トーマの心臓(文庫版) の商品レビュー
数十年ぶりでも読み応えあり。
「11月のギムナジウム」と同じ登場人物達が織りなす全く違うストーリー。久しぶりに読んだので殆ど展開が分からず、でもユーリを想うエーリクの心には優しさと美しさを感じました。トーマの想いを受け継いだと言ったらエーリクは怒るかも知れません。ラストは重いテーマだった割に良い読後感。
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なかなかむずかった。一番の失敗は、文庫本サイズのを購入してしまったこと。 文字が小さくて読みにくい~~ たぶん、この1回目を読んで、また少しして2回目読んで、またかなり時間たってから3回目読んで・・・ってしたらもっと深いところにまで気が付けて面白いんだろうなって思った。 昔読んだ竹宮恵子さんの「風と木の詩」も、何度か読んでいくとどんどん面白くなっていったんだよね。あれの感覚に似ている。 今の現代でいうところの、高等部の男子寮、なのかな? みんなのアイドル的存在の一人、トーマが鉄橋から落ちて死んだ。 事後であるとされたが、一学年上で寮監のユーリに遺書的な手紙が届いた。 「ユリスモールへ さいごに これがぼくの愛 これがぼくの 心臓の音 きみにはわかっているはず」 と書かれていた。トーマは自殺だった? ユーリはずっとトーマにアプローチをされていた。 だが、もう一人のアイドル的存在アンテとどちらがユーリを堕とせるか賭けをしていたらしい。なおさらお堅いユーリはなびかなかった。 だが、自殺するほどとは・・? あのトーマからに気持ちは本物だったのか? トーマの葬儀も終わってしばらくして、トーマに瓜二つのエーリクが転入してきた。 みんながざわつく。 エーリクはひたすら「トーマ?」って聞かれることにうんざりしくる。 しかも彼はこんな寮にはいりたくはなかった。 ずっと母親のマリエを愛していた(超マザコン!)マリエは男をとっかえひっかえするが、別れたらエーリクのところにくるので、自分はマリエについていてあげなくては。とも思っていた。 今回はマリエがある男と結婚するので、エーリクを寮付きの学校に入れたのだが、 エーリク的にはあんな男とはすぐに分かれて「帰ってきて」と手紙が届くと思っていたのに全然届かない。まさか・・自分は・・・・? ってな感じのめちゃくちゃ閉鎖的な世界で、ほぼ男子しか登場しない漫画ですww ユーリの過去、 エーリクのゆがんだマザコン、 アンテの思惑、 オスカーのことも・・・ みんないろいろあってぐちゃっとしている BLとはいえ、キスはするけど全然健全なお話だと思う。 昔はこんなもん?(でも風と木の詩はそんなことなかったよねぇ?)
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トーマの捨身飼虎的な行動は読者を最初から釘付けにする。ユーリが背信的な過ちに苦悩し、彼を取り巻く恋がさらに心境を複雑にする。ここで特に惹かれたのが作中の「愛情」はあまりいいものだと思えないことだ。だれかを縛ったり苦しめたりする「愛の様相」が見応えあった。日本との文化的差異が大きい...
トーマの捨身飼虎的な行動は読者を最初から釘付けにする。ユーリが背信的な過ちに苦悩し、彼を取り巻く恋がさらに心境を複雑にする。ここで特に惹かれたのが作中の「愛情」はあまりいいものだと思えないことだ。だれかを縛ったり苦しめたりする「愛の様相」が見応えあった。日本との文化的差異が大きいから前提を間違えるとBL的な要素しか見えてこない気がした。
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萩尾望都先生の名作、久しぶりの再読です。若い頃にも読みましたが、当時はほとんど理解できなかったなぁ…。共学の学校しか行ったことなかったし。 ささくれた心で転校してきたエーリク。完璧な優等生の仮面で何かを隠しているユリスモール。彼に遺書を送って命を絶ったトーマ。少年たちは、ぶつかり...
萩尾望都先生の名作、久しぶりの再読です。若い頃にも読みましたが、当時はほとんど理解できなかったなぁ…。共学の学校しか行ったことなかったし。 ささくれた心で転校してきたエーリク。完璧な優等生の仮面で何かを隠しているユリスモール。彼に遺書を送って命を絶ったトーマ。少年たちは、ぶつかりながら苛立ちながら、やはり成長せずにいられないのですね。
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1974年から「週刊少女コミック」連載作品 ドイツのギムナジウムが舞台 春近い雪の日 誰からも愛された少年寄宿生トーマが 陸橋から転落死 トーマは 先輩のユーリに遺書を残す 「これが ぼくの愛 これが僕の心臓」 ユーリは 品行方正成績優秀な美少年 しかし、ある過去のトラブルか...
1974年から「週刊少女コミック」連載作品 ドイツのギムナジウムが舞台 春近い雪の日 誰からも愛された少年寄宿生トーマが 陸橋から転落死 トーマは 先輩のユーリに遺書を残す 「これが ぼくの愛 これが僕の心臓」 ユーリは 品行方正成績優秀な美少年 しかし、ある過去のトラブルから感情を隠し友人とも一線を保ち学生生活を送っていた トーマの気持ちを知りつつも それを拒否していた 遺書さえも 受け入れようとはしない ユーリが自分の出自やトラブルを受け止めて トーマの死の真意を受け止めるまでの物語 ユーリと同室で自分の気持ちを表現することなく支えるオスカー 亡くなったトーマにそっくりの転校生エーリックは ユーリへの気持ちを隠さずに包みたい 亡くなったトーマは 死んでユーリの記憶の中で生き続ける 彼らは家庭にそれぞれ悩みを持ちながら ギムナジウムという場所で 友人であり家族でありそれ以上の感情をも持ちながら大人になっていく ほぼ半世紀前の伝説的コミック 思春期の美しい少年達をめぐるストーリーと詩的なモノローグ 嫌いな部分が見つけられない なんだけど ひまわり師匠の「聖書の壁」的なものも感じてしまう作品なんですよね ユーリは羽をもがれた天使的に表現されるし ユーリが神学校に転校していく際 「ルネッサンスとヒューマニズム」がプレゼントされる これにはトーマの手紙も挟まれているのだけれど このあたりの意味合いを理解できていないんですよね しかもユーリはギリシャ系のミックスという設定だったと思う それでも 傑作です!
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いや、こちとら全然わかんねえんだけど笑 ここで描かれている世界も分かんないし、 これを読んで胸躍らせている世界も、 理解できないんですけどね。 でも、まあ、読みごたえはありました。 オスカーやろなー、推すとしたら笑
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近所の古本屋さんに出てきた通知をみてまた読みたくなって速攻で買いに行った。この内容がこの表現で70年代に出てきたんだよな…行間がものすごく多い。ストーリーもだけど情景や心理描写なんかももう文芸、純文。久々に読んで、大昔に読んだときはたいして読み取れてなかったなと思った
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神様みたいな本だった。 なにかを愛することってどうしても自己愛の裏返しになってしまうけど、トーマの愛は違う。 冒頭の彼の遺書が、本編を読む前と後とでこんなにも意味合いが変わってくるとは思わなかった。 「彼はぼくを死んでも忘れない」ということ、「彼の目の上にぼくがずっと生きている」ということ、そのおかげでユーリはこれからどれだけ心安らかに生きていけるか、トーマは全部分かったうえで彼に翼を捧げたんだ。 代わりのいない人間なんていないってずっと思ってた。 確かに「物質」的にいえば人間の代わりなんていくらでもいるかもしれない。私と似た顔、似た声、きっといくらでもいる。 唯一代わりのきかないものは「思い」なんだ。 オスカーにしか、エーリクにしか、ユーリにしか、そしてトーマにしか抱けない思いの形があって、その思いが人に向うことで、その人でしか満たされない「思い」がまた生まれていく。そうやって人はゆっくりと自分が存在する意味をみつけていくんじゃないかと思う。 真実の愛なんて存在しないってここ最近ずっと思ってたけど、すくなくともここには、この本の中だけにはあった。 現実にもあってくれ〜
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〝愛は死をはらむ〟 愛というものを知っている人間はどれくらいいるのだろう? 愛には距離感が大切だと思う。 遠すぎては愛がわからないし、近づきすぎると愛は別なものに形を変える…気がする。 でも、この本で描かれている愛はちょっと違うと思う。きっと読むたびに答えが違うのだろうな… ...
〝愛は死をはらむ〟 愛というものを知っている人間はどれくらいいるのだろう? 愛には距離感が大切だと思う。 遠すぎては愛がわからないし、近づきすぎると愛は別なものに形を変える…気がする。 でも、この本で描かれている愛はちょっと違うと思う。きっと読むたびに答えが違うのだろうな… 愛について考えたい時、何度でも読み返そう。
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友人からの薦めで読みました 萩尾望都作品を読むのは、二作目です。 トーマの死の意味にようやく気がついたとき、雲間から光がさすような、暗く長いトンネルから抜けたような、柔らかでいて強烈な衝撃でした。 そして私は冒頭のページを開き直しました。
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