まどろむ夜のUFO の商品レビュー
良い小説は、心を迷子にする。良い小説は、喜怒哀楽では言い表せない感情をも呼び起こす。 3つの中短編を収めた本書に、やはり私の心は迷子になった。 主人公が無意識のうちに積もらせていく感情。まとわりつく不安。そのぼやけた理由。現実と非現実の境。定かでない世界観。見えているものが信...
良い小説は、心を迷子にする。良い小説は、喜怒哀楽では言い表せない感情をも呼び起こす。 3つの中短編を収めた本書に、やはり私の心は迷子になった。 主人公が無意識のうちに積もらせていく感情。まとわりつく不安。そのぼやけた理由。現実と非現実の境。定かでない世界観。見えているものが信用できない。暗闇の中なにも見えなくても、音は鮮明に聞こえてくる。音が聞こえることで、自分の存在を確認している? 著者・角田光代さんは、現代を生きる若者を、寡黙なまま語る名人だと思う。不安定な若者心理に、明確な答えを求めたって無理。だから、必要以上には語らない。まして、定義なんてするわけがない。 心情の変化は、彼らの行動から写し取る。繊細な表現方法は、不安定・不確定な生活の向こう側に、ひょっとしたら心地よい何かがありそうに感じさせてくる。真っ暗闇の中にあっても、遠くに微かな光があるように思わせる。遠くにある、心地よさそうな何かは、モノクロの世界を生きる若者に、くっきりとした鮮明な色を見せる何かに違いない。
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「どこに向けられているんだかわからない丸い目をくるくると動かして近寄ってくる鳩」 に挙げられるような角田さんの描写の目のつけどころに、 ボクは惚れています。
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表現が難しくてよくわかんなかったけど1番目の話はそこそこ好きだった。 サダカくんみたいな人ってほんと多いんだろうなあ。 偏見だけど。 静かに狂ってる人っていう表現が好きだったかな。 あと、俺に言わせてみるとあいつの方がよっぽど狂ってるよ、が好き。
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登場人物はみんななんとなく不安定でどことなしか大人になりきれない情緒不安定を抱えている。しかも、モラルが欠けていて、価値観とかもちょっと…いや、かなり常人と離れているかんじなので、実際にはお近づきになりたくないタイプの人たち。 なんともいえない浮遊感が漂っていて、お話が角田さんの...
登場人物はみんななんとなく不安定でどことなしか大人になりきれない情緒不安定を抱えている。しかも、モラルが欠けていて、価値観とかもちょっと…いや、かなり常人と離れているかんじなので、実際にはお近づきになりたくないタイプの人たち。 なんともいえない浮遊感が漂っていて、お話が角田さんの文章にとても合っている。だから、登場人物全般的に実際には近づきたくない人たちなんだけど、軽蔑するわけでなく、憧れるわけでもなく、淡々と受け入れることができて、人間っておもしろいなぁと思う。 ただ、今はかなり落ちている状態なので、正直言うとこの本は読んでてかなりしんどかった。じゃあ、読まなきゃいいと思うんだけど、止めれなかったんです。
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3つの短編の主人公は皆、「定まっていない」人たちばかり。 一瞬を生きているような彼女たちは妙にリアルで、 その軽い自由さが不安で、同時に心地よい。 http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-63.html
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『まどろむ夜のUFO』はとても不思議な感覚のストーリーでした。 弟の行動も謎だらけでおかしいし、その友達の恭一の存在もおかしいです。 几帳面な同級生のサダカくんも、あまりにも几帳面しすぎて 私には堅苦しい感じがしました。 そのせいなのか、恭一の危ういところが魅力的にも思え、 もし...
『まどろむ夜のUFO』はとても不思議な感覚のストーリーでした。 弟の行動も謎だらけでおかしいし、その友達の恭一の存在もおかしいです。 几帳面な同級生のサダカくんも、あまりにも几帳面しすぎて 私には堅苦しい感じがしました。 そのせいなのか、恭一の危ういところが魅力的にも思え、 もしかしたら主人公の彼女もそこに少し惹かれている気持ちがあるのかとも思えました。 恭一の言葉で「おれ本当にちゃんと覚えていてるんだぜ、 生まれたくてたまらなかったことも、そこためにすげえ努力したことも、 だから生まれるときなんてあれだよ、母親が苦しんでいるのに自分で 必死に頭動かして出ていったんだよ。あれは母親が息んで産んだじゃない、 おれが自分で出ていったんだ。ねえそれつてどういうことかわかる? ~中略~生まれたらおれたち、ナンもしなくていいんだよ。 何もしないことを自分で選べるんだよ。 だってあんなに大変な思いをしてきたんだから、これ以上大変な目にあわなくても 許されているの。こっちの世界はさ、休暇なんだぜ。~以下略」 よく赤ちゃんは親を選んで生きたい所に魂が入ると訊いたことがあるので、 もしかしたらその事を言っているのかと思いました。 けれどそれにしてもこの言葉はあっちの世界とは何処の世界のことなのだろうかと・・・ 他でもこの作品ではあっち側、こっち側とありましたが、 何処の世界の事を線引きしているのかがおぼろげでした。 今でも弟がジャムを作っていたのは何の為なのかと・・・ 中身は何かと余韻を残す作品でした。 『もう一つの扉』、『ギャングの夜』はある程度歳を重ねた方が読むと この作品の味わいがよく分かると思います。 私もそんなに人生経験豊富ではないですが、 ある程度の社会経験をしてきているのでこのニ作品は頷けるところが多々ありました。 両作品ともこんな生活ではいけないけれど、 人生の中ではこんな事もたまにはあるよなというと共に、 これから頑張って生きていくという希望が見える所が良いです。 角田さんの作品は女性に人気がありますが、 私も好きで度々読みますが、やっぱり各世代の女性の心理的な面を しっかりと掴んでいて、それをはっきりと書くのではなくて抽象的や、 比喩的に書かれていて何かで包まれているように書かれているから 心に優しく届くと思うのです。 結局三作品ともそんな感じに書かれているので、 おぼろげでもじんわりと心を和らげてくれた作品だと思います。
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登場人物がみんな冷めてるっていうか冷静。静か。 そんな人たちが語り手だから少し無機質な感じ。 不思議な感覚に陥る。 少しうっとしい。 この静けさが少し病みつきになってしまったら まどろむ夜の中に、ふわーっと吸い込まれるかもしれない。 ちなみにあたしには重くて、怖い...
登場人物がみんな冷めてるっていうか冷静。静か。 そんな人たちが語り手だから少し無機質な感じ。 不思議な感覚に陥る。 少しうっとしい。 この静けさが少し病みつきになってしまったら まどろむ夜の中に、ふわーっと吸い込まれるかもしれない。 ちなみにあたしには重くて、怖い。
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不思議な雰囲気。 斎藤美奈子さんの解説を読んで、なるほどと思った。 私、こういう抽象的な作品を深く味わっていなかったと気付いた… 文字の奥の情景や雰囲気、意味を読み取らないと、作品台無しにしていたかも。 でも、読んでいて楽しかった。 これからはもうちょっとしっかり読み取っていこう...
不思議な雰囲気。 斎藤美奈子さんの解説を読んで、なるほどと思った。 私、こういう抽象的な作品を深く味わっていなかったと気付いた… 文字の奥の情景や雰囲気、意味を読み取らないと、作品台無しにしていたかも。 でも、読んでいて楽しかった。 これからはもうちょっとしっかり読み取っていこうと思う。 読んでいるうちに、自分がどこかへ行っちゃって、帰ってこられなくなるんじゃないか、なんて感じた。
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「まどろむ夜のUFO」 角田さんの小説の主人公は、どんな人だろう? と、いつもぼんやり想像してみる。 でも、いつもぼんやりしたままで終わってしまう。 この作品は弟とその仲間たちの、宗教チックな不思議な世界も印象的だけど、その人物たちと対照的なサダカくんの存在が気になる。 ...
「まどろむ夜のUFO」 角田さんの小説の主人公は、どんな人だろう? と、いつもぼんやり想像してみる。 でも、いつもぼんやりしたままで終わってしまう。 この作品は弟とその仲間たちの、宗教チックな不思議な世界も印象的だけど、その人物たちと対照的なサダカくんの存在が気になる。 なんかサダカくんが、今の「普通の人」を象徴している気がした。 予定や未来が見渡せる安心感と幸せ。でも、予定の為に、未来の為に今を生きているわけではないし。 今の為に今生きているわけだし。
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フリーター文学。 自由です。忙しい時に時間を縫って読むといいかもしれません。 だらだらしてる時にはだめな気がします。もっともっとだらだらな気分に。
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