ソロモンの指環 の商品レビュー
再読。 ぼくは動物学や生命科学が大好きだが、自分でそういう方向に進まなくてよかった、と思うことがある。そっち方面の研究者になれば(自分にそういう能力があるかどうかは棚にあげて)、実験や解剖などで、動物たちを傷つけることになるからだ。そういう可能性があることを、図鑑やTVを見て楽し...
再読。 ぼくは動物学や生命科学が大好きだが、自分でそういう方向に進まなくてよかった、と思うことがある。そっち方面の研究者になれば(自分にそういう能力があるかどうかは棚にあげて)、実験や解剖などで、動物たちを傷つけることになるからだ。そういう可能性があることを、図鑑やTVを見て楽しんでいただけの子どもの頃には思いつきもしなかったが、たぶん耐えられなかっただろう。動物園に行かなくなったのも、檻の中でつまらなそうにしているトラやライオンが見ていられなくなったからだ。 そういう意味では、ローレンツ博士も中心的な役割を果たした「動物行動学」は、ぼくのようなものには最適な学問だったかもしれない。著者は「自由にさせておかなければ動物本来の行動は観察できない」という信念の元、家の中でネズミを放し飼いにしたり、自分で育てた鳥が窓から勝手に入ってくるような生活を送っていたそうだ。放し飼いの動物が子どもを傷つけないように、子どものほうを檻に入れたらしい。 空を飛んでいる知り合いの鳥が散歩中の博士を見つけて、舞い降りてきて肩に留まることもあったという。それ自体は科学とはあまり関係ないが、何よりの報酬だと著者は書いている。ぼくもそう思う。羨ましい。 ぼくが今から専攻を選べるなら、犬の行動学を研究したい。うちにいた犬は半分くらい日本語を理解している節があったが、都合の悪いときにはわからないふりをしていた。どうするとおやつをもらえるか自分なりに考えて、誰も教えていないのに、人の腕にあごを乗っけるという、たぶん当人にとっての必殺技を開発した。ぼくは長い犬との暮らしを経て犬は笑うと信じているが、それを科学的に証明するには至っていない。そういう研究ができたら楽しそうだ。
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【おすすめポイント】生まれたての雁のヒナは初めて見た者を親と勘違いする「刷り込み」。動物の行動というものの研究を学問の重要な分野として確立した最初の本。 【請求記号】481.78:Lo 【配置場所】2階 【URL】https://mylibrary.toho-u.ac.jp/we...
【おすすめポイント】生まれたての雁のヒナは初めて見た者を親と勘違いする「刷り込み」。動物の行動というものの研究を学問の重要な分野として確立した最初の本。 【請求記号】481.78:Lo 【配置場所】2階 【URL】https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB00070527
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アクアリウムの作り方や手入れの方法話。 コクマルガラスの夫婦愛について。 ハイイロガンのマルティナを飼った時、育て方や彼らの鳴き声に関して。 ペットの飼い方について、大事なことを空動物のためどれくらいの時間をかけてもいいか労力を使ってもいいかと言うこと。 時代を感じる文章だが非...
アクアリウムの作り方や手入れの方法話。 コクマルガラスの夫婦愛について。 ハイイロガンのマルティナを飼った時、育て方や彼らの鳴き声に関して。 ペットの飼い方について、大事なことを空動物のためどれくらいの時間をかけてもいいか労力を使ってもいいかと言うこと。 時代を感じる文章だが非常に面白かった。 今となっては使えないだろうなって思える言葉がいくつかあった。
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自分の知らない動物たちの世界が興味深いですねぇ! 烏ってカシコイっていうけど、すごいなぁ 文章だけでは、想像が追い付かなくて…映像でみたいなぁ 熱帯魚の所とかNHKであったら見たいなー
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訳改訂版1987年(底本49年)刊。観察・記録は生物学の基本的手法だが、本書は観察を軸とする生物行動学の書(なお、日本のサル学も同手法か)。生物行動学関連書としては、叙述の擬人的表現の使用はやむを得ないものの、現在、観察結果開示に著者のバイアスのかかりにくい方法(ビデオ撮影)の存在、脳のスキャニングを動物にも実施可(過日、カラスの恐怖心をその脳のスキャニングで検討したTVドキュメントを見た)な時代であるので、本書も割り引いて読む必要はあるかも。また、本書のごとく動物の学習の過小評価も現在の議論と非整合的。 犬の家畜化の過程も本書のとおりかは?。ただ、本書にあるコクマルガラスの知性には感服できるし、先駆的・古典的書としては有意味であることは間違いない。
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動物行動学と書いてあったので小難しい文字がつらつら並べてあるんだろうな、と遠ざけていたがこの本は違う。初っ端から面白い。動物がここまで人間に近い存在とは思いもしなかった。これで私が飼っている犬のことも少しはわかるかもしれない(笑)難しそうだと思って読んでない人は是非読んで!
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久方ぶりの再読。 当方動物好きではないが(むしろ嫌いな方か)、この本を読むと動物への興味が尽きないと感じるだけでなく、何より作者(そしてその家族)の動物への愛情の素晴らしさに感動せずにはいられない。 特にアクアリウムの記述、これだったらと少々真剣にやってみようかと昔思った気持ちを...
久方ぶりの再読。 当方動物好きではないが(むしろ嫌いな方か)、この本を読むと動物への興味が尽きないと感じるだけでなく、何より作者(そしてその家族)の動物への愛情の素晴らしさに感動せずにはいられない。 特にアクアリウムの記述、これだったらと少々真剣にやってみようかと昔思った気持ちを思い出したが、再読後も同じような気持ちになった。 自分の成長力の無さはさておき、大人も子供も楽しめる文句なく凄く良い本。
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古典と言われる動物学の本です。 色々と面白いのですが、同じ種同士の争いは肉食動物よりも草食動物のほうが残忍だという記述には考えさせられます。
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もう古典に近いような動物行動学の本ですが、面白い。イヌにジャッカル系とオオカミ系がいたなんて知らなかった!ゲンゴロウの幼虫こわっ!ローレンツ先生のゴールデンハムスターのほめっぷりも笑える。 最終章「モラルと武器」は現代に読んでも深いです。武器を持った狩猟動物よりも、平和的に見える草食動物の方が「同類虐殺を防ぐ抑制を欠く」(=同類に対して残酷になれる)のは、なぜか、という話。転じて、武器を創りだしてしまった人間は、この抑制をもみずからの手で創りださねばならないのだ、とローレンツ先生は警告しています。なぜなら「われわれ(人間の)本能にはとうてい信頼しきれないから」。平和って、勝手には成り立たないんだなって痛感させられました。
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動物に対する人間の悪気のない無知に対して、あまりにも厳しすぎやしない?と思いながら読み始めたけど、彼の情熱をみたら納得するしかなかった。 牙を持つ猛獣は仲間を絶滅に追い込まぬために抑制の機能をきちんと持っているけれど、平和の象徴のような弱々しい動物にはその機能は必要がないため、思いがけない仲間同士の残虐行為が行われることがある、という章がこわおもしろかった。
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