中島敦全集(1) の商品レビュー
山月記や李陵が好きなので、選んだ本だが。 題材やジャンルが思いのほか、幅広いのと、読者の心情に切り込むような、文章が素晴らしい‥ と、ある作家の人生を描いた作品は、長いなぁと読んでいるうちに、自分が突きつけられているかのようで、ハッとした。 中島敦 恐るべし。
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中島敦は教科書の山月記くらいしか読んだことがなかったが、読書会のために読むことに。硬質な感じのする文章だが、その文章が抱えるイメージの濃密さには驚かされる。古代を舞台にした短編群の「古潭」が幻想的で面白かった。スキタイ人の語り部の話「狐憑」、アケメネス朝ペルシャの前世を理解した男...
中島敦は教科書の山月記くらいしか読んだことがなかったが、読書会のために読むことに。硬質な感じのする文章だが、その文章が抱えるイメージの濃密さには驚かされる。古代を舞台にした短編群の「古潭」が幻想的で面白かった。スキタイ人の語り部の話「狐憑」、アケメネス朝ペルシャの前世を理解した男を書く「木乃伊」など。あとは動物を題材にした詩がどれもユーモラスで良かった。
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初めて全集を読む。著者の碩学、想像力に触れる。 ・臆病な自尊心と、尊大な羞恥心 ・沙悟浄の人間くさい魅力 ・李陵、司馬遷、蘇武。不条理な運命の中でどのように生きるか
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円環構造の物語の極致と言える「木乃伊」。 ペルシャの武将パリスカスがエジプトに入った時に見付けた一体の木乃伊(ミイラ)。彼はそこに自己を見る。かつてこの木乃伊が自身であったと。 だから話せないはずのエジプト語を理解し得、記憶の中に見知らぬこの国の妻があった。 前々世、前々々世の記...
円環構造の物語の極致と言える「木乃伊」。 ペルシャの武将パリスカスがエジプトに入った時に見付けた一体の木乃伊(ミイラ)。彼はそこに自己を見る。かつてこの木乃伊が自身であったと。 だから話せないはずのエジプト語を理解し得、記憶の中に見知らぬこの国の妻があった。 前々世、前々々世の記憶が無限に連続していることを知った人はどうなるかを描く。十頁に満たない作品ながら、深く考えさせられた。 空想の物語を語るようになった男を描く「狐憑」は、文字さえあれば作家と見做されたろうが、その欠如ゆえに集団から排される。 一方「文字禍」はその対となる作品のよう。過去、人は体験を直接に感じられたのに、文字の発明により、出来事を文字化して影のようにしか感じられなくなったのではないかとする。 文字の精は、文字のためにアッシリヤは蝕まれているとの真理に気付いたナブ・アヘ・エリバを見逃さず、地震で書籍=石板の下で圧死させる。 川端康成が「芥川賞に価ひしないとは、私には信じられない」と書いた『光と風と夢』は、『宝島』の著者スティヴンスンが酷い喀血に見舞われ、健康地を求めて定住先としたサモアでの生活を描く。 夜明け前、眠っている人に良い夢を送るため優しく笛が吹かれるのどかな島を舞台に、植民地化を進める米英独に対しスティヴンスンはペン一本で立ち向かう。 終始、南国の光と風を感じられる作品。極上の読書体験。 また、著者の小説観が、主人公の日記の中で「小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽くすのは、小説の他にない」と表されている。 うん、この最強の力で魂を奪われた。夭折が悔やまれる著者。 「木乃伊」目当てに手に取った本だけれど、全て良かった。表紙は一体なんだろう、とは思ったけど。
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作者の伯父の死を描いた「斗南先生」と,スティーブンスンのサモアでの生活を描いた「光と風と夢」を読了. 「山月記」や「名人伝」などしか知らないわたしには,両方とも新鮮.特に後者は病気と闘いながら自分の天職としての作家という職業を強く愛し,サモアの自然と土地の人を愛したスティーブンス...
作者の伯父の死を描いた「斗南先生」と,スティーブンスンのサモアでの生活を描いた「光と風と夢」を読了. 「山月記」や「名人伝」などしか知らないわたしには,両方とも新鮮.特に後者は病気と闘いながら自分の天職としての作家という職業を強く愛し,サモアの自然と土地の人を愛したスティーブンスンと作者自身の姿をどうしても重ねてしまう.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
寒いので南の物語でも読もうと思って積ん読を手に取ったけど何かが違った……。 「光と風と夢」に作者自身をそのまま重ねるのは短絡的かなと思いつつ、しかし何も思うところなくいろいろな心情を吐かせるわけもなく。 ということを考えながら読んでみると、教科書で山月記を読んだ当初のとっつきにくさもほとんど感じることなく「おもしろく」読めた。 それと、単語は難しいけど文章自体は簡潔ですごく読みやすいのに驚いた。 ページごとの脚注やルビの仕事も大きい。 「狐憑」 定義がなくても価値を認められたり、やっぱり無理だったり。 食われて終わりっていうのが初めて読んだときは衝撃的だったなあ。救いは……?ってかんじ。 「木乃伊」 前々々世。 SFのショートショート的なとこがある。 「山月記」 やっぱ名作。これが連綿と高校の教科書に載っているのもすごい。 「斗南先生」 納棺のシーンたまらない。 この自意識や自尊心と皮肉家的な思考、「かめれおん日記」と比べると三造が若いからまだ穏やかに読める感じ。
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「古譚(狐憑・木乃伊・山月記・文字禍)」の冒頭が相変わらず面白いのだけど、初めて読んだ「斗南先生」が一番印象に残った。 主人公・三造に似た(悪い意味の)気質を備える伯父。 三造は一緒にされるのが嫌で、伯父を知識があるように見せかけて何もしない、傲岸不遜な人物として憎々しく見てい...
「古譚(狐憑・木乃伊・山月記・文字禍)」の冒頭が相変わらず面白いのだけど、初めて読んだ「斗南先生」が一番印象に残った。 主人公・三造に似た(悪い意味の)気質を備える伯父。 三造は一緒にされるのが嫌で、伯父を知識があるように見せかけて何もしない、傲岸不遜な人物として憎々しく見ている。 伯父が衰弱する際も、なるべく客観的になろうと伯父の悪癖を書き出し、冷淡にその死を迎えるつもりでいる。 けれど、伯父は三造をその性格の範疇で可愛がっているのがよく分かるし、そんな伯父を描写する三造の目も、どこか憎みきれない部分がある。 その死に対して、三造が涙をこぼす時、自分も思わず共感してしまった。 それから後、伯父の著作物に一目置くことになる三造もあって、良い読後感の話だった。
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大事なひとが好きだからと、それだけで読んだのだけれど、驚いた。 こんな文を、こんな新鮮に綴ることが出来る方が居たなんて。
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高校時代に山月記の解釈を巡って教師と大論争したのを思い出した。物語そのものの背景に見える中島敦という人物から、この時代の教養人の気合いの様なものを改めて感じた。
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