おちくぼ姫 の商品レビュー
まさに、千年前の日本版シンデレラ。清らかで薄幸な姫君が現代で言うところのハイスペックなイケメンに溺愛され、意地悪な継母はこらしめられるという王道設定。人が好む話というのは根幹の部分では千年前も今もたいした違いはないのかもしれないと感じた。『落窪物語』の面白い部分を選択して現代版に...
まさに、千年前の日本版シンデレラ。清らかで薄幸な姫君が現代で言うところのハイスペックなイケメンに溺愛され、意地悪な継母はこらしめられるという王道設定。人が好む話というのは根幹の部分では千年前も今もたいした違いはないのかもしれないと感じた。『落窪物語』の面白い部分を選択して現代版にしてあるので、展開も早くて楽しめました。田辺さんの軽妙でユーモラスな語り口が本当にお伽噺を読み聞かせてもらっているかのような心地になりました。
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非常に失礼ながらこの作品は田辺さんの創作物だと思っていた。シンデレラのパクリじゃんと、2015年限定カバーに惹かれなきゃ改めて読み直そうとも、10世紀に書かれた作者不明の作品だということも知らずにいたと思う。 内容としては、まあ和製シンデレラ。違うのは不当に虐めた側にも人為的な不...
非常に失礼ながらこの作品は田辺さんの創作物だと思っていた。シンデレラのパクリじゃんと、2015年限定カバーに惹かれなきゃ改めて読み直そうとも、10世紀に書かれた作者不明の作品だということも知らずにいたと思う。 内容としては、まあ和製シンデレラ。違うのは不当に虐めた側にも人為的な不幸が訪れた。自業自得だよねって箇所くらいだろうか。とはいえ継母の打たれ強さは笑ってしまった。 貴族文化が栄えると、似たようなプロットの物語が生まれやすいのかな? それにしても日本は源氏物語や竹取物語といい文学の歴史が深い。
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図書館で。 日本版シンデレラ、とありました。確かに面白い。でもこれ、主人公は乳兄弟の彼女だなあ。彼女が居ないとどうにもこうにもならない辺り日本のお姫様はおっとりしているな。そして実父が居ても何の役にも立ってない辺りが愉快。とは言え私がもっているグリム童話集だと「灰かぶり」のお父さ...
図書館で。 日本版シンデレラ、とありました。確かに面白い。でもこれ、主人公は乳兄弟の彼女だなあ。彼女が居ないとどうにもこうにもならない辺り日本のお姫様はおっとりしているな。そして実父が居ても何の役にも立ってない辺りが愉快。とは言え私がもっているグリム童話集だと「灰かぶり」のお父さん、亡くなってないんですよね。舞踏会も三日続けて行われるしその際、追手から逃げかえってきた灰かぶりを見て今逃げてきたのは灰かぶりじゃないか?とか呑気な感想を持っている辺り男親って…と思ったものです。 今も昔も人間って変わらないなあっとも思うし、価値観とか変わったものもあるし。ただ、本質的な所は変わらないのかな、とも思います。歌舞伎にもなっているみたいだからそのうち見てみたいな。
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駆け抜けるような早さの物語をドキドキワクワクしながら、読んだ。古典へのとっかかりとして申し分ない作品でした。
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たまには昔の物語を、しかし古文を一から読むのはなんだかしんどいので田辺聖子さんが噛み砕いてくれたものを、と思い読み始めた。優しく当時の文化や慣習などを説明しながらも、物語を運び進める。なかなか興味深い本だった。 面白い物語というものは時代や国を選ばないのかもしれない。継母いじめら...
たまには昔の物語を、しかし古文を一から読むのはなんだかしんどいので田辺聖子さんが噛み砕いてくれたものを、と思い読み始めた。優しく当時の文化や慣習などを説明しながらも、物語を運び進める。なかなか興味深い本だった。 面白い物語というものは時代や国を選ばないのかもしれない。継母いじめられている美しい少女が、王子様に見初められて幸せになる、というまあシンデレラストーリーは、万国共通で受けるのかもしれない。痛快さもあり、悲しみもあり、悔しさもあり。なんていうか、すべてが安心しきった中で享受できる。こういう普遍性のある物語が日本にあったというのは、私はすごく嬉しい気持ちになる。あとがきで田辺聖子は源氏物語を引き合いに出しながらこの物語の特徴などを説明していたが、それも納得のいく内容だった。 それでもなんというか、男に選ばれることで幸せになる女の物語というものは、良くも悪くも昔から変わらない。現代の少女漫画だって、基本的には価値のない女が素敵な男に選ばれることで、価値が付随されていくという物語だ。私は、そろそろその構造になんというか一石投じてもいいのではないかと、思う。
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娘たちが越水利江子版「落窪物語」を夢中で読んでいたので、氷室冴子版を図書館で借り、田辺聖子版を買ってみた。 子らがほしがっていたハッケンくんブックカバーのバナナ柄も首尾よく入手。 あとがきを読むと、落窪物語は本来かなり長いものの、後半は急につまらなくなるので、前半部分のものがたり...
娘たちが越水利江子版「落窪物語」を夢中で読んでいたので、氷室冴子版を図書館で借り、田辺聖子版を買ってみた。 子らがほしがっていたハッケンくんブックカバーのバナナ柄も首尾よく入手。 あとがきを読むと、落窪物語は本来かなり長いものの、後半は急につまらなくなるので、前半部分のものがたりのいちばんおいしいところを田辺聖子なりの味付けで訳した、とわかる。以後の氷室冴子、越水利江子の現代語訳もこの田辺聖子版が下敷きとなっているのだろう。平安時代の結婚制度などの背景の説明などもていねいで、これはこれで読みやすい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おちくぼと少将が初めて出会うシーンが好き。 不意打ちでやってきた少将に対して、みすぼらしい身なりを見られることが女にとってどれほど恥ずかしいことかを涙を流しながら説くおちくぼ。 それこそ少将の甘い言葉も聞こえないほど距離をとり帰還を促す。 全く気にしていなかった少将もそんな彼女の姿を見て女性にとっては「着物などどうでもいい」と言えないんだ、と自ら衣を一枚着せかける。 時代ゆえのこともあるけれど、女の根本的感覚というのは今も昔も同じ。 少将のヒーローっぽさもさることながら、おちくぼの女性としての奥ゆかしさやいじらしさが何とも言えず愛らしい。 読後感は最高にハッピー。
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装丁からして惹かれた作品でした。 特に四の君のところのお話が大好きで、読み終わった後に思わずしあわせの溜息がこぼれてしまうほど…♡ すぐに読み返せるようにベッドサイドの本棚に置いてある、お気に入りの1冊です。
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とっても素敵なお話だった! なるほど、日本にもシンデレラストーリー があったんだなと思った ( '◟ ')
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後朝の文、三日夜の餅…ふふーん(鼻息) 中世のロマンス小説っていっていいのかな。日本版シンデレラストーリーです。これ、文楽でやったらおもしろそう。お調子者キャラの典薬の助がいるからチャリ場を作れるし、おちくぼ姫のクドキあり、最後はハッピーエンド。 中世の雰囲気や制度がじわり興味深...
後朝の文、三日夜の餅…ふふーん(鼻息) 中世のロマンス小説っていっていいのかな。日本版シンデレラストーリーです。これ、文楽でやったらおもしろそう。お調子者キャラの典薬の助がいるからチャリ場を作れるし、おちくぼ姫のクドキあり、最後はハッピーエンド。 中世の雰囲気や制度がじわり興味深い。部屋に閉じこもり誰にも姿を見られないように過ごさなければならない高貴な女性たちの、たまさかの遠出(石山寺や琵琶湖、野外での食事)はどんなにたのしかっただろう。 サブキャラの阿漕と帯刀が痛快大活躍なんだけど、この夫婦が主人公のミステリ仕立てのサイドストーリーとか誰か書いてくれ。
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