ドナウの旅人(上) の商品レビュー
ドナウ川をたどってドイツからルーマニアまで旅する二組の男女の物語。突然家出をした母と年下の愛人、母を追って旅に出た娘とドイツ人の恋人が7カ月にわたり、さまざまな国をめぐります。お嬢様育ちで無垢な心を持つ母、絹子とドイツで5年間働いたこともある知的な娘麻沙子。ふたりが3000キロ...
ドナウ川をたどってドイツからルーマニアまで旅する二組の男女の物語。突然家出をした母と年下の愛人、母を追って旅に出た娘とドイツ人の恋人が7カ月にわたり、さまざまな国をめぐります。お嬢様育ちで無垢な心を持つ母、絹子とドイツで5年間働いたこともある知的な娘麻沙子。ふたりが3000キロにも及ぶ旅でどう変わっていくのか。思いがけないストーリー展開とともに、興味深く読み進むことができます。レーゲンスブルグ、パッサウ、ウィーン、ブダペスト、ベオグラード、黒海、それぞれの土地で出会う人々や風景の描写がとても魅力的。東西が分断されていた時代の物語なので、今と状況は違いますが、土地の持つ情感や雰囲気は、失われずに残っていることでしょう。
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父と離婚するための布石として、 ドナウを上流から下流に辿る旅にでた母とそれを追う娘の物語。 旅を通して様々な人と考えに触れ、母子は成長し、 それぞれが抱える問題を解決していく。 個性的な登場人物一人一人から想い(哲学)を感じる。 そこには、作者の想いだけでなく、作者が出会っ...
父と離婚するための布石として、 ドナウを上流から下流に辿る旅にでた母とそれを追う娘の物語。 旅を通して様々な人と考えに触れ、母子は成長し、 それぞれが抱える問題を解決していく。 個性的な登場人物一人一人から想い(哲学)を感じる。 そこには、作者の想いだけでなく、作者が出会った人たちの想い も詰まっていて、それらが、作品の中の適した登場人物に割り当て られているに感じた。 物語としての完成度が高く、どのようにしてこの物語ができたのか 作者がこの作品を書くために旅したことをまとめた『異国の窓から』 を後日読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この長い小説を読み始めて、さっき涙を流しながら読み終わった ステラというタクシー運転手の 「楽天家でなきゃあ、こんな厄介なことばかりの、悪人だらけの世の中を 生きていけるもんか。人生なんて挫折して当たり前じゃないの。 うまくいくほうが不思議なんだっていうふうに、あたしはいつのまにか 考えるようになったのさ。だから、あたしは、いいことがあったら、 ああ、よかった、よかったって手を叩いて喜ぶんだ。悪いことが起こったら、 まあ世の中、こんなもんだって口笛吹いて、おかしくもないのに笑ってやるのさ。」 シギィの「おそらく、人間とは、ひとつの欠点の消滅によって新しい美徳が 生じるというのではない。欠点は欠点のままに、その人のちょっとした 心の作動によって美徳に生まれ変わる」というところで きっと前は泣かなかっただろうと思いながら、静かに涙が出てしょうがなかった 初めて読んだ時は、娘の麻沙子の年より若かったのに いまは母親の絹子の年にちかくなっていて、 それでも同じように、いや、違う形でも こんなに心に響く小説を読めることがとてもうれしい この物語のあと、麻沙子のお父さんはどうしたんだろう 長瀬は、オダは、どうしたんだろう いや、きっと笑っているよな なんて思いを巡らしている
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ステレオタイプな出だしですが、だんだん惹かれてくる作品。宮本輝はあまり好きじゃないけど、この作品は面白い。
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2011.1 再読。 以前読んだ時よりも、地名その他の知識がついた。シギィはいい男だなぁ。マサコのお父さんの動物園でのエピソードはひどい。暴力はいけないよ。
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麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、 夫を捨てて家を出る。 絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。 麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。 母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、...
麻沙子の母 絹子は「ドナウを旅したい」という手紙を娘に残し、 夫を捨てて家を出る。 絹子は17歳年下の愛人 長瀬道雄とともに西ドイツに向かっていた。 麻沙子も母を追って西ドイツに向かい、かつてのドイツ人の恋人シギィと再会する。 母と長瀬、そして母を見つけた麻沙子とシギィの4人は、 ドナウ川を下る旅に出る。 この2組の男女の心境の変化と成長が異国の人々・風景とともに描かれている。 ミステリー仕立てになっていて、とっても読みやすい。 18年位前、初めて読んだ時とは違う感想を持った。 前回も今回もドナウ河沿いの風景やそれぞれの国が持つ雰囲気、 その時代が持った共産圏の空気も感じて、 ますます憧れが強まったのは違いがないが、 20代で読んだ時は娘 麻沙子の視線で読んだが、 今回は50代の母親の視点で読めた。 設定はどうであれ心境などとっても理解できるし、 こんな行動をとる女性の感覚が自分にないとは言えない。 (やるやらないは別の問題) 良い悪いではなく、経験ってとっても大事なんだと思う。 やっぱり経験して始めて自分を見つめることになるんだ。 私はまだまだだ。
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初版が1985年。初読みはそのときだろう。絹子は八千草薫が適役だな、なんて思ったのか思わないのか覚えていない、麻紗子は誰を思い浮かべたのか。そもそも映画化・ドラマ化されたのかも覚えていない。でも、ひきつけられる。母親の逃避行に自らの捨てた恋の再生を重ねるなんてストーリーもいいなあ...
初版が1985年。初読みはそのときだろう。絹子は八千草薫が適役だな、なんて思ったのか思わないのか覚えていない、麻紗子は誰を思い浮かべたのか。そもそも映画化・ドラマ化されたのかも覚えていない。でも、ひきつけられる。母親の逃避行に自らの捨てた恋の再生を重ねるなんてストーリーもいいなあ。
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宮本輝は読み出すといつも止まらない。読み出すタイミングを計らないと翌日エラいことに。。。 どの本も、いつも心にひっかかる文章が見つかる。
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情報科教員MTのBlog (『ドナウの旅人(上)』を読了!!) https://willpwr.blog.jp/archives/51321341.html
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ドナウ川に沿って旅を続ける・・・ という設定に惹かれました。 いろんな思惑が交差する中、これからどのように 話が展開していくのか下巻が楽しみ。 小説の世界を楽しみながら 旅気分をも味わえるので 一粒で二度おいしい♪
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