夫婦茶碗 の商品レビュー
急き立てられるようなリズムを感じられるパンクで自堕落な小説2編。 行き当たりばったりな男が勢い良く転がっていく様を描いた「人間の屑」はなかなか面白かったです。困難からひたすら逃げ、離れた所で反省(したフリを)する姿は、少し身につまされました(苦笑) 一方「夫婦茶碗」は序盤こそ勢い...
急き立てられるようなリズムを感じられるパンクで自堕落な小説2編。 行き当たりばったりな男が勢い良く転がっていく様を描いた「人間の屑」はなかなか面白かったです。困難からひたすら逃げ、離れた所で反省(したフリを)する姿は、少し身につまされました(苦笑) 一方「夫婦茶碗」は序盤こそ勢いに任せて面白く読めたが苦痛に変わるのも早かった。テンポ良く畳み掛けてくるのは良いとして、そのいちいちがお寒くては。妻への愛情が感じられたのが救いでした。
Posted by
狂気から遠く離れた場所にいて、狂気に憧れ、狂気を描き、しかしながら現実に狂気を嫌悪する。いいかげんさから遠く離れた性格でありながら、いいかげんさに憧れ、いい加減さを魅力的に描き、しかし現実のいい加減な人間は断固として許さない。これはわしが今まで、常識があるからこそ、どこからが非常...
狂気から遠く離れた場所にいて、狂気に憧れ、狂気を描き、しかしながら現実に狂気を嫌悪する。いいかげんさから遠く離れた性格でありながら、いいかげんさに憧れ、いい加減さを魅力的に描き、しかし現実のいい加減な人間は断固として許さない。これはわしが今まで、常識があるからこそ、どこからが非常識であるかが判断でき、だからこそ非常識が描けるのだといい続けてきたことに呼応している。(解説:筒井康隆) ううん町田節。おもしろかったよー。 そんでもって筒井御大の解説が素晴らしい。 痒いところに手が届いた。
Posted by
壊れた時の悲しみに脅えてか あるいは、人生を犠牲にすることを理不尽と感じてか この小説の主人公は、あえて「幸福」から逃げてばかりいるフシがある せっかく慣れてきた仕事から逃げ、せっかく産まれてきた自分の子供からも逃げ出すこの男は しかしそれでもやはり安楽な家庭生活という夢を捨てき...
壊れた時の悲しみに脅えてか あるいは、人生を犠牲にすることを理不尽と感じてか この小説の主人公は、あえて「幸福」から逃げてばかりいるフシがある せっかく慣れてきた仕事から逃げ、せっかく産まれてきた自分の子供からも逃げ出すこの男は しかしそれでもやはり安楽な家庭生活という夢を捨てきれずメルヘン作家を目指したりするのだけど そんな彼の書く物語は、ほとんど宿命的に悲惨な方向へと向かっていくのだった 文章はいつもの町田節で笑かすのだけど なにしろそんなストーリーであるから 読んでるうちにいつしか、孤独ゆえの狂気に取り付かれた人間の 薄ら寒いヒトリゴトを延々と聞かされているような気分にもなってくる ある意味、「くっすん大黒」や「けものがれ、俺らの猿と」の前日譚的な小説といえるのかもしれないし あるいはひょっとすると、「小説家・町田康」の前日譚なのかもしれない
Posted by
最後に。最後に向かい風がぶわーってこっちに向って吹いてくる。 読んだだけでスカッとする。 町田氏好きになったのは夫婦茶碗を読んだせい。
Posted by
織田作之助の「夫婦善哉」へのオマージュ、って言われてるけど、夫婦善哉がダメ夫とそれを精一杯支える妻の夫婦愛の話なのに、それに比べてこの夫婦茶碗は、読み進めてもなかなか夫婦愛の形が見えてこない。 けど最後の2ページで、今までの奇行はすべて妻のためだった、ということが分かる。ちゃ...
織田作之助の「夫婦善哉」へのオマージュ、って言われてるけど、夫婦善哉がダメ夫とそれを精一杯支える妻の夫婦愛の話なのに、それに比べてこの夫婦茶碗は、読み進めてもなかなか夫婦愛の形が見えてこない。 けど最後の2ページで、今までの奇行はすべて妻のためだった、ということが分かる。ちゃわうぉっしゃーも、鶏卵の問題も、ただ山今夫も、小熊のゾルバも皆妻のためだった。 この話は、不器用な夫が不器用ながらも精一杯妻を愛する夫婦愛の話だった。 一緒に掲載されてる「人間の屑」もそう、結局不器用な男の愛の形を描いてるんだな。 なんていうか、ろくでなしだけど、ひとでなしではない。そんな主人公の物語。 初めて読んだときは泣けた。今でも読んだらほっこりする。私の最も好きな小説です。
Posted by
080513(a 080709) 081226(n 090411) 090924(a 091114)
Posted by
駄目人間の人生這い上がり小説。 負のループが止まりません。 で、結局這い上がれた? まあ生きてるからいっか!
Posted by
金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。 それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。 金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。 すべてを...
金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。 それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。 金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。 すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く!日本文芸最強の堕天使の傑作二編。
Posted by
当然のごとく笑えるのだが、表題作「夫婦茶碗」はものすごく純粋な恋愛小説だったりする。ラストシーンの茶柱のくだりで何故か胸が熱くなってしまった。
Posted by
町田作品には、まったくいい加減なヤツばかり出てくる。「人間の屑」にはその中でも飛び切りいい加減なヤツが出てくるが、どうにも憎めず、ただ笑うしかない。エンタメ純文学ここに極まれり。
Posted by