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文房具56話 の商品レビュー

3.9

43件のお客様レビュー

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2020/05/31

著者が普段使っている文房具について、子どもの頃から使っているものだとか、どこで買ったものだとか、誰それからもらったものだとか、その文房具の使い勝手などについてあれこれ書いている。その文房具の歴史などにも触れているが、さほど詳しいものではない。要するに、際立って驚くようなことでもな...

著者が普段使っている文房具について、子どもの頃から使っているものだとか、どこで買ったものだとか、誰それからもらったものだとか、その文房具の使い勝手などについてあれこれ書いている。その文房具の歴史などにも触れているが、さほど詳しいものではない。要するに、際立って驚くようなことでもない地味な話なのだが、文房具への愛着がにじみ出ていて、なんだかひそやかに読書を愉しませてもらった。取り上げられた物の中には、今では余り使われなくなった、萬年筆や小刀、吸取紙、文鎮、便箋、カーボン紙、鳩目パンチ、ペーパーナイフ、状差のようなものもある。結構ノスタルジックだ。書かれたのは1970~1973年。たくさんある挿絵が16世紀のデューラー風の版画で素晴らしい。

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2019/09/23

「串田孫一さん、こんなエッセイも書いていらっしゃるんだ!」と感激してすぐに手に取った本。 串田さんの話す文房具は昭和の文房具が主だが、どれもこれも一緒にその話に参加したいようなワクワクとした気持ちになった。そして自分の忘れかけていた思い出も色々と蘇ってきて読んでいる時間が実に楽し...

「串田孫一さん、こんなエッセイも書いていらっしゃるんだ!」と感激してすぐに手に取った本。 串田さんの話す文房具は昭和の文房具が主だが、どれもこれも一緒にその話に参加したいようなワクワクとした気持ちになった。そして自分の忘れかけていた思い出も色々と蘇ってきて読んでいる時間が実に楽しかった。 旅先の宿に置いてある便箋でとりとめのない手紙を書く楽しみ、鉛筆の削り屑をきれいだと思う気持ち、付き合いが深くなった道具は単なる物ではなくなっていく感覚、どれも共感するものばかり。すぐに取り替えがきくものが好きではなくて、使うものは大切に長く愛用したいと考える串田さんとは気が合いそうだ。 山のことを書いている串田さんは少し遠い人に思えたけれど、文房具を語る串田さんとは距離がグッと近くなった気がしたのだった。 安野光雅さんの装幀も章ごとに見られる挿絵もとても素敵である。

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2019/01/28

ただ文房具の思い出を語っているだけかと思いきや、要所要所ですごいことを言うので油断ならない。 "文化というものは、ある底力を持った根強さはあるが、その上に築かれている部分は意外と脆いものであって、愚かな権力者が現れて、その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと、簡...

ただ文房具の思い出を語っているだけかと思いきや、要所要所ですごいことを言うので油断ならない。 "文化というものは、ある底力を持った根強さはあるが、その上に築かれている部分は意外と脆いものであって、愚かな権力者が現れて、その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと、簡単に崩れて、抵抗力がない。みんな落ちるところまで落ちると、却って気分がさっぱりしたような錯覚を抱いてしまう。"

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2018/05/26

かつてあった、ゆったりとした時間感覚。 こんな時間の中で生活したいと思わせてくれる一冊。 日々消耗している人へ。

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2018/04/30

大学教授にとって身近な存在であったであろう文房具をこれほどまでに愛情深く語る人がいらっしゃったなんてもっと早くに知りたかった。な、「文房具56話」その名の通り、文房具についてのあれこれを思いつくままに書き連ねたのであろう。戦争と文房具の関わりは、知らぬものとしては今ある便利なもの...

大学教授にとって身近な存在であったであろう文房具をこれほどまでに愛情深く語る人がいらっしゃったなんてもっと早くに知りたかった。な、「文房具56話」その名の通り、文房具についてのあれこれを思いつくままに書き連ねたのであろう。戦争と文房具の関わりは、知らぬものとしては今ある便利なものたちを当たり前に使えるのは平和だからこそなんだとしみじみとする。セロハンテープに対する思いにくすっと笑いがこぼれ、ナイフに対する思いはやはり男の子だなと感じ。文房具から文化を考察するという綺麗にオチがついた随想集。

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2017/07/11

文房具、学生の頃はかなり凝りました。サインペンの書き味やデザイン、教科ごとに分けたノートの色、筆圧が低いからシャーペンの芯は濃い物を使い、それで線を引くと定規が汚れやすいので目盛りがくっきりした物、などなど。当時に比べると文房具って使わなくなりました。文字や絵を書くのも、相手に送...

文房具、学生の頃はかなり凝りました。サインペンの書き味やデザイン、教科ごとに分けたノートの色、筆圧が低いからシャーペンの芯は濃い物を使い、それで線を引くと定規が汚れやすいので目盛りがくっきりした物、などなど。当時に比べると文房具って使わなくなりました。文字や絵を書くのも、相手に送るのもパソコンで出来てしまうし、かといってUSBやプリント用紙、インクは文房具とは言い難いし…。 このエッセイの目次を見ると、一般に文房具と呼ばれるものがこんなにあったのかと驚くとともに、名前だけでは何のことだか分からないものも多く首を捻ります。内容を読めばコンパスやノート、テプラのことだと分かるのですが、著者が想定している物と私が持っている物ではずれがあるように思われます。時代が違うので文房具そのものが変わっているのは当然。用途が変わっているものもある。そして何より、文房具への親しみの度合いが違う。著者は使い捨てを好まず、物持ちがよいとご本人でも自覚しているそうです。刃物は自分で研ぐし、無くした小刀を見つけたときには小躍りして喜ぶ。セロハンテープが普及し始めると面白がって使う習慣ができてしまう、実際に包装紙を使い回すのには不便である、とさえ仰る。だけれどもセロハンテープが悪いというのではなく、使う方の意識の問題で、うまく使えなかったとしてもそれは自分の不勉強だったり、もっと馴染んだ物があるからだったりする。知らないことは調べたとはっきり仰るし、決して押しつけがましいことは書かず、苦言を呈するにしてもユーモアを挟む。文房具の見方、考え方からご本人像まで見えてくるようで、こういう文章が書ける人に、こういう感覚を持った人になりたいとさえ思いました。 出典がどんな本か分かりませんが、装丁・挿絵に使われている版画も素敵で、どうやったらこういうセンスを身に付けられるのかご本人に聞いてみたかった。

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2015/07/27

文房具の想い出や新たな発見、工夫や悦びが語られた随筆集。 カバーデザインがクラフト・エヴィング商會だったのと、なんとなく「文房具」というキーワードに惹かれて購入。 戦争時代、モノが豊富に溢れている現代、両方を生きた方で文房具というか、モノに対する想い、考え方が目から鱗で、自分を...

文房具の想い出や新たな発見、工夫や悦びが語られた随筆集。 カバーデザインがクラフト・エヴィング商會だったのと、なんとなく「文房具」というキーワードに惹かれて購入。 戦争時代、モノが豊富に溢れている現代、両方を生きた方で文房具というか、モノに対する想い、考え方が目から鱗で、自分を、自分の周りに溢れるものの扱い方について省みる一冊となりました。 素朴で慎ましい、落ち着く文章でした。そして、とにかく文房具愛、ものを大事に扱いたいという想いを感じます。「消しゴム」を不憫に思う人に私は初めて出会いましたが、確かに不憫だ…時にユーモアが混じり、現代社会への警鐘をも含ませるエッセイ。じっくり読みました。 なじみのある文房具からはじめて聞くような文房具まであり、とても興味深く読みました。 便利さのために進化する、または新しく生まれる文房具。便利さの代償はどんなものにもやはりあるのだなぁと感じさせられました。(読んでいるうちに確かに「セロハンテープ」は便利だけれど、少し思いやりのかけるものに思えてきました。) どれも魅力的なエッセイでしたが、中でも「地球儀」と「文化を守る力」、いろんな人に読んでほしいなと思いました。

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2015/04/18

56種類の文房具に対するコラム 昭和の前半からの文具が登場するので昭和時代の人は懐かしい 最新の文具をと思う人には向かない 味のある1冊

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2014/04/24

大切に長く使うことにより、文房具はただの物ではなくなるということについて考えた。愛着を持って良い物をずっと使い続けたいとおもう。

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2013/07/21

ライフハックの文具本とは違う。文具をもっと愛することができる。愛することができたら毎日、しあわせを感じる時が訪れる。

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