知りませんでした。史実に基づきその前夜の日米の緊迫した情報戦が筋立てですが、登場人物の全てが国家の単純なイデオロギーで...
「エトロフ発緊急電」(佐々木譲) 太平洋戦争の時の日米開戦の真珠湾攻撃前夜の話しでした。今の北方四島の択捉島に帝国海軍が秘密裡に集結してから奇襲攻撃を仕掛けた事は知りませんでした。史実に基づきその前夜の日米の緊迫した情報戦が筋立てですが、登場人物の全てが国家の単純なイデオロギーでは測れない奥行きを持っていて、その背景はまだ私には未消化です。冒険小説やスパイ小説というジャンルに収め切れない重厚な本に出会った気がします。
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めちゃ面白い冒険小説。よくあるプロットを戦争というフィルターを通すことで奥行きが増している。陰のある孤独なヒーローとうら若き女性の報われぬ恋、孤立無援の状況などハードボイルドの基本を忠実になぞっているので一見難しそうにみえてサクサク読める。また脇役も魅力があり細部まで丁寧なのが好...
めちゃ面白い冒険小説。よくあるプロットを戦争というフィルターを通すことで奥行きが増している。陰のある孤独なヒーローとうら若き女性の報われぬ恋、孤立無援の状況などハードボイルドの基本を忠実になぞっているので一見難しそうにみえてサクサク読める。また脇役も魅力があり細部まで丁寧なのが好感触。前作との繋がりがみえつつ全く新しい戦争スパイ小説として(しかもアメリカ目線)一級品であることは間違いない。特に斎藤が択捉島へ逃げていく所は良い。追う側と追われる側の描写の迫力でグイグイ入ってくる。
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太平洋戦争開戦を巡る諜報活動の話。択捉島の取材なんてできなかったと思うが、リアルな描写に引き込まれる。佐々木譲さんの主人公は皆すごい能力を持っているのに恵まれない境遇で何処か諦念感漂う人が多い。 NHKドラマの「エトロフ遥かなり」見たいな…
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真珠湾攻撃と言う事で読了。佐々木譲さんの戦争三部作です。真珠湾攻撃の情報を掴む為、スパイとして採用されたケニー斎藤。 アメリカ、東京、広島、択捉島、、、と場面が転換して行く中で日系アメリカ人のケニー、混血のロシア人、タコからの脱出者、宣教師、クリル人、憲兵達が複雑に絡んで行きま...
真珠湾攻撃と言う事で読了。佐々木譲さんの戦争三部作です。真珠湾攻撃の情報を掴む為、スパイとして採用されたケニー斎藤。 アメリカ、東京、広島、択捉島、、、と場面が転換して行く中で日系アメリカ人のケニー、混血のロシア人、タコからの脱出者、宣教師、クリル人、憲兵達が複雑に絡んで行きます。 中盤(北海道位まで)のスリリングさが終盤でややトーンダウンしてしまった印象を持ったのが少し残念だったかな。ベルリン飛行指令が良かった分期待値が上がり過ぎていたかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれ別個の人物を軸に幾つもの話題が展開されていたが、後半に向かって収束していき、択捉で全ての顛末を迎える。この全体の流れ、とても好き 国全体の流れとしては知っている出来事でも、それを個々人の視点で述べるという試みはやはり新鮮で好き。人間味のある行動の一つ一つ 何より人生をかけてこれだけの行動を成したにもかかわらず、還元されることなく無に帰したというのも無情、現実は小説よりも奇 エピローグ、少し助長ではという印象もあり、むしろプロローグとして書いても収まりは良さそう
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前回の読書会でお借りした本、その3。 北辰軍盗録と迷っていたらどっちも面白いから、とおススメされたので。 うん、どっちも面白かった! 特にこちらはめちゃくちゃ面白かった! メインの時間軸としては、日米本格開戦の直前、真珠湾攻撃の作戦立案から決行までなのかな。 最初はさまざまな...
前回の読書会でお借りした本、その3。 北辰軍盗録と迷っていたらどっちも面白いから、とおススメされたので。 うん、どっちも面白かった! 特にこちらはめちゃくちゃ面白かった! メインの時間軸としては、日米本格開戦の直前、真珠湾攻撃の作戦立案から決行までなのかな。 最初はさまざまな場所、たくさんの登場人物がそれぞれにばらばらに動いているのからはじまり、その個々の事象が、大きく広がった風呂敷がだんだん畳まれていくようにだんだんと集約されていく様が圧巻。 スパイ小説は読んだことがなかったけど、ここらへんは極上のエンタメ小説な感じがしてめちゃくちゃ面白かったな、 追いかけられて追い詰められる夢をみてしまうくらい物語にのめり込んだ。 それと同時に、史実とフィクションの境目がわからないなぁと思えば思うほど、だからこそなのか、登場人物に共感してハラハラしたり、興奮したり、憤ったり、悲しくなったりしながらも、感情に流されずに歴史的事実は事実としてしっかり認識しておくべき、詳しく知っておくべきだろうなと冷静になったりもしたので、感情の振れ幅が大きくて忙しかった。 かなりの長編だけど、まったく飽きさせないし、エピローグまで小説としてすごく美しく纏まっていると思う。 そして読後にもう一度著者のはしがきを読むとさらにいろいろと考えさせられる。 内容はとてもハードだけどとても充実感のある読書になった。
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