バナナブレッドのプディング(白泉社文庫版) の商品レビュー
「きょうはあしたの前日だから・・・だからこわくてしかたないんですわ」 最初のページにある、この衣良ちゃんのセリフが大好きです。 繊細で、不器用で、孤独を抱えながらも自分を納得させながらけなげに生活する彼女が愛おしい。 そんなちょっと浮世離れしている彼女を見守る峠さん、さえ子ちゃん...
「きょうはあしたの前日だから・・・だからこわくてしかたないんですわ」 最初のページにある、この衣良ちゃんのセリフが大好きです。 繊細で、不器用で、孤独を抱えながらも自分を納得させながらけなげに生活する彼女が愛おしい。 そんなちょっと浮世離れしている彼女を見守る峠さん、さえ子ちゃん始めとする登場人物もきらきら輝いてみえます。 漫画ってほとんど読まないんだけど、この作品だけは特別で、何度も読み返しています。自分の中の抽象的な悩みや疑問に抽象的な答えを与えてくれる、そんな作品です。 「ぼくはきみがだい好きだ 薔薇のしげみのところからずっとね」 「ミルクを飲んで『あしたね』『またあしたね』」 こういうセリフまわしもたまらないです・・・ あとがきマンガは読まなかったことにしてますw
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読了:2011/4/16 あとがきによると先を考えずに毎回「前回の続き」を書いていったという漫画。 萩尾望都さんがこの漫画の終わり方を、「ウルトラC難度の技を見た感じ」と評していたので気になって読んでみた。 が、「ウルトラC…?」という感じだった。何の前触れもなく「最終回のた...
読了:2011/4/16 あとがきによると先を考えずに毎回「前回の続き」を書いていったという漫画。 萩尾望都さんがこの漫画の終わり方を、「ウルトラC難度の技を見た感じ」と評していたので気になって読んでみた。 が、「ウルトラC…?」という感じだった。何の前触れもなく「最終回のための事件」が起こって、それで色んなことが芋づる式に解決していく…。あんまり好きじゃないパターンだった。最後におねえちゃんがしめるのも唐突な気がした。私が衣良ちゃんに感情移入していなかったから? 物語としてもむちゃくちゃだよなー。衣良の両親が家出を許したり(どういう説得したんだよ)、教授がいきなり夜中に散歩していてばったりとか、女子高生が成人男性に変装してまったくバレないとか。 良いセリフはいっぱいある。良い場面もいっぱいある。 でも何だか、それぞれのメロディは美しいけれど1曲の曲としてはちょっと雑、そんな感じ。 「だれかもつれた糸をヒュッと引き 奇妙でかみあわない 人物たちを すべらかで 自然な位置に たたせては くれぬものだろうか」 「これが 糸を ひいた結果だとは おれはだんじて 思わない」 「うーん 眠っていて ぶっすりやられりゃ こっちの負けだ」 「きみにここに いてくれと たのむ以上 ぼくは 身のかわしかたを 身につけねば ならない」 「これは仮定だけど そんなときはぼく さっと身をひき さっと台所まで走り さっとミルクをわかす そしてきみにわたす」 「『さあミルクを飲んで』」 「『心がなごむよ』」 「そうすると きみはおちついて うなずいて 『またあしたね』と いうだろう」 これってBPDの人とBPDの(理想の)パートナーかも? 「ぼくは きみが だい好きだ」 「薔薇の しげみの ところから ずっとね」 ---------- 半日ぐらい考えて、何度か読み返して分かった。「この作品に救われた!」と言う人さえいるこの作品を、なんで好きになれないかが。 ずっと庇護された女の子なんだ。両親は理解者ではないが、姉が理解し、慰め、守ってくれてきた。そしていまは御茶屋兄妹という庇護者がいる。 そんな状況で、「明日がこわい、ひとり立ちするのがこわい、ひとりになった自分が人を傷つけてしまうのがこわい」ってえんえん言い続けている。 それが癪に障るのだ。実親に虐待され続けて、庇護者など望むべくもなかった人間は?「こわい」という感情を表現することさえ許されなかった人間は?適切な時期でなくともひとり立ちしなければ生きていくことができなかった人間は?そんな人間にはこんなことできないよ? 要するに、妬みだ。 「こんなことで悩めていいなぁ」「そしてそれを、世界の重大事であるかのように思考できて、いいなぁ」と。
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穂村弘の本に登場したので買ってみた本。 なんかイマイチ素晴らしさがわからなかったけど、本人の本だけじゃなく、その人の好きな本まで読み出してもはやこれは恋ではないだろうか。片思い。うえ。
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すごく詩的で白黒のバランスも良くて目においしいまんが。難しいからこそ自分で解釈する楽しみがある。私はバナナブレッドのプディングはあまり食べたくない^^
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どんな子も、どんな子も、どんな子も 生まれてきたからにはこの世は素晴らしいと思ってほしい。 親になると、切実に思います。
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ちょっと変わり者の女の子が周囲の人間の協力を得て、アイデンティティを確立していく物語・・・なのかな、たぶん。 主人公の感性があまりにも繊細で「少女」的なので、しっかり理解できているのか不安なところがあるが、錯綜する内面を表現する複雑なコマ割やトーンの使い方、また台詞や独白の言語感...
ちょっと変わり者の女の子が周囲の人間の協力を得て、アイデンティティを確立していく物語・・・なのかな、たぶん。 主人公の感性があまりにも繊細で「少女」的なので、しっかり理解できているのか不安なところがあるが、錯綜する内面を表現する複雑なコマ割やトーンの使い方、また台詞や独白の言語感覚の豊かさを追いかけるだけでも十分に面白い。 同じ24年組でも、萩尾望都や山岸涼子が少女マンガから他ジャンルへの越境者のような性格を持つのに対して、大島さんは徹底的に少女の感性に肉薄していく生粋の少女マンガ作家だと感じた。
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全然最近読んだ本じゃないけど、 ここの本棚に置いておきたくなっちゃった。 わたしの思春期時代は 大島弓子さんの作品とともにあった、 と言っても過言じゃないでしょう。 せつなさを しっかり受け止めることにこそ、 人生に奥行きが生まれてくる、 そんなことを、大島さんの 作品たちから教...
全然最近読んだ本じゃないけど、 ここの本棚に置いておきたくなっちゃった。 わたしの思春期時代は 大島弓子さんの作品とともにあった、 と言っても過言じゃないでしょう。 せつなさを しっかり受け止めることにこそ、 人生に奥行きが生まれてくる、 そんなことを、大島さんの 作品たちから教えてもらったような 気がします。 この深さ・・・ただの 少女漫画じゃありませんよ。
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久々に読み返した。「今日は明日の前の日だから、不安で仕方ないのです」確認したらちょっとちがう言い回しだったけれど、なんど冒頭のこの台詞を思い出したことだろうか?なけなしの乙女心がチクチクする。
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バナナブレッドのプディングは、はがしてしまいたいすりきずのかさかさのかさぶたの味がした かさかさ枯れ葉の味もした
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生きるのに不器用な女の子が出てくる大島作品はどれも好きです。 そしてそれゆえに作品と題名が混沌としてきます。 何度読んでも面白い。
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