怪談(文庫版) の商品レビュー
漱石の夢十夜のような淫靡な緊張感と笑い。伊藤潤二ほどではないが、とても好きな世界観だ。 この人もギャグをやる。 ホラーとは視点の逆転であり、すぐれたお笑いも同じであるから自然な話だ。 日常のなんでもない風景が、突如異世界のものとなりうる、それが怖いか笑えるかだけの違い。
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永井均『マンガは哲学する』から。 愛をテーマにしてはいるものの、あくまで怪談テイストであることには変わりない。 ひとりでは愛することなどできない。では、誰を愛するのか?だからこそ愛というものはどこか曖昧なのだ。肉体を重ねたって、どんなに過去の自分や相手を葬ったって、自分が自分であ...
永井均『マンガは哲学する』から。 愛をテーマにしてはいるものの、あくまで怪談テイストであることには変わりない。 ひとりでは愛することなどできない。では、誰を愛するのか?だからこそ愛というものはどこか曖昧なのだ。肉体を重ねたって、どんなに過去の自分や相手を葬ったって、自分が自分であること、愛するものが自分ではない何者かであることはかわりない。 もしも、そんな境界がゆらぐようなことがあったら?それはもはや怪奇としか言えない。この短編集の不気味さはここにある。 短編ということもあって、飛躍が多分に含まれていて、ストーリーの流れや位置づけが中々うまくつなげられないというところにも、この境界のゆらぎが働いている。
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